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箱庭の少年  作者: 木乃羅
第一章 胎動
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1-3 ここは何処でしょう

 明け方近くの冷え込みと今まで感じたことの無い気配に気付いて目覚めた。


「・・・・・・・・。」


「みょ?」


 あおむけに寝ていたらしい自分の顔の横に、なにやら薄青色の球体があった。


「・・・浮いている?」


 落書きのようなつぶらな瞳でこちらをながめながら、どこから出しているのか分からない鳴き声らしき音。背後?には蜻蛉(とんぼ)のような4枚の羽。


「みゅう?」


「えっと・・・・・ここはドコでしょうか?」


 あえて声を出して混乱するのを防止しながら、ゆっくりと上体を起こして周りを見回す。


「真っ暗。・・・・室内なのか?」


 ひんやりとした空気にほとんど動きは無く。謎の球体生物?のぼんやりとした明かりだけが光源だった。


「・・・生き物なのかなぁ?」


 敵意や害意らしきものを感じないので、ゆっくりと手を伸ばしてみると以外に大きいことが分かった。バスケットボールくらいの大きさの不思議な球体。鳴き声らしき音を聞かなければ、誰かがイタズラで置いた玩具(おもちゃ)にしか見えない。


「おぉっ!以外な弾力とスベスベした手触りが気持ちいいかも♪」


 力を入れすぎないように優しく抱え上げると、重さも感じなくて。この球体生物が自力で浮かんでいることがよく分かった。よく見ると、ゼリーのような透明感と着色なのに何故かうっすらと発光している。


「さて、とりあえずはここから出なきゃ。」


 ボールを胸に抱えるようにして立ち上がり、空間の広さを把握するために動こうとした時に、謎の球体生物が何かを呼ぶように鳴き始めた。


「みゅ、ミュ――――ン!・・・・みょ?・・・みゅん♪」


「なにと交信(こうしん)をしているのかなぁ?」


 特に悪い予感みたいなものもなかったので、球体生物を顔の前にかかげて聞いてみる。


「みょ~~ん。」


 目が・・・><な形になって、ちょっと得意げな様子で返事をしてくれる。だが、さっぱり意志の疎通(そつう)は出来ないわけで、どうしようかねぇ。


「?・・・あれ?」


 ふと気付くと周りがちょっと明るくなってきたように思えて、球体生物を顔の前からどかしてみた。


「えッ!?・・・なにごと。」


 そこには、徐々に数を増やしていく球体生物の群れがいた。それぞれ、多種多様な色彩で発光していて幻想的で綺麗なのだが。その数が、無制限に増えていっているように見えて、安心できない状態だ。


「みゅ、みゅっみゅっ。ミャ――――ン!!」


 手に持っていた薄青色の球体生物が、他の個体に命令をしたらしく。


「えぇッ!??・・・・・合体した。・・・巨大なスライムもどきがあらわれた。」


 一体の巨大な球体になった。その姿に思わず、某ゲームキャラの登場を真似てしまうほどに混乱してしまった。


「なに、戦うの?・・・え、どうしろと。」


 混乱して、合体に参加していない手元の薄青色の球体に問いかけてしまう。僕の混乱ぶりに満足気な雰囲気の球体は、巨大球体に声をかけた。


「なになに?どうするの?」


 巨大球体は大きく口?を開けたかと思うと僕と薄青色の球体を丸呑みして、飛び跳ねていった。

な、なんでぇ――――!?・・・そして、どうして呼吸できるのぉ~。



◇ ◇ ◇



 その後、僕は深い森の中に居ました。手元には、あの薄青色の球体生物と共に。

 巨大な球体は、遺跡?の地下を抜け出すと僕らを吐き出し。バラバラに散って、どこかに行ってしまった。


「・・・・・・。あぁ、えっと助けてくれて?・・・ありがとう。」


 多分、僕があそこから出たいと思ったから手伝ってくれた・・・と思い。手元の球体生物にお礼を言うと、嬉しそうな鳴き声で答えてくれた。


「みゅん♪」


 なんとなく、どういたしまして。と言っているように聞こえるのだけど・・・気のせい?

 いつまでも手に持っていてはいけないと思って、薄青色の球体生物をはなす。


「みゅ、みゃ~~~。ミョッ!!」


 再び変な鳴き声をしたかと思うと。


「なっ!?分裂したッ!!」


 同じ色の球体生物が二つ。若干、大きさがちぢんだのは二つにわかれたからか?

 バスケットボールからハンドボールくらいの大きさになった薄青色の球体生物たち。お互いに別れをつげて一つは僕の肩に。もう一つは、他の球体生物たちのようにどこかへと消えて行ってしまった。


「え~と、君は僕について来てくれるの?」


 僕の問いに目を再び、><な形にして上下に移動した。どうやら、うなずいている様子なのだが・・・・ボールが回転しているくらいにしか見えない。



◇ ◇ ◇



 僕に同行してくれる薄青色の球体生物に、便宜上として「アオ」と名前を付けてみた。特に嫌がるそぶりもみせないし、呼ぶとこちらに反応してくれるので、理解してくれているらしい。


「おっ。この実は大丈夫そうだな。」


 僕は水の気配がする方向に歩きながら、食べても大丈夫そうなものをついでに探していたった。入れ物は、つる草や大き目の葉っぱなどを利用して簡易の編みカゴを作ってみた。


「みゅ、みゅみゅ。」


 すこし先を行っていたアオが鳴いて僕を呼んでいるようだった。


「アオ、何か見つけたの?」


 そばによって見ると、木々の間から水面が見えた。


「水だ。飲めるくらいにきれいだといいんだけどなぁ。」


 僕とアオは急ぐでもなく、ゆっくりとした足取りで水辺へと歩いていく。



「みゅ――――ん。」


 嬉しそうな声でアオが泉のなかへと飛び込んでいった。

 幸いにもそんなに大きくない、湧水で出来た泉は小魚と小川があるところだった。


「うん、これなら飲み水としても大丈夫そうだ。」


 一口飲んでそう判断すると、ここで野営するための準備を始めることにした。



「不思議なところだよなぁ。」


 全然、身に覚えのない森にも関わらず僕の知っている植物や薬草などが生えていた。それも(ちがや)姉さんから教わったものなどだ。


「まるで、いま必要な知識を事前に教えられていたみたい・・・・。」


 なんとなく、あの村の住人であり、その中でもさらに不思議な(ちがや)姉さんならありえそうだと思ってしまった。


「・・・・さすがに無いよねぇ。・・・無いよな?」


 ちょっと、不安になってしまった。


「みゅ?」


 アオが不思議そうにこちらを見ていた。



◇ ◇ ◇



 辺りが夕闇へと包まれるなか、泉の近くにあった比較的あけた場所で火をおこした。そして、採ってきた木の実などを食べて僕はこれからどうするのか、ちょっと考えた。


「これから、どうしようか。」


 最初にいた遺跡らしき所を調べるにしても、ほとんど崩れて下草におおわれていた。自分自身があの地下から出たから分かったくらいで、見た目では他の荒地となんら変わらない。


「それに、地下から出た。といっても、アオたちのおかげで出れた感じだったしなぁ。」


 そう、アオの仲間がその身体の中に入れてくれたおかげなのか、障害物となる岩壁や地面をすり抜けて僕は出てきたのだ。あの場所に戻ろうと思ったら、地面を掘り返さなくてはいけないのだが、結構大変そうなところだったと思う。


「途中で大きな岩盤とかもすり抜けていたからなぁ。」


 僕はため息を吐きながら、なんとなくアオを抱きかかえてみた。スベスベの手触りでちょっとヒンヤリするが、火にあてられたのか少し温もりがあった。


「なんにしても、食糧とか水を確保したら。今度はここをベースに、この辺りを散策するしかないかな。」


 武器になりそうなものも作っておきたい。どんな危険な猛獣がいるのか、それすらも分からないのだから。


「とりあえず、今日はもう寝ようっと。」


 寝ている間に火が消えないように工夫をほどこした後、アオを近くの岩の上に放して僕は腕を枕に寝ることにした。


 その頭上では、木々の葉の間から満天の星空が輝いていた。



主人公の名前が一度も出てきていない・・・。

3/25 表示の変更、修正をしました。

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