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第十七話 難解

読んで頂き、ありがとうございます。

よろしくお願いします。

*少し手直ししてます。

 ミユウは家に帰ると直ぐに圭の家が見える方角の窓に術を掛け、現実界の風景を見える様にした。

 夢の扉がある建物にはライトは無く、幾つもある大きな窓ガラスから差し込む月明かりが廊下を淡く照らす。夢の扉に人工的な光を当てると、扉の主の睡眠に影響を齎してしまう。寝付きが悪くなったり、急に目が覚めてしまったり。そのため、自然の光である日光や月明かりを取り込むため壁も廊下も白で、ドアの反対側はほぼ全面、大きな窓ガラスになっている。

 薄暗い中、ミユウは毛布に包まり窓辺に寄りかかると、二階から圭の家を見下ろした。

 圭の父親が言った「若潮」が気になって、圭の家に不自然な動きはないか観察していたのだが、いつの間にか眠ってしまっていた。


「ミュウちゃん、起きて」


 ミユウは肩を揺すられると毛布を被って蹲り、起きる事を拒んだ。アサトはミユウの寝起きが悪い事を知ってはいたものの、こんな時にそれを発揮しないでくれと、再び、今度は少し強めに肩を揺らす。


「ミュウちゃん、起きてって。妖しいドアが現れたんだ」


 その言葉に一気に目を覚まし、勢い良く顔を上げると「どこ!?」と言い飛び出した。

 アサトは慌ててミユウの後を追いながら、背中に向かって「東、一階、C1023!」と叫ぶ。

 ミユウは「了解!」と応え、小さく呪文を唱える。アサトの目の前には白い小鳥が現れた。


『先へ行くね』


「了解!すぐ追いつく」


 小鳥はアサトの返事を聞き終わる前に、あっと言う間に薄暗い廊下に消えていった。


『お兄ちゃん!』


 ミユウはレイとシンが立っているドアの近くに降り立ち、素早く人間の姿に戻った。

 レイは青黒い光を纏ったドアを前に、何度も呪文を繰り返している。何とも禍々しい光はまるで戸愚呂を巻く様に渦巻いている。

 シンはミユウ見ずに状況を説明した。


「ドアが開かない。かれこれ三分経過した。どの術も効かない。今、アッシュが状況を調べているが……。急がないと、夢の主が危ない」


「そんな……。こんな事、今まで無かったのに」


 レイが息を切らせてミユウに視線を寄越す。


「どうやら、中から封じの陣を掛けられている。しかも、暗号付きだ。暗号を解読するか、この夢の主がハンターに気が付いて夢に不信感を抱かない限りドアは開かない……」


「どうにか解読できないの?」


「色々やってはいるが……」


「私が試してみる」


 ミユウはレイの前に立ち、ドアに向かって解きの呪文を唱え始める。

 ミユウが呪文を唱えていると、アサトがアッシュと共にドアの前へやって来た。ミユウは自分が知っている、ありったけの呪文を口にするが、どれも効力はない。

 不意にアッシュがミユウの肩を掴むと「離れて」と全員に言った。

 アッシュはドアの前に立ち、四人がドアの付近から離れたかを素早く確認すると、徐に首に下げていた陣を模ったペンダントを外しヘッドを手に持つ。そして呟くように呪文を唱えた。


「ファスベル・コトピック」


 呪文と同時に陣を模ったヘッドは強い閃光を放ち、光の固まりはドアに当たった。が、その光がアッシュに跳ね返り、後ろに飛ばされ壁に身体を強く打ち付け、レイはすぐさまアッシュに駆け寄った。


「何だ!?今のは!」


 シンは目を見開いて、ドアとアッシュを交互に見る。ドアは何事もなかったかのように、相変わらず妖しい青黒い光を放っている。


「アッシュ!大丈夫か!」


 レイはアッシュの脇に跪き、起き上がるのに手を貸した。レイがアッシュに今のは何だったのか訊こうとしたが、「光が変わる!」とアサトの叫び声で言葉を飲み込んだ。


 ドアに顔を向けると、青黒い光は徐々に弱まり、紫色に変化していく。


「しまった!メモリーレムが!」


 シンがドアノブに手を掛けようとした。


「やめろ!」


 レイが叫ぶのと同時に、シンの手とドアノブの間に黒光りの電気が走った。シンは短く叫び声を上げると、その場に蹲る。ドアを覆う光は紫から黒に色を変えると、ドアの内部に吸い込まれるようにして一瞬で消えた。

 ドアは何事もなかったかのように、金色のドアノブが付いた真っ白い板に戻った。


「くそっ!」


 シンは痺れていない左手を固く握りしめ、床をドンと殴りつけた。五人は黙ったまま暫くその場にいた。




最後まで読んで頂き、ありがとうございます!


続きが気になる!という方は是非ブックマークや☆、評価、感想など今後の励みになりますので、残してもらえると喜びます!よろしくお願いします!

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