お買い物・エンド
エダには俺の時以上にいろいろ試着してもらって、洗い替えも含めた普段使いのブラを選ぶ。
「これ、つけやすくて好きです」
何回目かもう忘れた試着でエダが試着たブラは、オレンジのチェックに白のフリルがついていて、胸の間と肩ひもにチェックよりちょっと濃いめのサテンリボンを使ったもの。
ううーん、かわいらしさとさわやかさが同居し、ビタミンカラーがエダの元気なイメージとマッチします!
いい!
前に着けたのも、その前につけたのも良かったけど、これもいい!
全部いい!!
ああ、俺に無限の富があれば、この店ごと買い占めるのに!
だがしかし、コレがいいアレがいいと悩むのもまた良き。
難しいところである。
「あ、これレティシアちゃんのとおんなじね」
リゼットちゃんに言われてよく見ると……
「あら……本当ね」
これ俺が最初につけてみた紫のブラの色違いだ。
ぬぅ、ブラはおっぱいがちっちゃい方が可愛いってのは理解したつもりだったが、こうして色違いとはいえ同じものを着けてもらえばさらに際立つ!
完全に別物!!
とはいえ小さい胸のブラはめっちゃカワイイが、大きな胸のブラもまた素晴らしい。
ちょっと古いが、セクシーなのとキュートなのとどっちが好きかって問題であって、そんなもん両方大好きに決まってるだろうが!
「レティシア様、そんなに見られたら恥ずかしいです」
エダは胸を隠してくるりと後ろを向いてしまう。
むっ! 細い背中のブラのバックスタイルもまたいい!
いいんだが、ちょっと細すぎないか?
うーん、エダの雇い主としてもうちょっと健康的にするべきでは?
もっとしっかり食べさせよう!!
「ごめんなさい。でも似合っているし、着け心地もいいならそれも買いましょう」
「レティシア様と同じものだなんて、恐れ多い!」
「そんなことないでしょう?」
「いえ、いえ! いけません!」
えー、別にいいのにー。
「じゃあ、わたしとおそろいならいいんじゃない?」
助け舟を入れてくれたのは、またしてもリゼットちゃん!
「うふふ。これならわたしのサイズもあるの」
と、最初に店員さんが用意してくれてたリゼットちゃんサイズのブラから、ライムグリーンのチェックのブラを取り出す。
むむ。
アンダーが太かったり、肩ひものリボンが太くて二本になっていたりするけど、たしかにおそろい!
「友だちのわたしとのおそろいならいいでしょ?」
「そんな、リゼット様とお友だちだなんて!」
「違ったの? 勘違いしていたかしら?」
「いえ、そうではなく!」
「ふふ。じゃあお友達でいいわよね」
リゼットちゃんの方が一枚上手!
「じゃあ、私も試着して……」
リゼットちゃんは並んだ試着室を見るが、俺たちが来てから、他のお客さんも増えていて試着室はいっぱいだ。
「ちょっとお邪魔していい?」
「あ、はい」
リゼットちゃんがするりとエダの試着室に入る。
え?
ええ?
ええええ?
何それ、アリなの?
アリなの?
「あ、お背中下ろします」
「ありがとう」
エダもするっと受け入れてるし!
そりゃリゼットちゃんは誰とでもすぐ仲良くなるし、スキンシップも多い子だし、エダはメイド経験長くて人の着替え手伝うとか当たり前だけど、アリなの?
今日会ったばっかで距離近くね!?
女の子の距離感ってこんなもん?
「よいしょっと……エダちゃん、そんなに見られたらわたしだって恥ずかしいわ」
「すいませんっ!」
「冗談よ。わたしも見たしおあいこよね」
「そういって頂けると……すいません、おきれいで見とれてしまいました。リゼット様とても肌がおきれいでうらやましくて。私は胸にもそばかすが出てしまって」
「気にすることないのに」
そうだぞ!
エダのそれはチャームポイント!!
「触ってみる?」
「ええっ!?」
えぇえええぇぇぇ!?
「ちがった? 着替えてると触ってみたいって子が多いから。つい」
「あ、そのっ。さわってみたいです……」
「女の子同士なんだから、そんな緊張しなくていいのに」
いや、女の子どうしだからこそなのですよ!
そうやって、女の子同士なんだからいいんじゃないって言いながら、ドキドキするあれがっ!
「失礼して」
「はい」
え? 失礼したの? してるの?
「あったかい」
何その反応。
新鮮……。
「小動物でも触ったみたいな反応ね」
「小じゃないです、おっきいですっ」
「そういう意味じゃないんだけど」
「はわわ、そうですよね!」
おー、リゼットちゃんの余裕っぷりと、エダの緊張から慌てっぷり、いいですな。
にしても、「やーん。〇〇ちゃんたらおっぱいおっきぃー」「××ちゃんこそー」「揉ませて―」「いやーん」って、着替えの時間に漫画でありがちシチュエーションとかは、少なくとも俺のクラスではなかった。
(それは壁を眺めながら着替えていても、背中から聞こえてくる声でわかるのだ)
そんな現実には存在しないと思っていた、キャッキャウフフ空間はここにあったのだ。
「リゼットちゃん、どう?」
試着室のカーテンがちょっとだけ開く。
その、試着室にしては広いけれど、狭い空間に上半身ブラのみのエダとリゼットちゃんの姿が見える。
褐色小さ目形ヨシ、ぱらりとそばかすチャーミングなのオレンジチェックブラのエダと、白い肌に暴力的なまでのボリューム、ブラからあふれんばかりの上乳にうっすらと浮かぶ血管の色がセクシーなライムグリーンチェックのリゼットちゃん。
おっぱい圧が強い!!
中と言うよりは大きめだが、リゼットちゃんがいるおかげで中にしか見えないだろう紫チェックのレティシアを混ぜたい。
混ぜたい!!
混ざりたいのではなく混ぜたいのだ。
だが、レティシアは俺!!
ジレンマ!!
「うん。いいわね。みんなでおそろいなんて素敵」
みんなで並んでるところ、俺見れないんだけどね!!
血の涙を流したい所を、なんとか笑顔で返した俺を誰か褒めてほしい!!
だから、本当に本当に、何度でも言う!!
視点変更ボタンの実装を早くしろ!!
エダのブラも決まって(もちろんパンツもセットで!)お会計。
いやー、下着とはいえ二人分となるとすごい量で、お値段もドキドキするぐらいになったね!
後悔してないけど!
リゼットちゃんのも入れると、ほんとすごい値段になったからか、店員さんがお店の外まで包んだ袋を運んでくれた。
なんかVIPな気分である。
その後、リゼットちゃんの案内でエダの服を買いに行ったけど、体力の限界で服屋ではとりあえず1枚買っただけで寮に戻ってしまった。
いやー、試着があれほど疲れるなんて知らなかった。
夕食たべてお風呂入ったらスコーンと眠ったよ。
もう即落ち。
「レティシア様、レティシア様。起きてください」
「ん……おはよう、エダ」
エダの声に目覚めると、いつもの朝。
リビングの方では朝食の用意がされていて、紅茶の香りがする湯気が立っている。
「あら? エダ昨日買った服は?」
一着しか買えなかったけど、メイド服としても使うのによさそうなワンピースを買ったんだけど。
「あれは、特別な時用に取っておきます」
「そうなの」
「はい、この服も私のお気に入りですから」
うーん、確かにそれも似合ってるけど、新しいのも特別な日と言わず、いつでも着てほしなぁ。
ま、一着しか買えなかったから仕方ないか。
だが、俺は見逃さない。
まな板もいいところの、希少価値と言っていいほどストーンだったエダの胸がふっくらとしていることを。
昨日買ったブラのどれかがあの下に……
うむ。
「あ、エダ。私にもエダとおそろいの下着出しておいて」
「はい」
すぐに出てくる紫チェックのブラ。
と、言うことは……
「おそろいかしら?」
「は、はい……」
ちょっと目をそらして、小さく頷く。
おおう、やはりそのメイド服の下にはオレンジチェックのあのブラが。
パンツもセットで買ったので、もちろんですよね!!
……あー、尊いわぁ。
エダとおそろいってだけで、今日一日笑顔で過ごせそうだわ~。
いや、もしかしたらリゼットちゃんともおそろいかもしれぬ!
教室でこそっと聞いてみよー!!
下着ひとつで気分が上がる。
うむ、かなり上がる。
ものすごく上がる!!
女の子にとって、見えないオシャレとはこれほど大切なものであるのだと、俺は知ることができた。
TS転生して学ぶことはたくさんある。
これからもしっかりと学んで、百合妄想に生かしていこう!!
おー!




