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スクールカースト

 マリオンちゃんに素敵なただひとつだけの姿を!


 と、意気込んではみたものの。

 一晩考えたぐらいでいい案など出るはずもなく。


 まぁ、ベッドにもぐりこんだら即落ち2コマだったんたけどね。


 けど、少ない時間で考えた結果。

『俺の理想の美少女になってもらおう計画!』

 は、破棄することにした。


 自分の容姿が好きとか嫌いってのもあるだろうけど、姿のない大変さってきっとそれ以上だろう。

 ミューリちゃん他、理想の美少女に未練はあるが、その前にマリオンちゃんに自分の姿を作ってあげないと!


 そのためにも一人で考えるなんて非効率なことはなし!

 みんなで考えよう!!


 ってことで、お昼を食べながら作戦会議である。


 今日はいつものメンバーだけで、マリオンちゃんはメフティルトちゃんとロズリーヌちゃんとで食べている。


 マリオンちゃんは普通の組み合わせで食べてるけど、メフティルトちゃんの前にはお肉が山積み。

 ロズリーヌちゃんは半熟卵1個と牛乳だけだ。


 モンスターっ娘ちゃんたちの食生活。

 めっちゃ気になる。


 いや、今はそれよりマリオンちゃんの姿である。


「昨日お義姉さまが言われた、平均の姿ってのはいい考えだと思うんですけど」

「結局うまくいかなかったわよねぇ」


 グローリアちゃんが俺の考えを褒めてくれるが、結果は散々だったよなぁ。


「平均をマリオンさんに出してもらったのがよくなかったんじゃないかな? どうしても偏りが出ちゃうだろうし」

「そうかも~。やっぱり仲良しの子の比率が多くなりそう~」


 エリヴィラちゃんの言葉に、ラウラちゃんがうんうんと頷く。

 確かに、モンスターっ娘成分が多い感じはした。


「だから~、私たちで大体の平均を出してから擬態してもらえばいいんじゃないかな~?」

「けれど、相当難しいと思う。平均を出すサンプルの数もいるし」

「うん~、そこはいい感じにあきらめていけないかな~。って~」


 エリヴィラちゃんとラウラちゃんの比較的賢いペアで意見がやり取りされる。

 この二人は結構成績がいいのだ。


 ちなみに俺ことレティシアは何度も言うが一番頭がいい首席である!

 が、それは俺ではなくレティシアの知識に頼る所が大半であるからして、成績はいいが応用が利かないのてある。

 残念。


「いい感じにあきらめる?」

「そうそう~。どうせ細かい顔立ちとかの平均は私たちには出せないでしょ~? だから体形とか数値に出しやすいのだけにするの~。そしたら後は顔とかだけに集中できていいでしょ~」

「確かに。簡略化できるところはするってことね」

「そうそう~。平均も大体で~、そんなにたくさんサンプル取らずに~」

「どうせ細かい調整は後ですることになるだろうし」


 おお、確かにそれはいい考えだ!


「じゃあ、それをやってみましょう!」


 思いついたことは片っ端から当たって砕けろだ。


「じゃあ、みんなの身長体重と、スリーサイズを書き出しましょ」


「え?」

「あっ」

「ん~?」

「それは」


 みんながギシッと固まる。


「いや、かしら?」


 あれ? これって女の子同士でもダメなやつだった?


「私が最初に書くわよ?」


 ランジェリーショップで上から下までぴっちり測って来たから、正確な数値を出せるしな。


「お義姉さまは完璧なプロポーションですから平気だと思いますけど……」

「スリーサイズまではちょっと」

「自分で言ったけど~、ちょっと嫌かも~」


 あ、女の子同士でもダメなやつなんだな、これ。

 ほら、何キロ痩せなきゃ―、とか楽しそうに話してるから女の子同士では結構オープンなものなのかと。

 ……数値は言えないけど、試着室侵入はOK?

 うむむ。境目がわからない難問だ。


「う~ん、ダメか~。体重とスリーサイズまで教えてくれるような子はスタイルに自信があるから~。偏った平均になるね~」

「先生に事情を話せば、身体測定の結果から平均だけは教えてもらえそうだけど、時間がかかりそう」


 むぅ。

 平均を参考にするには、入念な下準備が必要と言うことか。


「あのー、思うんすけど、マリオンさんが居ないところで作戦立てても仕方ないんじゃないっすかね? それは無理って言われたら終わりっすよ」


 おぉう。

 イルマちゃん、発言せずにもくもくと食べてると思ったら、ズバッと鋭いことを!


「言われてみればそうね。とにかくマリオンさんと一緒にいろいろとやってみるしかないのかも。時間がかかってしまうかもしれないけれど」

「いくら時間がかかっても、あたしは最後までお手伝いします!」

「私も、それまで喜んで姿を貸します」


 グローリアちゃんとエリヴィラちゃんが、すかさず協力を申し出てくれる。


「頼もしいわ。よろしくね」


 うん、みんなが協力してくれるし、まずはトライ&エラーで出来ることを探ることから始めるかな。


 ……早くマリオンちゃんに自分だけの姿をあげたいけれど、こうしてみんなで協力して何かをする。

 ってのも、結構楽しいかも。

 うーん、悩ましいなぁ。




 やっとのことで放課後がやってきた。

 マリオンちゃんの姿を作るための時間である!


「マリオン、帰るよ」

「はぅ」


 メフティルトちゃんに声をかけられ、マリオンちゃんがきょろきょろとあたりを見回し、俺と目が合うと困ったような表情を浮かべた。


 メフティルトちゃんは家柄がめっちゃいいんだよな。

 断るの難しかったりするのかも。


「メフティルトさん、ごめんなさい。マリオンさん私たちと約束があるんだけど、急ぎの用事かしら?」

「ん? いや、別に違うけど」


 メフティルトちゃんは、怪しい人でも見るみたいにじろじろと俺を見る。

 実技の時にあぶれ組で一緒ではあったけど、まともな会話はしてないもんなぁ。

 彼女は目立つから俺は一方的に知ってるけど、メフティルトちゃんからすれば『誰だよこいつ』だよな。


「マリオン。約束なんかあったんだ」

「ぁの、姿を作るに協力してくれてるんです」

「ふーん。2日続けて同じ姿してると思ったら、そんなこと始めてたんだね」

「はい」

「いんじゃない。がんばんなよ」


 メフティルトちゃんはそれだけ言うと、鞄を持ってロズリーヌちゃんと教室を出て行った。


「メフティルトちゃんと先約があったなら、今日はいいのよ? 続きは明日でもいいんだし」

「いえ、約束があったわけじゃなく、ずっとそうしてもらってたんで」


「いいの~?」

「ヤバくないっすか?」


 ラウラちゃんとイルマちゃんが心配そうに言う?


「なにが?」

「問題でも?」


 グローリアちゃんとエリヴィラちゃんは不思議そうに聞き返す。


「いやー、だってマリオンさんメフティルトさんたちのグループだったんすよね? 一方的に抜けるみたいになって平気っすか?」

「何かやなこと言われたりしない~?」

「あ、えっと……」

「は? 何よグループって。そんなの気にする必要ないでしょ?

「別に、何もしなくても言われるときは言われるでしょ?」


 イルマちゃんラウラちゃんは心配顔だが、グローリアちゃんとエリヴィラちゃんは相変わらず怪訝そう。


 グローリアちゃんはスクールカースト上位にいるから、グループとかなんだのとは無縁すぎて認識してないのか。

 そんで、エリヴィラちゃんはカースト外にいたから、気にする必要はなかったみたい。

 レティシアもカースト外かなー。

 年上の同級生とか、腫物みたいなもんだもん。


 というわけで、俺らはあんまり気にしないが、


「マリオンさん、本当に平気?」


 ちょっと心配になって来たぞ。


「はい。へーきだと思います。メフティルトさんとロズリーヌさんは……じゃなくて、ドラゴン族とサキュバス族は群れるタイプではないので」

「群れるタイプ?」


「えーっと、種族の習性みたいなもんっす。ワタシらみたいな獣人系は群れる傾向があるんすよ」

「そう~。もっと獣の血が濃い種族は、がっちり種族同士でしかつるまなかったりするけど~」

「ドラゴン族とかサキュバス族とか、古来単独で狩をしていた種族なんかは単独行動を好むんすよ」

「へぇー」


 勉強になるなー。


「二人とも一人行動の方が好きなんですけど、アタシのために一緒にいてくれたんです。スライムは嫌われるので」

「え? そうなの!?」


 なんで? こんなにかわいいのに!!


「はい。知性のあるスライムは少ないですし。知性のないスライムが人を襲うことも多くて、その被害にあった人も多いですから」

「知性のないスライム……」


 レティシアの記憶の中から出てきたのは――

 スライムとはじめじめして温暖で暗い場所で増えて通りがかりの生き物にかぶさって窒息させるモンスター。

 って知識ぐらい。


 レティシアの地元は高原で結構涼しいところだったので、いなかったみたいだ。


「擬態がうっかり解けちゃったりすると、駆除されてしまう危険があるのでメフティルトさんたちに用事がない時はいっしょにいてくれたんです。……あ、もちろん学園内では平気です! けど、入学前からそうだったのでなんとなく続けてくれていて」

「まぁ、やさしいのね」


 メフティルトちゃん、ツンツンしているように見えて友だち思いか!

 萌える!

 推せる!


「ワタシ、スライムですけど、ちゃんと考えられますしっ。生き物襲ったりしませんしっ」

「ふふっ。そんなことわかってるわ。それより、メフティルトちゃんてお茶は好きかしら? あのね、家のお茶はとってもおいしいの。一緒にお茶会に来てくれないかしら? ロズリーヌさんもお茶は飲む? ミルクティにもできるけど?」


 マリオンちゃんの友達なら、もう俺の友達―!

 ってのはいくらなんでも乱暴だが、そんな優しい子ならきっと仲良くなれると思うんだよな。

 ぜひとも仲良くしてほしい!!


「あ、はい。聞いておきます! お茶会、ぜひ行きたいです!!」


 ひゃっふー!

 お茶会メンバーに少なくともマリオンちゃんはゲットだぜ!!

 んー、しかし部屋でやるには限界が近づいてきたな。

 場所を探す必要があるかも。

 今度、リゼットちゃんに聞いてみよー。


ネタバレしてしまいそうなので、感想のお返事止まってます。

ですが、ちゃんと読んでます!

とても嬉しいです、ありがとうございます。


あと、誤字報告、めっちゃ便利ですね。

こちらもありがとうございます。

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[気になる点] マリオンちゃんにレティシアを擬態してもらえれば 夢が叶いそう
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