第6章:絶対的武器《アブソリュート・アモ》
俺はオウガ団長の指示に従い、アッシュ・ボーイルドが無事に捕縛されるのを確認した後、リリアそして兵団と共に王国の基地へと向かうことになった。
俺の心には、あのアタッシュケースの武器が放った光弾がアッシュを倒すほどの力を持っていたことへの驚きと、これから何が起こるのかという不安が渦巻いていた。
夕暮れの王国への道の途中、騎士団に護衛されながら、俺たちは夕暮れ時の山道を歩いていた。
空は赤く染まり、周囲の木々が影を落とす中、俺はふとアタッシュケースに手を触れた。
このアタッシュケースが未だに微かに熱を持っているのを感じたが、その理由がわからず、心の中で問いかけた。
「これが、、、、俺の力なのか?」
リリアは彼の様子に気づいたようで、優しく声をかけた。
「タカシ、先ほどの戦い、、、、よくやったわね。あなたの力がなければ、私たちは危なかったかもしれない。」
俺は少し戸惑いながらも頷いた。
「ああ、でも、俺はただ、、、、リリアを守りたかっただけだ。」
リリアは微笑んで彼に答えた。
「その気持ちがある限り、あなたはきっとさらに強くなれるわ。」
~王国の基地~
しばらくして、リュウたちはハルーン王国の基地に到着した。
巨大な石造りの城塞が彼らの目の前にそびえ立ち、兵士たちが整然と配置されている。
基地の中庭に入ると、オウガ団長が指揮を執り、部下たちに次々と指示を飛ばしていた。
「アッシュ・ボーイルドを地下牢に収監しろ。厳重に警戒を怠るな。奴は何か企んでいるかもしれん。」
オウガ団長の厳しい表情から、彼がただ者ではないことが窺えた。
俺はその姿を見て、自分ももっと強くならなければならないという思いを新たにした。
「タカシ、こちらへ。」
リリアが声をかけた。
彼女に導かれて、タカシは城内の作戦会議室へと入った。
そこには、リリア王女直属の兵士たちや、王国の高官たちが集まっていた。
部屋の中央には大きな円卓があり、その上にはアストラリアの地図が広げられていた。
「さて、、。まずは本事件の会議を始める前に。タカシ、今回はお前のお陰で俺たちも被害を最低限に抑えることができて感謝している。だが、まずはお前の素性を明らかにしておきたい。お前は何者だ?そしてどうやってあのアッシュを倒した?」
「俺は、、、信じてもらえないかもしれないが、リリア王女によって別の世界から来ました。そして、リリナ王女から授かったハンドガン、、、レボリューターからこのアタッシュケースを呼び出し、この力でアッシュを狙撃し運よく勝てました。」
会場内がざわつく声がしたが、オウガは手を挙げそのざわつきを静粛にし、続けて疑問をなげた。
「アタッシュケース、、、、この世界には存在しないアイテムのようだが、、、、それでアッシュを倒したとはとても思えない。ましてやリリア王女の報告によると、お前は城前の城下町付近にいて、森からは少なくとも3~5キロは標的から離れていたと聞く。俺だけでなく誰もが疑問を感じているだろう。」
「仰っる通りです。このアタッシュケース、一見何も殺傷能力のない物にみえますが、、、、」
俺はアタッシュケースの取っ手部分を握り締め、アッシュを倒した時に使用したレール砲を脳裏にイメージした。すると、アタッシュケースが瞬時にイメージした通りのレール砲に変形した。
「このように、自分のイメージした通りの武器に変形するという特異の能力をもっているのです。そして自動追尾可能な光弾をアッシュに当て撃墜した、、、という具合です。」
「なるほどな、、、、大体の事情は分かった。するとこのアタッシュケースという武器は恐らく、世に7つしかないと言われる絶対的武器と呼ばれる類の代物だ。その
力は未知数で全て集めるとこのアストアリアを統べる力を手に入るという伝説があるトンデモ物だと聞く。」
「絶対的武器・・・・・」
俺もそんな珍しいものであることに動揺したが、それは周囲の人間も同じであった。しかし、俺は続けて発言する。
「だけど、この武器を使用したのはこれが初めてで、まだこの力の一部しか理解できていないんだ。」
「そうか、、、、。まぁ、タカシのその武器に関しては我々の整備課の部隊に調査してもらうことにしよう。もちろん、坊主の協力も必要になるからよろしくな。」
とりあえず、周囲の人間に信じてもらえたことに俺は安堵したのだった。