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SS01.計画前夜

ランキングで上位を取れたのでお礼小話をアップしました(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ。:.゜ஐ⋆*

月のない夜の遅い時間に海辺には二人の男女の姿。

正確には男のための護衛が数人ほど少し離れた場所で周囲を警戒して任に就いている。


「こちらが三日分の報告書でございます」


女は男に報告書を手渡す。

男は満足気に受け取り簡単に中身に目を通す。その時間はほんの数分。

 

波打つ音の中、書類を確認した男は満足そうに微笑み、一番近くに控えていた男へ書類を預ける。  


「私の認識と相違ないな」


男は自分が認識していることと相違がないことに満足していた。知らなかった追加情報はオマケ程度だ。 

この男にとって家の中での会話は知らないこと、知ることのできないことだが、それも些細なこと。


対象者の日中の行動を見ていれば何が話されているのかが想定できるし、ほとんどの場合が想定通りだからだ。


「ようございました。それよりも、この報告は必要なのでしょうか」


女は数日に一度行われる報告のために夜の遅い時間に家を抜け出している。

対象者を一人にしておくことに不安はあるが、男の護衛の内、数名が家の周りに着いているので事件に巻き込まれる可能性はゼロに近い。が、夜遅くに対象者が目覚めてしまった際に適当な当たり障りのない理由を考えるのが手間なのだ。


「もちろん、必要だよ。知らないことを知ることができるからね、想定内であっても」


女に職務であることを忘れさせないためと、想定外のことはこの女が仕組むかもしれないからだ。まぁ、こちらも可能性はゼロに近い。


「明日の昼には伺いますのに」


「それでもね、報告書はその場に持ってこないだろ?どんな反応だったのか確認はしておきたいからね」


数ヶ月前から計画されたソレのタイミングを見計らっていた。そろそろ頃合いというタイミングで偶然にも対象者が祖国に関わることを気にかけ始めたのだ。


男の想定した通りのタイミングだ。


(気にするようになってからの執着が酷すぎますわ、粘着質な性格の方なのかしら)


女は軽く溜息を吐く。

この男の執着、こと、対象者への執着には呆れてしまうほどだ。


「何か言った?」


女の目線と溜息で男は自分に対して何か言いたいのだろうど気づく。


「いいえ、何も」


それもよくあること。女は特段、表情は変えずにいつものようにやり過ごす。

どうせ、こちらの言いたいことなど男の方は想定しているだろうから、あえて不敬な態度をする。


「この日のために念入りに用意したんだ。思い出してくれるか楽しみしかないよ」


「とても喜ばれると思いますよ」


「彼女に合うものを使っているからね、全て持ち込むのに時間がかかったし、こちらでの手続きも手間がかかったよ」


女はこの地に来てから数ヶ月後に計画が進んでいることを知らされた。事前に恐らくだが手続き自体は大方済ませていたのだろう。

荷物の搬入と建物の建設に時間を要したくらいだ。


その建物も建設、というか、リノベーションに近い。

これも事前に手続きをしていなければ三ヶ月で終わらないはずだ。


「私が何もせずに国で待つだけだと疑われるからね、色々と。あとは最後に楽しんで欲しかった、笑顔を見てからネタ明かしをしたいからね」


家に押しかけてネタを明かすよりはいいだろ?と、彼女のことを考えてネタ明かしの場を「作る」ほと、男は対象者への想いが強いのだ。


「そうですわね、その方が断然、喜ばれます。ですが少し早いのでは?」


「あと二ヶ月は様子を見ていたかったんだけど、最近、男がちょっかいを出し始めただろ?鈍感だから気づいていないだろうけど、そろそろ離したいからね」


ひと月ほど前から対象者が親しくしている食堂で働く友人、男に、目の前の男はヤキモチを妬いているようだ。


確かに、あの男は友人として接してはいるが見た目の良い対象者に恋心を抱いてもおかしくはない。性格も良い子なのだから。


「さて、明日の昼を楽しみにしているよ、それ、忘れずに持ち帰るように」


男に手渡された紙袋には質の良い生地で作られた庶民向けのワンピースがあった。

明日、着せてくるようにという指示なのだろう。


本当に愛の重い男だ。


女は受け取った紙袋を手にして自宅としている家へと帰る。


明日が姉妹として暮らす最後の日。

立場は変わらなかったが、生き生きとした姿を間近で見ることのできた大切な思い出となるだろう半年だった。


きっと対象者にとっても、ここでの生活は民のために役立てられることが多いはずだ。




あの男が遠回りさえしなければ、このようなことにはならなかったのに、という考えは秘密だ。

読了ありがとうございます♡


この男と女の計画前夜は二度目です。

とある計画の前夜にも、、、、( ̄▽ ̄)ニヤリ


■完結済み

「男装令嬢は王太子から逃げられない〜義家族から逃げて王太子からの溺愛を知りました〜」

https://ncode.syosetu.com/n4328gm/


「狂う程の愛を知りたい〜王太子は心を奪った令嬢に愛を乞う〜」

https://ncode.syosetu.com/n4767gl/


■オススメ短編

「悪役令嬢はゲーム開始前に王太子に攻略された」

https://ncode.syosetu.com/n8714gg/

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