表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

7.毒ガス

『翌朝』



ザザー ビシャビシャ



女盗賊「う~ん…ちょっと出歩こうと思ってたのになぁ…土砂降りの雨かぁ」


狼女「涼しいからミルクは雨が降ってた方が良いけどな?」ノビー



タッタッタ



民兵「お!?まだ居たか…雨が降って心配で見に来たんだ」


狼女「んん?」ムクリ キョロ


民兵「ハハ…また随分と豆を食べ散らかした様だ…」


狼女「なんだお前…何か用?」


民兵「用という訳でも無いが…一応見知らぬ冒険者が勝手に火山へ行かない様に監視するのが仕事なもんでね…」


女盗賊「ハハーン…ミルクに一目ぼれしたのかな?」ニヤー


民兵「い…いやそういう訳では無い…子連れの割に似てないから気になっただけだ…3人共髪の色も違う」


ローグ「ミルクの世話をしてくれるとおいらは助かるけどね」


狼女「フーガ…それどういう意味?」ジロリ


民兵「ミルクというのはこの子の事かな?」


女盗賊「私じゃ無いよ」


民兵「ええ!?」ハテ?


女盗賊「ミルク?なんかこの人面倒見良さそう」


狼女「じゃぁ背中撫でろ」


民兵「ええと…それは良いが…どういう関係なのか良く分からない…」


狼女「そんな事どうでも良いだろう…撫でるか撫でないかの2択だ」


民兵「まぁ…雨降りで外に出たくは無いから少しぐらいは…でもどうして背中?」


狼女「それもどうでも良い事だ…撫でないならどっか行け」


民兵「さ…触っても?」ドギマギ


狼女「面倒くさい男だな…」


ローグ「まぁ…軽く撫でれば大人しくなるから…」


民兵「じゃぁ…」サワサワ


狼女「ふむ…悪くない…続けろ」グター


女盗賊「フフ…」---ミルクを撫でる人に悪い人は居ない---



---逆かな?---


---ミルクはそういう人を見分ける嗅覚が有る---



ローグ「さて?雨降りだけどどうする?」


女盗賊「少し散策したかったんだけど…どうしようかな」


民兵「雨を避けながら軽く案内は出来るが…どうする?」


女盗賊「じゃぁお願いしようかな…」


狼女「おい!背中を撫でる件はどうなる?」


民兵「これは…いつまで撫でる?」サワサワ


狼女「ずっとだ」


ローグ「ミルク!船に戻ったらカルアさんが居る…それまで辛抱だよ」


狼女「まぁ良いや…朝から撫でられたらずっと寝てしまうな…」


女盗賊「ミルクどうする?一緒に散策する?」


狼女「ここで聞き耳立てておいた方が良さそうだ…面白そうな噂も聞けてるしな?」


女盗賊「へぇ?何だろう?」


狼女「声に出さん方が良さそうだから船に戻ったら話す」


民兵「じゃぁ軽く案内するから2人は付いて来るんだ」


女盗賊「おっけー!!」スタタ





『硫黄島』



この島は浅瀬になってる場所が一ヵ所しか無くて多分お前達の船もそこに有るんだと思う


キャラベル船が多いのはそういう地形が原因なんだ


そして監視所…というか居住スペースの殆どは地下なんだ


地下と言っても深くは無い…大昔に作られた塹壕が洞窟みたいに続いてるんだ


一部地上に露出してる建屋が今休んでる休憩所


その他の建物は海賊王が建設を制限しててね


景観を損なう建物は建設したらダメらしい


と言ってもこの島では低木しか育たなくてね


そもそも木材が不足してあまり大きな建物は建てられない


此処からじゃ見えないけれど新しく建ててる木造の建物も半分地下に埋まった感じだよ


外から見た感じは只の小屋だね


それで島にもともと住んでる人は50人くらい…


今は大きな船から人が降りて来て100人ぐらいになってる


一応市場みたいなのも有るけど芋と豆しか売って無い…それだけはこの島で沢山育つんだ


あぁそうそう…亜麻も育つからロープとか網も買える


残念ながらリネンを生産するだけの設備が無いから布は無い


火山の方は何処に毒ガスが滞留してるか分からないから全域立ち入り禁止になってる


それでも勝手に行く人がたまに居て戻って来たとしても確実に死ぬ…というか焼却処分になる



女盗賊「焼却処分?」


民兵「付着した毒を他の人が触ると感染させてしまうんだ…そうなる前に焼かれる」


女盗賊「何かの病気だと言う事?」


民兵「毒ガスだとしか聞かされてない…まぁ生きたまま焼くのなんか御免だから絶対に行かないで欲しい」


女盗賊「一つ質問しても良い?」


民兵「何だ?」


女盗賊「戻ってきた人は何か言って無いの?」


民兵「毒に侵された激痛でロクに話せないんだ…叫び声で何を言ってるのかも分からない」


女盗賊「そう…」---何かおかしい---



---普通の毒でそんな風になった話は聞いた事が無い---


---そして感染させてしまうと言うのもやっぱりおかしい---


---焼却処分にするのは口封じの可能性もある---



女盗賊「話変わるけどどうして私達に親切にしてくれるの?」


民兵「え?いや…まぁ…雨が降ってて外には出たくないし…」


女盗賊「初対面の相手に色々教えてくれるのも少し変…」


民兵「う~ん…実を言うとどうにか逃げ出したいんだ…大きな声では言えんが…」ヒソ


女盗賊「逃げる?」


民兵「仲間が何人も死んだ…というか多分殺されたんだ…だから身の危険を感じる」ヒソ


ローグ「ミファ…声のトーンを下げよう」キョロ


民兵「この島に立ち寄る人に近付いて逃げるチャンスを伺ってると言うのが正直な所なんだ」ヒソ


女盗賊「どうして殺されたと思うの?」ヒソ


民兵「俺の仲間は火山に近付くと危ない事を知ってる…それなのにある日毒ガスを浴びて倒れてた」


女盗賊「もしかして焼却処分…」


民兵「…」ウツムキ


ローグ「ミファ…これ以上の話はここじゃマズイ」ヒソ


女盗賊「うん分かってる…少し外に出て見る?」


民兵「いや…雨の日は良くない…あの日も雨が降ってた」


女盗賊「ふーん…」---毒は液体な訳ね---


ローグ「ちょっとおいらだけ走ってゲスさんに聞いてみようか?」


女盗賊「あ…それなら芋と豆を補給で少し持って帰ってくれるといいな」


ローグ「ちょ…抜け目ないね…」


女盗賊「ついでに浜辺の様子も探って欲しいかな」


ローグ「うぃっす!!ちょっと走って来る」タッタ




『昼過ぎ_休憩所の屋上』



ドサドサ



狼女「どうしたんだそのロープ…」タジ


民兵「ふぅ…重かった…」


女盗賊「使い切った魔石と交換して来たんだ…良い買い物したと思う」


狼女「ミルクはロープより肉が欲しいけどな」


女盗賊「シーサーペントの肉だったら売ってたよ?」


狼女「う~ん…ヘビかぁ…ワニに似てるから美味いのかな?」


女盗賊「一回試してみたら?」


狼女「金貨2枚あるから次ミルクが買い物にでも行ってこようかな」


民兵「案内するか?」


狼女「ミファを一人置いては行けんぞ…というかなんでいつまでもその男が一緒に居るんだ?」


女盗賊「あれ?私達の会話がミルクに聞こえて無かった?」


狼女「雨の音がうるさくて遠くまで聞こえんな」


女盗賊「そっか…だから雨が降ってると危ないのか…ふむふむ」


狼女「何の話だ?」


女盗賊「船に戻ったら話すよ」


狼女「ふむ…ミファも何か情報掴んだ訳か…」


女盗賊「それより又商船か何か来てて人が増えてるね?」


狼女「そうみたいだな?その男は仕事しなくて良いのか?」


民兵「雨の日は体調を崩さない様に建屋内で仕事する決まりなんだ…」


狼女「仕事してる様に見えんけどな?」


民兵「いや…これでも怪しいお前達を監視してるつもりだけどな」


狼女「ミルクは此処でゴロゴロしてるだけだぞ?」


女盗賊「ミルク?威厳はどうなったの?」


狼女「あ…忘れてた…」


女盗賊「少し身なりを整えて買い物でもしてみたら気分も違うと思う」


狼女「そうだな…いや違う…そうね」スック


女盗賊「舌を噛まない様にね?」


狼女「練習しゅる…わ」


女盗賊「しゅる?」


民兵「…」ニヤ


女盗賊「おいお前!!顔が緩んでるぞ!!」ジロ


民兵「あ…いや気のせいだ」


女盗賊「ほらほらミルク?細かい事は気にしないで」


狼女「まぁ良い…又緩んだ顔したら許さんからな!?」スタ


民兵「ハハ…」アセ


女盗賊「さぁて!!芋でも食べよっかなー!…半分居る?」


民兵「いやまぁ…いつでも食べられるから遠慮しておく」


女盗賊「雨…いつになったら止むかなぁ…」パク モグモグ





『フリゲート船』



ドタドタ



学者「フーガ君出来やしたぜ?とりあえずポーションの瓶で3つっすね」


ローグ「これどうやって使うの?飲む?」


学者「いやいや飲んだら毒っすよ…これは水で薄めて使う消毒液っす…過酸化水素水って言うんすけどね」


ローグ「あーいつも傷を消毒してるやつだ?」


学者「そーっすね…毒を浴びたら直ぐにこれで消毒すりゃ洗い流せやす」


ローグ「毒を吸い込んでしまった場合は?」


学者「いやぁぁそんな状況だとどうしようも無いんすけど…てかVXガスを噴霧するって使った本人も吸い込むんで考えにくいっすね」


ローグ「とりあえずこれを持っとけば安心か…」


学者「ええと…フーガ君は賢者の石を持ってるんで体内にエリクサー生成されて多分毒の耐性がありやす…」


学者「てかミルクちゃんもミファさんもエリクサー点眼してるんで少しくらい浴びても大丈夫っすね…まぁ浴びた後の処理で消毒する感じっすよ」


ローグ「その他の一般人はどうすれば?」


学者「逃げて下せぇ…関わっちゃダメっス」


ローグ「でも放置すると焼却処分されるとか…」


学者「それが最適な処置に思いやすよ?てかVXガス使うって事は確実に古代人関わってるんで逃げの一択っす」



これ俺っちの予想になるんすが…


古代人は多分この島に箱舟を隠してるんだと思いやす


誰も近づかん様に火山の毒ガスに加えてVXガス使って攪乱してるんすね


硫黄欲しさにこの島を探索に来る輩を追い払ってるんすよ



ローグ「う~ん…もっと複雑に思うな…」


学者「他に情報何かあるんすか?」


ローグ「暗殺目的でも使われてるみたいなんだ」


学者「いやいや…これも関わっちゃダメな奴っすね…」


ローグ「おいらの予想だと密輸されてるキラーマシンはこの島に運ばれる予定だったと思う」


学者「おっと?毒ガスの影響受けないで何かやる為っすか…う~ん…」


ローグ「もっと言うとアンドロイドがこの島でVXガスを生産してる…どう?おいらの予想」


学者「ちょちょちょちょ…確かにVXガスは硫黄を使ったエステル交換反応が必要なんすが…」


ローグ「もし機械がVXガスを使う様になった場合どうなってしまうんだろう?」


学者「…」ボーゼン


戦士「フーガ君…もう止めようか」


学者「カルアさん…何か知って居やすね?」ジロ


戦士「君達がこれほど諜報に優れて居るとは思わなかったよ…はっきり言うとこれは世界の危機だ」


学者「ちょい待って下せぇ…その当時何が有ったのか話してくれやせんか?」


戦士「俺はこの現場に居た訳では無い…だが毒ガスの生産を扇動して居る者が居たのは知って居る」



その毒ガスをエルフ達に使わせて異形の魔物を封じ込める為の奥の手だった


でも結果的にそれは使用される事が無かった


その後どうなったのか軍を除隊した俺に情報は落ちて来なかったが…



戦士「今目の当たりにして…誰かに…いや機械に誘導された結果だったのだろうと思う」


学者「機械に誘導された?…いや待てよ…そのタイミングで古代人は色々暗躍していやしたね…白黒の書簡が示していた秘密ってもしや…」


戦士「俺は詳しく知らない…でも同じ様に毒ガスが生産されて居る場所が他にあるかも知れない事は想定した方が良い」


学者「これマジで使われるとエルフとオーク…ほんでドワーフ以外はみんなやられちまいやすよ?」


ローグ「ゲスさん…これもしかして精霊の思惑なんじゃ?」


学者「あちゃーーーマズイっすね…もう一人の超高度AIが既に此処まで計算済みって話っすか…」


ローグ「毒ガスが使われるのを防がないといけないと思う」


学者「兄貴がヒュー・ストン攻略するまでの時間稼ぎ…いやぁでも危険すぎる…」


ローグ「ミルクも違う情報持ってるからもう少し慎重に考えよう」


学者「それが正解っす…ちっと一旦みんな戻って来てくれやせんか?」


ローグ「そう伝えて来るよ」タッタ


学者「いやマジで真剣に考えんとヤバそうっすわ…」




---VXガス事態の生産は高度な錬金器具があればそんな難しくない---


---でも大量生産するとしたら物流が必須…特に蒸留した高純度の酒が必要っすね---


---いやでもあれから5年以上少しづつ作り続けてたとしたら---


---万が一それをミサイルの弾頭に搭載されたら---


---汎用性の高いアンドロイドが居ればそれが可能って訳っすか---


---ヤバいじゃないすか…チェックメイト寸前っすよ---



『浜辺』



ザザー ザブン



ローグ「小降りになって来たな…」キョロ


ローグ「…」---代わりに靄が張って視界が悪くなったか---



男1「もう一つテント建てるぞぉ急げ!!」


男2「もう少し丘の方に建てた方が良いんじゃないか?」


男1「とりあえずだ!晴れたら移動すりゃ良い!」


男2「むう!?誰か来るな…おい誰だお前!!」



ローグ「あ…いや通りすがっただけだよ」タジ


男1「なんだってこの雨の中うろついてるんだ?」


ローグ「小舟で陸に上がって来ただけ…なんだけど…」


男2「おい!こっちに近付くな!勝手に物資持ち去ったら只じゃ済まんからな?」


ローグ「…」ジロリ


男2「おい!聞いてんのかゴルア!!」



タッタッタ



男1「おいおいあんまり脅すな!逃げて行っただろう」


男2「今の奴クロークの中に何か隠し持ってたぞ?」


男1「放っとけ!お頭の機嫌が悪くなる前にテント張り終わるぞ」





『休憩所_屋上』



タッタッタ…



女盗賊「お帰り!遅かったね?」


ローグ「ふぅ…ゲスさんに消毒液作ってもらうのに少し時間掛かった」


女盗賊「消毒液?何の毒なのか分かったの?」


ローグ「ここで声に出さない方が良いと思う…とりあえず毒を浴びたら消毒すれば良いらしい」


女盗賊「ふーん…」


ローグ「ミルクは?」キョロ


女盗賊「地下の方に買い物に行ったまま帰って来ない」


ローグ「あの民兵さんは?」


女盗賊「探しに行くって出て行った」


ローグ「マズいな…ミルクは雨の日に方向音痴になる」


女盗賊「濡れるから地下から出て無いと思うけど…フーガも探しに行く?」


ローグ「ミファを一人にするのもなぁ…」


女盗賊「私は大丈夫だよ?」


ローグ「浜辺の方に新しくスクーナーが2隻入ってるんだ…多分海賊だからちょっと危ない」


女盗賊「あぁ…なんか下の方でも少し騒いでたなぁ」


ローグ「守備する兵隊が民兵だけだとやっぱり治安が悪いみたいだね」


女盗賊「海賊が何しに来たんだろう?」


ローグ「補給以外に考えられる?」


女盗賊「芋と豆しか無いのに?」


ローグ「大型のキャラック船が居るから多分繋がってるんだよ」


女盗賊「あぁ…そういう事か」


ローグ「浜辺の方でキャンプしようとしてるからしばらく滞在するんだと思うな」


女盗賊「スクーナーなら沖で停泊してるキャラック船から物資を下ろす運用とかも出来るね?」


ローグ「なるほど…それで物資がどうとか言ってたのか…」


女盗賊「何を下ろしてたのか分かる?」


ローグ「樽とか木箱だけど中身は分からないよ」


女盗賊「ふむふむ…やっぱり物資が過剰に降ろされてるから何か起こすつもりみたいだね」


ローグ「ゲスさんは早く戻って来いって言ってた…ミルクの情報も聞きたいみたいだよ」



ドタドタ


さすがにアレは非常識だ


娼婦と男が絡み合ってる目の前で覗き見してるのが変だと思わないのか?


それからお前も娼婦に間違えられてるんだぞ?



狼女「いちいちうるさいなお前は!」


ローグ「ミルク帰って来たか…心配してたんだ」


女盗賊「何処行ってたの?」


狼女「男と女が絡み合ってる現場の観察と匂いを嗅いで来た」


民兵「お前はそれを恥ずかしげも無く言えるのか?他の男にお前の値踏みもされてたんだぞ?」


狼女「そんな事どうでも良い…それよりお前もミルクに隠してる事が有るだろう」


民兵「誓って無い!」


狼女「まぁ良い…此処では話せんからお前は逮捕だ」


民兵「逮捕?」


狼女「2択だ…気絶して運ばれるか黙って自分の足で歩くか選べ」


民兵「なにぃ!?」


狼女「フーガ!」



シャキーン! スチャ!



民兵「うお…」ギクリ


ローグ「騒ぐとダガーで喉を描き切る…」ギロリ


狼女「デリンジャー隠してるだろう…出せ」


民兵「お前達…」タジ


ローグ「騒ぐと切る…」スパ


民兵「うぐぅ…」タラー ポタポタ


狼女「出せ…」



ゴトン ガチャ



女盗賊「あ!!…2連装だ…」


狼女「ミファ回収頼む…フーガもう良いぞ…後はミルクが銃を突き付けておく」チャキリ


ローグ「ほんじゃおいらはロープを持って行こうかな…」ゴソゴソ


民兵「ど…どうする気だ?」


狼女「黙れ…しゃべるな…何も言わないでミファに付いて行けば良い」


民兵「…」


狼女「背中から銃が狙ってる事を忘れるな?」


民兵「…」ゴクリ


狼女「ミファ…船に戻るから先導頼む」


女盗賊「おっけー」スタタ




『小舟』



ザブン ギシ



狼女「乗れ…そしてミルクの方を向いて狙ってる銃でも確かめてみろ」


民兵「!!?」クルリ


狼女「フーガは帆走頼む」


ローグ「アイサー!」ドタドタ


狼女「ミファ…そのデリンジャーに連番は振ってあるか?」


女盗賊「無い…多分密偵の古代人が使うやつ」


狼女「そうか…」


女盗賊「弾丸は2発とも入って無い…薬莢は抜かれてる」


狼女「ここまで離れたら少しぐらい話しても良さそうだな…」


民兵「お…お前達はあの女の仲間…なのか?」


狼女「あの女と言われても誰の事か分からんが…ミルクが観察してた女の事だな?」


民兵「やっぱり俺を殺す為に…」


狼女「少し違うな…事情を聞きたいだけだ…なんであの女からデリンジャーを奪ったんだ?」


民兵「俺が奪った訳じゃ無い…俺の仲間がそれを持っていたんだ」


狼女「それで殺されたとは疑わなかったのか?」


民兵「それまで俺は何も知らなかった」


狼女「じゃぁどうしてそのデリンジャーがあの女の持ち物だと分かったんだ?」


民兵「俺の仲間はあの娼婦に借金をして揉めてたんだ…そんな事もあって殺されたと思った」


狼女「ふむ…まぁややこしい話だな」


女盗賊「ミルク?どういう話になってるか分からないのだけれど…」


狼女「答えから言うとその女は古代人だけど悪い女じゃ無さそうだ」


女盗賊「どういう事?」



多分この島に隠されてる何かを守ってただけなのに誰かに利用されてる


体を売って稼いだお金はその誰かが集金する様になってる



女盗賊「それだけで悪い悪くないは判断出来ない」


狼女「う~ん…なんか毒ガスも本人は怖くて近付けないとか言ってるぞ?」


女盗賊「え?古代人が使った訳では無いと言う事?」


狼女「話しぶりからするとそうだな…ただ他の男にはいろいろ話してると思う」


女盗賊「他の男…」


狼女「おいお前!何か知ってるだろう!」


民兵「!!?」ビク


狼女「この銃は引き金が軽いんだ…間違って撃ってしまいそうだ」


民兵「し…島に居る男同士あの女を巡って多少の問題はある…ただ俺は関わって無いから良く分からない」ビクビク


女盗賊「暗殺とかじゃなくて内輪の揉め事?」


民兵「俺は暗殺だなんて一言も言って無い…只仲間が毒ガスを浴びて焼却処分されたと言っただけだ」


狼女「これは本人同士じゃ無いと分からんな」


女盗賊「その女の人は関わって居ないの?」


狼女「毒ガスを怖がって居るぞ?自分で使うと思うか?」


女盗賊「ちょっと待って…その古代人はオークから骨髄移植を受けたのかな?」


狼女「それは分からん…でもそうだったとして毒に耐性が出来るなんて誰かが教えんと分からんと思うけどな?」


女盗賊「あ…そうか…」


狼女「兎に角あの女はあまり関わって居ない…そして誰かに利用されて体を売ってる可哀想な立場だ」


女盗賊「一回ゲスさんと相談した方が良さそう」


狼女「そうだな…それでこの男にもう用は無くなったんだが…」


民兵「まさか…ここはサーペントがウヨウヨしてるんだ…落とすのは止めてくれ」


ローグ「返してあまり騒がれても困る気が…」


狼女「ミルクの檻にでも入れておくか?」


女盗賊「逃げ出したいとか言ってたし…また別の場所に降ろすと言うのでも良いけれど…」


狼女「何するか分からんし…逮捕された次は牢屋って決まってるんだ…牢屋で良い」


民兵「ふぅぅぅぅ…」ホッ


女盗賊「なんか色々お世話になったのに…」


狼女「ミルクはまだ世話になって無い…背中を撫でるというなら考えても良い」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ