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箱庭の少年  作者: 木乃羅
第三章 激動する状況
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3-16 娘はやらん!

前回から引き続き、レイルの視点から。


本日、二回目の投稿です。

最新話で閲覧している方はご注意ください。

「はぁ、バカ(陛下)に説明させようとしたのが失敗だったな。」


「おい、本音と建前が逆になっているぞ…。」


 恨めしそうに見るお父様を無視して事情を説明してもらうことにした…。


「まぁ、要約するとだ。他国からの政略結婚の申し込みに対しての防波堤代わりになれということだな。」


 いつの間にか控えていた侍女にお茶を入れてもらい、喉を潤しながら説明を受ける。

 他国では、王族が王位後継者である。だけど、この国では血筋で王位を継げるわけではないのだが、他所の国はその詳しい内情を知ることが出来ない為に、自らの常識でこちらを認識する。その相互不理解による弊害が、政略結婚である。


「ぶっちゃけ、この国の王位なんざぁ外交上の為だからなぁ。王様が悪巧みしたところで、臣下は素直に従ってくれないし、この国に在住している多種族の(おさ)連中にフルボッコにされるくらいで何一つ、うま味がない。」


「身もふたも無い発言だな。」


 ジン様の言葉に、お父様は軽く肩をすくめる。


「まぁ、建国理由からして他国とは違うからな。一応の身分制度だって他国と違ってゆるい上に、真面目に働く連中の大半は早々に隠居したいとマジで願う連中ばかりだからなぁ。」


「その筆頭が何をほざいてやがりますか。」


「当ったり前だろうがぁー!!他国の鼻持ちならないガキ共の相手に、不真面目な貴族連中に限って地位やら金やらを狙ってくるしよぉ。あげくに、嫁さん二人の仲が良いのはいいけど、旦那であるはずの俺は蚊帳の外だし、娘たちは近頃冷たいし、仕事だけは年々倍増していく…なに、この悪循環。俺、泣いていいかなぁ~。」


「いい歳したオヤジが泣きまねしてもうぜぇだけだぞ。」


「ホント、嫌な臣下ばかりだよなぁ~。職務放棄して家族との交流を俺は大切にしたいの!!家庭を持つお前らなら分かるだろう?」


「お父様、娘としては嬉しいのですが…職務放棄はダメだと思いますよ。」


「家庭ねぇ。嫁さんとの時間を大切にしたいとは思うけど、息子だと蹴倒したくなることが多々あるぞ。」


 ジン様の言葉にインテグリダー様まで深く頷いているけど…。


「そうですね。子供が娘であれば、可愛かったのでしょうけど。息子は年々可愛げがなくなる上に、仕事上で少し褒めるとすぐに図に乗るし、可愛がるよりもからかいたくなる気持ちの方が強いですかね。」


 いえ、それはからかうから反発するのでは?


「え? 男の立場って、そんなものじゃないですか。村だとからかわれるのが嫌なら、自分で対策を練るしか打開策はなかったけど。」


 蒼溟(そうめい)、どんな過酷な村事情ですか。


「ふふん♪ 可愛い娘たちが居るのが羨ましいだろう。まぁ、だからこそ…胸糞悪い政略結婚なんざぁ申し込んでくる連中がうざいわ、むかつくわ、ぶっ殺してやりてぇ!と思うのだよ。」


 お父様、口が悪すぎです。あと、部屋の隅で控えている侍女さんも何気に頷いていないで下さい。娘としては嬉しいような、恥ずかしいような、複雑な心境なのですから。


「あれ?でも、お父様とレダお母様とは政略結婚だったのでは?」


 第二王妃であるレダクテーア様は、実母である第一王妃のアンプレクススお母様と違って貴族側からの強引な婚姻だったと聞いている。


「おや?レイル様は真相を知らないのですか?」


「あ~…多分、他の娘たちも知らないのではないか。」


 お父様とインテグリダー様の言葉に首を傾げると、ジン様が教えてくれた。


「まぁ、表向きは政略結婚なんだがなぁ。レダとエスタ(王様の名前はエスタシオンです)は幼馴染みでな、そのレダの父親が強引に進めたんだ。」


「意外性もない権威争いの一環としてですけどね。」


「そうそう。まぁ、レダの奴も変な旦那を持つよりも俺の方が何億倍もマシだろうという思いから反対はしなかったそうだ。」


 ここまでは、レダお母様のお父様の思惑通りだったそうです。


「まぁ、その思惑が破綻したのは娘と息子の教育を他人任せにしたせいだろうなぁ。」


「レダクテーア様とその弟君は、猫かぶりがお上手でしたから(笑)」


「気づいた頃には、全て手遅れだったのさ。権威を得るために娘を俺に嫁がせたが、それを振りかざそうとしたときには、息子に当主の座を奪われ、娘には暗躍されて母親共々隠居生活を余儀なくされたのさ。」


 えっと、色々と突っ込みどころがあるのですが…。


「まぁ、共に隠居した嫁さん曰く『ようやくの新婚生活ですわ♪』との発言から、今じゃあ孫バカな好々爺になっちまったけどなぁ~。」


「それに、優柔不断なバカ(陛下)に甲斐性(金銭面)と責任(地位的には問題無し)取れとアンプレクスス様との婚姻を推し進め、自らの恋心まで暴露して落とした強者でもありますから(笑)」


 うわぁ、レダお母様が凄いヒトだとは思っていましたがここまでとは思いませんでした。


「なによりも、レダの奴がアンを気にいっちまってなぁ。俺との婚姻なのか、アンとの婚姻なのか分からないのが現状だけどな。」


 トホホ…と涙目になるお父様の姿に思わず、納得してしまいました。


「まっ、結局のところはエスタ自身が恋愛結婚した身だから、その娘たちにも自由に恋愛をして欲しい、というのが本音じゃねぇのか。」


「当ったり前だろう。子供の幸せを願わない親がいるかぁ、それが娘ならなおさらだろう。」


 ジン様の言葉にお父様は当然のことのようにおっしゃる。意外なお話も聞けたけど、お父様の気持ちにワタシは素直に嬉しかった。


「それに娘を持つ男親なら、娘が連れてきた彼氏に『貴様のような奴に、娘はやらん!』とバトルするのが夢だろうがっ!!」


 あぁ、折角の良い話が途端に残念なお話に…。


「えと、それと僕が王族になるのと何の関係が?」


 蒼溟の言葉に本題を思い出す。そういえば、そうでした。お父様たちのお話はどうでも良いですね。


「それはですね。王族の姫君たちの婿候補生の最有力者として周囲に公言するためにです。」


 ニッコリと笑いながら、さらりと爆弾発言をされるインテグリダー様。


「一応、建前としてはそうなるな。腐れ貴族連中の中には難癖をつける連中もいるだろう。だが、蒼溟に白羽の矢が当たったのは様々な条件が一致しちまったからだ。」


「どいう事でしょうか?」


 ワタシの言葉に、ジン様は渋い表情をすると


「蒼溟が異邦人であること。間接的とはいえ、戦闘能力に魔工術式と薬学の知識に、魔の森の住人たちに受け入れられていること。一つ一つあげていたらキリがないが、この国の政治に関わる連中にしてみたら、そのまま野放しにするには惜しい人材なのさ。」


「王族の姫君との婚約者としての立場は十二分にありますし、仮処置としてですが王族の一員となってしまえば他国からの干渉を撥ね退けれる上に、姫様方の婚姻の話も堂々と蹴れますから♪」


 インテグリダー様の満面の笑みにジン様は深いため息を付きながら


「要は面倒くさい案件を一蹴するための人身御供だな。」


 と締めくくりますけど。蒼溟の意思は一切、無視ですか?それは、あまりにも酷い扱いすぎるのでは…。


「一応、蒼溟くんへのメリットとしては、この国のバックアップかな。経済面はもちろんの事だけど、元の場所に戻るための情報捜索にも協力するつもりだよ。」


 お父様の言葉に考え込む蒼溟。


「それは、建前であって姫様たちに好きな方ができたら僕は『お役目ゴメン!』でいいのですか?」


「えぇ、構いません。もちろん、蒼溟くんが他に好きな方が出来て、その方と結婚したいと言うのなら、それも許可させて頂きますよ。」


 インテグリダー様の言葉に蒼溟は、納得したのかアッサリと了承してしまった。


「よぉ~し、話もまとまった事だし。デモンストレーションとして、今から後宮にでも行くかぁ!…アンとレダに報告しとかねぇと俺が後でどやされるからな。」


 お父様…最後の言葉はいらないです。


 こうして、蒼溟はワタシたち王族の(仮)一員となったのですが…何故でしょう。お父様たちのイタズラの一環にしか思えない。

 これも日頃の行いによる感想なのでしょうか? …まぁ、色々と面白そうなトラブルが起こりそうな事は確定でしょうね。

皆様の暇つぶしになれたら、いいなぁ~。


さぁ、どんどんコメディに向かうぞぉ!


後、誤字や脱字などがございましたらご連絡下さい。

一応、確認はしているつもりですが、パソコンが大破した後に入れた文章作成ソフトと相性が悪いのか変換間違いなどが多々ありまして…ご迷惑をお掛け致しますがご協力を宜しくお願いします。 m(_ _)m

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