3.アンドロイド
『大海原』
ザブ~ン ユラ~リ
女盗賊「快走快走!!」
学者「ふぃぃぃ…ちっと仮眠しやすね?」ヨタヨタ
女盗賊「わたしはしばらく大丈夫だからフーガも仮眠しておいて」
ローグ「いいの?」
女盗賊「ミルクがしばらく動けないから仕方ない…」
ローグ「じゃぁおいらも…あ!網を出しっぱなしだった…」
女盗賊「ん?魚用の奴?」
ローグ「そうそう…あんまり出しっぱなしにしておくと魚が溜まって引き揚げにくくなる」
女盗賊「私じゃ引き上げられないか…」
ローグ「おいら引き上げてから寝るから魚の処理はお願い」
女盗賊「分かった…でも干物にすると臭くてミルクが怒るなぁ…」
ローグ「生きてる魚はミルクも食べるから上手く分けて」
女盗賊「…」---魚か---
女盗賊「…」---本当はシカとかブタが良いんだけれど---
女盗賊「…」---この差はなんでだろう?---
女盗賊「…」---血の量かな?---
『数日後_荷室』
ブツブツ アーデモナイ コーデモナイ
学者「ううむ…やっぱ病気じゃ無さそうっすね…」ブツブツ
女盗賊「ゲス!!食事持って来たよ」
学者「あざーっす!!そこ置いといて下せぇ」
女盗賊「何してるの?」
学者「魔術書と睨めっこっすよ…ちっとウェアウルフの事について書いてるんで」
女盗賊「ルーン文字…だよね?読める?」
学者「解読しながらなんで時間掛かるんす」
女盗賊「何か分かったことある?」
学者「ウェアウルフは独自の輪廻体形があるって感じっすか…一応治療法も少し書いてありやすね」
女盗賊「治療?それならミルクをどうにかしてあげたい」
学者「まぁ治療つっても薬とかじゃなくて生贄捧げて呪いを解くみたいな感じっすね…ただその生贄対象が謎っす」
女盗賊「やっぱり呪いなんだ…」
学者「先祖と対話するとかなんか訳分からんすよ…ところでミルクちゃんどうして居やす?」
女盗賊「大きな魚食べて満足したみたい…甲板で寝そべってる」
学者「魔術書には満月に限らず夜になると魔性が目覚めるって書いてるんでちっと注意っすね」
女盗賊「今まで平気だったんだけど…」
学者「ガマンしてたのかも知れんすよ?」
女盗賊「もしかしてミルクが単独行動するのって…」
学者「魔性を隠すのにわざわざ離れてるのかも知れやせんね」
狼女「全部聞こえてるんだけど…そんなのじゃ無いから」
学者「アハ…ミルクちゃんには隠し事出来んすね」
女盗賊「私も少し魔術書読んでみようかな…」
学者「その辺に転がってる書物は自由に読んで貰って構わんすよ?」
女盗賊「あと5日は暇になるからゆっくりと…」
『海賊との遭遇』
ザブン バサバサ
女盗賊「左舷側に全部で6隻かな…多分気付かれた」
学者「良く見えやすね…望遠鏡でもギリギリ見えるかどうか…」
女盗賊「4枚帆のスクーナが4隻とスループ船が2隻…ええとどうしようかな」
学者「スループ船が厄介っすね…進行方向に回り込んで来やすよね?」
女盗賊「こういう時にプラズマを使わないで上手く立ち回りたい」
学者「一発警告で見せたらもう追っては来んと思うんすが一発も撃ちたく無いって事っすね?」
女盗賊「そう…」
学者「ほんじゃスピード生かして日が落ちるまで引き伸ばしやしょう」
女盗賊「あ…そうか…スループ船のスピードを考えると接敵まで…ええと」
学者「俺っち距離が分からんので計算出来んのですよね」
女盗賊「とりあえず少し進路変えてスループ船に追いつかれない様にしてみる」
学者「ちっと待って下せぇ…向こうが銃器持って無い前提で考えるのは危険かもしれんす」
女盗賊「え?」
学者「大砲とか見えやす?」
女盗賊「ある…砲身が1メートルくらいの細い奴」
学者「あらら…それ重装射撃砲なんでちっとマズイっすね…そしてライフル持ってる可能性もありやす」
女盗賊「スクーナには追い付かれないから大丈夫」
学者「射角上げたら20キロくらい飛ぶんで注意っす…まぁ中々当たらんでしょうけど」
女盗賊「どっちにしても逃げた方が良いと言う事ね?」
学者「知らん顔して近付いてプラズマぶっぱって言う手もありやすけどね」
女盗賊「う~ん…ここは逃げ」
学者「わかりやした…ちっと後方でデコイでも撒いて来やすかね」
女盗賊「デコイ?」
学者「目くらましっすよ…蒸気をぶっ放したらしばらく煙が晴れんので進路変えたの分からんくなりやす」
女盗賊「じゃぁお願い」
『蒸気噴射』
シュゴーーーーー ボボボボボボ モクモク
学者「うほほ…これ推進力で使えそうな反力が有りやすね」
ローグ「ゲスさんこれウラン結晶勿体無くない?」
学者「こういう道具は使う時に使わんと錆びるだけなんす」
シュゴーーーーー ボボボボボボ モクモク
学者「あち!あちあち!!あちゃちゃ…」
ローグ「向こうはこっちが何してるか分からない…よね?」
学者「そーっすね…謎の煙がモクモク出てるんで近寄り辛いと思いやすぜ?」
狼女「ゲス!無駄だからもう良いぞ」
学者「一応これで目くらましのつもりなんすが…」
狼女「妖精に眠らせて貰えば済む話だ…もう追って来んからヤメロ」
学者「おっと?」
ローグ「そういえば妖精の事忘れてた」
狼女「ミルクも大きな音は苦手だからやめてくれ」
学者「そら気付かんかったっす」
狼女「分かったら背中撫でてくれ」
ローグ「なんか元気ない?」
狼女「眠たいだけだ…頼むから静かにして欲しい」
『夜』
ザブ~ン ユラ~
ローグ「逃げきった…かな?」
女盗賊「多分大丈夫…どこにも見当たらない」キョロ
学者「やっぱ船が早いと海賊もすぐ諦めやすね」
女盗賊「スクーナーよりも少しスピード出てるから立ち回りがラク」
学者「2枚帆でも帆がデカいと違いやすね」
女盗賊「この船よりも早いのはスループ船くらいだから火力負けしなければ海戦で負ける事無いと思う」
学者「さすが海賊王が乗ってた船って感じっすか」
女盗賊「海賊が使ってる重装射撃砲ってこの船にも乗せられる?」
学者「余裕で乗りやす…ただ弾込めとか観測とか色々あるんで少人数の運用はちっと厳しいっすね」
女盗賊「そうなんだ…射程の長い大砲とか使われるなら対処法をしっかり考えた方が良いと思った」
学者「そーっすね…メイン火力がプラズマだけだと射程が課題っすね」
女盗賊「スパイパーライフルも無いし…何か他に無い?」
学者「うむむむ…あと長射程といえばレールガンとか有るらしいっすけど手に入らんですもんね」
ローグ「バラバラに分解してある魔道砲?って奴は?」
学者「あれはもう焼き付いててエネルギー容器とでしか使えんすよ」
ローグ「プラズマ銃と組み合わせて使うとか…」
学者「可能なんすが焼き付いちまいやすね…今2つしか無いんで…あれ?待てよ?」
ローグ「ん?」
学者「そういやゴールドラッシュ島の遺跡にまだありやしたね…石になった古代人が抱えてた奴が何個か…」
女盗賊「それって取りに行ける?」
学者「兄貴が開かずの扉を閉めて行ったんすが…ミファさんに解錠出来やす?」
女盗賊「解錠の仕方は知ってる…でもやった事無いし器用なのはフーガの方が器用」
学者「ちっと試しに行って見やすか?もし行けるならバヨネッタの弾も補充出来るっす」
学者「いやマテマテ…キラーポッド回収すりゃ人数分のバヨネッタも作れるじゃないすか」
学者「いやいや…ガトリング作るのもアリっすね…」
学者「いやいやいや…もっと言うとまだウラン結晶残ってる可能性もありやすね」
女盗賊「ええ!?」
学者「ナハハハ…すっかり忘れて居やしたよ…ハウ・アイ島行く必要無いかもっす」
『数日後_ゴールドラッシュ島近海』
ザブ~ン ユラ~リ
女盗賊「見えて来た…多分あれが金塊をサルベージしてる場所だと思う」ユビサシ
学者「おおおお…てかなんかやたらデカい施設がありやすね…」
狼女「ちょっとミルクも見たい」ズイ
学者「裸眼で見えやす?」
女盗賊「なんかゲスの話と違ってる気がする…」
学者「いやぁぁぁ…誰もサルベージ出来んと思ってたんすけどね」
女盗賊「でも金塊は何処にも見当たらないな…」
学者「あそこの下にどっさり金塊あるの分かってるもんでサルベージ施設作ってるんすね」
女盗賊「どのくらいの深さ?」
学者「う…知らんす」
狼女「ゲスはどのくらい潜れるんだ?」
学者「50メートルくらいっすかね…ちょい頑張れば100メートル行けるかもっす」
女海賊「海の深さって普通どのくらい?」
学者「う…500メートルくらい?すかね…」
狼女「…」シラー
学者「ナハハ…もしかしたら浅い場所もあるかも知れんす」
狼女「…」ジロリ
女盗賊「仮にゲスが500メートル潜るとして何が起きる?」
学者「呼吸出来んす…呼吸する為には圧縮した空気が必要になる筈っす」
狼女「ダメだなこれは…想像してたスケールと違うぞ」
学者「あたたた…ちっと考え甘かったっすね…金塊の夢が…トホホ」
女盗賊「国の事業で10年とか掛けながら計画してる感じに見える」
学者「そーっすね…マジ考え浅かったの反省しやす」
狼女「折角来たのだから一回試してみるか?」
学者「ちょ…」
女盗賊「あの施設の横で勝手に潜ってたら兵隊に捕まる様な気が…」
学者「そ…そうっすよ…近寄るだけで兵隊が飛んで来るかもっす」
狼女「…」シラー
学者「まぁ…遠巻きに観察しながらゴールドラッシュ島に行きやすか…」
『サルベージポイント』
ザバァァァ ユラー
女盗賊「又大きな波…」
学者「何やってるのか全然分からんすわ…」
狼女「泡の音がするぞ」
学者「泡?水中に空気送ってるって事っすか?」
狼女「分からん…大きな泡がボコボコ言ってる…それで波が起きてるんだ」
女盗賊「水中に気球みたいな物があるとか?」
狼女「どうだろうな?」
学者「なるほど…でも浮力で引っ張り上げてもその後どうするかって事っすよね…」
女盗賊「何処にもサルベージした金塊は見当たらないからどうなってるんだろう…」
狼女「ミファ…こっちの船に気付いて気球が向かって来そうだな」ユビサシ
女盗賊「このまま民間船のフリして通過すれば追って来ない気がする」
学者「狙撃されるかも知れんので一応注意しやしょう」
『ゴールドラッシュ島_桟橋』
ガコンガコン ギシ
学者「ほんじゃちっと下船許可と停泊料払って来るんで待ってて下せぇ」ドタドタ
狼女「何年振りか…船の多さは変わって無いな」キョロ
女盗賊「来た事ある筈なのにあまり覚えてない」
狼女「あの時ミファはロボットだったか」
女盗賊「殆どの事が夢を見てたみたいな感じ…断片的な記憶しか無くて…」
狼女「そうか…そう言われてみるとミルクもあんまり覚えて無いな」
女盗賊「どこかの宿屋で宿泊したような…くらいしか覚えてない」
狼女「たまには宿屋で休みたいな?」
女盗賊「人が多いから空いて居るのかどうか…」
狼女「そうそう…この島には秘密が有ってな」
女盗賊「秘密?」
狼女「島全体が鎖で繋がれた浮島になってるらしい…それでその鎖を切ったらどうなるか分かるか?」
女盗賊「どこかに流れて行く?」
狼女「飛んで行くみたいだ」
女盗賊「ええ!?飛ぶ?」
狼女「アランのハハからの情報みたいだ…他に誰も知らんらしい」
女盗賊「じゃぁもしかしたらこの島ごと盗める…とか出来るかも知れない」
狼女「そうだそれが言いたい」
その昔天空の城という物が有ってそれを空に浮かべていたのはアダマンタイトと言う石だったみたいだ
それを変性魔法という魔法で黄金に変えたから空に浮く性質が無くなった
だから近くの海に沢山の黄金が落ちてるんだ
でもこのゴールドラッシュ島にあるだろうアダマンタイトはそのまま残ってるから
鎖で繋がれた浮島みたいな事になってるって情報をハハが持ってた
女盗賊「面白い!!」
狼女「ハハはそのアダマンタイトが何処に有るか調べようとしてたんだ」
女盗賊「その言い方だと見つかって無いと言う事ね」
狼女「忙しかったのと…所有してるのがフィン・イッシュだから自由に探索も出来んかったんだ」
女盗賊「これそのまま秘密にしておいた方が良さそう」
狼女「そう思ってる…でもその時が来たら盗むぞ…破壊の剣があれば鎖を切るのは簡単だ」
女盗賊「ミルクはこの島を盗んでどうするつもり?」
狼女「月に行く…先祖がそこに居るってハハが言ってた…もしかしたらハハもそこに行ってるかも知れん」
女盗賊「…」---もしかして満月に血が騒ぐ理由?---
『露店が並ぶ広場』
ワイワイ ガヤガヤ
ミスリル銀製の武器揃ってるよ~見て行ってそこのお兄さん!!
バン・クーバー産のちょっと危ない装身具見て行かないかい!?
学者「ええと…船の方は入船料払って安全なんで今日は宿屋に泊まりやしょう」
学者「ほんでカイロの方で買った魔石が10倍近くの値段で売れそうなんで均等に山分けしやす」
学者「折角なんで買い物して行きやしょう…とりあえず2時間くらいを目処に集合で良いっすか?」
学者「いやぁやっぱ経済圏違うと売ってる物全然違いやすね…」キョロ
女盗賊「ミルク!装備品見直して着替えて行こう」
狼女「…」キョロ
女盗賊「ミルク?どうしたの?」
狼女「この広場で昔ハハが揉め事起こしたんだ…なんかハハが居る気がして…」
女盗賊「思い出しちゃったんだ…」
狼女「済まん…分かっては要るんだがつい時間が巻き戻った錯覚をしてしまう」
女盗賊「時間はあるからゆっくり忘れ物を探そう」
狼女「忘れ物?」
女盗賊「ミルクの心の中にある忘れ物…」
狼女「ふむ…大丈夫だ」
女盗賊「ミルクはその時何が欲しかった?」
狼女「肉だ…あとナッツも食べたかった」
女盗賊「じゃぁまずそれから!」
『1時間後_ベンチ』
ガツガツ ムシャムシャ
狼女「はむ!」モグモグ
女盗賊「どう?美味しい?」
狼女「マズい…どうしてこんな物が食べたかったのか…」ムシャムシャ
女盗賊「それにしては良い食べっぷりだし…」
狼女「久しぶりの生肉だ…マズいけどまだ食べられる」
ヒソヒソ ヒソヒソ
おいあそこの薄汚え子連れの女…ありゃ売女だぞ
おい聞こえる!止めておけ
賭けるか?金貨5枚で股開く…まぁ付いて来い
狼女「なんか言われてるな…」モグモグ
女盗賊「任せて」メパチ
狼女「また騒ぎになるからスリは止めておけ」
女盗賊「稼げそうなのになぁ…」
キザな男「よう!この島は初めてか?」キラン
狼女「…」ギロリ
キザな男「俺が案内してやるよ…もっと良い食事も教えてやっても良いんだが一緒に来ないか?」キラリ
狼女「お前誰だ?」ムシャムシャ
キザな男「俺はこの辺じゃ少し名の知れた冒険者だ…世界中を旅して今少し体を癒して居る所だ」メパチ
狼女「臭い…ペッ!!」
キザな男「あたっ!!く…食いカスを俺の顔に…」タジ
狼女「そこ邪魔だ…風が遮られるからどけ…ペッ!!」
キザな男「あたっ!!骨?おい…俺は優しく声をかけてるんだぞ?そんな舐めた事をして良いと思ってるのか?」
狼女「だったら何だ?」ギロ
キザな男「俺はお前をもう少し裕福にしてやろうと思ってだな…」
狼女「じゃぁ金貨5枚…」
キザな男「なんだ分かってるじゃ無えか…ハハ…それで良いんだよ」
狼女「ミファ?貰っといて」スック
女盗賊「おっけー!!金貨ちょーだい!!」
キザな男「先払い?」
狼女「くれると言っただろう?」
キザな男「ええい仕方ない」チャリン
狼女「じゃ…」ノシ
キザな男「おい何処に行くつもりだ」
狼女「何処に行くかなんて勝手だ…ミファ!行くぞ」
女盗賊「ミルク儲けたね?」
キザな男「おい話が違う」グイ
スチャ チャキリ
狼女「触るな…引き金軽いから間違って撃つぞ…」ギロリ
キザな男「うお…銃だと?」タジ
ヤワな男「待った待った…済まない悪ふざけだった…銃を降ろしてくれ」ダダ
狼女「騒ぎにはしたく無い…もう関わらないでくれ」
ヤワな男「分かった…気を悪くしないでくれ…只の若気の至りだと思って許して欲しい」
狼女「ミファ!行くぞ」スタ
--------------
--------------
--------------
ヒソヒソ ヒソヒソ
おいなんだあいつ等…チビ子の方も銃を持ってたぞ?
もう良い騒ぐな…体裁きからしてアレは只者じゃない…人目が無かったら撃たれてもおかしく無いぞ?
ええいクソ金貨5枚持ってかれたか…
どうせカジノで儲かっただけの金だ…又稼げば良い
『露店_防具商』
ゴソゴソ ヌギヌギ
店主「ハハ…恥ずかしげも無く目の前で着替えるとは…」アセ
狼女「ふむ…まぁこれで良いか」ゴソゴソ
女盗賊「重たくない?」
狼女「重そうに見えるがそうでも無いぞ」
店主「それは防弾装備なんだ…バン・クーバーでは傭兵が好んで身に付けてる」
女盗賊「じゃぁ私もそれと同じで…」
店主「子供用のサイズはなぁ…大きいのを上半身だけ使うのはどうよ?」
女盗賊「おっけー」ヌギヌギ
店主「ハハ…通路の真ん中で着替えるか…しかしまぁ随分と使い込まれた衣類で…」
狼女「金貨5枚で足りるか?」チャリン
店主「ほほう?金は持ってるんだな?ちょいと釣りが出るんだが…」
狼女「クロークとフードも変えていく」
店主「こりゃ良い客が来た…好きなの持って行って良いぞ…」
狼女「ミファ…ミルクの忘れ物を思い出したぞ」
女盗賊「何?」
狼女「威厳だ」
女盗賊「威厳?」
狼女「そうだ…ハハはいつも身なりに気を使ってたんだ」
女盗賊「じゃぁ水浴びして少し綺麗にしないと」
狼女「話し方も気を付けてたんだ…ミルクもそうしてみる」
女盗賊「良かったね?思い出せて?」
『夕方』
タッタッタ
学者「居た居た…いやぁ探しやしたよ…恰好が変わってるんで分からんかったっすわ」
狼女「ん?ゲスは手ぶらか?」
学者「先に宿屋を押さえて荷物は置いて来やした」
狼女「そういう事か…早く案内しろ…水浴びしたいんだ」
学者「そら良いんすがフーガ君が見当たりやせんね?」
狼女「心配するな…フーガは絵描きで小銭を稼いでる所だ」
学者「ああ!あんなところで…」
狼女「迷ってもミルクが匂いで探せるから置いて行って良い」
学者「そーっすか?」
女盗賊「ゲス!荷物を半分持って!」
学者「へいへい…何を買ったんすかね?」
女盗賊「これはフーガの装備品…自分で選べないからミルクと一緒に選んだ」
学者「なるほど…防弾装備なんすね?」
女盗賊「ゲスの分は買って無いから」
学者「俺っちは元々防弾着てるんでまぁ買わんで良いっす」
女盗賊「じゃぁ行こっか」
学者「ほんじゃついて来て下せえ」スタ
『宿屋_大部屋』
ガチャリ バタン
狼女「おお…ベッドがあるな…」
学者「何言ってるんすか当たり前じゃないすか」
狼女「よく考えたらミルクはちゃんとした宿屋で休むのはかなり久しぶりだ」
女盗賊「フフ…いつも床で寝そべってるもんね」
学者「食事は隣の酒場で食べられるみたいなんで水浴びが終わったら行きやしょうか」
女盗賊「ミルク水浴び一緒に行く?」
狼女「背中に手が届かんから擦って貰いたいな」
女盗賊「おっけー!」
学者「ほんじゃ俺っちはフーガ君迎えに行って来るんで水浴びしといて下せえ」
狼女「よし!ミファ行くぞ」
学者「てか待つのもアレなんで先に酒場行っときやすね」
『1時間後_酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
いらっしゃいませ!!あいにくカウンターしか空いて無いですが…
学者「お!?来やしたね…カウンターっすけど一応席を確保しときやしたぜ?」
女盗賊「お?フーガも新しい装備品に着替えたんだ?」
ローグ「まぁ…汚れてたからね」
学者「早く座って下せぇ」
狼女「奥のテーブルには座れないのか?席が空いてるぞ?」
マスター「あぁすいません…予約が入って居まして」
狼女「まぁ良いか…」
マスター「お飲み物はどうしましょう?」
学者「ミルクちゃんはあんまり飲めないんでハチミツ酒で良いっすよね?」
狼女「コブラ酒…タンブラー1つだ」
マスター「ええ!?また珍しい酒を…残念ながら店には置いて無いですね」
狼女「冗談だ…ハチミツ酒で良い」
マスター「かしこまりました…少々お待ちを」
学者「ミルクちゃんどういう事っすか?今の…」
狼女「確認しただけだ…何かあれば裏で声が聞こえるんだ」
学者「そういうの危ないっすよ?」
狼女「分かってる…一応その手の誰かが居ないか確認しただけだ」
学者「まぁここはしばらく何もしないで休みやしょう」
女盗賊「ゲスは何か情報聞けてる?」
学者「あんま良い噂じゃ無いんすが…どうも向こうの大陸じゃヒュー・ストン攻略が難航してるらしいっすね」
女盗賊「そう…アランが心配」
学者「機動隊がガチってるんで俺っち達が何か出来る事も無さそうっスけどね」
狼女「ミルクも少し聞こえた話だがドロイドって言うのが厄介みたいだ」
学者「どのタイプのドロイドとか聞けて居やす?」
狼女「ヒューマン型のドロイドで…ええと何だっけ…アンドロイドだったっけな」
学者「人型のドロイドが居るって事っすか…」
マスター「話に割り込みますがお客さん…どうもその人型のドロイドが生産力を持ってるとか最近の話題ですよ?」
学者「ええ!?もしかして壊れた機械を修理するとか出来る感じなんすかね?」
狼女「どうして話に割り込んで来た?」ギロリ
マスター「ハハすみません…ただその人型ドロイドを捕獲出来たら超高額賞金が受け取れるんです」
学者「もしかしてクエスト対象とかなんすかね?」
マスター「バレましたか…私はその案内をする事で少しばかりの資金を得て居るという感じでしょうか」
女盗賊「ゲス…そのドロイドって他にどんな種類があるの?」
学者「大きくワーカードロイドとバトルドロイドってのがあるんすよ…」
ワーカードロイドってのがちっと大型で兄貴の戦車とかがそういうのに分類されやす
作業用のショベルが付いた戦車みたいのもありやす
ほんでバトルドロイドってのは大体小型で銃器が搭載されてるんす…キラーポッドがそれっすね
地下での戦闘は殆どこのタイプのドロイドっすね
アンドロイドってのがどういう役割持ってるのか分からんのですけど人型にしてる所を考えると汎用型なんすかね?
マスター「お客さん…なんか詳しいですね?戦地帰りの傭兵だったりするのですか?」
学者「昔の話っすよ…俺っちは後方で控える衛生兵のポジションっす」
マスター「そうでしたか…お連れ様の構成からしてこのクエスト案内は適さないかなと思って居ましたが…」
学者「んん?何か面白い話でもありやすか?」
マスター「この島にも古代の遺跡がありましてね…奥の方ににアンドロイドが眠って居るかも知れないという噂があるんですよ」
学者「おっと?そら初耳っすね…」---そんな物有ったっけ?---
マスター「まぁ要するに冒険者さんにそこまで行く地図を売りたい訳ですよ…金貨2枚なんですがどうですか?」ニヤ
学者「いやぁ…あんまり危険は犯したく無いんでお断りっす」
マスター「ハハそうですよね…失礼しました」
学者「でも面白い話が聞けて良かったっすよ」
マスター「それはどうも…お酒のお代わりはいかがですか?」
学者「じゃぁもう一杯頂きやすかねぇ」