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ある聖女の事件簿

6月中は短編を毎日投稿予定ですので、お気に入りユーザー登録をしていただけると嬉しいです!


 聖女として召喚されたアカネ。

 肩にかかる程度の長さの赤髪に、薄紅色の口紅を引いた唇。

 黒いツリ目は、他人にやや威圧感を覚えされる。

 年齢は37最だが、異世界に来てから不思議なことに見た目年齢は遥かに下がった。

 外見だけで言えば二十歳そこそこにしか見えないだろう。

 服装は白いワンピースの上から上着を羽織り、ヒールのついた黒いショートブーツをはいている。


 そんなアカネは、森の奥の小屋で暮らしていた。

 質素な造りの小屋で、大きなベッドとデザインの凝ったテーブルが目立つぐらいで、他には必要最低限の物しかない。

 そしてアカネはテーブルに項垂れるように乗りかかり、付き人のラムザに今日もぼやく。


「はぁ……何で私みたいなのが聖女に選ばれたのかしら」


「アカネさん、聖女にピッタリじゃないですか。意外と優しいし」


「意外って何よ、意外って。まぁ否定はしないけど」


 金髪の美青年であるラムザ。

 瞳は赤く、優しそうな笑顔を浮かべている。

 20歳である彼の恰好は、赤い服に黒いズボン、足元はブーツだ。

 

 ラムザはアカネの話を聞きながら、彼女お気に入りのお茶を淹れていた。


「ふーふーしてよね。熱いの嫌よ」


「分かってますよ。ちゃんと冷まして出しますから」


 ラムザにだけありのままの自分を見せるアカネ。

 いつしか甘えてばかりになっていた。


 家のことを全てやってくれるラムザがいるおかげ、あるいはいる所為で、アカネは怠惰な生活を送っている。


「後は動画を観れる環境があれば最高なんだけどな」


「動画って何ですか?」


「ん、別に何でもない。これからラムザが一生観ることも無いわ」


 動画の説明が面倒だと感じたアカネは、その話をそれで終わらせる。

 冷ましてくれたお茶を飲み、安らぎのため息をつく。


「あの、ごめんください」


「はい」


 だらけた時間を堪能しているアカネに、来客が訪れる。

 声にラムザが対応し、玄関へと向かう。


「どうかしました?」


「仕事の依頼をしに来たんですが」


「仕事ですか。アカネさん」


「ええ、聞こえていたわ。案内して頂戴」


 アカネがだらけた姿を見せるのはラムザだけ。

 それ以外の者には、凛々しくできる女の仮面をかぶる。


 入ってきた女性は、アカネの姿勢の良さ、そしてキリッとした表情に緊張感を持つ。


「まずお名前を伺いましょうか」


「はい。私はローザ。今日は聖女様にお願いしたいことがありまして……」


 ローザ――金色の髪を天頂部で束ね、そばかすのある素朴な女性。

 着ているのはこの世界では平均的な物で、貧乏でも裕福でも無いとアカネは推測する。


「それで、どのようなご用件で?」


「私の婚約者が殺されました……友人たちが聖女様に調べてもらうのが一番だと言うので、それで」


「そうでしたか」


 この世界の人間は【加護】を持つ。

 それは超常的な力を発揮したり、日常に便利な程度だったりなど、【加護】の種類によって違いがある。

 アカネが持つのは【精霊の加護】。

 聖女だけに与えられる【加護】である。


 彼女の聖女としての力を頼りに、仕事の依頼に来る者は多く、今回もこうしてアカネの能力に頼りにきたというわけだ。


「…………」


「どうかしましたか?」


「いえ、大したことではありません」


 【精霊の加護】の力によって、アカネは人の感情の『色』が見えるようになっている。

 それによってある程度の思考を読むことができ、今まさに彼女はローザの色を見ていた。


「今日は何故ここに?」


「あの、だから婚約者が殺されて……」


「ああ、そうでしたね」


 アカネはラムザの方に視線を向け、短く頷く。

 ラムザはアカネの考えを読み、ローザに向かって笑顔で話す。


「お仕事の依頼を受けさせてもらいます。後日こちらから伺うので、今日のところはお引き取りください」


「はい……よろしくお願いします」


 帰って行くローザ。

 彼女が家を出たことを確認し、アカネはスライムのように溶けてしまう。


「ああ、面倒くさい」


「仕事だから仕方ないでしょ」


「仕方ないけど面倒くさい。ああ、聖女の能力なんていらないわ。やることが意外と多いし。こんなことなら普通の人間として召喚してほしかった」


「ははは。アカネさんらしいや。嫌なら仕事を断ればいいのに、ちゃんと引き受けるのがまた良いですよね」


「ま、暇つぶしも兼ねてね。動画観れないしやることないし」


 アカネにとって異世界の生活は、刺激の無い毎日。

 なので刺激を求め、興味のある依頼は引き受けることにしている。

 

(今回はどんな風に私を楽しませてくれるのかしら)


 アカネは先ほどのローザのことを考え、密かに胸を高鳴らせていた。


 そしてこの二日後。

 アカネとラムザはローザの家を訪ねることとなる。

 彼女が住むのは森から東に行ったところにある町、ラーライン。

 そのラーラインの端の方にある民家が、ローザの家だ。


 突然の来訪に驚くローザ。

 婚約者が死んでしまったからなのか、顔色が優れない。


 時刻は正午になったばかりで、アカネとラムザは食事を済ませたところだ。


「こんにちは。婚約者を殺した犯人捜し、これからしましょうか」


「はい。よろしくお願いします」


 アカネに頭を下げるローザ。

 俯きがちな彼女を見て、ラムザがこほんと咳払いして話し始める。


「すみませんが、犯人らしき人を集めてもらうことってできますか。アカネさんが、全員の顔を見たいらしいんです」


「分かりました。少しだけ時間をください」


「後、事件現場を見せてもらうこともできます?」


「ええ。この四軒隣が婚約者の家で、彼はそこで殺されていました」


 ローザとやりとりをするラムザ。

 そして婚約者の家に向かう二人。

 中に入り、その静けさに寂しさを感じるアカネとラムザ。

 テーブル席が倒れており、床には血の跡がこびり付いている。


「ここで殺されたってわけね」


「何か分かります?」


「そうね……凶器は?」


「これでしょうね。ナイフが落ちてる」


 足元に転がっているナイフ。

 ラムザは白いハンカチを使い、そのナイフを拾う。

 そしてナイフをアカネに見せると、彼女はブツブツと何かを唱え始める。


「アカネさん、連れてきました」


「ああ……ありがとうございます」


 ローザが三人の男女を連れて、殺害現場へとやって来る。

 一人は銀髪の女性、カリナ。

 一人は赤髪の男性、フォード。

 そして最後の一人は金髪の男、パイクだ。


 三人をジッと見つめるアカネ。

 能力を駆使し感情の『色』を見て、三人の反応を確認する。


「あの、何で私が呼ばれたんですか……?」


「事件に関係していそうな人を呼んでもらいました。あなたは被害者の方とどんな関係で?」


「わ、私は何もしてません! その、優しい方だとは思っていましたが……好意を抱いていたのも事実です。でも!」


「カリナ……やっぱりジノのこと、好きだったんじゃない!」


 怯えるような表情をするカリナ。

 何かやましいと感じているのか、彼女には焦りの『色』が見えた。

 そんなカリナに掴みかかるローザ。

 どうやら痴情のもつれというやつらしい。


 それを見たアカネは呆れ、ラムザに視線で合図を送る。

 すかさず二人の間に入るラムザ。

 細い体なのに、凄まじい腕力。

 あっという間に二人は引き放され、ラムザが落ち着いた声で言い聞かす。


「そういうことは事件解決をした後にお願いします。今は犯人捜しにご協力を」


「は、はい……」


 ラムザから視線を逸らすローザとカリナ。

 それを見ていたフォードが、ケラケラ声を出して笑う。


「ジノのやつ、モテると思ってたけど本当にモテるんだな。婚約者がいるのに、別の女に手を出してたってか?」


「て、手は出されてないわ! 何を言ってるのよ」


 フォードの言葉に顔を赤くして反論するカリナ。

 彼は現状を楽しんでいるようだ。

 アカネの目から見ても、怪しいところは見れらない。


「その人が言う通り、そういうことは後でやってくれ。時間が惜しい」


「おいおいパイク。何でも楽しまなきゃ損だぜ」


「殺人をもか?」


「は?」


 冷たいパイクの声に、空気が凍り付く。


「どういうことだよ」


「殺したのはお前だろ、フォード。あの日、一番遅くまで残っていたのは君だ。君が殺したに違いない」


「殺すわけねえよ! 殺す理由なんて無いしよ」


 フンと鼻で笑いながらパイクは続ける。


「そうか? だって君、カリナのことが好きなんだろ?」


「…………」


「図星だな。カリナが好きだから、想い人であるジノが許せなかった。そういうことだろ」


「勝手に決めつけんなよ。確かに俺はカ、カリナが好きだけどよ」


 耳まで赤くなるカリナ。

 フォードが自分を好きだとは思ってもみなかったようで、頭の中はパニック状態。

 どうすればいいのか分からず、冷や汗をかくのみ。


「だからそういうのは後でやってください」


「…………」


 アカネの声に、フォードとパイクが顔を背けあう。

 そして皆が静かになったところで、アカネは皆に訊ねる。


「皆さんはどういう関係で?」


「友人です。子供の頃からの」


「他に怪しい人はいないんですね?」


「はい。事件当日、私たちは婚約者の家でパーティをしていました。婚約を祝うために集まってくれたんです。ここにいる三人以外は彼を殺せるとは思えません」


「そもそもがその考え自体間違いじゃないのか? 全員が帰った後に誰かが侵入したのかも。まぁ、フォードが殺した可能性も十分にありえるが」


「だから、殺したのは俺じゃねえって! 例え俺がカリナのことを好きだとしても、殺す必要な無いだろ」


「どうだか」


 アカネは二人の反応……主にパイクを見て思案する。


(何かを隠している……隠蔽している『色』が見えるな)


 誰にも言えない何か、パイクが何か秘密にしていることを見抜くアカネ。

 パイクは冷静そのもので、表情には出ないが彼女には『色』が見える。

 だから難解な事件が起きた時、アカネは頼られるというわけだ。


「パイクさんは殺していないと言い切れますか?」


「はい。僕は早くに帰りましたから。一番早かったですよ」


「わ、私は二番目です」


「二人が帰った後に私が帰りました」


 当日パイクが帰り、カリナ、そしてローゼの順に帰宅したようだ。

 そして最後に残っていたはフォード。

 確かに現状だけの情報では、フォードしか考えられないだろう。


 それをフォードも理解しており、必死な表情で訴えかける。


「なあ聖女さんよ。俺はやってねえからな! 絶対に殺してねえから」


「それを確かめるために話し合いに来たんですから。ですので、嘘をつくのだけは止めてください。ああ、でもそうしてくれた方がいいかも。嘘をつけば、私にはすぐに分かりますから」


 アカネには嘘が通じない。

 それはすぐ『色』に出るからだ。

 それから隠し切れない人間の些細な反応、それを見抜くこともできる。


 そしてアカネは四人の反応を確認していた。

 今自分が言ったことに、大きな反応をした人物が二人いる。

 焦りの『色』が浮かび、犯人は二人のどちらかだろうと断定した。


「今のでだいたい分かりました」


「わ、分かった? 今ので何が分かったんですか?」


 ローザが驚きの表情を浮かべる。

 少しの会話だけで、何が分かるのか。

 そんな様子だ。

 そしてそれは全員が同じで、唖然としてアカネを見ている。


「私には人の嘘が分かるんです。そしてちょっとした反応さえも……今焦った人がいて、それを見極めることができました」


「焦ったからって、それで犯人って決めつけるのかよ?」


「嘘をつけば分かる。それで困るのは誰と思います?」


「それは……犯人か」


 フォードの言葉に頷くアカネ。

 何もやましいことがなければ、困ることは無い。

 だから困るというのは犯人か、それに近しい存在ということだ。


「まぁここまでは茶番みたいなものですけどね」


「茶番って、どういう意味ですか……? もしかして、聖女様は最初から犯人が分かっていたとか?」


 焦るようにしてそう言うのはカリナ。

 アカネはゆっくりと首を横に振り、だが全てを否定するようなことはしない。


「最初から分かっていたわけじゃありません。目星は付いてましたが……決定的な証拠がありますから。それを出せば犯人はすぐに分かります」


「決定的な証拠? それは何なのだ?」


「これです」


 アカネが皆に見せるのは、犯行に使用したと思われるナイフ。

 ラムザのハンカチで包まれたそれを見下ろし、アカネは続ける。


「私の能力で、これを使用した人を割り出すことができます。犯人はもう見つけたようなものですね」


「何で最初からそれを言わなかったんだよ」


 彼らがどんな人間関係なのか、どんな反応をするのかが気になっていたアカネ。

 そのために試すようなことをしたのだが……事を荒立ててしまうと考え、口にはしない。


「それでは、彼女の婚約者を殺した犯人を見つけましょう」


 アカネが能力を発動すると、ナイフに光が灯る。

 ナイフにはハッキリとした指紋が浮かび上がり、それこそが完全なる証拠だ。


 この世界では指紋から犯人を見つけるという考えも技術も無い。

 なので指紋を拭きとったり、それを隠蔽するようなことはしないのだ。

 完全な証拠として残った指紋。

 この証拠とピッタリの指紋を持つ者がこれを持てば、さらに輝きが増す。


 アカネがそれを説明すると、一人が諦めたようにため息をはき出す。


「最初からバレていたんですね」


「パイク……てめえ」


 パイク――彼が観念したかのように手を上げ、アカネの前へと出る。

 アカネは冷たい瞳で、パイクを見据えていた。


「証拠があるなら仕方ない。僕が犯人です」


「なら、あなたを自治体に引き渡すことになりますが、よろしいですか」


「……はい」


 観念したパイクは、肩を落として俯いてしまう。

 まさかの結末に、全員が驚きを隠せないでいた。


「それでは行きましょう」


「はい」


 外へと歩き出すアカネとラムザ。

 それに続くパイク。


「嘘だろ……お前がやったのかよ」


「すまない。君に罪を押し付けるような真似をして」


 軽蔑するような視線をパイクに送るフォード。

 カリナは涙を流し、パイクのことを見ていた。


「ああ、ローザさん」


「はい……」


「依頼料の件でお話があります。こちらの書類に……」


 ローザの前で、アカネは自分の服をまさぐり始める。

 だが右手に持つナイフが邪魔で、思うようにいかない様子。


「すみません。これを持っていてもらえますか?」


「はぁ」


 アカネからナイフを受け取るローザ。

 するとナイフは――淡い輝きを放つ。


「え……これって……?」


「それはローザさんが犯人という証拠です。貴方が婚約者を殺したんですね?」


「ち、違う! ローザは殺していない。ジノを殺したのは僕だ!」


 ローザにナイフを持たせるために演技をしたアカネ。

 ナイフの輝きはローザを犯人と示しており、だがそれを否定するようにパイクが叫ぶ。


「いいから僕を連行してくれ。彼女は関係無いんだ!」


「関係無いのはあんたの方だろ。今更アカネさんの目を誤魔化すことはできないよ」


 ラムザがパイクの前に立ち、確信に満ちた目でそう言う。

 ローザは手にしていたナイフを落とし、手を振るわせていた。


「犯人はローザさん。パイクさんは彼女を庇っている。そうでしょ」


「違う!」


「違わない。言ったはずです。私に嘘は通用しないと」


「うっ……」


 焦り、嘘をつき、必死に庇おうとするその姿。

 さらにはそれら全ての『色』がパイクに浮かび上がっており、それを看破するアカネの前では言い逃れはできない。

 ローザは恐怖を表情に浮かべ、その場に崩れ落ちてしまう。


「私……私……」


「あなたが依頼をしに来た時からおかしいと思ってました。だって後悔の『色』が浮かんでいたもの」


「……だから依頼したくなかった! 黙っていればパイクが大丈夫だって言ってたけど、フォードが進めるから!」


「そりゃ、聖女さんは事件解決が得意だって噂だったんだから、行かせるのは当然だろ……」


「でもローザ、何故ジノを殺したの?」


 カリナの言葉に、激高したような顔をするローザ。

 そのままカリナを睨みつけ、大声で叫ぶ。


「全部あんたの所為でしょうが! あんたが色目を使って、ジノに近づくから! ジノはあんたのこと何とも思ってないって言ってたけど……付き合いをやめることはできないって……友達だからって……」


 ポロポロ涙をこぼすローザ。

 手で顔を覆うが、手のひらから漏れて地面に涙が落ちる。


「後悔? そんなのしてるに決まってるじゃない。私はジノのことを愛しているんだから……ジノがカリナとはこれから近づかないと言ってくれたら……わぁああああああああああああああああああああああ!」



 ◇◇◇◇◇◇◇



犯人隠避罪(はんにんいんぴざい)。パイクも捕まったみたいですよ」


「ああ、そうなの。そりゃそうなるわよね」


「ローザの犯行を見ていたらしいですね。フォードが帰った後、家の近くを通りかかったって」


 事件が解決し、数日後のこと。

 自宅でラムザが、報告資料の内容をアカネに伝えていた。


「パイクはローザのことが好きで、だから彼女のことを庇った」


「カリナは被害者が好きで、フォードはカリナが好きだったと。なんだか一方通行の想いばっかで、切なくなっちゃうわね」


「そうですね。ちなみにですけど、アカネさんは片思いの経験とかあるんですか?」


「ん? んん……どうかな」


 ラムザの質問に首を傾げるアカネ。

 片思いをした記憶が無いアカネ。

 そもそも恋とは縁が無かった生活をしてきたので、答えようが無い。


「あんたはどうなのよ? 片思いしたことあんの?」


「僕は……ありますよ。絶賛片思い中です」


「ふ、ふーん……そうなんだ」


 密かにアカネに恋をしているラムザ。

 その想いはアカネに届いておらず、ラムザは苦笑を浮かべた。


 アカネは何故かラムザの片思い相手が気になり、複雑な心境をしている。


(ラムザが好きな相手……誰?)


 直接聞くことができないアカネ。

 嘆息をし、仕方ないので今回の事件のことを思案する。


「恋って、人を幸せにしたり、今回みたいに殺人にまで発展したり、何なんだろうね」


「恋は人を殺さないんじゃないですか。人を殺すのは人の中に眠る狂気で……人を殺せる人って、どんな理由でも殺せるって話を聞いたことがありますよ」


「あ、それ私も聞いたことある。でも恋が殺人のトリガーになったのも確実で……ああ、難しいな。人を狂わせるほどって、そんなに良いものかしら。恋って」


「良いものですよ。人生を豊かにしてくれる、素晴らしい体験だと思います」


「あ、そう」


 ラムザから顔を逸らしてしまうアカネ。

 彼の気持ちが誰に向いているのか、それが気になって仕方ない。

 その想いがアカネに対してのものだと、彼女が知るのはまだまだ先の話。


 二人の物語はまだまだ続く。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

作品をこれからも投稿を続けていきますので、お気に入りユーザー登録をして待っていただける幸いです。


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