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小説投稿サイト大事典【2019年版】  作者: とあるWeb小説投稿サイト研究者
6章 パトロンサービス型
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コラム6 ゆりかご × 投稿サイト × 墓場 みたいな

小説投稿サイトはCGMの一種です。



CGMとは『Consumer Generated Media』の略称。簡単に言えばユーザーが投稿したコンテンツ(小説やイラストやブログ記事、動画等)によって形成されるサービスのことですね。


CGMは開発者自身がコンテンツを作らなくても、ユーザーがコンテンツを作ってくれて、成功すれば多くの集客が期待できます。運営者が頑張って更新しなくて、ユーザーが更新してくれて、ユーザーがいる限りは息の長いコンテンツになります。


CGMはユーザーが有益なコンテンツを自発的に投稿する仕組みさえ構築できれば、サイトの質を高めることができます。



ただ、自発的に投稿する仕組みを構築するのが難しくて、『ユーザーや作品がなかなか増えない』といったり、『いたずらや荒らし、炎上などのリスクもある』などなど課題がつきものです。


このサイトが流行り始めてもう何年もたつので、ほとんどの分野では上位陣ができています。競合が強いこの分野では、CGMを上手く機能させられる仕組みや環境作りがかなり難しいですね。




最近だと小説家になろうが有名になっていて、億を越えるアクセスに惹かれて参入する人も多くなっている感じです。


年間10個以上の小説系CGMサービスが作られますが、大半はユーザーが集まらず過疎り気味となっています。



例えばですが、3年以内、つまりは2016年11月から作られた小説系のサイトを並べてみるとこれくらい



ツギクル

NOVEL DAYS

pixivFANBOX

屋根裏の図書室 【過疎】

DLOVE 【過疎】

POCH 【過疎】

妄想チャットMOSO

Balloon

chocot 【過疎】

TELLER

ショートショートガーデン

Petit Princess 【過疎】

monogatary.com

プリ小説 

HEROES+ 【過疎】

pixiv chatstory 【閉鎖】

ショートショート 【過疎】

L-boom  【閉鎖】

八雲文庫 【過疎】

フォレストページ+

DigNovel 【閉鎖】

Christy 【過疎】

KAKUZE 【閉鎖】

Ci-en

MAGNET MACROLINK

檸檬

Fantastic

Writone

Hundread 【閉鎖】

のべりん 【過疎】

Alight 【閉鎖】

創作空間 nanamarche 【過疎】

WordBag 【閉鎖】

脚本家せいかつ 【過疎】

セルバンテス

BLoveChatNovel 【過疎】

ノベマ! 【過疎】

Scraiv 【過疎】

待ラノ 【過疎】

縦書きnoco 【過疎】

ネット喫茶.com 【過疎】

ノベルアップ+

みんなでつくるオンライン小説 【過疎】

LINEノベル 

Novely 【過疎】

こだぬき書店 【閉鎖】




いっぱいありますけど、大体ユーザーが集まっていないか閉鎖されていますね。


この3年間で成功したところだとチャット小説アプリが多いですが、それ以外だとあんまりないですね。少なくとも普通の機能しかないところは全滅に近いです。



こんな感じで普通のサイトをつくってもほぼ成功しているところはないのではないかな。




挿絵(By みてみん)





参入しているところが結構多いですが、こういったサービスは無料で作れるわけではありません。結構お金がかかります。



Webサイトに必要なのは


・ドメイン(住所のようなもの)

・サーバー(建物のようなもの)


あと水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素、及びその個人の「遺伝子の情報」によって構成されている通称『人』が必要ですね。


人体錬成は不要です。




人は具体的に言うとプログラミングの能力(フロントエンド側の言語とバックエンド側の言語)を持った人、もしくはお金を持った人。


フロントエンドは通常ユーザーが使う部分の設計ですね、バックエンドはその裏側で動く仕組みの設計です。



1人でも作ることはできますが、企業で作るとしたらディレクター(方向性、企画や進行を管理する人)、デザイナー(フロントエンド担当)、エンジニア(バックエンド担当)と複数人で作るのが一般的ですね。



開発期間は早くて1か月くらい、通常3ヶ月程度ですかね。作り込むなら年単位でかかりそうですけど。


大体は運営しながらも更新していくので、最低限の機能を付けてβリリースして正式オープンまで色々といじるところも多いですね。いきなり完成版を提供するのではなく、使い勝手を改善していく形の方が今の主流です。




ドメインはインターネットにおける住所のようなもので、これがないと訪問してもらえません。小説家になろうで言うと、『syosetu.com』ですね。


維持費として年間1000円くらいかな。ドメインの種類にもよりますけど。



このドメインは文字数が少なくて意味の通る単語だとものすごく希少価値が高くなります。数文字のドメインはもうほとんどが取得済みみたいですね。


例えば最近だとnoteさんが『note.com』に変えましたが、このドメインを取得するためにかなりのお金をかけたみたいですね。



『1億円超を吹っかけられた「.com」ドメインを難交渉の末に獲得。急成長中のnoteはどう使うのか?』BUSINESS INSIDER JAPAN

https://www.businessinsider.jp/post-188081



少なくとも取得には数百万円はかかったんじゃないかな。





サーバーは自分で用意してもいいですが、最近だと月1000円くらい~で借りられます。ただ、ユーザーやアクセス数が多ければ性能のいいサーバーが必要になってきます。いいサーバーだと数万~数十万くらいまでいきますね。


動画だと良いサーバーを使わないとしんどいですけど、テキストベースのサービスならそこまでいいサーバーじゃなくても何とかなります。




あとは開発費ですね。


最近キャンプファイヤー(クラウドファンディングサービス)で募られた小説サイトの開発費を見ると100~250万円くらいで計算しているみたいです。


最低限の機能を持たせて100万、ある程度の形を持つと200万くらいは必要でしょうね。



競合と渡り合うなら最低500万くらいはいるかも。



自分で作るとしても、結構時間がかかるので換算するとそれくらいは行きそうですね。


一人頭50万円/月だったとしても3ヶ月で150万円。


サイトを作るのもただではないですよ。





そして作ったらおしまいというわけでもなくて、定期的な管理メンテナンスアップデートが必要ですね。技術も進化していきますし、他のサイトに便利機能がついたり、イベントが行われると、目移りしてしまいます。定期的にイベントやアップデート、管理しないといけません。


イベントやコンテストを開くとさらにお金が飛んでいきます。コンテストの賞金や選考する人の時間などなど、お金がかかります。





作るだけ作って、放置してしまえばいいと思われるかもしれませんが、技術も進化していっているわけで、いずれ使えなくなる可能性もありますね。


i-modeとか、FlashとかIEとか。その時は最先端だったものは年月が経つにつれ時代遅れになってしまいます。そんなサービスはいずれ使われなくなってしまいます。日々管理が必要です。


放置すればいずれ衰退するのがこういったサービスの常なのです。流れる水は腐らずともいいます。





また、それでいて利益を出さなくてはいけません。


企業であれば対費用効果が散々だとビジネスとして成り立たないので撤退という可能性も上がりますね。


個人でボランティアといっても限度がありますからね。最低でも維持費がかかるのです。




小説投稿サイトで言えば、稼ぐ方法としては


・広告費

・出版事業

・物販、アフェリエイト

・手数料

・有料会員


がありますね。



広告は1PVあたり0.01円~0.1円なので、事業として成功させるなら多くのアクセスが必要です。小説家になろうや個人運営はこの辺りがメインの収入になります。


別の収入減があるカクヨムやアルファポリス、ノベルバはこの収入を作者に還元してますね。




出版事業はそこのサイトでコンテストを開いて出版する感じです。当たれば、小説だけでなく、コミカライズ、アニメ化、映画化などメディアミックスも望めるのでリターンが大きいです。


が、体力がない、ノウハウがないところは失敗しますね。法人で失敗するところはこれが多い気がします。


特にケータイ小説、異世界ファンタジーブームの後追いで参入したところとか。




アフェリエイトは、商品の広告を貼って、購入されたら儲かる仕組みです。物販は出版社系でもあんまりやってない気がしますね。大体はAmazonさんに誘導して終わりという感じかな。




手数料は、販売や投げ銭を行っているところの収入ですね。パトロンサービスだとこれがメインになります。




有料会員を設けるところも最近は増えてますね。有料会員になると広告非表示になったり、機能の増強されたり、公式作家の作品が読み放題だったり。アプリだと課金がしやすいので、アプリメインのサービスは有料会員機能を付けるところが多いかな。





さて、そうやって頑張って始めたサイトも閉鎖されることもあります。


よくあります。



理由としてはいくつかありますね。



『コンテンツ、ユーザーが集まらない』


頑張って作ってみたはいいけど、全然人が集まらず投稿もしてくれない。

うーん、て感じで閉鎖してしまったり。




『更新が出来ない』

数ヶ月間サイトを放ったらかしにしてしまい、その後も更新出来る目途が立たない。そうこうしている間に、ユーザーが離れていってコンテンツの投稿も少なくなる。


使っている人がいなくなったからもう閉鎖でいいかなと決断したり。



『疲れた』

主にリアル事情で何かあったのかもしれません。


本業が忙しくサイト運営が重荷になったなどの理由であることが多いように見受けられます。あとは誹謗中傷を受け、精神的なショックを受けたという例もあるようですね。運営をサンドバッグ代わりにする人も多いようです。


というかエッセイ見ていたら運営批判とかいっぱいあるし。運営なら何を言っても平気という空気があるのも問題かもしれません。



『荒らされた』

スパム投稿や誹謗中傷作品、運営批判などなどコンテンツとして楽しめないものばかりが投稿されるともうやる気も出なくなってしまいますね。




『利益がでない』


企業だと、多分これに集約されるのだろうと思います。

なんだかんだかんだビジネスですからね。利益がでないのならばある必要も内だろうということで。


出版系だと、出版を目論んでいたけどなかなか厳しいと。





あとはエンジニアがいなくなったというのもありますね。管理していた人がいなくなってしまったなど。


まぁそんなこんなでサイト運営をやめてしまう人もいます。



なんとなく小説を書いてる作家さんに当てはまるような気もしますが。作品という意味ではサイトも似たようなものなのかな。






さて、こうなれば閉鎖まっしぐら。閉鎖する前にサイトを売る人もいます。


サイト売買できるサイトもあって、色々なサービスが売られています。はじめからどこかに売る目的で作る人もいますね。


サイト売買は00年代後半からでき始めて、今では結構普通になりつつあります。


1から作るよりも既存の物を利用するほうが楽というのもあります。




サイトの価値判断の基準としては、収益性、アクセス数、コンテンツ数、ユーザー数、検索結果やページランク、ドメイン名などです。


小説投稿サイトとしてはアクティブユーザー数が多いとそれだけメリットがありますね。最近だと作っても集めるのが大変ですし。





サイト売買できるサイトとしてはこんなところはこんなところがあります。


サイト売買Z

https://www.site-z.com/


UREBA

https://ureba.jp/


サイトレード

https://site-trade.jp/


サイトキャッチャー

https://sitecatcher.net/


サイト楽市

http://www.site-rakuichi.com/


サイトストック

https://sitestock.jp/


個人開発のフリマ

https://devmart.jp/



こんな風に小説投稿サイトが売ってますね。



挿絵(By みてみん)




ユーザー4000人、月間10万PVくらいで100~200万。ほぼ開発費。追加でユーザーがついてくるので新規に作るよりはお得かも知れません。


まぁ技術や特色にもよりますけど。




こんな風にしてサイト売買により運営が変わったりします。閉鎖されるよりはましですが、利用規約が変わったりするので注意が必要ですね。



あとは売らなくても、事業の継承を持ちかけられるところもあるみたいです。


閉鎖宣言されてから、他の企業から打診があったり。ストリエやパブーなんかそうですね。


なにかしらの特色がある場合は拾ってもらえることがあるようです。



あと、この事典で紹介したサイトも売られています。


挿絵(By みてみん)


創作空間 nanamarche

https://devmart.jp/businesses/60



お値段は280万円だそうですね。

システムのみの販売ということで、開発費相当ということですかね。



挿絵(By みてみん)




こんな感じで投稿サイトは永遠ではない。それは当たり前のことだと思います。


いつまでもあるとは限りませんね。運営が変わったり閉鎖されることもあります。



今後の技術的な課題としては、i-modeの終了、SSL(HTTPS)対応があげられます。


これによって古いサービスもどんどん終了していくのでしょうね。



SSL(HTTPS)対応は小説家になろうにもお知らせが来てましたね。


画像設定項目見直しのお願い

https://blog.syosetu.com/?itemid=4091


これは簡単に言うと、httpから始まるサイトを使っていると、検索で不利になりますよということですね。早くhttpsに対応させないともう検索流入も厳しくなっていきますね。今後、これらの影響で非SSL(HTTP)のままになっている多くのサイトが死ぬのかなって思います。



今回調べたサイトで対応しているものは約66%でした。3分の1は非対応。特に掲示板系とケータイ小説系が非対応のところが多いかったですね。



挿絵(By みてみん)



もう少ししたら、古い技術のサイトは接続すらできなくなっていくのかも知れませんね。



投稿サイトは生き物なので管理や、アップデートを放棄した時点で衰退が確定してしまうのです。


できる限り、アップデートを定期的にやっている運営さんのところで活動したいものですね。

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