表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

2.ス・エズ海峡

『小島_キャンプ』



メラメラ パチ



学者「フーガ君!何か食材ありやした?」スタ


ローグ「オリーブの実が生ってた…あと貝類かな」


学者「お?オリーブは葉っぱも茶として使えやすぜ?」


ローグ「そうなんだ?じゃぁ明日葉っぱを摘もうかな」


学者「ほんで火を起こして何する気なんすか?」


ローグ「今日は此処で休んでも良いかなと思って…」


学者「あらら…ミルクちゃんとかは食材持って帰るの待ってると思うんすが…」


ローグ「好みの食材が無いから文句言われるだけだよ」


学者「芋とか豆っすか…」キョロ


ローグ「岩場だから何も無い」


学者「確かにそんな感じっすね…」


ローグ「ところでゲスさん…」


学者「なんすか?」


ローグ「考古学も少し詳しかったよね?」


学者「まぁ…普通の人よりはって感じっすか」


ローグ「エジ・プト遺跡の文明ってどのくらい昔なの?」


学者「2万年ぐらい前だったと思いやす…なんでそんな事聞くんすか?」


ローグ「壁画にウェアウルフが描かれてたんだ」


学者「あーーーそう言えば…なんかそんな様な事をイクラシアさんが調べていやしたねぇ」


ローグ「ミルクがウェアウルフの起源を知りたがってたから気になって…」


学者「俺っちの予想になるんすけどここら辺にも誰も知らんアーカイブが有ると思いやす」


ローグ「次元とか…記憶とか…難しい話の奴だね」


学者「まぁそのアーカイブって奴に魔法みたいな謎設定が組み込まれてたりするんすよ」


ローグ「じゃぁ2万年前に誰かがウェアウルフの設定をした…こういう感じかな?」


学者「そーっすね…てか只の予想なんでアテにはせんで下せえ」


ローグ「仮にそうだったとして目的は何だったんだろう?」


学者「ピーンと来やしたぜ?」ピーン


ローグ「何?」


学者「神様の器っすね…その当時はレプティリアンとか言うリザードマンみたいのも神様の器になったとか言う話もありやす」


ローグ「器…」


学者「オークも神様の器だったらしいっすよ?」


ローグ「じゃぁミルクはそのうち神様に乗っ取られる可能性があると言う事かな?」


学者「ちょ…そう来やすか…」---あれれ?なんか核心を言われた様な気が---


ローグ「ミルクはエリクサーを忘れると正気を失うのってもしかして乗っ取られるんじゃ無いかな?」


学者「ちょちょちょ…ちっと待って下せぇよ?」



---血肉を食らわないと正気を失う---


---生贄が必要って言う見方も出来る---


---エリクサーは只その発現を押さえてるだけ---


---病気と言いながらエリクサーで治癒できない謎---


---呪いだと勝手に決め付けていやしたが---



学者「確かに良く考えるといろいろ謎っすね…調べる価値有りそうっすわ」


ローグ「イクラシアさんは今何処に?」


学者「多分カゲミさんと一緒にフィン・イッシュだとは思うんすが…もしかしたらハテノ自治領かも知れんす」


ローグ「ハテノ自治領…向こうの大陸の内陸の方か…遠いな」


学者「ハウ・アイ島に行くんなら一旦どこかで補給せんとイカンのでフィン・イッシュには寄るかもっすね」


ローグ「補給か…またお金が掛かりそう」


学者「どっかでお宝ゲットせんとジリ貧っすね」




『夜_甲板』



ザブン ギシ



狼女「どう?向こうに動きは無い?」


女盗賊「動きなーし!!騒いでる感じも無いよ」


狼女「ミルクなら夜に仕掛けるんだけどなぁ…」


女盗賊「大勢で囲めるならそれでも良さそうだけど小舟に乗ってこの船を襲うのは考えにくいと思う」


狼女「銃器を持ってたとしたら?」


女盗賊「あのごろつきは大した物持って無かったよ…あ!!」


狼女「んん?」


女盗賊「上!!気球が飛んでる…」


狼女「え!!?」ガバ


女盗賊「まだ遠い…」


狼女「ここら辺は気球禁止じゃ無かったか?」


女盗賊「その筈…だからシン・リーンの気球だと思う」


狼女「ちょっと急いで島に下りたゲスとフーガ呼んで来る」シュタタ




『10分後…』



ドタドタ


小舟と食材は俺っちが引き上げとくんで先に行ってて下せぇ



狼女「ミファ!!気球はどうなった?」シュタ


女盗賊「小型の小さいのが2つ…これ逃げられないパターン」


狼女「フーガ!!見つかったらマズい銃器とか隠して来て!」


ローグ「デリンジャーは?」


狼女「それは大丈夫…最低限戦闘になった場合の武装だけはしておいて」


ローグ「あいさー!!」ドタドタ


女盗賊「こんな夜中に気球で来るなんて…この船を制圧するつもり…だよね?」


狼女「油断してる所でいきなり捜索差押…よく聞く手口だ」



ドサー ザラザラ ビチャー



学者「うひぃぃ…貝類を沢山持って来やしたぜえ?」ハァハァ


狼女「ゲス!甲板を散らかすな!寝れんくなるだろう」


学者「いやいやこれには狙いが有ってですね…甲板でバーベキューでもしやせんか?」


狼女「なに?」


学者「そんな気球を待ち構えてるみたいな感じだと怪しいっすよ…バーベキューでもしながらくつろいどきゃ良いんす」


狼女「ふむ…確かにそうだな」


学者「ちっと炉を持って来るんで食材片付けといて下せぇ」ドタドタ


女盗賊「ミルクどうする?気球がゆっくり近づいて来るよ?」


狼女「ここはゲスの作戦に乗るぞ…腹も減ってた」


女盗賊「じゃぁ小麦でも練って来ようかな…」




『バーベキュー』



ジュゥゥゥゥ モクモク



学者「いやぁぁ貝は焼くだけでマジ美味いっすね…」モグモグ


狼女「うげえ…よくそんな物を食べる気になるな…」


学者「オリーブの実も丁度良いつまみになりやすよ」


女盗賊「ミルクは小麦を練ったパン…焼けたよ」


狼女「豆が食べたいぞ…」モグ


学者「オリーブはダメなんすか?」


狼女「食べれん事も無いがそれは苦手な味なんだ」




フワフワ スイーーー


兵隊「お前達!!ここで何をしている!?」




学者「お?来なすったぜ?」


兵隊「おい!!聞こえないのか?」


学者「何してるってバーベキューしてる以外にどう見えやす?」


兵隊「そんな事は分かって居る…なぜ一隻だけ離れてるのか聞いて居るのだ」


学者「桟橋に停船してると入船料以外にみかじめ料せびられるんすよ…船燃やされたく無いんでちっと離れてるだけっす」


兵隊「何か密売品を積んでる疑いがある…積荷を調べさせて貰うからな」ピョン スタ


学者「そら構わんですけど…勝手に色々押収して行くのは勘弁して欲しいっすね」


兵隊「誰に口を利いて居る?」ギロ


学者「警告しやしたぜ?勝手に色々持ち去るんだったら抵抗しやす」


兵隊「お前達…3人と子供1人か…何か武器を隠し持ってるな?」


学者「そりゃ海賊に襲われんだけの物は持ってて当然すよね?」


兵隊「まぁ良い…荷室を調べさせて貰う…おい!捜索行け!」



ピョン スタ ドタドタ



狼女「…」ギラリ


---少し離れてもう一つの気球がこっちを狙ってる---


---捜索に入ったのは1人---


---離れた気球を落としてしまえば手前の気球は奪えるかもしれない---



学者「シーーッ…ミルクちゃん大人しくしてて下せぇ」ヒソ


狼女「…」



兵隊「さて…積荷を調べている間にいくつか質問がある」


学者「何でしょうね?」


兵隊「この大きさの船を4人で動かすのはムリが有る…その内2人は女と子供だ…他の仲間は何処に居る?」


学者「その質問の意図が読み取れんのですが…」


兵隊「質問にだけ答えろ」


学者「ここに居る4人だけしか居ないっすよ」


兵隊「嘘を付くな!大きな縦帆を開くだけでも4人で出来るかどうか…他の仲間は何処だ?」


学者「なーんか話すだけ拗れちまいそうっすね…4人しか居ないっす!ほんで警告しやすよ?」


兵隊「警告?」


学者「あんま難癖付ける様なら抵抗するんで覚悟して下せぇ」スチャ



スチャ スチャ スチャ



兵隊「な…何?…4人共銃器を…」タジ


学者「そら海賊に襲われんだけの物は持ってると言いやしたよね?」


兵隊「お前達…やはり密売の…」


学者「俺っち知っていやすぜ?魔術師あがりの兵隊は1発の銃弾を避ける事が出来ても2発目3発目は避けられん事を…」



ザザー


対象見つかりません


そしてこの船はドワーフ国の軍船に思われます


内部に蒸気機関と思しき装置とパイプラインが存在



兵隊「んん?ドワーフの海賊…なのか?」ハテ?


学者「海賊王とは繋がり持って居やすね…なんか関係するんすか?」


兵隊「どちらが先に引き金を引くかで戦争へ発展する事案だ…引き金を引けるのか?」ジロ


学者「そんなん俺っちには関係無いっすね…始めに言った様に勝手に色々押収しないんで有れば抵抗する事はしやせん」


兵隊「つまりお前達が引き金を引いても戦争責任はこちらにあると言いたいのだな?」


学者「まぁ…そうなりやすかね?ほんで密売品が何に当たるのか知らんのですが見つかったんでしょうか?」


兵隊「…」



ザザー


やはり何処にも対象は無いようです


積荷も殆どが食料と生活用品…財宝の類も積んで居ませんね


どうしましょう?



兵隊「ちぃ…ここは引き上げる…だが証拠を掴んだら只では済まんと覚悟しておけ」ギロリ


学者「証拠も何もこっちは密売品が何なのかすら知らんのですよ…」


兵隊「最後に一つ質問だ…ピラミッドの方へは行ったか?」


学者「ミルクちゃんとかどうなんすか?」


狼女「まだ行ってない…見に行こうと思ったけど遠いから諦めた」


学者「って事っすね…まだ来たばかりなんで何処にも行って無いっすよ」


兵隊「…」スタ



引き上げだ!!


船の拿捕も中止!!


何一つ持ち帰るな!!



学者「うほほ…引き上げも早いっすね…」


狼女「ふぅぅぅ…冷や汗掻いた…もう一つの気球から狙撃狙われてたの分かってたか?」


学者「当たり前じゃないすか…でも向こうが持ってる武器は魔石銃なんで実弾より怖くないっすよ」


女盗賊「ねぇ…密売品って何だか分かる?」


学者「さぁ?あの取り締まり方からするとかなりヤバイ物の可能性高そうっすね」


狼女「ミルクは少し分かるかも知れん…」


女盗賊「お?何か噂を聞けてる?」


狼女「ピラミッドに御神体があるって噂を聞いた…それが盗まれてるんじゃないか?」


学者「そりゃもしかしてエルドリッチとかそう言う類の感じなんすかね?」


狼女「そんな気がする…そしてごろつきが持ってた毒薬の使い道は追っ手の兵隊を動け無くする為」


学者「なるほど…話が繋がりそうっす…でも首は突っ込まん様にしてくだせぇ」


狼女「分かってる…明日から聞き耳立てて情報収集だけに止める」


学者「さてぇ…お腹も膨れたんでそろそろ寝やすかねぇ」




『翌日』



ザブン ギシ



学者「あれ?ミルクちゃんが見当たらんのですがもしかして…」


女盗賊「もう泳いで行っちゃったよ…ミルクは水に沈まないから…」


学者「あらあらそんな濡れちゃうじゃないすか…小舟使って行きゃ良いのに」


女盗賊「ミルクはそんな事気にしないから」


学者「いやいやそうじゃ無くてですね…ビタビタに濡れた女がウロウロしてたら変に思われるっすよ?」


女盗賊「後で会ったらそう言っとく」


学者「ミファさんも町の方に行きやす?」


女盗賊「うん!私はフーガと一緒に小舟で行く」


学者「ほんじゃ俺っちはここから援護出来る様に構えときやすが立ち位置と距離だけ注意してくだせぇ」


女盗賊「何か買って来て欲しい物有る?」


学者「そーっすね…酒か大麻あればちっと欲しいっすね」


女盗賊「おっけーー!!フーガそろそろ行こうか!!」


ローグ「うぃーっす!!」





『浜辺』



ザザー ザブン



ローグ「ここなら入船料取られないで良さそう…」ズズズ


女盗賊「盗まれないかな?」


ローグ「他にも小舟は放置してあるから多分大丈夫」


女盗賊「盗まれたら乗り換えて戻れば良いか…」


ローグ「ミルクはおいら達来た事に気付いたかな?」


女盗賊「気付いてる筈…どうしようかな…酒場の方に行ってみる?」


ローグ「じゃぁおいらが先に行かないとダメか…」


女盗賊「一応いつもの体で行こう」


ローグ「うぃっす!フードは深く被って…いつでもダガーを抜ける様に…」ファサ


女盗賊「うーん…なんかアランみたいな感じにならないなぁ」


ローグ「どんな風に見える?」


女盗賊「なんだろう…体格が小さいからかなぁ?」


ローグ「目立たないなら目立たないで良い事もある」


女盗賊「まぁそうだね…行こうか」





『街道』



ザワザワ ドヤドヤ


乱闘だ!!3対1だぞ?


おいなんだあの女…あんなに高く飛ぶんか?



女盗賊「ちょっとこの騒ぎ…もしかして…」スタタ


ローグ「可能性高い…おいら割って入るからミファは離れてて」ダダ



---------------



狼女「又あの時みたいに噛まれたいみたいだな?」ギロ


ソルジャー「ここで合ったが100年目…あの時の借りは返して貰うぞ!」ダダ ブン


狼女「そんな時代遅れの武器なんか…」ピョン ヒラリ


アーチャー「ちょこまかと逃げるな!!」ギリリ シュン


狼女「弓なんかに当たる訳…」ピョン クルクル シュタ


鼻無しの女「きぃぃぃ大人になっても生意気な…これでも食らえ!」ビビビ


狼女「ムム!」---魔石銃---



ビリビリビリ!



狼女「っつぅぅぅ…」ガク


ソルジャー「ミッチ!!炎だ!!焼き殺せ!!」



タッタッタ シャキーン!!



ローグ「そこまでだ!!このダガーで喉を引き裂かれたく無かったら武器を納めろ」ギロリ


鼻無しの女「う…」ギクリ


ソルジャー「ミ…ミッチ…」タジ


ローグ「武器を納めろ…」スパ


鼻無しの女「いぎゃぁぁ血が…血がぁぁ」ポタポタ




ザワザワ ドヤドヤ


おおおお誰だ仲裁に入った奴は?


仲裁に入った割に流血して無いか?


あれぐらいやらんと納められんのだろう


大丈夫だ…薄皮一枚切ったぐらいで死ぬなんて事は無え


いや…でもあいつら盗賊ギルドの奴らじゃ無いのか?


何かの抗争かも知れんな…関わらん方が良い




『路地裏』



タッタッタ



ローグ「ふぅ…ここなら人目に付かない…ミルク!応急手当してあげる」


狼女「助かったぞ…あの魔石銃撃たれると体が動かなくなるな」ヒョコヒョコ


ローグ「電撃だね…撃たれた痕を見せて」


狼女「左腕だ…まだ動かせん」


ローグ「体が濡れてたからだ…電流の走った跡が火傷になってる」


狼女「そういう事だったか…心臓止まったかと思ったぞ」


ローグ「無茶はダメだよ…武器を抜かなかったのは良かったけど」


狼女「あんな三下…余裕だと侮ってた」


ローグ「どうして乱闘に?」


狼女「ミチルと言う鼻の無い女を覚えて居ないか?」


ローグ「んん?誰の事?」


狼女「覚えてないなら仕方無いな…アランが鼻を削いだ自称高ランカー冒険者だ」


ローグ「知った顔だったんだ?」


狼女「ミルクも忘れてたんだが向こうはミルクの事を根に持ってた」


ローグ「あれ?そういえば…」トーイメ


狼女「思い出したか?」


ローグ「なんか記憶が少しおかしい気がして…」


狼女「仕方ないぞ…あの時は色々あったからな…それよりミファ遅いな?」キョロ


ローグ「周囲を観察して貰ってる」


狼女「建屋の上から覗いてた奴に気付いたか?」


ローグ「いや…もしかして監視されてる?」


狼女「それは分からんけどミルクが武器を使わなかったもう一つの理由だ…ムム!!」


ローグ「ん??」


狼女「何か聞こえる…そのまま静かに手当てしててくれ」



ヒソヒソ ヒソヒソ


どうもルイーダの手の者では無さそうですな


そうか…しかし中々尻尾を出さない


巧妙に狭間を使って逃れて居るのでしょう


ううむ…誰が手引きして居るのか…


ヒソヒソ ヒソヒソ



狼女「ふむふむ…分かって来たぞ」


ローグ「ミルクの耳は便利だねぇ」


狼女「イラン話も聞こえるから良いばかりじゃ無いけどな?」


ローグ「ミファと一緒に酒場に行こうと思ってたんだけど…そんな必要無さそう?」


狼女「酒場はダメだ…盗賊ギルドの縄張りになってる」


ローグ「と言う事はもう行った?」


狼女「行ったからあの鼻無しの女にばったり会ったんだ…話が通じんから関わらん方が良い」


ローグ「じゃぁこれからどうするかな…」


狼女「食料調達して移動を考える」


ローグ「遺跡の調査は諦めるのかな?」


狼女「少し間を置いた方が良さそうだ…詳しくは船に戻ったら話す」


ローグ「じゃぁ今度は豆も調達してくる」


狼女「沢山だぞ?」




『浜辺の小舟』



ヨイショ ドサー



ローグ「ふぅ…これで最後」


女盗賊「ミルクは何処?」キョロ


ローグ「また一人でウロウロしてると思う」


女盗賊「待つ?」


ローグ「泳いでも直ぐそこだから先に戻ってても良さそうだけどね…」キョロ


女盗賊「ってあれ!?」


ローグ「ん?」


女盗賊「なんかミルクの方が先に船に戻ってるみたい…甲板からこっち伺ってる」


ローグ「あらら…じゃぁ急いで戻ろうか」ズズズ


女盗賊「もう!どうしていつも単独行動するんだろう」


ローグ「いつもの事…昔からずっと変わらないよ」




『フリゲート船_甲板』



ザブン ギシギシ



学者「無事に戻って来やしたね?」


ローグ「ゲスさんお酒買って来たよ…大麻は残念ながら無かった」


学者「うほほ…酒を飲めるのは久しぶりっす」


女盗賊「ミルク!!」


狼女「んん?」ムクリ


女盗賊「これ使う?」ポイ


狼女「お?魔石銃?」パス


女盗賊「そう戦利品!…例の現場に落ちてたから拾って来た」


学者「ちょいちょいちょい!見せて下せぇ…」ドタドタ


狼女「これ入ってるの雷の魔石…か?」ジロジロ


学者「うはははこりゃ良い物拾いやしたね?弾丸がなかなか入手出来ないんでこういうの重宝しやすぜ?」


女盗賊「射程が50メートルくらいしか無いから使うならミルクが良いと思った」


学者「ふむふむ…やっぱコバルトで増幅もやってるんで燃費良さそうっすわ」カチャカチャ


狼女「何発撃てるのかな?」


学者「試してみんと分からんのですが魔石一個で100発くらい撃てるかもっす」


狼女「そんなに撃てるんだ…プラスマは10発撃てるかどうかなのに…」


学者「ほんでキラーポッドとかこれ一発当てるだけで動かんくなると思いやす」


狼女「50メートルか…」


学者「まぁそこまで近付くのが大変なんすけどね」


狼女「いや…そうじゃなくて…あんな三下がそういう武器を持ってるなら不用意に近付けん思った」


学者「おっと?どういう事っすか?」


狼女「さっき話した鼻を削がれた女がそれを持ってたと言う事だ」


学者「なるほど…でもこれあんま殺傷力無いんでそう危険でも無いっすけどね」


狼女「撃たれたらしばらく動けなくなる」


学者「まぁそういう武器だと思って使えば良いんすよ」


狼女「まぁ良いや…ミルクが預かって置く」


女盗賊「それよりミルク!色々情報を聞いて来たんだよね?」


狼女「うむ…みんな居るから話して置こうかな…」



なんかピラミッドっていう遺跡の中で御神体が身に付けてた仮面が無くなったらしい


それでその仮面を盗んだのが誰なのか?っていうのでゴタゴタしてる


可能性として高いのが盗賊ギルドの誰か


そしてもう一つ謎の勢力があってその勢力って言うのがルイーダの手の者って言ってた


多分ルイーダを匿ってる魔術師達なんだと思う



学者「おっとおっと…これマジで関わるとダメな奴っす…これ絶対内ゲバ起きてるっすね」


狼女「ミルクもそう思う…シン・リーンの中でルイーダ派とそうじゃない派で分裂してるんだと思う」


学者「加えて盗賊ギルドも関わってるんで他の国からの差し金もあると思いやす」


女盗賊「仮面の取り合い?」


学者「早い話そうなりやすね…その仮面にどんな秘密があるのか?っていうのもありやすけどね」


女盗賊「仮面の情報は何か聞けて無い?」


狼女「アヌビスの仮面…名前だけしか分からん」





『船出』



ググググ ユラ~リ



女盗賊「一日早いけど次の満潮でス・エズ海峡抜けるのトライしてみるね」


狼女「失敗したらどうなる?」


女盗賊「元に戻されるだけだから心配無い…他に海峡抜ける船が居ない分やりやすいかも」


学者「これ次どこ目指す感じっすか?」


狼女「ムン・バイ遺跡の次はヤン・ゴン遺跡だったよね?」


学者「ヤン・ゴン遺跡も今はダメっすよ?エルドリッチが放置されて誰も近付けんらしいんで…」


狼女「なんだそうだったのか…ワニ肉を楽しみにしてたんだけどな…」


女盗賊「最終目的地はハウ・アイ島と思って良い?」


狼女「今の所はそう考えてる」


女盗賊「だとしたらフィン・イッシュに寄るのは随分遠回りになりそう」


狼女「カゲミがフィン・イッシュに居るのは確実か?」


学者「いやぁぁどうっすかね…あちこち移動してるかも知れんので直ぐに会えるかは微妙っすね」


狼女「あまり足止めも食らいたく無いな…」


学者「でも資金が無いんでこれ以上補給出来んくなりやすよ?」


狼女「資金か…フィン・イッシュに船を停泊させるのもお金が必要になるな…」


学者「ちっと物資積んで交易やってりゃ良いんすが…」


女盗賊「ねえ!黄金をサルベージ出来ない?」


学者「ゴールドラッシュ島っすか…サルベージとか言ってもクソ重い黄金をどうやって吊るかなんすが…」


女盗賊「例えばミルクが持ってる破壊の剣で小さくして引き上げるとかは?」


学者「ちょ…」ピタ


女盗賊「どう?」


学者「それ…行けるかも知れんす…俺っちが酸素マスク付けて潜れば行けやすね…」


狼女「じゃぁその案で」


学者「いやいやいや…これ出来るなら黄金を売ってウラン結晶は闇で買えば良いんす」


狼女「え?」


学者「黄金を独り占め出来るかも知れんす…わざわざ危険な真似しなくても良いって事っすよ」


狼女「ふーん…なんかそういう話は上手く行かん予感がする」


学者「こりゃマジで作戦練りやしょう…いやぁぁこんな簡単な事に何年も気付かんかったとは…」ドタドタ


狼女「ちょっとゲス!何処行く?」


学者「俺っち急用出来やした!探さんで下せぇ」ドタバタ


狼女「はぁ?探すも何も船の中だし…」


女盗賊「まぁ…とりあえず行き先はゴールドラッシュ島と言う事で…」





『ス・エズ海峡』



ザブ~ン グググググ



ローグ「満月か…なんとか見えるな…」


女盗賊「後1時間くらいで満潮…それまでこのまま全速力」


狼女「ハァハァ…」フラフラ


女盗賊「あ!!忘れてた…ミルクが発作を起こす…」


狼女「大丈夫…今エリクサー飲んだ」フラ


女盗賊「もしかして全部?」


狼女「覚えて…無い…」


女盗賊「フーガ!!まずい!!いつもの奴!!自傷始めない様に拘束して!!」


ローグ「わ…分かった」ダダ


女盗賊「ミルクごめん…本当の満月は明日だからしばらく拘束する事になる」


狼女「背中撫でろ…寝れば良くなる」


ローグ「ミルクこっち!ちょっと檻の中に入って貰う」グイ


女盗賊「…」---わたし一人で帆走させる事に---


女盗賊「…」---でもやらなきゃ---


女盗賊「フーガ!!ゲスを遊ばせないで働かせて!!」


ローグ「分かってる…待ってて!」


狼女「ぐるるる…ふぅふぅ…」


女盗賊「…」---大人になって症状が酷くなってる---


女盗賊「…」---血肉が無いと正気を保てない---


女盗賊「…」---シカで良いから何処かで入手しないと---


女盗賊「…」---誰か食べられてしまう---




『鉄の檻』



ギー ガチャン



ローグ「ミルクごめんよ…しばらくここに入っててもらう」


狼女「ぐるるるる…うぅぅぅ」


ローグ「ゲスさん!!又ミルクが暴れそうだよ」


学者「あららら…タイミング悪かったっすね?」


ローグ「おいら帆走させるのに忙しいからミルクの事任せても良い?」


学者「分かりやした…フーガ君は上に上がってて下せぇ」


ローグ「うん…じゃぁ!」ダダ


学者「いやしかし…エリクサー濃度濃くしててもやっぱ発作出ちまいやすか…」


狼女「ゲ…ゲス…どうなってる?ぐぐぐぐ…奥歯の力が…抜けん…ぐぐぐぐ」


学者「ちっと対話しやしょうか…アーカイブを通じてミルクちゃんを操ってるのが誰なのか探りたいっすね…」


狼女「ハハ…じゃ…無いのか?ぐるるる…」


学者「さぁ?どうでしょうね?」



さて…今までの研究でウェアウルフの血で他人に感染させられる事は分かりやした


ほんでミスリルとか純度の高い銀製品が苦手な事も分かって来やした


銀の器にその血を入れるとあらビックリ…


灰になりやすよね?なんでそんな魔王みたいな事が起きるんでしょうね?



狼女「うがが…やめろ…呪いの言葉みたいだ」



続けやすぜ?


世の中には血の契約っていうのが存在しやす


早い話その血で繋がってる者の目をアーカイブから覗く為の契約っす


つまりアーカイブを通じて自由に操れる訳ですよ


でも何かおかしい…何で満月の夜とかだけ変な発作が起きるのか?


ほんでなんで銀製品に弱いのか?


ちっと可能性を言いやすね?


血の契約を誰かが別の契約で上書きした…


どうでしょう?



狼女「ダメだ…意識が飛びそうだ…誰かがミルクを操ろうとして…るのか?」


学者「大丈夫っす…ミスリル銀が有る限りミルクちゃんは乗っ取られやせん」チリンチリーン


狼女「うぐおおおおおおおぉぉ!!」バタバタ


学者「ウハハハ…なんか分かりやすい反応っすわ…でもなんでミスリル銀が苦手なのか…」


狼女「ハァハァ…」プルプル


学者「どうっすか?意識戻りやした?」


狼女「何だ今の…」ボーゼン


学者「ちょっとした悪霊退散っすよ…どうもミスリル銀の音が苦手な誰かが乗り移る感じっすね」


狼女「それって魔王なのか?」


学者「どうでしょうね?俺っちはちっと違うと思いやすけどね?」


狼女「水くれ…喉が渇いた」グター


学者「喉が渇く…それも症状の一つかも知れんので覚えときやしょうか」


狼女「早くしろ…今なら水を飲んだら眠れそうだ」


学者「へいへい…そうそうミルクちゃんが持ってるミスリル銀の鈴はしっかり身に付けて置いて下せぇ」チリーン


狼女「アランから貰った鈴か…」


学者「そいつがミルクちゃんを悪霊から守りやす」


狼女「返せ!」


学者「ほんじゃ水を持って来やすね?」




『大渦』



ゴゴゴゴゴゴ ザブン ザブン



女盗賊「ヘッドセイル30°に変えて!!」


ローグ「ウィーッス!」ドタドタ


女盗賊「よし…このまま抜けられれば…」


学者「今どの辺すか?」


女盗賊「ゲス!!この忙しいのに…」


学者「あぁ済まんす」


女盗賊「ミルクは?」


学者「寝やしたね」


女盗賊「じゃぁゲスも働いて!メインセイルも30°に固定!」


学者「へいへい!!」ドタドタ


女盗賊「よーし!これでスピードアップ出来そう…大渦さえ抜けてしまえば後は流れに乗るだけ…」


ローグ「ミファ!!上!!」ユビサシ


女盗賊「え!!?」キョロ


学者「おっと?気球が付いて来てる感じっすか?」


女盗賊「忙しくて気付かなかった…」


学者「この距離ならバヨネッタで球皮狙えやすよ?」


女盗賊「どうしよう…」


学者「先制しないとイニシアチブ取られるんで追い返しやしょう」


女盗賊「じゃぁ任せる」


学者「ウヒヒ…この距離じゃ向こうは何されてるか分からん筈っす…」ターン ターン


女盗賊「どう?」


学者「2発とも球皮に当たりやした…4つ穴が開いてる筈なんでもう地上に下りんと直せやせん」


女盗賊「シン・リーンの海域で動きにくくなってしまった…」


学者「気にせんで良いっすよ…黄金を手に入れたらもっと良い船に乗り換えやしょう」


女盗賊「3人で動かせる船なんかそうそう無いと思う」


学者「それもそーっすね…そう考えたら黄金の使い道があんま無いっすね…」


女盗賊「それは手に入れた後に考えれば良い」


学者「いやいや手に入れるまでが重要っすよ…こう夢を膨らませるって言うんすか?」


女盗賊「無駄口は良いからゲスはあの気球を見張ってて!!」


学者「へーい…なーんかミファさんが兄貴と同い年ってのがいまいちしっくり来ないっすね…」ボソ



--------------


--------------


--------------




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ