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ドリームハッカー 〜隣の家は異世界への入り口だった〜  作者: 星野木 佐ノ
第一部

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31/60

第二十九話 進展

読んで頂き、ありがとうございます。

本日2話投稿です。二十八話を未読の方は一つ戻って読んで下さい。


では、よろしくお願いします。

 

 ミユウは圭の腕を掴んだまま、正門を駆け抜けた。学校から数十メートル離れた頃、ミユウは圭の腕を放し、真剣な面持ちで圭の顔を覗き込む。

 圭はミユウ同様、息を切らせていたが、先ほどとは異なり、しっかりした顔つきだ。


「目は、覚めた?」


 ミユウは息を切らせながら訊く。


「一体、何がなんだか……」


 圭は頭の中を整理するような顔で呟くように応える。


「とにかく、一旦、うちへ行きましょう」


 再び圭の手を取ると、ミユウは先に歩き出した。圭はまだどこかぼんやりしている頭を軽く振り、黙ってミユウの後について歩いた。


 圭はミユウの後についてミユウの家の中に入った。家の中に入った途端、頭の中に自分には覚えのない記憶が流れ込む。

 ミユウが圭を見ると、圭は驚きと戸惑いの混ざった顔でエントランスホールの天井を見上げている。圭はミユウが自分を見ていることに気がついたのか、囁くような声で言った。


「俺、つい最近、この家、来たこと……ある……」


 ミユウは唾を飲み込んだ。そして、静かに息を吸うと「着いてきて」と、先を歩き出した。

 圭はミユウの後を追いながら、自分の頭に流れ込んでくる記憶に戸惑っていた。

 中庭を通り、隣の建物に入る。ミユウは多くのドアのうち一つにドアを開け、圭に中に入るよう目で促す。圭は黙って部屋に入ると、見覚えのある人物がそこに居た。


「父さん!?」




****



 沙也加は恐る恐る顔から手を放し、そして不適な笑い声を上げ、立ち上がった。


「ウィル!」


 沙也加はよろけながら保健室内にある回転椅子に座ると、机の上に置いてあった煙草に手を伸ばした。


「ウィル!居るんだろ、出てこい」


 沙也加は煙草に火をつけ、足を組んで目だけを動かし部屋を見渡す。

 数秒経ってから、黒猫がどこからともなく現れた。黒猫は沙也加の数メートル先に姿勢を正して座る。


「お前があの小娘を通したのか?あの娘は何者だ?お前と同業者か?」


 沙也加は煙草をくゆらせながら言った。

 黒猫は瞬く間に人間の姿になった。


「答えろ」


 ウィルは何も言わずに跪いている。沙也加はウィルの目の前に立つと、髪を掴み乱暴に顔を上げ、ウィルの左右異なる瞳を探る様にじっと睨み付ける。

 が、ウィルは無表情のまま黙って沙也加の顔を見ていた。

 沙也加は「まあ、いい」と言い、乱暴にウィルの髪から手を離し、煙草を床に押しつぶした。


「記憶が戻った訳では無いようだな」


 沙也加はそう呟くと、ウィルの前に立て膝をつくき、ウィルの顎を掴む。ウィルはアンドロイドの様に機械的に顔を上げ、無表情のまま沙也加に目を向ける。


「今夜、あの小僧の夢の中に行け。その瞳があればメモリーレムを呼び起こせる。今日は素晴らしい収穫が出来るだろうよ」


「はい。ヴァーミラ様」


 沙也加は鼻で笑うと、ウィルの顎から手を放し、声を上げ笑った。その笑い声は、誰もいない廊下にまで響き渡っていた。



最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


続きが気になる!という方は是非ブックマークや☆、評価、感想など今後の励みになりますので、残してもらえると喜びます!よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] さやか先生残忍…あれだけ優しい先生がここまで性格が豹変すると、流石にびっくりしちゃいますね。それと圭くん、夢が戻りつつあるのでしょうか。すごく気になります。
2022/06/19 15:41 退会済み
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