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4.盗掘


『テーブル席』



ワイワイ ガヤガヤ



学者「テーブル席に移動して寛げるのは良いんすが…右から左から違う噂話で訳分からんすね…」


狼女「ミルク達にはあまり関係無い話ばかりだぞ」


学者「聞き分けられやす?」


狼女「潜水服に穴が開いてた話とか聞きたいのか?」


学者「うは…どうでも良いっす」


狼女「関係ありそうな話と言えば…フーガ!絵を売って儲けたみたいだな?」


ローグ「え?そんな話が噂になってる?」


学者「いくら儲けたんすか?」


ローグ「金貨10枚で売れたんだ…エジ・プト遺跡で書いた絵だよ」


女盗賊「あれ売っちゃったの?」


ローグ「売るつもりは無かったけど金貨10枚で譲ってくれって…」


学者「ちっと待って下せぇ…そんだけの価値のある情報が有ったという事っスよね?」


ローグ「どうなんだろう?」


女盗賊「何を描いたのか覚えてる?」


ローグ「壁画を簡略化して写したんだ」


学者「ハハーン…それで今まで見逃してた新たな発見とか有ったのかも知れんすね」


狼女「壁画の話はして無いな…狼の首を持った人物を書いただろう?」


ローグ「え?あぁ…そう言えば…」


狼女「どうもそれが例の仮面を盗んだ犯人じゃ無いかと言う話になってる」


学者「なんかタイミング的におかしくないっすか?」


ローグ「そういえばいつ書いた絵なのか質問されたな…」


女盗賊「狼の首を持った人なんか居た?」


ローグ「う~ん…もう覚えて無いなぁ…見た物をそのまま書いたと言うか…」


学者「じゃぁもしかしたら本当にそこに居たのかも知れんすね?」


狼女「でももうミルク達にはどうでも良い話だな」


学者「そーっすね…関わらんのが身の為っす」



スタスタ


4名様ですね?どうぞこちらです…今日は来店遅かったですね?


まぁ色々あってな?いつものボトル持って来てくれ



ヤワな男「あ…」


狼女「むむ!」ジロ


女盗賊「あ…金づる」


キザな男「うお!!こりゃ又変な所で…」タジ


学者「何すか?知り合いっすか?」


狼女「知らん」プイ


キザな男「どういう組み合わせか分からんがお前…ダンゴ持ちだったんか…」


ヤワな男「おい家族で来てる相手に絡むな」グイ


キザな男「しかし随分小綺麗に…銀髪だったか…」


狼女「…」ジロリ


ヤワな男「だから止めておけと言ってるだろう」グイ



スタスタ


誰?あの目つきの悪い女…感じ悪いんだけど…


気にすんな…昼間ちょっと絡んだだけだ



学者「何か有ったんすか?」


女盗賊「市場の方でちょっと絡まれただけ…金貨5枚貰っちゃった」


学者「いやいや金貨5枚って大金っすよ?」


狼女「くれると言うのだから貰っておけば良い」


学者「トラブルにならにゃ良いっすけどね」


狼女「大丈夫だ」


学者「まぁミルクちゃんも男が寄って来る年頃なんで気を付けて下せぇ」


狼女「それより店を出た方が良さそうだな…奥の方で何か起こそうとしてるぞ」


学者「マジすか…ゆっくりしたいんで巻き込まれる前に宿屋戻りやす?」


狼女「その方が良い…つまみの豆は全部持って帰るからな」


学者「ウヒヒ…抜かりないっすね」




『宿屋』



ガサゴソ ガサゴソ


ええと…あれがこっちで…これがあっちで…



女盗賊「随分色々買ったね?全部ポーションの材料?」


学者「そーっすね…エリクサーを作らにゃイカンので買い貯めっすよ」


狼女「邪魔だな…」


学者「明日船の方に運んどきやす…まだ色々買わにゃならんのですが…」


ローグ「エリクサーの材料ならおいらも少し金貨を出しても良いけど?」


学者「そら助かりやすね」


ローグ「じゃぁ今日の稼ぎ分で金貨12枚…」チャリン


学者「おおおお…それなら布も買い増せそうっすわ」


女盗賊「帆の予備?」


学者「そーっす…やっぱ物流が多いんで安いんすよ」


女盗賊「じゃぁ私も魔石を少し売ろうかな…」


学者「金塊のアテが外れたんでそうして貰えると助かりやす」


狼女「例のお宝探しで稼げば良いだろう」


学者「もう目ぼしいお宝は残って無い筈なんすよ」


女盗賊「アンドロイドが眠ってるとか言う話は?」


学者「前に来た時にそれを見てないんすよね…多分冒険者に地図を売りたいだけのガセネタに思いやす」



ワーワー


てめえこの野郎金が無えじゃ済ま無えぞ!!


だから何度も言ってる様にイカサマなんかしてない…正当に賭けで勝ったんだ



学者「あらら?表で何か始まっちまいやしたね?」


女盗賊「何の揉め事?」


狼女「カジノで負けた男が勝った男を待ち伏せてたんだ…どうでも良いぞ」


学者「怪我人が出にゃ良いっすが…」


狼女「もう寝るぞ…静かにしてくれ」グター


学者「そーっすね…ところでミルクちゃんベッド使わんのですか?」


狼女「やっぱり床の方が気持ち良いんだ…枕だけ使う」


学者「ナハハ折角ベッド4つ有るんすけどね…」




『1時間後…』



ヒソヒソ 


おら立て!事情を聴かせて貰うからしばらく拘留だ


お前ら!武器類はもう隠して居無いな!?寄って集って暴行するとはけしからん!



狼女「…」ムクリ


女盗賊「ん?ミルクどうしたの?」


狼女「血の匂いだ…内臓から出る血だ」


女盗賊「まさかミルク…生き血が欲しい?」


狼女「違う…放置すると死ぬからちょっと見て来る」スタ



ガチャリ バタン



学者「あらあら?どうでも良いとか良いながら怪我人は放って置けんすか」


女盗賊「なんか心配だなぁ…血の匂い嗅いで又発作起こさなければ良いけど」


学者「そんな兆候とかありやした?」


女盗賊「急に威厳とか身だしなみに注意し始めたから気分の変化が有ったのかなって…」


学者「威厳って何なんすかね?」


女盗賊「亡くなったお母さんの威厳がどうとか」


学者「あぁ…リカオンさんの…ほんじゃ真似てる訳っすね…まぁ確かに似て来ては居やすね」


女盗賊「ちょっと私も様子見て来る」スック


学者「気ぃ付けて下せぇよ?もう遅いんで」




『しばらく後…』



ドタドタ ガチャリ



狼女「ゲス!治療が必要だ!見てくれ!」


ヤワな男「ぅぅぅ…」グター


学者「こりゃまたひどく殴られやしたね…」


女盗賊「この人金づるだから治療したら儲かる」


学者「どういう事っすか?」


女盗賊「金貨一袋持ってる」


学者「おお!そう言う事っすか…」


狼女「ミルクのベッドで横にさせるから治療たのむ」ヨッコラ ドサ


ヤワな男「ぐあ!ぅぅぅ…げふげふ」ベチャー


学者「吐血もありやすね…あばら骨が何処かに刺さってるか…内臓破裂してるか…」


ローグ「おいらの血が必要な感じ…かな?」


学者「そーっすね…ちっと切開して目視確認したいんで輸血の準備お願いしやす」


女盗賊「ええと…いつものお湯と塩水も必要になるよね?」


学者「急いで用意して下せぇ…それからミルクちゃん船に戻って包帯を沢山持って来て貰えやす?」


狼女「分かった」シュタタ


学者「外傷は大した事無さそうなんで戦場よりはマシっすね…ほんじゃ早速切開して行きやす…」



いやぁこんな所でアラクネーの麻痺毒を使うとは…


こいつがあると出血を抑えられるんすよね…


ええと…殴打痕からするとあばら骨は4本ぐらいっすかね…


これはどうしようもないとして…


おっとこりゃ…外傷無いのになんで矢尻が沢山有るんすかね


こいつが圧迫されて臓器痛めたんすね…あぁぁ肺の方にも傷が…


危うく肺の中に血が詰まっちまう所でしたね


ヌフフフ…こりゃ金貨一袋分の価値がある治療っすよ


うひひひひひ…




『翌朝』



チュンチュン ピヨ



学者「ふごーーーすぅ」zzz


ヤワな男「…」グッタリ



女盗賊「この人の相方もう一人居たよね?何処行っちゃったんだろう?」


狼女「知らん…この男だけ木陰で倒れてたんだ」


女盗賊「このままここで寝かせておくの?」


狼女「また木陰に置いて来るか?」


女盗賊「それはちょっと…この感じだと立てる様になるまでしばらく掛かると思う」


狼女「腕と足も骨が折れてたんだな…」


女盗賊「どうしてこんな大怪我になったんだろう?」


狼女「抵抗したんだと思うぞ…そんな様な声が聞こえてた」


女盗賊「それで動け無くなるまでやられたんだ…」


狼女「異形の魔物に襲われた時はこんなもんじゃ無かったけどな」


女盗賊「あ…そういえばこの人の体の中から出て来た矢尻って黒曜石の奴だね」


狼女「そうだったのか」


女盗賊「だから異形の魔物と戦った事が有るんだと思う」


狼女「ミライみたいに再利用でもするか?」


女盗賊「ペンダントにするのは簡単だから…」


狼女「体の中から出て来た奴は気持ち悪くてミルクは要らんぞ」


女盗賊「売れば一つ金貨2枚くらいだった筈」


狼女「小銭稼ぎか…」


女盗賊「船の帆はそろそろ予備の布を買っておかないと使えなくなっちゃうと思って…」


狼女「どのくらい必要になりそうだ?」


女盗賊「う~ん…帆が大きいから結構な量が…金貨50枚くらい?」


狼女「維持費で結構金掛かるな…」


女盗賊「欲を言えば傷んでる鉄板の張り替えとかも合わせると金貨100枚くらい掛かりそう」


狼女「鉄もそんなに必要だったのか…」


女盗賊「錆びない黒鉄だから値段が高い」


狼女「この男が持ってた金貨一袋をアテにするぞ…」


女盗賊「それでも物資調達でギリギリだと思うな…食料も魚ばっかりじゃ嫌だよね」


狼女「小銭稼ぎか…ミルクは稼ぐ手段が無いな」


女盗賊「今金貨2枚?」


狼女「うむ…魔石は使うと思って売って無い」


女盗賊「売ればなんとか足りそうだけど…足りなくなる事考えるとやっぱり勿体無いね」



ヤワな男「ぅぅぅ…」モゾ



女盗賊「あ…動いた」


狼女「血で汚れた物を片付けるか…放置しておくと匂う様になる」


女盗賊「そうだね…掃除用の水も持って来る」シュタ




『1時間後…』



ノビーーー ボキボキ



学者「いやぁぁ良く寝やした…やっぱベッドは良いっすねえ!!」


狼女「…」シラー


学者「おろ?片付けてくれたんすか?」


狼女「臭くなる前に汚れた物を捨てて来た」


学者「そら良かったっす」


女盗賊「ねえ…この人の容態は?」


学者「死ぬ事は無いっすね…全治2カ月って感じっすか」


女盗賊「そんなにかかる?」


学者「フーガ君の賢者の石の近くに居ればその半分っすね…オークの血が有ればそのまた半分すか」


女盗賊「放置して2カ月と言う事か」


学者「ちゅーか名前も知らん人を一緒の部屋に入れておくのも変な感じっすね」


女盗賊「この宿屋ってどのくらい滞在する?」


学者「とりあえず2日しか確保して無いっす」


女盗賊「この人置いて行く?…というか誰か面倒見る人居無いのかな?」


学者「最低限水分と食事をとらせてあげないと1週間持たんすよ」


狼女「水くらい自分で飲めない?」


学者「あばら骨折れてるんで自分で動くと傷に当たりやす…てか折角縫合した内臓がまた破れちまいやす」


学者「少なくとも5日くらいは誰か面倒見んと弱って行きやすね」


女盗賊「金貨一袋分の働きと思えば良いか…」


学者「そうそう…その金貨使って物資調達したいんすが貰って良いすか?」


狼女「これ…」ドサリ


学者「ちっとフーガ君!荷物運搬とか手伝って貰いたいんすけど良いっすか?」


ローグ「え…あ…わかった」


学者「輸血し過ぎでフラフラっすかね?」


ローグ「まぁ…激しい運動じゃなければ大丈夫だと思う」


学者「造血剤すぐに作ってあげるんで行きやしょう」


ローグ「うん…」


女盗賊「ちょっと…もう行く?」


学者「今日中に物資調達しておきたいんすよ…やる気が有る時に一気にやらんとその内やる気無くなりやす」


女盗賊「そういう事なら…」


学者「この人の事は後任せやす…ミルクちゃんなら一緒に居た連れが何処に行ったとか分かるんじゃないすか?」


狼女「うむむ…匂いとか覚えて無いぞ」


学者「兎に角…俺っちは忙しいんであと任せやしたね…フーガ君行きやしょう!」ドタドタ


狼女「ちょっと待て!部屋の荷物を持って行け!邪魔だ」


学者「おっとそうでしたね…フーガ君半分おなしゃす!」ドタドタ




『残された二人…』



ガチャリ バタン! シーン…



女盗賊「ど…どうする?」


狼女「分からん」


ヤワな男「…」グッタリ


女盗賊「何か飲ませて見る?」


狼女「この場合何か食べさせるんだぞ?」


女盗賊「食べさせるとか言っても何を…」


狼女「昔アランが倒れた時は果物を擦って口の中に少しづつ入れたな…いつの間に食ってるんだ」


女盗賊「それやってみようか」


狼女「豆は有るが果物は買って無いな」


女盗賊「ちょっと買って来るから待ってて」


狼女「ミルク一人でこの男の面倒を見るのか?」


女盗賊「だってミルクが連れて来たんでしょ?」


狼女「うむむ…困ったな…」


女盗賊「直ぐ帰って来るからそれまで待ってて」


狼女「仕方ないか…」


女盗賊「じゃぁ」シュタタ



ガチャリ バタン!



狼女「うむむ…どうするかな…豆を擦って食わせてみるか?」ゴソゴソ


狼女「擦るとか無理過ぎるな…細かく砕くか…」ドンドン パラパラ


狼女「すり鉢でもあれば良いが…」


狼女「これはミルクが噛んだ方が早いな」パクパク


狼女「イカンイカン食ってしまう…」




『フリゲート船』



ドタドタ



ローグ「大丈夫かな…あの2人に任せて…」


学者「大丈夫っすよ…ミルクちゃんは兎も角ミファさんはそれなりに看護やって来やしたからね」


ローグ「扱いが荒いからあの人が可哀そうと言うか…」


学者「まぁしゃーないすね…どうせ何してもしばらく痛むんでガマンするしかないっす」


ローグ「傷むのってあばら骨…かな?」


学者「そーっす…呼吸するのも痛い筈っス…あばら骨は直ぐに引っ付かんのでしゃーないんすよ」


ローグ「顔色が悪かったのは内臓のせいだろうか?」


学者「それも有るんすがチアノーゼの痕ですわ…処置が早かったんでまぁ1週間もしたら良くなると思いやす」


ローグ「ゲスさん的には重症になるの?」


学者「あれくらい戦場だとゴロゴロ居やすね…ただまぁ内臓が随分前から炎症してたんでちっと回復遅いっす」


ローグ「じゃぁやっぱりしばらく連れ歩く感じになるのか…」


学者「他に面倒見る人居れば良いんすけどね」


ローグ「昨夜の騒ぎでみんな兵隊に連れて行かれたみたいだから連れの人を探すのは難しそう…」


学者「それにしちゃ宿屋周辺はいつも通りな感じっすね?」


ローグ「何か理由ありそうだなぁ」


学者「まぁ関わらん方が良いっす…てか金貨一袋持ってたのもちっと怪しいすね」


ローグ「じゃぁさっさと使って証拠隠滅するのが良さそう」


学者「賛成っす」


ローグ「今日は何を買うのかな?」


学者「最優先は帆に使う布っすね…ほんでエリクサーの材料と食料」


ローグ「ミファが言ってたけど黒鉄の鉄板も有った方が良いって…」


学者「それ優先度低いんすけど一応入手に動きやしょう…フーガ君に食料調達お願いしても良いっすか?」


ローグ「芋とか豆で良い?」


学者「ヤーコンっていう芋が生でも食えるんでお勧めっす…あとレーションを買っといて欲しいすね」


ローグ「あれ高いよね…」


学者「栄養のバランス取るのに必要なんすよ…沢山じゃなくて良いんすけど野菜の代わりに必須になりやす」


ローグ「バランスか…」


学者「金貨50枚預けるんで食材は任せやす」ジャラジャラ


ローグ「樽とか箱の単位で買って良いんだよね?」


学者「そーっすね…樽も箱もあとで使えるんでそう言うのも考えて下せぇ」


ローグ「分かった」


学者「ほんじゃ昼ぐらいを目安に一旦此処で待ち合わせやすか」


ローグ「うん…」


学者「じゃぁよろしくっす!」




『夕方_宿屋』



ゴロン ノビーー



狼女「もう飽きた…自分で飲め」ノビー ゴロンゴロン


ヤワな男「…」


女盗賊「ミルク?威厳はどうなったの?」


狼女「あ…忘れてた」


女盗賊「この人知らない人だから床でゴロゴロしてるのはどうかと…」


狼女「そんな事言ってたらミルクが寛げん…もう良いぞ…どうせ二度と会わん」


女盗賊「せめて名前だけでも聞いておきたいけれど…」


ヤワな男「ぅぁぁ…ぅぅぅ」グター


女盗賊「話すのにも傷むみたいね」


狼女「おい!ミルク達は明日宿屋を出るぞ…お前はその後どうする?」


ヤワな男「…」トーイメ


女盗賊「置いて行っても宿屋に迷惑が掛かるだけな気が…」


狼女「船に連れて行くのか?」


女盗賊「せめて自分で動ける様になるまでは連れて行くしか無い気がする」


狼女「お前が持ってた金貨の袋は貰ったからな?宿代だと思え」



ガチャリ バタン!



学者「戻りっすー」


ローグ「ふぅ…」


狼女「お?遅かったな」


学者「荷車を仕入れて来やしたぜ?」


狼女「どういう事だ?」


学者「昨日言ったじゃないすか…例のブツを取りに行くんすよ」


狼女「おお!?そうだったな」


学者「ただもうちょい暗くなってからっすね」


狼女「何を準備すれば良いんだ?」


学者「戦闘にゃならんと思うんすが…一応装備品は身に付けて下せぇ」


女盗賊「ねぇ…この人どうする?一人だけ置いて行くの?」


ヤワな男「…」


学者「どうしやしょうかねぇ…」



道案内で俺っちは行くとして…


ミファさんが居ないと扉の開け方分かりやせんよね?


ほんで手先の器用なフーガ君を連れて行くとすると



学者「ミルクちゃんが留守番…てのが現実的な気がしやすが?」


狼女「…」ジロリ


学者「なははは…不満有り気な目っすね」


狼女「当たり前だ」


学者「ほんじゃ4人で行ってそのままこの人置き去りにして船に戻りやす?」


狼女「おいお前!自分で水ぐらい飲めるだろう!」


ヤワな男「…」トーイメ


学者「動くと縫合した内臓が又破けちまいやすね」


狼女「ぐぬぬ…ミルクが面倒見ておくのが一番良さそうなのか…」


学者「水分足りんと回復も遅くなるんでこまめに水分をっすね…」


狼女「口の中に入れてもすぐ無くなるんだ…面倒くさいんだが…」


学者「そら腹減ってるんすね…出来るだけ甘い物を飲ませるとマシになりやすよ?」


狼女「ハチミツか…そうだ持ってたな」


学者「と言う事で面倒見はミルクちゃんでおなしゃす」


狼女「分け前は多めに貰うぞ?」


学者「へいへい…ほんじゃちっと暗くなるまで休憩っす」





『夜』



すぅ…zzz



狼女「よし…完全に寝たな」


学者「妖精に眠らせて貰いやしたか…そんなら放置して良さそうっすね」


狼女「ミルクも行くぞ」


学者「ほんじゃちゃっちゃと行きやすか…こっから30分くらい歩きやす」


狼女「場所はミルクも分かるぞ」


学者「おろ?ほんじゃ俺っち荷車引くんで先導してもらえやす?」


狼女「任せろ」


女盗賊「なんか泥棒に行くみたいだね」


学者「そんな風に見られちまうんで人目に付かん様にしやしょう」


狼女「早く行くぞ」シュタ




『林道』



ゴトゴト ゴトゴト



学者「やっぱちっと離れると誰も居やせんね…こっちの林の方まで住居拡大すりゃ良いんすけどね?」


狼女「ん?ゲスは知らんみたいだな…ゴーレムの石造があちこちに残ってて調査の為に開発が禁止されてるんだぞ?」


学者「へぇ?そうだったんすね」


女盗賊「どうしてミルクがそれを知ってるの?」


狼女「ハハもこの辺りを色々調べてたんだ…この島は全部古代遺跡らしい」


学者「そう言われると住居がそんな造りしていやすね」


狼女「地下も意外と広いみたいだ」


学者「そういやカジノがどっかに有るとか聞いたんすがもしかして地下なんすかね?」


狼女「それは知らん」


学者「まぁバン・クーバーほどデカくは無いんすが似たような遺跡なんすねぇ」


女盗賊「開かずの扉が有ると言う事はそう言う事ね」


狼女「ハハはそれで未発見の場所を探してたんだ」


学者「ほんじゃ酒場のマスターが言ってたアンドロイドが眠ってるとか言う話もあながち無視出来んすね」


女盗賊「誰が買い取るんだろう?」


学者「それも聞いて無かったっすね」


狼女「分解して使える部品を使った方が良い様にも思うけどな」


学者「物に寄りやすかね…細かい工作出来るとかなら欲しいっすわ」


女盗賊「生産力を持ってるってそういう意味なの?」


学者「良く分からんすよ…俺っちのイメージだと人型で器用な手先が有るとかに思うんすが…」


女盗賊「あぁ…武器を持ったりも出来る手と言う事か」


学者「そうっす…そういう汎用性を持ったドロイドだと推定していやす」


狼女「なんで人型にする必要が有ったんだ?手だけ有れば良いだろう」


学者「人型って馬鹿に出来んすよ?歩いて機械じゃ行けない所に行けたりするじゃないすか…要はどんな任務もこなせる汎用機っすね」


女盗賊「そういえばキラーポッドとかタラップ上がれないね」


学者「その通りっス…そういう性質利用して戦うんすが人型の汎用機が居ると戦いにくくなりやすね」


ローグ「遠目に人間だと誤認するから撃たれ難いっていうのもありそう」


学者「あーそれも戦いにくいっすね…不用意に近付いちゃうかもっすね」


狼女「そんなのが居るかも知れないのは覚えておこう」




『岩場の奥』



ゴトゴト ゴトゴト



学者「ここの奥に洞窟があるんすがそこの中が古代遺跡になっていやす」


女盗賊「なんか崖が崩れて埋まってしまいそう…」


学者「そーっすね…これ多分正規の入り口じゃ無くて穴が開いた裏側っすね」


ローグ「どうして誰も警備が居ないんだろう?」


学者「行き止まりなんであんま重要視して無いんじゃないすか?」


ローグ「遺跡の裏側なら何処かに通じてそうな気もするけど…」


学者「半分ぐらい埋まっちまって居やしたね」


狼女「と言う事はそこを掘れば奥に行ける通路が有ると言う事だ」


学者「いやいや下手に掘ると崩れる気がしやす」


狼女「だから放置されてるのか…」


学者「今回新しい通路でも発見出来りゃ収獲デカいんすが…」


狼女「探してみるか?」


学者「まずはキラーポッド回収とプラズマ銃っすね…一回探索してるんでその他はあんま期待出来んす」


狼女「先導して良いか?」


学者「先行って下せぇ…フーガ君!車輪引っかかるんで荷車しっかり押して下せぇね?」


ローグ「分かってるよ…」グイ ゴトゴト




『開かずの扉』



キュッキュッ ギリリ



女盗賊「フーガどう?奥のシャフトを回せてる?」


ローグ「手ごたえはある…」ギリリ


狼女「ちょっと時間掛け過ぎだぞ…」


学者「奥が真空になって無いんで解錠出来ればそのまま開くとは思うんすけどね?」



ガコン



学者「お?」


ローグ「引っかかり外れた音だ…」


学者「ちっと扉が錆び付いてるかも知れやせん…引っ張りやしょうか…」グイ


ローグ「これ持ち手が無いんだけど何処を持てば…」グイグイ


狼女「奥が真空じゃないなら破壊の剣を使えば簡単だけどな?」


学者「そんなことしたら元に戻せんですぜ?」


狼女「元に戻す理由は何だ?」


学者「後で騒ぎになっちまうじゃないすか」


狼女「ミルク達には関係無いぞ…どうせ船でハウ・アイ島に行くのだろう?」


学者「ふんがああああ!!」グイグイ


ローグ「ミルクも手伝って!」グイグイ


学者「これどっか固着しちゃってるかもっすね…」


狼女「一人分通れる穴を開けるなんか簡単だぞ」


学者「時間かけちまうくらいならそれで行きやすか…」


狼女「任せろ…」スラリ



スパ スパ!! ゴトン…



学者「うはは…この分厚い扉をそんな簡単に穴開けちまいやすか…」


狼女「キラーポッドはこれぐらいで通れるな?」


学者「多分大丈夫っすね…ちゃっちゃと運び出しやしょう


女盗賊「何台持って帰るの?」


学者「あと4台くらい残ってた筈なんで全部っすね…ミルクちゃんは床に転がってる石造からプラズマ銃を回収して下せぇ」


狼女「分かった」


女盗賊「私は少し探索しても良い?」


学者「そーっすね…引き出しがあちこちあるんで物色しといて下せぇ」


女盗賊「おっけー!!」


学者「じゃぁ行きやしょうか」




『奥の部屋』



ドタドタ


傷んでるキラーポッドはどうしよう?


そいつの中にも弾丸入ってると思うんで持って帰りやしょう



狼女「ふむ…天井に穴か…あそこから何処かに行けそうだな」ブツブツ


学者「ミルクちゃんプラズマ銃の回収は終わりやした?」


狼女「全部で4つだ…もう荷車に積んだぞ」


学者「じゃぁキラーポッド運ぶの手伝って下せぇ…弾丸満載なんで重いんすよ」


狼女「イヤだ…ミルクは忙しい」


学者「何する気っすか…」


狼女「天井に開いてる穴の奥を見て来ようと思ってる」


学者「見て来ても良いっすけどあの穴はキラーポッドが出て来る穴っすよ?」


狼女「奥に行ってもキラーポッドしか無いのか?」


学者「そら分からんですけどあんま期待出来んす」


狼女「まぁ見て来るだけだ」


学者「明るくなる前に船に戻りたいんであんま遅くならんで下せぇ」


狼女「分かってる…戻る準備しといてくれ」パシュン シュルシュル


学者「お?ワイヤー装置の調子良さそうっすね…」


ローグ「ゲスさん!あとそのキラーポッド乗せたら荷車一杯になる」


学者「フーガ君そっち側持って下せぇ」


ローグ「うん!」グイ


学者「これで5台分…良い収獲でしたねぇ…ウヒヒヒ」




『30分後…』



グイグイ ギュゥ


崩れ落ちん様にロープでしっかり固定して下せぇね


山積みになっちゃったね



女盗賊「ガラクタかも知れないけど一応荷車に積んでおくね」ポイ


学者「良い物ありやした?」


女盗賊「ウラン結晶探したけどやっぱり無かった…でもホラ?」スッ


学者「なんすかそれ?」


女盗賊「なんか伸びる棒…これ一杯あった」シャキーン


学者「棒?」


女盗賊「多分プラズマを避けるための棒だと思う…握る所が少し重くて何か入ってる」


学者「おっと?ちょい見せて下せぇ」


女盗賊「はい」ポイ


学者「これ盾の代わりに使えるんすかね?」ジロジロ


女盗賊「そうだと思う…」


学者「何処に有りやした?」


女盗賊「引き出しみたいな箱の中」


学者「つまり使って無かったっちゅう事っすよね…」


女盗賊「プラズマを撃って来る敵が居なかった…とか?」


学者「なるほど…ちっと検証の必要ありやすがもしプラズマ避けられるならかなり使えやすね」


女盗賊「今までそんな敵に出会った事無いけどね」


学者「傭兵の中にもちょいちょい持ってる奴が居るんすよ」



シュタタ スタ



狼女「お待たせ…」


学者「そろそろ戻りやす…穴の奥はどうでした?」


狼女「行き止まりだ…まだキラーポッドが10台くらい丸くなって通路塞いでる」


学者「おお!!ほんじゃ又盗みに来れやすね」


狼女「全部行き止まりなのは気密扉の奥だったからか?」


学者「多分そうっすね…気密性高めるのに他の場所に繋がって無いんす」


狼女「なるほどそういう事か…」


学者「どうしたんすか?」


狼女「アダマンタイトを探してるんだ」


学者「アダマンタイト…確か黄金と同じ質量の石でしたっけ?」


狼女「それは知らん」


学者「錬金術の本に何か書いてあった気がしやす…てかそんな物探してどうするんすか?」


狼女「ミルクの秘密だ…兎に角ここには無さそうだと言う事が分かった」


学者「また今度話を聞かせて下せぇ…ほんでミルクちゃん先行して誰もいないの確認して貰えやす?」


狼女「分かった」


学者「誰にも遭遇したく無いんで上手く行き先誘導して下せぇ」


狼女「元来た道じゃダメか?」


学者「誰も居にゃそこでも良いっすけどね」


狼女「まぁ付いて来い…先に行くぞ」シュタタ


学者「ほんじゃミファさんとフーガ君も荷車押して下せぇ」グイ



ゴトゴト ゴトゴト






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