第七話 困惑
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やっと主要の登場人物全員集合!
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見覚えのない後ろ姿。
何故かドアに隠れるように、中の話を聞いている?
固くなった首や肩を回しながら、レイ達が居る部屋へ向かう途中だった。
(誰でしょう?ん?そもそもメンバーは何人でしたっけ?なんで中に入らないのでしょうか?)
熱心に中の様子を伺いっている少年は、どうも自分に気がついている様子はない。どうしたものかと首をかしげた。
取りあえず中に入りたい、と思い、少年の肩をポンと一度叩くと、少年は大きく息を吸い込み、大袈裟なぐらいの驚きようで振り向き、持っていた靴を落とした。
(あれ、この子……不法侵入者……か?)
「君、ここで何しているの?」
肩を叩いた人物は、小首をかしげて少年に聞いた。
少年は驚き顔のまま声も出さず、肩を叩いてきた人物を見ている。
(あぁ、やっぱり、この子か……)
少年の肩を叩いた人物は、ふと、優しげな笑みを浮かべた。
その笑みに少年はほんのり頬を染めながらも、その人を見続ける。
肩の長さまである銀色の髪と紫色の瞳。女性のような男性のような不思議さを持っている。圭よりも頭ひとつ分ほど高身長のため男性だとは思うが、何より、その西洋絵画の中から出て来た様な美しい顔と、すらりとした細い体型が余計に中性的に見せ、性別を混乱させる。
「アッシュか?」
部屋の中から声がすると同時にドアが開き、男が顔を覗かせた。
アッシュと呼ばれた人物は隣に立つ少年を指さし、小さく肩をすくめる。男はアッシュの指す方へ目を向け、無言のまま僅かに眉間に皺を寄せた。
少年はビクつきながら男を見上げる。こちらも高身長で驚くほどの美青年だ。
「圭くん?」
三人は一斉に声の主の方を向いた。
美青年の後ろで瀬川ミユウが驚き顔で立っている。
「ミユウ……この少年と知り合い……なのか?」
最初に口を開いたのは美青年だった。口調は穏やかだが、顔が若干引き攣っている。
「うん……朝、彼とぶつかって。で、同じクラスになって。で、お隣さん……」
「すごい、偶然だな……」
美青年がこめかみを抑え、ため息をつく。
アッシュは何故か困った様な笑みを浮かべ、ミユウは心なしか顔が引き攣っている。気がつくと、その場にいた全員が奇妙に顔を引き攣らせながら乾いた笑い声を上げた。
その笑い声に誘われるように部屋の中からもう二人、男が出てきた。
高身長の黒髪の男と、かわいらしい童顔の男。
黒髪の男が困惑した顔で「どういうことだ?」と言い、圭を見下ろす。
圭は口元は笑い、目は泣きそうな、困り果てたような複雑な顔をし「どうも」と呟くと、一人一人の顔を見回し「はは」と空笑いの声を上げた。誰もが複雑な顔で目配せをしている。短くも長い沈黙を、アッシュが先に破った。
「まあ、こんな所で何ですし、取りあえず中に入って椅子に座りませんか?」
アッシュに続いてミユウが口を開く。
「そうそう!お茶でも飲んで」
「まずは落ち着こう!」
童顔男が力強く言う。
それぞれ顎を引いて、ぞろぞろと部屋へ入っていった。
圭はそれとは逆に、来た道をそっと戻ろうとしたが、すぐに美青年に気づかれ「君も中へ」と腕を掴まれた。その手は、顔に似合わず強くがっしりしている。圭は「すいません」となぜか謝り、部屋の中へ大人しく入っていった。
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