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手記
私は昔は随分と茶化されたものだ。戦後間もなくから十数年たった今でも、兵隊の連中に馬鹿にされてしまう。私は医者だ。軍国主義と言うものは、軍部や新聞記者たちの手によって、民衆を洗脳することによって生み出される、いわば既得権のようなものでしかない。私は別に、医学の研究や、医療技術によって数多くの人命を助けるという功績を残した訳ではない。しかし、それは、私を馬鹿にしてきた、兵隊の連中にとっても、全く同じことではないか。私の息子は学校の教育者、今は校長だそうだ。人間の屑が人間の屑を排出し、既得権によって洗脳されてしまう。時代は変化しても、その事は変化しない。何ひとつとして。