もう限界!
「だめ! しゃべるの禁止!!」
真っ赤な顔のグローリアちゃんがぴしりと言い、マリオンちゃんはぴたりと黙る。
ぷにょぷにょの動きもそれに連動したのか、少しおとなしくなる。
「ふぁ、もう……こんなのっ、反則っすよぉ」
お尻だけ高く上げた状態で、ぷにょにうつ伏せに沈み込んでいたイルマちゃんがなんとか腕を立てて起き上がろうとする。
耳もぺたんと垂れ下がり、いつもぶんぶんと振られているしっぽも、べっちょりと濡れて重そうに太ももに張り付いている。
手をついて四つん這いで、ぬちょぬちょゾーンから抜け出そうとするが、
「ほわん!」
手を滑らせて、ぬちょぬちょのラウラちゃんの上にダイブ!
「ふにゃー!?」
「ごめんっす!!」
「もう、アナタたちなにやってんのよ。ほら、みんなで集まって支え合えばいいの!」
「は! グローリアさん流石っす!」
「にゃんでもいいから、もう出る~!」
グローリアちゃんの提案で、三人は寄り添い支え合い脱出を試みるが、
「ちょっとぉ! どこ触ってるのよ!?」
「いや、支えようとしたら滑ったんすよ!! わふん! しっぽはダメっすぅ!」
「どこもぬちょぬちょでつかめないにょ~」
三人で支え合うはずが、触るところ触るところぬちょぬちょで滑って、お互いの体を撫で合う結果になってしまう!
きゃんきゃんと騒ぎつつ、その手は止まらず互いり体をまさぐりあう。
百合と言うにはちょっとハードだが、またこれも良い!
エリヴィラちゃんは、三人の様子から学んだらしく、一人少し離れたところでまず自分の体についたぷにょぷにょを剥がしにかかる。
手のひらで体を撫でて濾し取るように。
ゆっくりとだが確実に……
「ごめんなさい……」
「ぅうんっ」
小さなマリオンちゃんの声にエリヴィラちゃんは、ふるりと体を揺らす。
「いいのよ。わざとじゃないんだから」
何でもないように言う声が、少し上ずっている。
エリヴィラちゃんは両腕のぬちょぬちょを剥がし、次は首からゆっくりと下に手を滑らす。
透明なピンクがぷにょぷにょと揺れながら、白い手に濾し取られ肩に到達した時。
「え?」
ふつりとブラの肩ひもがちぎれた。
と、同時に濾し取られて集まっていたこぶし大のぷにょぷにょの塊がポロリと落ちて肩ひもがとれてちょっと隙間ができていたブラとおっぱいの間にダイブ!
「きゃ!」
ぷにょの重さと落ちた勢いでカップがぺろりとひっくり返り――
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ぬおぉぉぉ!
ここまでか!
ここまでなのか、俺の想像力は!!
想像力に限界はないはずだが、やっぱ知らないものはうまく妄想できないよなぁ。
昨日実物をいっぱい見たので、妄想の中でも下着のディティールはなかなかのものでしたがね!!
しかし、百合というにはちょっと即物的すぎか。
スライムの女の子と言う存在にテンションが上がってしまったが百合はもっと優しく見守るべきで、ただ女体を見たいと言う気持ちでの妄想では精度が悪い!
修行が足らんぞ、俺!
「だから、安心してください」
「え?」
あー、ちょっと思考が遠いところに行っていたけど、マリオンちゃんが生きてるものは溶かせないって話をしていたところだったな。
「ええ、ええ。心配してないわ。マリオンちゃんがどんなに溶かそうと頑張ったとしても、溶けるのは服ぐらいってことよね」
「服と、ちょっと体の表面とか」
「汚れや角質ね」
「はい」
んん? それって垢すりとかと同じじゃね?
んで、垢すりよりも刺激が少なくてよさそう!
と言うことはですね、女の子スライムとこう、ぬちょぬちょ全身絡み合うことでお肌がすべすべになるエステ効果を得られるということで!!
これは広めなくてはいけない事実では!?
再び思考が妄想の世界に飛び立ちそうになる。
「それだけならいいんですけど、爪や髪の毛の表面が解けますから、スライムにはうかつに触らないほうがいいですよ。ワタシは表面の強化をしてますけど、思考能力のないスライムは触れたもの何でも溶かそうとしますから」
「あら、気を付けるわ」
ぬぅ。
爪や髪がボロボロになるのはいただけないな。
スライム少女と戯れるだけで、女の子が可愛くなるって素敵な循環が出来上がるかと思ったのだが。
ままならないものだなぁ。
「けど、それならマリオンちゃんを触るのは何も問題がないってことね」
「そうですけど、スライムなんか触らなくても」
「ええ~? 触りたいわ。こんなにかわいいんですもの」
たぶんここが頭かなーってところをなでなで。
うおー、ぷにぷにすべすべー!
異世界転移バンザーイ!!
「う、う、う~」
マリオンちゃんがプルプルと震える。
かぁー、このスライムしぐさ、たまりませんのぅ!!
「あの、お姉さま」
エリヴィラちゃんが袖をつんつんと引っ張ってくる。
「そろそろ先生が来ます。席に戻らないと」
「あら、もうそんな時間? じゃあ、またあとで」
俺は名残惜しくマリオンちゃんを椅子に置く。
マリオンちゃんはフルフルと震えたかと思うと形を変え、何んとなーく人間っぽい姿になってから、表面が小刻みに震えてピンクで透明なエリヴィラちゃんになり、それからじわりと色がつく。
寸分たがわぬエリヴィラちゃんの出来上がり!
これが30秒ほどの間に起こるのだ。
すっげー。
すっげ!
マジすげー!
時間があったら、もう一回! ってお願いしたいところだ。
だが、モーリア先生がいつ来てもおかしくない時間だし、あんまりガツガツ行って嫌われちゃったら悲しいもんな。
「本当にまたあとでね!」
念を押して、後ろ髪引かれまくりで席に戻る。
ほぼ同時にモーリア先生が教室に入ってきた。




