第三十四話 噴水
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ウィルは一つ一つ結界の陣を解いている。その早さは、一般的な法術師の二倍の早さだ。
(さすがウィルだ。解が早い……)
シンはウィルの動きを観察しつつ、結界の模様を見つめていた。ミユウが作った物であるようだ。学校から圭を連れ帰る際に作ったのだろう。決して複雑な物ではなかったが、足止めにするには十分効果のある結界だった。さすがレイの妹だと、感心をした反面、作りすぎだ、とも思っていた。
ウィルはある程度の陣を解き終えると、公園内にある噴水に近づき、スーツの内ポケットから何やら紙切れを出した。
ウィルは紙切れを水面に浮かべるようにそっと置くと、呪文を唱え始めた。
「レイ、早くしろ……」
シンは苛立ちが押さえきれないかのように、自分の太腿を拳で叩いていた。
「すまん、待たせた」
シンの後ろからレイの澄んだ声がした。素早く振り向きレイを一瞥すると、顎でウィルを指した。レイは鋭い視線をウィルに向けた。
ウィルの目の前に水で出来たドアが現れる。
「圭くんのドアよ」
二人の後ろからアーシャが囁くように言った。
「そのようだな」
「ウィルが入っていくぞ!」
シンが口調を強めて囁いた。
ウィルは水のドアに付いたドアノブに手を伸ばす。電気が走るかのようにバチバチと青光りしたが躊躇せず手を伸ばし、ドアを開けた。ウィルが中に入る込むと、レイが「行こう」と言うのが早いか、閉まり掛けたドアに向かって駆けだした。
三人が閉まる前に中に入り込むと、公園内に現れた水のドアはざっと音を立てて消えた。
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