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25,変化の杖

『その夜…』



地下の方は今物置になってるけど隠れる分には丁度良いと思う…


あぁ悪いね…僕は地下から出ないようにするよ


そんなに気にする?


いや…この辺のドワーフ達にも顔を合わせられないんだ…船を買ったお金を踏み倒してしまってると言うか…



女盗賊「荷物はそれだけ?」


闇商人「弾の入って無いバヨネッタとニードルダガー一本…もう僕の財産はこれだけしか無い」


ローグ「なんか苦労してるんだね…」


闇商人「それより変化の杖の所在が分かったと聞いて驚いて居るんだけど…間違い無さそうかな?」


ローグ「杖は確認出来たけど本物かどうかは判断出来ないよ」


闇商人「その杖を持って居たのはエト・ワイマー卿という旧セントラルの貴族だ」


ローグ「中年の女の人だよ」


闇商人「どんな人だったかという情報がバラバラなんだよ…でも状況的に見て可能性が高い…」


ローグ「状況?」


闇商人「7~8年前だったか…フィン・イッシュがシン・リーンと共同で変化の杖を破壊すると言う秘密の作戦をやって居たんだ…」



その作戦で2つの国は大規模な船団を引き連れて外海のハウ・アイ島の方へ向かったらしい


でもそれは巧妙に仕掛けられた罠でフィン・イッシュは隣国のウ・クバ領に攻められた


その他にも立て続けに色んな事件が起きてね…


そんなこんなで変化の杖がどうなったのか?…と言うのが有耶無耶になって行ったんだ


でも実際はちゃんと作戦は成功していて変化の杖は見つかったんだと思う


ただ発見された状態が今の様な状態だった…容器の中で謎の女性が杖を持った状態…


だから発見した人はきっと精霊だと見間違えたのだと思う


それで破壊される事無く厳重に保管するという事になって行ったんだ…


多分その事実をサクラ婦人は知ってた筈…そしてシン・リーンも知ってる…


そして両国はこの事実を秘密にしたんだよ…それは何故か?


その時世界は神様が不在になって倫理が崩壊しようとしていた…


丁度そこへ精霊の様な格好をした女性が容器の中で眠って居るのを発見したんだ



女盗賊「本当に精霊だという可能性は?」


闇商人「確認しないと断定出来ないけれど…状況からして可能性は低いと思う」


女盗賊「じゃぁやっぱり旧セントラルの貴族なんだ…」


闇商人「ただどちらにせよ放置は出来ないと思ってる」


ローグ「どうするつもり?」


闇商人「考えてる所さ…ちょっとサクラ婦人がどうするのかも知りたいんだけど…その前に何か起こってしまいそうだ」


ローグ「ミファと少し話したんだけど…容器の中で眠ってる貴族がアーカイブを通じて色々動いてるんじゃないかって…」


闇商人「お?君もそういう思考が出来る様になったか…僕はそれが一番懸念してる所なんだ…」


ローグ「容器ごと破壊して来いと言うのならおいらに出来る」


闇商人「それは君が重罪を背負う事になるだろうし…例えエト・ワイマー卿を始末しても簡単に問題は解決しない」


ローグ「どう言う事?」


闇商人「少し説明が難しいんだけど…簡単に言うと遺体を火葬して灰にしなければいけないんだ」



これは宗教的な事も少しあるんだけど


遺体を土葬するといつまでも脳の中に記憶が残って居るケースが有るんだよ


例えば何らかの原因…エリクサーの濃度が濃い状態とかの遺体は腐らないでずっとそのままなんだ


そういう状態で土葬されるとアーカイブで記憶を保持出来てしまう…まぁ稀な事なんだけどね…


でも意図的にそういう処置をしたのがミイラとかそういう類の埋葬のされ方だった…


超古代ではその時代の王様がアーカイブを通じて復活出来る様にそうした訳さ


だから宗教によっては火葬が重罪になるなんていう事もあったらしい


今では土葬だとゾンビになる可能性もあって大抵は火葬するのが普通になった


そうする事で脳の中にある記憶も灰になってアーカイブを悪用する様な事も防げる



闇商人「意味が分かるかい?」


ローグ「つまりあの容器の中に入ってる人を完全に燃やす必要がある訳だね?」


闇商人「そう…液体に浸かって居た訳だからそう簡単に燃えない…しっかり火葬する必要が有る訳さ」


ローグ「となると容器を破壊した後に運ばなきゃいけないのか…一人じゃ厳しいな」


闇商人「見つかった時点で君は多分重罪人で追われる身となる…だから権力を持ってるサクラ婦人とかじゃないと対処出来ない」


ローグ「頭だけ切り取って持ち去る位なら…」


闇商人「それも見つかるリスクが有るね…でも最悪そういう手段を使う必要は有るかも知れない」


ローグ「爆弾で破壊するのは?」


闇商人「記憶がバラバラになって断片化するのは問題解決になってないね…やっぱり火葬して灰にするのが一番に思う」


女盗賊「ねぇ…機械はその事を知ってるのかな?」


闇商人「知ってる筈…機械と言ってもホムコさんと同じかそれ以上の超高度AIの筈だ…むしろそう言うのを利用するだろうね」


女盗賊「話が飛んじゃうんだけど…エジ・プト遺跡の方でも超古代の御神体が発見されてるみたいなんだけど…」


闇商人「それも同じ可能性がある…と言うか超古代から今までアーカイブを彷徨ってる悪の根源だと言う可能性だってある」


女盗賊「魔王?」


闇商人「さぁ?どうだろう?勇者達が量子転移と言う魔法を使って消し去ってる筈なんだけど…どうなんだろうね?」


ローグ「ちょっと待って…魔王という言葉がここに来て出て来る?」


闇商人「その根源が何処に有りそうなのか分かって来たと思わないかい?」


ローグ「魔王…魔王によって支配された世界…そんな…」トーイメ


闇商人「君の言葉はある意味正しい…そしてどうすればそれを解決できると思う?」


ローグ「…」


闇商人「それはね…アーカイブで記憶を保持出来る種族の根絶しか無いんだよ…それがかつての精霊がやろうとした事なんだ」


女盗賊「それってまだ続いてる?」


闇商人「どうかな?分からないんだけど…ホムコさんはどうして眠りに付いたんだろうね?」チラリ


賢者「…」ピク


闇商人「僕はこう思う…既に人類の根絶計画は完了している」


ローグ「おいらはまだ生きて居るよ?」


闇商人「言い方悪いな…純血の人間は直にすべて混血に入れ替わるだけ絶対数が減ったという事さ…そうだろう?イッコ…」チラ


賢者「あの…少し語弊があると思います…選択を託されたのだと思います」


闇商人「へぇ?君の意見も少し聞いてみたいな」


賢者「母はハーフオークの骨髄移植を見出した人間が自身のシミュレーションを超える可能性がある事を認めて居ると思います」


闇商人「ふむ…」


賢者「既に純血の人間が繁殖出来ない存立分岐点が目前なのも分かって居ると思いますが…人間の可能性に委ねた…」


闇商人「まぁ…どっちに転んでも魔王を滅する算段は付いた訳だ…だから眠りに付いた」


賢者「その他にも要因はあると思います…例えば機械に自身の存在を悟られない為ですとか…未来の為ですとか…」


闇商人「これはあまり僕の口から言いたくないんだけど…機械が人間の数を減らして行くのも多分計算済み」


賢者「何が言いたいんですか?」


闇商人「結論…純血の人間が絶滅するであろう存立分岐点を下回った時点で機械は活動を停止する」


賢者「え!?」


闇商人「見て見ぬ振りをして行く末を見守ってるという事さ…僕達人間が抗って問題解決しようがどうでも良いんだよ」


闇商人「だからVXガスみたいな物が存在する…何故なら人間だけを死に至らしめる毒だからだ」


闇商人「それら全部計算済みで見て見ぬ振りをしている存在に対して神聖さを感じないよね?」


闇商人「精霊としての神聖さを引き受ける器として君を野放しにしている…すべて計算済みなんだよ」


闇商人「さすが超高度AIが導く完璧なストーリーだね」


闇商人「でもね?そんな精霊のやり方に抗う人も居る…アランの事だ」


賢者「止めて下さい…母がそんな計算高く高みの見物をしているだなんて…」


闇商人「ごめんよ…でもアランは既にそれを感じ取って居るから名も無き島に近付かない…最後まで抗う人間だからさ」


ローグ「ええと…カゲミさん!あまりイッコさんを責めないで」


闇商人「ごめんごめん…でもこれで世界の情勢というか…今までの歴史がどうなのか分かって来たね?」


ローグ「抗って自分で勝ち取れ…そういう事だよね?」


闇商人「まぁそうだよ…それが人間なんだ…そうやって今まで生き抜いて来たんだからやるしか無い…」


賢者「済みません…私は皆さんが置かれて居る立場を少し軽んじて居たのかも知れません…」


闇商人「君には僕達の味方で居てくれることを願って居るよ」


賢者「母もきっとそう思って居るから眠ると言う選択をしたのだと思います」


闇商人「その話はもう止めにしよう」


賢者「はい…」シュン


闇商人「それで…これからどうするか…ううん…」トーイメ


ローグ「何か起こすにしてもゲスさんが戻って来ない事には下手に動け無いかな…」


女盗賊「ねぇ?その容器が厳重に保管されて居ると言うならどうしてガレオン船なんかに積まれてると思う?」


闇商人「移送の最中しか考えられないね」


女盗賊「ガレオン船一隻じゃ厳重って言えないと思うけれど…」


闇商人「確かに…随分前から停船してた様だし…どうしてそんな事になって居るのか…」


女盗賊「じゃぁやっぱり取引待ちだね」


闇商人「取り引きねぇ…」トーイメ


ローグ「内陸の方の誰かと取り引きする可能性は?」


闇商人「正直分からない…自由に動け無いから情報をあまり入手出来て居ないんだ…」


女盗賊「あと関係無い話かも知れないけれど…エジ・プト遺跡の方でアヌビスの仮面という物が盗まれたのは関係しないかな?」


闇商人「んん?アヌビスの仮面?」


女盗賊「その仮面の行方を追ってシン・リーンの兵隊が来てるみたいなんだけど…」


ローグ「あれ?もしかして本当にアヌビスの仮面がフィン・イッシュに持ち込まれてる?」


闇商人「シン・リーンも関わってる可能性が有るのか…」トーイメ


女盗賊「ねぇ?カゲミさんはそのアヌビスの仮面がどういう物なのか知らないかな?」


闇商人「そういう物はイクラシアが知ってるかも知れない」


女盗賊「今何処に?」


闇商人「ハテノ自治領に戻った筈…でもエジ・プト遺跡は必ず調べに行くと言ってたから移動してるかもね…」


女盗賊「そっか…」


闇商人「アヌビスという名を聞いて思い出したんだけど…ミルクちゃんとは別れたのかな?」


女盗賊「アヌビスでミルクを思い出すのって変じゃない?」


闇商人「いや…ミルクちゃんのお爺さんがアヌビスと言う名だったんだよ」


女盗賊「あぁ…そういう繋がりか…」


闇商人「ミルクちゃんが見当たらないのはどうして?」キョロ


ローグ「ちょっと発作を起こして今は別行動なんだ」


闇商人「発作と言うと…満月を見たらウェアウルフに変身してしまう奴の事かな?」


ローグ「うん…ちょっと今回は発作が酷くてね…いつかこうなる気はしてたんだけど…元に戻らなくなった」


闇商人「あらら…それは連れ歩けないね…」


女盗賊「ミルクが心配だなぁ…」


賢者「あのぅ…ちょっと口を挟みますが…ミルクちゃんは普通のウェアウルフと違う種族に思います」


女盗賊「え!!?どういう事?」


賢者「普通のウェアウルフは体毛が黒とか茶なのですがミルクちゃんは銀色ですよね?」


闇商人「あれ?そういえばそうだね…リカオンさんも銀色だった」


賢者「700年前から伝わる犬神の伝説を知ってますか?」


闇商人「犬神伝説…そういえばイクラシアが犬神がどうとか言ってたな…」トーイメ


賢者「文献によると犬神の体毛は銀色なのだそうです」


ローグ「種族が違っても満月を見るとウェアウルフになる発作が出るのは同じじゃない?」


賢者「犬神は冥府の神として死者の魂を導く力を持っていたそうです…アーカイブで何らかの力を発揮出来たと思いませんか?」


闇商人「ふむ…面白い説だ」


賢者「その力を封じる為に人間に姿を変えられたとの事です」


女盗賊「それってミルクはもう元に戻れないという事を言ってる?」


賢者「分かりません…ですがミルクちゃんが犬神の末裔だったとしたら本来の姿に戻ったという見方が出来ます」


ローグ「そういえばいつもとは様子が違ったな…檻の中で大人しかった…」トーイメ


闇商人「仮にイッコの説がそうだったとして死者の魂を導く力と言うのは気になる所だ…」


女盗賊「あ!!ピーンと来た!!」


闇商人「んん?」


女盗賊「変化の杖があればミルクを元の姿に戻せる!!変化の杖ってどんな姿にも変身出来る杖だよね?」


闇商人「まぁ…そうらしいけど…その杖を持ってると一生追われる覚悟はしなければいけない」


女盗賊「フーガ!!ミルクの為だよ!!盗もう!!」


ローグ「そんな簡単に言うけどね…さっきから話してる様に杖だけ盗んで来るのも難しい」


賢者「あのぅ…妖精さんにお願いすればガレオン船に乗ってる船兵を眠らせる事なら出来ます」


闇商人「待った!!そんな事をするとガレオン船が一気に制圧されてしまう…ここは慎重に行こう」


賢者「そうですね…すみません…」



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