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箱庭の少年  作者: 木乃羅
第三章 激動する状況
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3-4 竜の角落し ④

 アオとシュンの言葉を正確に発音できないという設定の為に、文章が読みにくかった部分の改善として、〔 〕で表記します。

「みゃ、みゅ、みょ」を基本としたアオの言葉、片言しか話せれないシュンの言葉は、省略させてもらいます。他の人との会話は何となく、伝わっているらしい?という事でご都合主義を発動させてもらいます。


〔 愉快な場所に、アオちゃん有りッ!! さてさて、現状を説明するね♪ 〕


 ヒルシュロークの村で歓迎の宴を受けた臨時パーティのアクレオ、サウラ、蒼溟(そうめい)の三名は翌日にはさっそく“竜の角落し”の為に、開催地へと赴くこととなった。

 村の奥にある小さなストーンサークル、そこから湾曲空間内に作られた仮想な理想郷『保育園』へと行ったんだけど・・・本来なら、色々と手続きがある為に、ちょっと準備期間があるの。ところが、祭りの主役である若手組から即刻開催の要望が多数あがる。

 祭りの準備を理由に時間を置こうとする成獣(女性が多い)に対して、たった一夜で全ての準備を完了してしまった若手組 + 成獣(男性少数)の熱意により、儀式開催の合図は略式化され、強制転移という名の空気砲により戦闘区域に飛ばされ、着地と当時に始まった“竜の角落し”でした。


〔 説明が長くてごめんねぇ~。 そして、アオちゃんの目前では一点攻勢、集中砲火を絶賛受け取り中の蒼溟がいるのでしたぁ――! 〕


「 天、空、地 に存在する数多の雫よッ!集い、固まり、敵を殲滅すべく現れよ。 氷結のツララ落しぃーーーッ!!」


 身体の大きな少年竜によって、上空から爆撃のような勢いで落ちてくる数多の氷柱。それを蒼溟は、僅かな隙間を利用してすり抜け、大地に突き刺さった氷柱の表面を蹴り付けて斜めに飛び上がり、ジンから貰った刀を居合抜きのように抜刀して瞬時に無効化していく。


「おぉ、蒼溟もやるねぇ~。」


「 怒れる真情を糧に、具現化せよっ! 火炎地獄ッ!!」


 地面から前触れもなく噴き上がるマグマと炎。


〔 おぉ~、これこそ嫉妬の炎~♪ どうするの、蒼溟 〕


 はしゃぐ球体生物と仲良く座るアクレオ。 その手にある盃にお酒を注ぐシュン。


 さすがに、膨大な炎に対しては避けれないと悟った蒼溟。 すぐさま安全な地面がある方向へと走りだす。

 その蒼溟を追いかけるように、次々と噴き上がるマグマと流れるように追いかける炎。それはまるで火口から流れ出た溶岩が迫りくる様子に酷似していた。


「 逃がすかぁーーーッ! 空を満たすものたちよ、風となり敵を斬り裂け! 烈風ッ!!」


 蒼溟の前方に回り込んだ青年竜はすかさず風によるカマイタチを起こす。 前方は風、後方は炎。前後を挟み打ちされた蒼溟に逃げ場は無い・・・と竜たちが思った瞬間。


「蒼溟君、こっち!」


 横手からサウラの武器であるムチが伸びてくる。 それを手が傷つくことも(いと)わずに握りしめると力強く引かれる。


「いよっ! 蒼溟の一本釣りぃ~~~♪」


 アクレオが口の横に手を当てながら、声をあげる。


〔 綺麗な放物線を描いているねぇ~。おっ?それを難なく抱きしめて・・・逃走した!?〕


 アオの言葉のように、蒼溟を腕の中に抱き止めると同時にサウラはその場から走り去る。そして、自分の後方に作ってある結界へと入り発動させる。


「はぁ、はぁ。 大丈夫だった、蒼溟君。」


 腕の中に抱き締めたままで、蒼溟を覗き込むサウラ。 彼女の豊かな胸元に顔を押し付けられるように抱えられていた蒼溟は、顔を赤くしながらも大丈夫だと告げる。


「もう。一体なんでこんなことに・・・。」


 サウラの言葉に、結界を維持するヒルシュロークのヒトが


「大変、申し訳ありません。どうやら、深夜にハク様が持ち込まれた“伝晶(でんしょう)(せき)”を見た瞬間に男性連中が殺気立ちまして・・・。」


そのヒトは外であった成獣たちのようにネコくらいの大きさで、サウラと蒼溟に深々と土下座をして謝罪をする。


「ハク様が? いつの間に“伝晶石”を・・・いえ、それ以上に一体なにが撮られていたのですか?」


「・・・宴で女性陣が悪ノリした時の映像です。 どうやら、その中に意中の相手がいたもの達が暴走してしまったようで。」


 そのヒトは、ハクの弟分でシロと名乗った。

彼の話では、通常の“竜の角落し”では力に酔った若手組は互いの強さを見せつける意味もあって共闘することは有り得ないそうだ。ところが、今回は嫉妬と男の意地が複雑に絡み合い、傍観するはずの男性成獣まで色々と助言をして、完全な共闘と互いの不得手をカバーする見事な連携が出来ているとのこと。


「こちらとしても、予想外でして・・・。 一応、相手側には英雄であるアクレオ様も参加されていると聞いていたので、何とかなるのでは?と思ったのですが・・・。」


 シロとサウラは、冷たい視線を戦闘と安全区域の境目付近で酒盛りをするアクレオに送るが上機嫌な様子で手を振られた。


「あのッ役立たず・・・。」


「あのぅ~、幾つか質問してもいいですか?」


 蒼溟の言葉に、シロが反応する。


「相手の方々の身体の大きさがシロさん達と違うのはどうしてですか?」


「成獣の儀を受けていないもの達は、基本的に魔力の制御が不安定なのですよ。それを完全に把握し、制御できると私たちのように身体の大きさを魔術によって変えれるのです。」


 彼の一族は、この湾曲空間内で子育てを行う。そして、成獣となり身体の大きさを小さくできるようになれると小さなストーンサークルの転移魔法陣から外の世界へと出れるのだ。逆に言うと、どれだけ年を経ても魔力制御の出来ないものはこの空間から外に出ることはできないとのこと。


「ところで、蒼溟様は獣人族の血筋の方ですか? 人族とは思えない身体能力ですけど。」


 その質問に答えようとした、その時。 固有魔術である転移によって現れたのは、レーヌ族のシュンだった。


〔 蒼溟さま。アクレオ様より、こちらの品と伝言を承りました。

『 なんで、魔術を使わないんだ? どうせ、命のやり取りをしているわけではないのだから、色々と試してみてもいいと思うぞ。 奴らの回復魔術なら両手足が吹き飛んでも何とかなるはずだから、遠慮せずにブチかましちまえ~!!』

との事です。 後、ジン様から譲り受けた刀は魔術対策してあるはずだよ。とアオ様が言っていましたよ。〕


「あっ、忘れていた・・・。」


 シュンから掌に小太刀を握らされながら、蒼溟はつぶやく。

 魔術を使わないようにストッパーになっていた心の問題はとっくに解決している。それなのに、使用しなかったのは・・・単に使用できることをすっかり、忘れていたからである。


「そっかぁ~、そんなに強力な回復魔術なら問題なんてなさそうだね。 うん、色々と試してみるよ。伝言をありがとう、シュン。」


 少年らしい悪戯っぽい表情にシュンは微笑み …本人以外には、気付きにくいが… 。


〔 いえいえ、それでは私も蒼溟さまのご活躍を楽しみに見させて頂きますね。〕


 そう言葉を残して、再び転移をする。


「蒼溟君、何か策があるの?」


 サウラが蒼溟の肩を抱きながら聞く。 この間に、決して蒼溟を腕の中から逃そうとしない彼女の様子から、どうやらこの体勢が気に入ったようである。


「策っというものでは無いのですが・・・折角の機会ですので、色々と思いついたままに試してみようかな?と思いまして・・・ところで、サウラさん。そろそろ、放してもらってもいいですか。」


「えぇ~。蒼溟君って、抱き心地がいいんだもん。 もうちょっとだけ、このままで居させて欲しいなぁ。」


 お姉さんからのお願い。と言われて蒼溟は諦めのタメ息を吐く。 だが、それは嫉妬の炎を燃やす少年竜や青年竜の心に油をドバドバと注ぐ行為でもあった。


「なに、アイツ。 同じ男として、もの凄く許せないのだけどッ!!」


「姉ちゃんにあんな不埒な真似をしておきながら、同じ種族の女にまでチヤホヤされやがってぇ~~~!?」


「八当たりだとは分かっている。 嫉妬なんて、みっともないとも思う・・・だけどッ!! この胸の内にある激情をそのままになんて、出来ないっ!?」


「「「 ヤツは、ぶっ倒す!!! 」」」


 未熟なはずの彼らが初めて心をひとつにした瞬間であった。


「・・・ちょっと、ハク様~。どうやって、収拾をつけるつもりなんですかぁ~。」


 いつの間にか、結界の中にハクが居た。 のんびりと毛繕いをするハクにシロが睨みつけるが、年を経た老獪な竜に太刀打ちできるはずもなく。


「まぁ、大丈夫でしょう。 いざとなったら、アクレオに出陣してもらえばいいのですから。彼が参戦すれば、即刻に幼竜たちの角など落とされるでしょうから♪」


 どこからか持ち込んだクッションに乗っかり、特等席で観戦する気のハク。 そんな兄貴分に対して深い深いタメ息を吐くシロは、確実に苦労人だろう。


「どうか、後腐れのないように無事に終わって下さい。女神さま、後生ですから平穏な日常が帰ってくるようにお力添えを何卒、宜しくお願い致します。」


 両手の肉球をあわせて、天空に祈りを捧げるシロであった。


 今までの文章の表示を改編していきたいと思います。 内容的には、変更しないつもりですが、誤字脱字に関しては見つけ次第なおしていくつもりです。

 ご迷惑をお掛け致しますが、宜しくお願いします。


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