表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の音を、君はまだ知らない  作者: 此崎 りつ
一章 学園生活編
1/8

1-0 プロローグ

世界の音が、鳴り始めていた。

空気が震え、地面の小石が小さく跳ねる。

耳ではなく、直接身体の内側に入り込んでくる、不快な響きだった。


うるさい。うるさい。うるさい!


地面がひび割れ、今にも分断しそうな激しい揺れと共に頭を掻きむしる。

石柱は崩れ、砂埃が舞う。その奥に倒れている人影が霞んで見えた。

このままでは倒壊に巻き込まれる恐れがある。


重たい足を前へ出そうとするが、悲鳴を上げているその身体は今にもバラバラになりそうだ。


──くそっ、動いてくれ。


地面に張り付いた足を腕で持ち上げて剥がし、ゆっくり前へすすむ。


「来るな!」


倒れているその人物は力を振り絞って叫んだ。

その奥、陽炎を分けた黒い人影が、倒れている者の髪を鷲掴みにして持ち上げた。


キ──ン、と耳鳴りのような金属音が、内側からルシエルを蝕む。

再び膝をつき、歯を食いしばって苦痛に耐える。

しばらくして、その黒い影はこちらへやってくる。

ゆらゆらと、ゆらゆらと。

霞む視界が黒で覆われ、見上げるとそれはローブを目深にかぶり、金色の目だけが冷たく光っていた。

そして苦悶に耐えているルシエルの身体を蹴り飛ばした。


「がはっ・・・」


ルシエルは口から血がしたたり落ち、目の毛細血管は破裂し真っ赤に染まっている。


「だから何度も警告をしていただろう」


男はささやくように詠唱を唱え指先に白い光を宿した。


「お前のおかげで今宵世界は生まれ変わるのだよ」


光を宿した指先をルシエルの額に当て、さらに詠唱を続ける

ルシエルはガクガクと激しく身体を揺らし悶絶している。


「や・め・ろ、、、や・め・ろ!」


光の強さを増し、忌々しい音があたりを包み込もうとしたその時、


「「「◾️◾️◾️◾️!」」」


はっきりとした、迷いのない響きが重なった。


それも、ひとつではない。

音の共鳴が一拍、遅れる。


次の瞬間、世界が悲鳴を上げた。轟音とともに、境界が崩れ始める。

光の中から、感情の欠片も宿さない声が落ちてきた。


「──お前は、世界を知りすぎたのだよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ