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箱庭の少年  作者: 木乃羅
第三章 激動する状況
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3-8 今後の予定は?

時間が欲しい…orz

 早朝から毎日の日課をすませた蒼溟(そうめい)は、朝食の時間まで今日の予定を立てることにする。


「う~ん、今日は何をしようかなぁ。」

 村に居た時のように気軽に狩りや採取に行けないため、ちょっと過ごし方に迷う。


「当面の生活費は、十分に稼いじゃったしなぁ~。」

 当初の目的では、村に帰るための情報収集と同時に生活費と活動費を稼いでいく予定だったのだが、アクレオさんとのダンジョン探索と角落しの依頼だけで二、三年は余裕のある行動が出来そうだ。


〔 そんな時は、ギルドで面白そうな依頼を受けるべし!! 〕


「アオ、おはよう。…なんか、久し振りに会話した気がするのだけど…。」


 いつの間にか、目の前にいた薄青色の球体生物に挨拶するが、そんな事を気にするような性格ではない。


〔 それは、気のせい…多分 (笑) そんな事よりも、世間知らずな蒼溟は積極的に依頼をこなしながら、皆と交流をもつのが大事だと思うよ!〕

( …でないと、面白そうなイベントとか起きそうに無いからね。 落ち着きがあるというと聞こえがいいけど、その実は爺むさいタチだしね… )


「でも、あんまり依頼を受け過ぎると他の人の迷惑になるのでは?」

 昨日のアイン支部長さんの会話を思い出す。


 探求者に(かたよ)りがあるなら、依頼の達成率にも偏りがあるのだろう。バランスと取るために中堅探求者たちに様々な依頼をこなしてもらっている様子だが、今の自分がそれに貢献(こうけん)できるのか?と問われれば、否定しかできないように思える。


〔 大丈夫、大丈夫♪ そんな時のために、ジンが居るのだから~。 面倒事は全て任せて、蒼溟が出来そうな事をやればいいのさぁ。もしくは、挑戦してみて、無理なら交代するなり、辞退すればよいのだから。〕

気楽にやれば良いというアオの言葉に、ちょっと考える。


「…そうだね。うん、何事も経験だよね!」


 村での教育方針は、スパルタ方式。

頭で事前に学習するのではなく、まずは体験することから。そこで、痛い目を見るのも一つの学習とされる中で育った蒼溟にとって、アオの言葉は十分に納得できる内容ではあるのだが、一般的でないことに気付くのはかなり後であろう。


◇◇ ◇


 ジンと共に探求者ギルドの掲示板をのぞいてみる。

 相変わらず、ギルド内は様々な武器や防具を身につけた多種多様な人々で賑わっている。


「いつ来ても思うけど…ここって、雑多な業務を扱っている割に整っているよねぇ。」

蒼溟は辺りを見回しながら言う。


 業務内容別に分けられた窓口に整然とした施設の案内版に喫茶スペースなどは、ジンの感覚で言えば銀行のような雰囲気である。

 ゲームなどで想像するような酒場を兼任した乱雑な汚らしいイメージとは真逆である。


「まぁ、管理しているのが“協会”だからなぁ。あの組織は下手な国家機関よりも技術も知識も倫理観すら上回っているらしいし、何より利用者に対しての管理体制が徹底しているのが一番の原因だろうよ。」


 犯罪歴のある連中でも登録のできる探求者ギルドは他のギルドよりも管理体制が厳しいことで有名でもある。

 余程のことをしなければ登録を抹消されることは無いが、受けれる依頼や信頼から受諾拒否などされることがある。また、その際に発生した刑罰はどんなに些細なものであっても情報として登録されて、必要とあれば犯罪捜査の際に開示されることもある。


 まぁ、あくまでも『基本的には…』というものなので、捜査のためと言われても開示されることはほぼ無い。だからと言って、犯罪者が逃げれる…という意味でもなく。さり気に、捜査機関よりも苛烈な刑罰を与えられている事など多々あり、その苛烈な刑罰により犯罪者の人格及び精神状態が激変することも公然の秘密とされていたりもする。


「へぇ、そうなんだ。」

 当然、蒼溟はそんな事など知らない。ジンもあえて教えるつもりも無いようだ。


「ここの掲示板は常駐型の依頼とギルドからの連絡事項などが告知される。まぁ、街中での清掃活動や自警団の臨時団員の募集などだな。後の突発的な依頼や個人依頼などは、あっちの依頼受諾の窓口付近にある端末で探すか、直接窓口で聞けばいいのさ。」


 ジンの指さす方向を見ると、かなり広めに取られた通路の中央(左右で通行をスムーズにするための中央分離帯)にある観葉植物が植えてある棚?付近にタッチパネル方式の端末が立て看板のように随所に設置されている。


「なんて言うか、近代的なのか中世的なのか判断に困る世界だよねぇ~。」

 攻撃手段が武器や魔法などの中世ファンタジー的な雰囲気を出しているのに、所々にSFファンタジーと言いたくなるような高度な技術が存在するのだ。


「はっはっはっ♪ 深く考えると頭痛がしてくるぞ。まぁ、頭を柔らかくして順次、適応していけばいいさっ。」

 ジンはそう言うと蒼溟の頭を手荒に撫でる。


「とりあえずは、受けれそうな依頼を探すかぁ~。」


 端末の一つに近寄ると、蒼溟のギルドカードを画面にかざす。

 カードから情報を読み取った端末は、様々な案内画面を表示する。ジンは慣れた手つきで受託可能な依頼を表示させていく。


「おぉ?! いつの間にか、中堅探求者になっているのかぁ。」

 ジンの言葉に蒼溟は頷いて、簡潔に経緯を説明する。


「やれやれ、あのアクレオに付き合えるなら初級系は必要なしと判断されるわなぁ。」

 ジンは苦笑する。


「? ジンはアクレオさんを知っているの?」


「おぅ。噂話は勿論のことだが、奴とは昔つるんでいたからな。」


「つるむ?」

 えと、仲良くしていたって事でしょうか?


 首を傾げる蒼溟に詳しく説明をしようとするジンの背後に、

「…昔、ジンさんにイロイロとお世話になっていたんだよぉ~~。」

目の下にクッキリと隈を作ったアクレオが“ぬぼぉ~”という効果音が似合いそうな表情で背後霊のように現れた。


「おいっ、アクタレ(・・・・)小僧。 辛気(しんき)くせぇツラで、背後に立つんじゃねぇ!」

 言葉と同時に裏拳を繰り出すが、小気味よい音を立てながら掌で受け止められる。


「ジンさん。俺はアクレオであって、アクタレじゃないですよぉ。」


「ハッ! お前なんざぁ、悪さする洟垂(はなた)れ小僧を略してアクタレで十分だろう。」

 口は悪いが、アクレオの疲れきった表情に顔をしかめるジン。体力や精神面は常人を遥かに超える忍耐力を持つアクレオのこの様子にちょっと心配しているようだ。


「ひでぇ~。 それは、そうと…蒼溟、依頼なら窓口でお勧めを聞いた方が早いぞ。経験不足でも出来そうなやつをピックアップしてくれるはずだからな。」

 そう助言をすると、ジンに小声で何やら話しかける。


「…蒼溟、ちょっとコイツと話がある。スマンが、依頼は窓口で相談してみてくれ。」

 ジンの言葉に、アクレオが背後で蒼溟に向かって片手を上げて謝る。その様子に、自分がいない方が良さそうだと判断した蒼溟は素直に頷くとアオと共に窓口のお姉さんの所に向かう。


「…で? 喫茶スペースに移動するぞ。まったく、マジで情けねぇ面構えしやがって。ちゃんと睡眠を取ってるのか? ただでさえ、足りない脳みそが更に減少するぞ。」

 そう言って、アクレオの肩を軽く小突きながら席に着く道すがらウェイトレスにコーヒーと軽食を頼むジンであった。


◇◇ ◇


 アクレオさんの助言に従って、窓口でギルドカードを提示した後に受付のお姉さんにおススメ依頼を尋ねてみた。


「そうですねぇ。中堅ランクですと、食材確保として草原での大型動物の狩りをされる方が多いのですが…基本的にチーム単位で受けられる依頼ですので、蒼溟さまにはちょっとお勧め出来ないですねぇ。」


 薄いディスプレイをこちらに見せてくれるが、そこに記載してある討伐?依頼のほとんどはジンの故郷でいうアフリカ象並の巨体を始めとした超大型動物の名前がほとんどである。


 何気に中堅ランクって、結構キツイ依頼が多い気がする。最小が3.3mって、狩りに失敗すると同時に重傷決定だよね?

 あっ、でも毛皮採取で1.6m~2.5mの…肉食獣かぁ。


 依頼を流し見する僕に、受付のお姉さんが

「蒼溟さまですと…こちらの薬草採取などはいかがでしょうか?」

新たに表示された画面には、幾つかの薬草と料理に使用するスパイス類を見本とした個人依頼の情報だった。


「こちらの薬草採取は、街道から少し外れた森の近辺に生えているいます。薬剤師からの依頼で、ほぼ常時ありますが今回は備蓄分が少なくなっていることから通常よりも高額で買い取りしてくれるそうですよ。」

 その薬草は、村で(ちがや)姉さんから教わったものだ。確か、類似した毒草もあったはず。


「後は、こちらのスパイス関係は同じく森の中で採取できます。こちらは特に期限は無いので、採取できてから依頼受託して報酬を受け取ることも可能ですよ。」

 山椒の実らしき映像に、トウガラシなども表示されている。こちらも教わったものと一緒のようだ。


 これなら、何とかなるかな? 討伐系とは違って、大型動物に遭遇したら逃げればいいのだし、いざとなったら小道具で時間稼ぎをすれば逃げ切れるだろう。


「ここに表示されていない薬草などは買い取りして貰うことは出来ますか?」


「はい。薬草から鉱石に、動物からの素材まで多種多様の買い取りを行っています。信頼性が高くなりますと、探求者ギルドだけではなく、商業ギルドの方でも買い取りをしてくれる事もありますよ。ただし、毒草などの持ち込みは注意して下さいね。」


 毒草に関しては、様々な犯罪の防止策として薬剤師などの受託依頼証明書が無いとそのまま牢屋行きになるとのこと。

 例外としては、薬剤師の資格習得者と同行しているか、ギルドからの認証許可があれば証明書が無くても持ち込みと買い取りを行ってくれるそうです。


「へぇ~。薬剤師の資格習得とか、どこで受けれるのですか?」


「興味がおありなら、掲示板の横にある資格案内の端末を参考にして下さい。“学園都市”卒業者なら様々な制約が解除されるのですが、狭き門でもあります。経済状況や時間などの問題から一般的には探求者ギルドの案内板から各職業の見習いとなって学習する方がほとんどですねぇ。」


 資格習得後は、受験をして合格すると身分証明書にその情報が記載される。特殊な職業の人達はそれとは別の認定証明書を持っているそうなのだが、形状は様々らしい。


「それで、依頼受諾はどうされますか?」

 お姉さんの問いかけに、僕は薬草採取を受諾することにした。

ジンとアクレオの会話は、本編では省略します。

内容は、アクレオの家庭相談(笑)なのですが…読みたいですか? 予定としては、閑話か用語集の方にでも掲載しようかなぁ~と思っていますが、現在のところ未定です。

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