お買い物・4
「レティシアちゃん、どう?」
「サイズはよかったですか?」
試着室の外から、リゼットちゃんとエダの声がする。
「う、うん。よかったみたい」
よかった……けど、何か大事なものを無くしてしまった気がする。
いや、大事なものを得たのか?
失ったのか、得たのか。
失ったから、得ることができたのか。
よくわからんが、とりあえずえおっぱいのボリュームは増えた。
「もう、どれにするか決まった?」
「今着けているのでいいと思うんだけど」
「どーれ?」
しゃっとカーテンが少しだけ開けられ、リゼットちゃんとエダの顔が見えた。
おえぇえぅぇぇ!?
なんで開けましたあぁぁぁぁ!?
「あっ、かわいい!」
「はい、よくお似合いです」
なんでそんな普通に話してますか!?
ん、んんー。
特に恥ずかしがることはないのか?
リゼットちゃんとはパジャマパーティとかしちゃう仲だし(中身俺になってからはまだだけど。誘ってはもらっているけど、スケジュールがなかなか合わないんだよなぁ)。
エダに至っては体力戻ってない時にはお風呂の手伝いまでしてもらったからね!
あ、もちろんエダはメイド服着用だからな!!
そう考えると、今更下着を見られたぐらいで騒ぐのもな。
布面積もビキニ水着と変わらないし、水着を選んでいると思えば恥ずかしくはないな。
「これでいいかしら?」
「そうね、じゃあもそれはキープして。次はこれなんかどうかしら?」
と、店員さんが積み上げていったブラの山から、リゼットちゃんが引っ張り出したのは、黄色い小花柄のブラ。
レースとかはついてないけど、生地がギャザーになっていて、胸の谷間にはなんかテラテラした大き目のリボン(っと、レティシアの記憶からサテンリボンと言う名前が発掘されたぞ)がついている。
「これもお似合いになると思います。色もいいんじゃないでしょうか?」
エダが選んだのは、全体にふんだんにレースを使ったブラ。
色はなんとワインレッドです!!
エダ、意外と大胆!!
「あ、いいわね。ワインレッドは意外と透けないし」
「はい、レティシア様には白がお似合いだと思うんですが、白は」
「ものすごく透けるものねぇ。わたしも油断するとベージュばかりになっちゃって」
「機能性から見ると正解なのですが」
ほほう。
透けるとな。
わかる。
確かに白は透ける。
なんでわかるかってーと、中学の夏服が白シャツだったから。
下に着たシャツが透けるんだよな。
白シャツより色付きの方が透けないのは、実証済みである。
……今、女子の透ブラの話すると思った?
そんなもん、そんなもん!!
見たかったけど!! 見てるのバレてキモイとか言われて遠巻きにされるよりは、人畜無害の空気になって百合のそばにいることを選んだのだ俺はあぁぁぁ!!
しかし、二人に選んでもらえるのはうれしいな。
「じゃあ、このみっつに決めようかしら」
「決める前に試着しなきゃ」
「え、もうサイズはわかったけど」
「ダメです。デザインによってサイズは微妙に変わりますから、ちゃんと試着しないと」
「そうなの?」
「そうよ」
「そうです」
「そうですよぉ」
リゼットちゃんにエダ、最後は店員さんまでに言われてしまっては俺に逆らうことなどできない。
あれこれあれこれ、次々に試着をさせられ、すべてのデザインをリゼットちゃんとエダにチェックされ、何度か店員さんにおっぱいを寄せられ……なんとか五枚にまで絞り込んだ。
疲れた。
マジ疲れた。
ブラの試着がこんなに疲れるとは。
「それでは、この五枚で、あ、セットのショーツはありますか?」
「もちろんですぅ」
エダに聞かれて店員さんはブラとセットのパンツを選び出す。
こんなにいっぱいある中から迷いもせず! すげぇ。
ううーん。
ブラとセットのパンツ。
いいねぇ。
そろってるとかわいさが段違いだよな。
とはいえ、そろってないのもそれはそれでグッときます!
レティシアはそろっていてほしいな。
今使ってるのもそろってるし。
リゼットちゃんはそろってないかも。
オーダーブラがブラだけだったもんね。
うーん、パリッとした隙にのないシスター服の下にちょっと隙がある。
……イイじゃないか。
エダは……
そうだ。
「エダはいいの?」
「何がですか?」
「ブラ……」
って、何、言ってんのおぉぉぉぉ!!
エダ、めっちゃまない……スレンダーじゃん。
ブラなんて――
「あ、私はさらしで押さえてますから」
「え? さらし?」
「はい。背筋が伸びるしいいですよ」
いや、いいわけないだろ。
そんなさらしとかなんで……
と、レティシアの記憶が引っ張り出された。
使用人の服は、主人がすべて支給する。
つまり……
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次回、ちょっと濃厚めな妄想から開始予定です。




