3-9 あるぅ日、森のなか~♪
お久し振りです!
仕事で移動&新たに覚え直しと多忙でなかなか更新できませんでした。
ストレスでほのぼの雰囲気を書く気にもなれなかったのも遅くなった要因ですが、ようやく復活したので、チョコチョコと更新していきたいと思います。
読んで下さっている方々、ありがとうございます m(_ _)m
「もり…、森だぁ。狩りだぁー!!」
〔 イベントだぁー!! 〕
久々の森にテンションマックスな蒼溟と面白そうな騒動の予感にハイテンションのアオ。
そんな一人と一匹を苦笑しながら見守るジン。
「ジン! ちょっと、探索に行ってくるねぇ~!!」
普段の姿とはうって変わって、一言だけ告げるとアオとシュンを連れて森の中へと爆走していった蒼溟に「お~、怪我しないようになぁ~」と返す。
「…久々の散歩に大喜びのワンコロみてぇだな。」
ポツリといった言葉に、同行していたトレホドラッヘたちが頷く。
探求者ギルドで薬草採取依頼を受諾した蒼溟は、ジンと共に森の近辺へと向かった。
久々の森の採取に大興奮の蒼溟は、ジンを入口付近に置き去りにしてアオたちと一緒に森の中を心ゆくまで探検することに。
ジンはその様子に呆れつつ、森の入口付近でトレホドラッヘ(陸竜、または走竜)たちと一緒に安全確保と野営準備をして、のんびりと蒼溟たちを待つことにしたのだった。
◇ ◇ ◇
「わーい!狩りだ、採取だ、収拾だー!!」
〔 あ、蒼溟!あそこにイチジクがあるよ〕
〔 蒼溟さま。あっちには、アケビもありますよ〕
森の木々を猿のように飛び移りながら高速移動する蒼溟にアオやシュンが木の実などを発見しては教えて、素早く採取していく。
「アオキとアシタバも発見! …これはヘチマ?」
季節感バラバラの収穫物に首を傾げながらも、テンションマックス状況の蒼溟にとっては些細なこと。ラッキー♪くらいにしか思わずに適当な量を採っていく。
「すごいねぇ~、この森。色々な果実から役立ちそうな薬草類まで豊富で袋がいっぱいになりそう♪」
魔の森のみんなから貰った旅の必需品、圧縮袋(通常のものよりも高性能、容量も大きい)が採取したものでそろそろ限界になりつつあった。
〔 それなら、僕の小部屋に移動させる?〕
アオの提案に首を傾げる。
以前、人生相談で創った湾曲空間をプライベート用に改善したらしい。
〔 出入口は蒼溟の圧縮袋内に固定してあるから、そこから荷物を移してもいいし、蒼溟の影から直接出し入れできる便利機能も付いているよ♪〕
「えっ?! いつの間に…。」
〔 蒼溟と僕はリンクしているからね。大抵の無茶なら実行可能じゃないかな?〕
インフィニティのもつ無限の可能性。それを自由自在に行使できる権限というか力を得ていることにイマイチ実感がわかない蒼溟であるが…。
「あ~、考えるだけ無駄かなぁ。うん、便利だね♪ということで納得しておこう。」
深く考えることを放棄した。
「あっ!それじゃあ、袋の閲覧コードに引っ掛かるから採取できなかった劇薬系の野草とかも採取して大丈夫ってことかな?」
〔 大丈夫だよ~。袋の閲覧時に表示されるのは“アオちゃんの小部屋”になるし、そこなら時間経過による劣化もなければ、促進効果を持たせた別室で熟成とかも可能だよ♪〕
「なんて、ご都合な便利機能…。まぁ、使用権限制限もあるみたいだし、いっかぁ♪」
深く考えるのを止めた蒼溟は、結構ダメダメな倫理感だった様子。
それからの彼らは、特に問題もなく薬草採取とその他イロイロな物を確保して満足そうな蒼溟と合法、非合法な採取物をせっせと旅の必需品、圧縮袋inアオちゃんの小部屋へと移送するシュン。その内、どこからか取り出した採掘道具により地中精査による鉱石の発掘まで行った。
◇ ◇ ◇
そろそろ辺りが夕暮れに染まり始める頃。
ジンは森の出入り口付近にある野営地で夕飯の準備をしていた。
石で組んだ簡易カマドに鍋を置く。魔術でお湯を出し、火をつけると自分の圧縮袋から干し肉や刻んだ野菜を放り込む。調味料をいくつか取り出し、味を調えながら持参したパンを木に軽く刺して炙る。
「よっと。一応、天幕ぐらい張っておくか。」
雨避け用の簡易天幕を大き目の岩の出っ張りに引っ掛けて広げる。
この場所は、中堅探求者たちがよく利用する野営地で大き目の岩の上で見張りをすることも出来れば、岩のわずかな隙間に乾燥した枯れ木などを常備して次の利用者のために備えてあったりする。
ちょっとした広場の周囲は見通しが良いように草木を簡単に刈ってあるため、トレホドラッヘたちは思い思いの姿でくつろいでいる。
「ジン、ただいま~♪」
どこかスッキリした表情の蒼溟が森から出てくる。
「おぅ、おかえりぃ~。夕飯できているぞ。」
「ありがとう!」
和やかな夕食の時。ジンは森での出来事を嬉しそうに話す蒼溟たちをのんびりと眺めながら食後のコーヒーを楽しむ。
「それで、明日からどうする? 街に戻るか?」
一日目にして依頼対象の薬草に調味料の原料を採取してしまった蒼溟たちに若干あきれながら聞く。
通常ならば、三日間くらいかけて行う採取をほぼ半日で終わらせ、挙句に食料調達までこなしてしまったのだからジンの驚きを越えて、あきれてしまうのも無理はない。
「まぁ、食料は確保できているし、依頼の期日も特に決まっていないようだし…ちょっと遊んでから帰るかぁ。」
ジンの言葉に目を輝かせながら頷く蒼溟たちに苦笑するしかなかった。
「それじゃあ、明日は森の探索とするか。今日は比較的安全な野営地だからこのまま全員寝るぞ。」
「は~い。」
〔 ボクは寝る必要ないから、火の番をするよ。蒼溟とジンは寝ていていいよぉ~〕
アオの言葉にジンは素直にお願いをして、蒼溟たちは天幕の下で外套にくるまって眠る。
皆が寝静まる中、焚き火の近くで佇む薄青色の球体生は密やかに固有術式を起動して何かを確認していく。
〔 嵐の前の静けさ…だよねぇ。蒼溟は、どんな選択をするのかなぁ〕
普段の楽天的な雰囲気はなりを潜め、術式の放つ淡い光に照らし出されたアオの姿は闇の中で小さな街灯のように瞬いていた。
意味深なアオの言葉でした。
蒼溟たちと行動を共にしていても、常に情報集積領域とリンクしているために他者からは想像もつかない広域視野で物事を捉えています。
伝えるかどうかは、アオ次第ですけどね(笑)