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9.プラズマ

『30分後…』



ほんじゃ取り引きしやしょうか…


この船の蒸気機関がどうなってるのか教える代わりに島の詳細地図を用意して下せぇ



民兵「教えるだけ?」


学者「まぁ興味有るんなら壊さん範囲で触って貰っても良いんすが…あんま秘密をバラされるのもどうかと思いやしてね…」


民兵「秘密と言うのは散らかっている謎の機械の部品とかか?」


学者「そーっす…あんまバラされるとこの船も海賊に襲われる対象になっちまうんすよ」


民兵「誰にも言わない…俺は元々機械いじり屋なんだ…丁度小型ボイラーがどんな効率を出すのかも知りたかった」


学者「う~ん…どうしやしょうかねぇ」


女盗賊「この人島から逃げ出したいとか言ってたし連れて行ったら?」


学者「あんま自由に外を出歩かせる感じにはならんすよ?」


民兵「いや…もう島の方に未練は無いしむしろ色んな機械の方に興味が移ってしまった」


学者「ほんじゃまぁ…一旦関わっちまったんで連れて行きやすかねぇ…」


民兵「おっし!!」ガッツ


学者「フーガ君!」


ローグ「うぃーっす!!」ダダダ


学者「この民兵さんと一緒に島へ降りて地図を入手して来て貰えやす?」


民兵「俺の名はココアだ…本職は機工士」


学者「俺っちも本当はそっち系なんすよ?」


ローグ「ええと…おいらとココアさんの2人で普通に小舟で向かえば良いのかな?」


学者「そーっすね…何か物資調達してるフリするのが怪しまれんで済みそうっす」


ローグ「もう使って無いチェスの駒とかトランプ持って行っても良い?」


学者「小銭稼ぎっすか?」


ローグ「うん…なんか皆暇そうにしてるから売れる気がする」


学者「ほんじゃイランくなった趣向品でも整理しやすかぁ」





『小舟』



ユラユラ ギシ


じゃぁ行って来るね…



ローグ「ココアさん…一応警告しておくけど変な真似すると…分かってるよね?」シャキン


機工士「う…わ…分かってる」ギク


ローグ「おいらはそういう役回りなんだ…皆を守らなければいけない」


機工士「お前は暗殺者…なのか?」


ローグ「場合によっては…でも只の短剣使いだよ」


機工士「あのゲスという男も只者じゃないな…クロークに隠してずっと何かで狙われてた」


ローグ「そうならないと自由にお宝ハントは出来ない…ココアさんもそこに足を踏み入れたんだから丸腰はちょっと…」


機工士「詰め所に戻れば一応盾と槍はある…」


ローグ「まぁ無いよりはマシなんだけど…」


機工士「ドワーフから貰ったミスリル製でもダメか?」


ローグ「素材は良いけどダガーより使うシーンが無いと言うか…」


機工士「やっぱり銃器が必要か…」


ローグ「2連装デリンジャーは使える…でも弾が入手出来ない」


機工士「弾は無いな…」


ローグ「浜辺に居るスクーナーに乗ってる人達も何か銃器を持ってそうだから気を付けて」


機工士「あのスクーナー2隻…大型のキャラック船と往復しようとしてるのか?」キョロ


ローグ「靄が濃くて良く見えないね」


機工士「下ろした物資の量からして居座るのは間違いなさそうだ」




『浜辺』



ゴタゴタ アーデモナイ コーデモナイ


だから許可されてると言ってるだろう!


ドワーフが一人も居ないというのはどう言う事なんだ?



機工士「何か揉めてるな…」キョロ


ローグ「関わらない方が良い」スタ



タッタッタ



民兵「おうココア!!何処行ってたんだ!?」


機工士「あ…こ…こいつらの船に何を積んでるのか確認を…」タジ


ローグ「…」


民兵「そんな事よりこっちは昨夜から押し問答だ…あいつら建材を下ろし始めてる」


機工士「どういう話になってる?」


民兵「海賊王から開発許可貰ってるとか主張してるんだ」


機工士「住居を建てるのか?」


民兵「それどころか監視所事態を乗っ取られる…俺等収入源無くなるぞ?」


機工士「再雇用は?」


民兵「分からん」


機工士「従った方が良さそうに見える…船から降りて来てる人数が多い」


民兵「ええいクソ…お前もそんな事言うか…」


機工士「火山の方に近付かないようにだけ警告すれば良い」


民兵「そんな訳無いだろう…あいつら硫黄が目的でこの島に来てるんだから直に毒ガス被害に遭う」


ローグ「行こうか…」グイ


機工士「あ…あぁ…」スタ


民兵「こいココア!詰め所乗っ取られる前に荷物移動しとかんと全部持って行かれるぞ?」


機工士「分かった…」


民兵「勝手にテント張り始める奴も出て来てるから見回ってくれぇ」





『監視所の付近』



ゴタゴタ ガヤガヤ



ローグ「雨が止んでみんな外をうろつき始めてるね…」キョロ


機工士「もう建材を此処まで運んで来てるのか…仮設住居を作るつもりだな?」


ローグ「どうも買い物を出来る感じじゃ無いな…」


機工士「ここで待って居てくれないか?詰め所に戻って荷物を…」


ローグ「おいらも付いて行く…そう言う役回りだと説明したよね?」ギロリ


機工士「う…じゃぁ怪しまれない様に俺がお前を連れ回してる風に振舞ってくれ」


ローグ「下手な事しゃべると心臓に穴が開く…良いね?」


機工士「お前…見た目と違って容赦無いな…刃物を使うのも躊躇わない…」


ローグ「生き残るってそういう事なんだ…やられる前にヤル」



フーガは常人離れした能力をもつミルクとミファの2人と一緒に育って来た


2人に付いて行く為には彼なりに切り捨てないといけない物もあった


それは結果的に他人には容赦ない行為に見える


出来るだけ早く危険を排除する…躊躇なく行動する


そうしないとミルクとミファのスピードに付いて行けなかったのだ


そしていつの間に一級品の隠密能力を獲得していた



-------------


-------------


-------------




『ミルクの檻』



ナデナデ…



狼女「うなーもっと右だ…」グター


戦士「これ以上鉄柵から腕が入らん…もっと体をこちらに寄せろ」


狼女「使えん奴だな…」モゾモゾ


戦士「なんでミルクの部屋だけ檻になってるんだ?」


狼女「秘密だ」


戦士「尻尾も見当たらんな…ウェアウルフなら尻尾が有る筈なんだが…」


狼女「そんな事どーでも良いぞ」


戦士「どうでも良い…やっぱりウェアウルフだな?」


狼女「だったら何だ?食べられるのが怖いか?」


戦士「いや…その昔気高いウェアウルフ達が戦う姿を見た事がある…人間達を守って居たんだ」


狼女「その話はヤメロ…噛むぞ」


戦士「そうか…」


狼女「カルアはいつになったら戦える?」


戦士「ん?まぁ…元の体に戻るまで半年か…一年か…」


狼女「やっぱり使えん奴だな…戦場だと手足が無くなっても戦うと聞いたぞ?」


戦士「確かにその通り…そういう意味だともう戦える」


狼女「武器を持って船を守れ…ミルクは今戦えん」


戦士「なぜ急にそんな話をし始める?」


狼女「甲板に盾を設置しただろう…アレが何なのか気にしてる声が聞こえる」


戦士「まさか狙撃を狙われて居る?」


狼女「それは分からん…盾にOV-245っていう文字が書かれてるからスクーナーに乗ってる奴が気にしてるんだ」


戦士「良く無いな…その内確認に来そうだ」


狼女「カルアにこの魔石銃を預けるから警戒しろ…あとゲスに言って装備品をどうにかしてもらえ」ポイ


戦士「分かった」スック


狼女「追い払ったらミルクの背中を撫でに戻って来るんだぞ?」


戦士「ふふ…」ニヤ


狼女「おい何だその顔は!!」


戦士「威厳も何も無い…そういう顔だよ」フフ


狼女「しまった…又忘れてた…」


戦士「では行って来る…いてて」ヒョコヒョコ




『甲板』



ザブン ギシギシ



学者「マジっすか…いやぁ格好良いと思って文字をアピールしちゃイカンかったっすね…」


女盗賊「まだこっちに向かって来る気配は無さそうだけど?」


学者「一応警戒だけしときやしょうか」


戦士「俺は殆ど裸状態なんだが…何か装備品は無いか?」


学者「俺っちも予備の装備品は持って無いんすよね…ミファさん何か無かったっすかね?」


女盗賊「う~ん…ミルクが破いた古い装備品を繋ぎ合わせればなんとか…って感じ」


学者「継ぎはぎだらけになっちまいやすがそれで良いっすか?」


戦士「無いより良い…あと剣か槍が有れば盾を持ってそれなりには様になる」


学者「槍は俺っちの部屋にありやす…まぁでも槍を使うような状況にはならんと思いやすけどね?」


女盗賊「傭兵が乗ってると見えるだけで良いじゃない?」


学者「まぁそーっすね…」


女盗賊「じゃぁ急いで装備品を繋ぎ合わせて来る」スタタ


学者「いやぁ…一回も洗った事の無いようなボロ装備なんすが…」


戦士「急所に当て物があるだけで全然違うからそれで構わない」





『2時間後…』



ドタドタ


うおぉぉぉぉい!!船を横に付けても構わんかぁぁぁ!!




学者「来やしたね…向こうはキャラベル船っすか…」


女盗賊「武装はして無さそう…どうしよう?」


学者「ミファさんは向こうのスクーナー監視しててもらえやす?一応狙撃に注意して盾に隠れて下せぇ」


女盗賊「分かった」スタタ


学者「あとプラズマ回避用の避雷針も要所に置いて貰えやす?」


女盗賊「え!?向こうにプラズマがある?」


学者「一発食らったら致命傷になりかねんので念の為っすね…もし撃たれたらそのあと火力ぶっぱで行きやす」


女盗賊「じゃぁプラズマ銃も携帯しておく」


学者「頼んます」


戦士「俺は?」


学者「俺っちと一緒に盾持って待ちやしょう」


戦士「こっちに乗り移って来るかもしれないぞ?」


学者「勝手に乗り込んで来る様であれば皆殺しっす…海のルールっすよ」



船乗り「うおぉぉい!!話だけ聞かせてくれぇ!!」



学者「それ以上近付かんで貰って良いっすかね?」スチャ



ターン! バキッ!



船乗り「うお!!」タジ


学者「今のは警告っすよ?」


船乗り「お前等…」


学者「ほんで話って何なんでしょう?」


船乗り「その盾に記されてる文字について聞きたい事があるんだ」


学者「なんかマズかったっすかね?」


船乗り「どこでその盾を手に入れた?」


学者「海に落ちてたのを拾ったんすよ…丁度盾の材料に良かったんで形を整えただけっすね」



ヒソヒソ ヒソヒソ



学者「なーんか隠れて相談して居やすか…」


船乗り「の…乗ってるのは子供入れて3人だけか?」


学者「ええと…もっかい警告しやす…もし襲って来る素振りあったらこの辺の船全部破壊しやす」


船乗り「何?」


学者「何回も言わせんで下せぇ…その辺の船を全部沈めるって言ってるんすよ」


船乗り「俺はそっちの人数を聞いてるだけだぞ?」


学者「どうも言っても分からんみたいっすね…ちっと一発撃ってみやすか…」スチャ


船乗り「何をする気だ!?」


学者「プラズマっす…これを撃ったらあの船はどうなるか分かりやす?」


船乗り「お…おい!!お前等止め…」



ピカーーーーー スゥ…



学者「あらら?避雷針に吸い込まれちまいやしたか…ヌフフフ」


謎の男「ま…待て!!争いに来た訳では無い…」アセ


学者「おっと?親玉が出て来やしたかね?こっちは戦う盾も矛も揃ってる訳っス…関わらんで貰って良いっすか?」


謎の男「お前達はドワーフの国の者か?」


学者「所属はそうなっちまうんすかねぇ…この船も海賊王が作った船なもんで…」


謎の男「済まない…ドワーフの国の哨戒船だとは知らなかった」


学者「普通軍船にこんだけ接近したら問答無用で撃沈なんすよ?」


謎の男「分かった直ぐに離れる…ただ一つだけ聞かせてくれ」


学者「何でしょう?」チャキリ


謎の男「その盾をどの海域で入手したのか知りたい」


学者「ゴールドラッシュ島とこの島の真ん中ぐらいっすかね?」


謎の男「そうか…」


学者「納得しやしたか?」


謎の男「まぁ…これ以上荒らげるつもりも無い…引き上げる」


学者「最後に言っときやすが粒子砲も持ってるんで既に沖のキャラック船も射程内っす…そういうつもりで居て下せぇ」


謎の男「…」


船乗り「ガチのドワーフの海賊…なのか?」


謎の男「もう良い!行くぞ!」




『避雷針』



ウヒヒヒヒ…上手く行きやしたねぇ



女盗賊「わざと避雷針を狙った?」


学者「なかなかプラズマ撃つ機械無いんで試したかったんすよ」


女盗賊「それならそうと始めから言ってくれれば良いのに」


学者「成り行き上そうなっちまっただけっす…それより吸い込まれたエネルギーをどうやって回収するか研究せんとイカンすね」


女盗賊「持ち手の所が少し重たくなってる」


学者「他の奴をちっとバラしてみやすかね」


女盗賊「なんか特殊な道具が必要みたい…」


学者「あらら…とりあえずプラズマ吸い込んだ奴だけ別に保管して貰えやす?」


女盗賊「うん…」


戦士「ゲス!さっきの会話で向こうはドワーフの海賊を随分警戒している様だったが何故だ?」


学者「持ってる武器が反則級なんすよ…そんなトンでも武器を作る職人が居るんす」


女盗賊「ミライ君?」


学者「海賊王の爺さんも大概っすけどね…まぁ知ってる人は関わりたくないと思いやすよ?」


戦士「それでどの国もドワーフの海賊とは揉めたく無いのか…」


女盗賊「ねぇ…プラズマの射程距離はもう改善した?」


学者「ナハハ…あれはハッタリっす」


女盗賊「なんだそうだったんだ」


学者「そんな簡単に射程伸ばすのは出来んっぽいすね…どうしても大気でエネルギー減衰するんで今ので限界っす」


女盗賊「じゃぁ射程の問題は未解決かぁ…」


学者「まぁ一応バヨネッタの弾は2キロ以上飛んでるんで数撃ちゃ当たるんすけどね?」


女盗賊「ガトリングが一番実用的と言う事かぁ…」


学者「弾の消費も魔石の消費も半端無いんでバヨネッタをどうにかして改善したいっすよね」


女盗賊「弾の形状を変えるとかは?」


学者「そりゃ有効だとは思うんすが高精度の加工はミライ君とかじゃないとムリっすね」


女盗賊「やっぱり難しいかぁ…」


学者「どうしたんすか?やっぱ狙撃が気になりやす?」


女盗賊「うん…特に気球から狙われてる時とか…」


学者「そーっすよね…一方的にやられちまいやすからね…やっぱ粒子砲を修理せんとイカンすかねぇ…」




『荷室』



ええと…荷電した粒子を磁力で投射するんすが…


磁力を上げれば確かに初速はあがりやす


でも大気で減衰して結局飛距離伸びないんすよね…


いかにしてプラズマ状態を保持するか…ううん


同時にガスを射出すればもうちょい長持ちするんすが…ガスをそんな遠くまで飛ばすのがムリっすよねぇ…


仮にバヨネッタの弾の後方が真空状態になってたとして大気での減衰が抑えられたとしても


弾がそもそも真っ直ぐ進まんので狙いが逸れる…これじゃ意味無い


やっぱ飛距離伸ばすんだったらエネルギー増やして如何にプラズマ状態を長くさせるかしかないっすね


でもそれだと投射部まで溶けちまう


待てよ?投射部の冷却が出来れば…いやいやダメだ…プラズマの熱は半端じゃない


ちゅう事は材料っすか…


あれ?


もしかしてミスリル銀ってプラズマ使った精錬工程が有ったりするんすかね?


ドワーフが秘密にしてるミスリル精錬ってコレかもしれんすね…


まぁどっちにしろ俺っちには作れそうに無い…


あああああ!!そういやあの避雷針はプラズマを吸い込んだじゃないすか


もしかしして投射部の材料に使えるかも知れんすね…だぁぁぁダメだ


それが分かってたら古代人がすでにやってる筈っすわ…


まぁでも一応調べやすかねぇ…




狼女「ゲス!ブツブツうるさい黙ってろ!」


学者「うは…すんまそん」


狼女「…」ジー


学者「地獄耳で何か聞こえやす?」ドタドタ


狼女「シャトルが撃墜されてるって意味分かるか?」


学者「多分箱舟の事っすね」


狼女「なんかキ・カイの戦艦が動いてるかも知れないとか騒いでるぞ?」


学者「おっと?」


狼女「誰がエネルギーを運んでるとかそんな話だ」


学者「こっちの船の事は何か言ってやせんか?」


狼女「それどころじゃ無いみたいだな…スクーナー一隻どっか行くぞ」


学者「箱舟の撃墜って古代人にとってインパクトデカいって事っすね」


狼女「あともう一つ情報だ…アンドロイドが活動出来る時間は48時間らしい」


学者「どういう意味っすか?」


狼女「単独で動く場合は48時間以内にエネルギー充填が必要みたいだ」


学者「ハハーン…キラーポッドと同じ感じっすか…」


狼女「そんな話初めて聞いたけどな?」


学者「いや…拠点から遠くは離れんのですよ」


狼女「なるほど…それでエネルギーを誰が運んでるとか言う話になってるのか」


学者「これは有益な情報っすね…なんでアンドロイドがこの島から動かなかったのか謎が解けやす」


狼女「途中でエネルギー切れるから動けんかった訳か」


学者「もっと言うとこの島にエネルギーが有るって事っすね…ウラン結晶が手に入るかも知れんす」


狼女「それならアンドロイドがウラン結晶を持ち歩けば済みそうだけどな?」


学者「エネルギーに変換する装置が小さければそれも可能かも知れやせん」


狼女「ふむ…理解した」


学者「これでちっと作戦立てられそうっす」


狼女「どうするつもりだ?」


学者「エネルギー切れを狙うんす…網か何かで捕獲してそのまま放置っすね」


狼女「お?なんか安全そうだな…」


学者「上手く行けば無傷のアンドロイド入手して大金を手に入れられやすぜ?ムフフフ」


狼女「ハウ・アイ島まで行く必要無いならそれでも良いな」


学者「やる事が見えて来やした…邪魔な古代人もどっか行くみたいなんでチャンスっすね」


狼女「ミルクはいつまで檻の中だ?」


学者「反省しやしたかね?」


狼女「何も悪い事してないぞ」


学者「とりあえず昨夜寝て無さそうなんで今はしっかり寝て下せぇ」


狼女「じゃぁカルア呼んで背中を撫でさせろ」


学者「へいへい…」




『夕方_甲板』



ザブン ギシギシ



学者「ふぃぃぃ…風が涼しくて気持ち良いっすねぇ」グター


女盗賊「そこミルクの指定席だけどゲスが横になってて怒られない?」


学者「ナハハハ…今居ないんで良いじゃないすか」


女盗賊「なんか檻に入れっぱなしで可哀想…」


学者「カルアさんが撫でてくれてるんで本人は満足して居やすよ」


女盗賊「ミルクの発作の件はその後進捗無し?」


学者「そーっすねぇ…ちっとイクラシアさんと話をしてみたいなとは思って居やす」


女盗賊「じゃぁこの島でもしウラン結晶を入手出来たら会いに行こう」


学者「季節が悪いっすね…ハテノ自治領は冬になったら大雪で通行止めなんす」


女盗賊「バン・クーバから列車使うのは?」


学者「それもハテノ自治領側が制限してて自由に行けんのですよ」


女盗賊「陸の孤島か…」


学者「まぁそうやって硫黄の流通量制限して自国の財産守ってる訳っすね…しゃーないっす」


女盗賊「ミルクが背中を撫でられたい理由って何だか分からない?」


学者「どうなんすかねぇ…リカオンさんも常に撫でられるの要求してたんで遺伝的なもんだと思うんすけどねぇ」


女盗賊「例えば主従関係とか…」


学者「その場合人間が主でミルクちゃんが従って感じになりやすよ?」


女盗賊「なんか逆の感じ…」


学者「まぁでもそういうのが遺伝に刷り込まれてるってのは考えられやす」


女盗賊「遺伝子に残る記憶…」トーイメ


学者「んん?ホムンクルスの事言って居やす?」


女盗賊「私も死んじゃったら石になってそこに記憶が残るのかな?」


学者「どうなんすかね?でも遺伝子に残る記憶ってのは重要なキーワードに思えて来やした」


女盗賊「先祖の記憶がミルクに宿ってる…こう考えるのは?」


学者「血の契約…なるほど…最初の人の契約が続いてる…そういや魔術師の血の契約とはちっと違いやすね」



ガコン グラグラ



ローグ「おーい!!」


学者「お?フーガ君が戻って来やしたか」


ローグ「荷物有るから引き上げて~」


学者「へいへい!!今行きやす!」ドタドタ




『荷上げ』



エッホ エッホ



学者「うひぃ…なんでチェストボックスなんか有るんすかね…ひぃひぃ…」ドター


ローグ「ココアさんがこれだけは捨てられないって…」


機工士「そうだ…俺が今まで集めて来た道具だ…ガラクタなんかじゃ無いぞ?」


学者「中身見ても良いっすか?」


機工士「地図も入ってる…これでボイラーを見て来ても良いな?」


学者「ミルクちゃん寝てるんで起こさん様に頼んます」


機工士「よーし!行って来る」ドタドタ


学者「なんでボイラーなんかに興味あるんだか…」



ガチャリ パカ



ローグ「はい…この島の詳細地図だよ…毒ガスの蔓延している場所も記されてる」パサ


学者「うほほ…これもしかして監視所からパクったんすか?」


ローグ「いや盗んだ訳じゃ無くて民兵の間で危険な場所を共有してるらしい」


学者「ナハハ当たり前の事でしたか…そりゃそーっすよね」


女盗賊「見せて?」


学者「地図見るのはミファさんの方が得意っすね…先に見て下せぇ」


ローグ「あといっぱいガラクタが入ってるみたいだけど…何か良い物ある?」


学者「う~ん…ハンダに配線類…一応何かの基板もありやすね…」ガサゴソ


ローグ「これ古代遺跡から拾って来た物かな?」


学者「いやぁぁ…なんちゅうかジャンク屋レベルっすね…どっから集めて来たんだか…」ガサゴソ


ローグ「そうか…熱心な感じはミライ君に似てると思ったんだけどな」


学者「集めてる物の傾向からしてミライ君とはちっと違う路線すね」


ローグ「と言うと?」


学者「機械好きっちゅうか電子機械の方に寄ってる感じっす…分かりやす?」


ローグ「分からない…」


学者「まぁでもあんま使えそうな物無いっすね…工具は一通り在りそうなんで使えると言えばコレっすかねぇ」


女盗賊「ゲス!もうそんなガラクタ良いからこの地図見て!」パサ


学者「何か見つけやした?」


女盗賊「凄い簡単…毒ガスの危険地帯が集中してる所に何か有りそう」


学者「なははは…そこに絶対近付くなってのがバレバレっすね」


女盗賊「多分これ炭坑とか洞窟が有るんだと思う」


学者「てかこの詳細地図どうやって作ったんすかね?標高とかメチャ細かいっすよ?」


女盗賊「ミライ君の船にも同じ様な世界地図が有ったよ?」


学者「あぁぁドワーフ達が持ってる地図っすか…納得っす」


女盗賊「これが有れば風の流れとか有る程度予測出来そう」


学者「それ地図に書き込んで貰えやす?」


女盗賊「おっけー!今からやる」


学者「ほんじゃ俺っちはこのガラクタを片付けときやすかねぇ」


ローグ「待って!荷物まだあるよ…毒抜きしたサーペントの肉を持って帰ったんだ」


学者「おお!?焼き肉が出来るじゃないすか」


ローグ「お酒も少しあるからミルクに飲ませよう」


学者「そーっすね…」---みんなミルクちゃんを気遣ってるんすね---



---なんやかんや言ってもこの船のアイドルっすからねぇ---


---死なせる訳にはイカンすよ---





『地図』



今居る場所が此処…


断崖で囲まれて居るのは島全体が隆起してる所を波が削ってしまったからだと思う…



学者「これ海底まで含めるとめちゃくちゃデカイ火山っすね…」


女盗賊「火山の先っぽの所だけ海面から露出してるみたい」


学者「硫黄とか鉱物資源の埋蔵量はハテノ自治領に匹敵しそうっすわ」


女盗賊「それで陸と違って風の流れはほぼ一定だから毒ガスが溜まる場所もあまり変わらない…」


学者「毒ガスってのは火山性のガスっすね?」


女盗賊「そう…地面を這う様に流れて来て低地に溜まってる…その分布がこの印」


学者「なるほど…それとは別にVXガス撒かれてるんで分からんくなってる訳っすか…ふむふむ」


女盗賊「丁度今居る浜辺周辺が風上になるから毒ガスの被害が無いという訳」


学者「つまり毒ガス地帯の風下は全域危ないって事っすね?」


女盗賊「そう…特に低い場所に流れて行くから危険」


学者「それで丘の上に監視所が有ったんすね」


女盗賊「ある程度毒ガスの流れを知って居たから安全の為にそうしたんだと思う」


学者「ほんで危険な区域を避けて行った先でVXガスが撒かれてるんで…これやっぱ知った人が奥へ行こうとしたんすね」


女盗賊「そう思う…私の予測は…」



島に居る娼婦の人が事情を知ってる民兵にアンドロイドの処理をお願いしたんじゃ無いかと思う


護身用にデリンジャーを渡した


でもアンドロイドに阻まれて奥へは行けなかった



女盗賊「どう?」


学者「つまりそこで待ってりゃアンドロイドが確認に来るって言いたいんすね?」


女盗賊「う~ん…どうかな…もう少し奥まで行かないと気付かないかも知れない」


学者「ふむ…デリンジャーの弾が無くなってるんで戦闘したのかも知れんすね」


女盗賊「その線が強いと思う…遭遇するとしたらもっと先の方」


学者「てか2連装デリンジャー食らってもアンドロイドは動くのかも知れんす…」


女盗賊「鉄の塊?」


学者「やっぱ戦闘は避けんとダメっすよ」


女盗賊「じゃぁ網を使った捕獲案で行く?」


学者「もしキラーマシンみたいに大きな刃物を持ってたら網じゃ足りんす」


ローグ「魔石銃を併用するのはどう?動かなくなった所でロープ使ってぐるぐる巻きにする…」


学者「なるほど…それでもやっぱサポートが無いと危険…俺っちも行きやすかぁ」


女盗賊「ん?どういうつもりで居たの?」


学者「フーガ君一人にお願いするつもりだったんす」


ローグ「まぁ…大丈夫だとは思う」


学者「万が一反撃食らった時の備えをですね…」


ローグ「反撃と言うのは?VXガスを使って来るだけじゃない?」


学者「情報が無いんすがバトルドロイドは大抵射撃武器は持ってるんすよ」


ローグ「そう言う事か…キラーポッド並みの何かを持ってる可能性があるのか」


学者「これ以上情報集まりそうに無いんで行くしか無いんすよね」


女盗賊「行くとしたらいつ?」


学者「出来れば今晩…」


女盗賊「ええ!?そんな急に…」


学者「アンドロイドの活動時間が48時間なんで出来るだけ早く仕掛けたいんすよね」


ローグ「じゃぁ準備しようか?」


学者「荷車を持って行きやしょうか…あとでアンドロイド回収するのに使うと思いやす」


ローグ「分かったよ…というかゲスさんも手伝って」



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『ミルクの檻』



ガチャリ ギー



女盗賊「ミルク?もう出ても良いよ?」


狼女「やっとか…退屈してたんだ」ノソリ


女盗賊「ごめんね?いつも檻に入れるみたいになっちゃって」


狼女「気にしてない…それよりゲスとフーガはもう行ったか?」


女盗賊「うん…だから船を守るのにミルクにも協力してもらいたい」


狼女「守ると言っても甲板で横になってるだけだけどな」


女盗賊「それで良い…それが一番安心できる」


狼女「カルアは見張りをやってるか?」



おおおお!そういう事か…


蒸気でタービンを回してエネルギーの再回収をしてるのか…


ロスする熱をこれでコントロールしてるんだ…蒸気トラップが不要になるのはコレが理由か…



狼女「うるさいなアイツ…」


女盗賊「どうもココアさんに見張りをお願いは出来ないみたい」アセ


狼女「放って置け…それよりあの肉マズかったぞ…」


女盗賊「ん?シーサーペント?」


狼女「骨が無い…一番美味い所が無くなってる」


女盗賊「フフ…でも全部食べたのでしょう?」


狼女「やっぱり豆の方が良いな」


女盗賊「豆入りのパンでも焼く?」


狼女「豆を多めに頼む」


女盗賊「この島は豆が食べ放題みたいだから全部使っちゃおう!」


狼女「よし!明日は豆を仕入れに行くぞ」



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