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お茶会準備中

 えー、本日はー!

 皆さんにー、言いたいことがー、ありまーす!


 俺の部屋に女の子が来るぞオラァ!!


 俺の!


 部屋に!


 女の子が来るの!!


 です!!


 いや、もちろんエダはいつもいるけどね。


 エダはメイドでここに住んでるし、なんていうか妹みたいな感じなんだよなぁ。

 スール的なのじゃなくて、家族的な妹。


 まぁ、妹っても俺よりずっとしっかりしてるんですけどね。


 今回のお茶の講習会も快く引き受けてくれた上に準備に奔走している。

 寮の厨房を借りて大量のスコーンを焼いて、人数分の食器を借りてきたり大忙しだ。


 うん、そうだよな、人数分の食器はないよな。

 お客様用にそこそこの数のカップはあるけど、俺と―、エダと―、グローリアちゃんとー、ラウラちゃんとー、イルマちゃん。

 そんでエリヴィラちゃんだからなぁ。


 リゼットちゃんも呼びたかったけど、クラスの子が来るなら~と遠慮されてしまった。

 理由はわかるけどちょっと寂しい。


 まぁ、この部屋に七人はきついからよかったのかな?

 つか、六人入るってのも相当だけど。


 最初はメイドさんも連れてきて、お茶の淹れ方のレクチャーって話だったけど、さすがに人数的に無理っ。

 今回はお茶会としていろいろ試して、好みの茶葉を見つけてもらってからエダがそのお茶に合った淹れ方をグローリアちゃん所のメイドさんにレクチャーと言うことになった。


 ちぃぃっ!

 グローリアちゃん所の大人なメイドさんたちに、専属メイドとしては若いエダがレクチャーするって絶対、なんかこう!

 素敵すぎるやつでしょ⁉︎?

 なんとかエダがレクチャーに行くときについていけないか、今から作戦を立てておかねば!


「このくらいで足りるでしょうか?」


 エダが焼いてきたスコーンは、一個がコンビニおにぎり以上の大きさがある。

 それが大皿に山盛りあります。


「すごくおいしそうだけど、さすがに多くないかしら?」


 一人三個以上はいきわたりそうだ。


「食べ盛りの女の子たちですよ。このくらいすぐなくなります。後はビスケットも

 取り寄せましたし、ジャムは三種類ぐらいでいいでしょうか?」

「十分じゃないかしら? もしかしたら何か持ってきてくれるかもしれないし」


 グローリアちゃん、最近お菓子作りにはまってるみたいだしな。


「その時はその時です。お茶菓子が足りない事態にだけはできませんから」

「そう」


 そういうものなのか……


「ヴェロネージェ家はすでに大口の顧客ですが、グローリア様が気に入っていただければさらに拡大を望めます。それに分家のお嬢様方もいらっしゃるとか。手は抜けません」


 お、おう。


「それと、エリヴィラ・ストルィギナさんも来るわ」

「お名前からすると遠方の方ですね。ええ、ファラリス家のお茶を広げるチャンスです」


 さすがエダ。

 たっのもしー。


「けれど遠方の方のお好みに合うかどうか、少し心配ですね」

「大丈夫よ。エダの淹れるお茶はおいしいもの」

「お世辞でも、レティシア様にそういって頂けると自信が持てます」

「あら、お世辞なんかじゃなくってよ?」

「まぁ」


 ちょっと顔を赤くして照れながらも、準備の手は止めない。


 ほらあのアフタヌーンティーって言うの? なんか豪華なお茶会に出てくる三段になったお皿にスコーン積み上げてさらに高くし、ビスケットも並べ、色とりどりのジャムだのクリームだのも配置。


 ……これ、タワーですわ。

 お菓子のバベルの塔だわ。


 お菓子以外にもポットや薬缶がずらりと並び、なかなかすさまじいことになっている。

 でも、とにかく準備は完了したようだ。


「ふぅ。ギリギリでしたね」

「もうそんな時間だったの」


 時計を見ると約束の時間はもうすぐだ。


 と、ドアの向こうからごそごそ音がする?

 近づいてみると、小さく話声が聞こえた。


「もういいんじゃないっすか?」

「だめよ! 約束の時間から五分遅れてがマナーでしょう!」

「今時そんなマナー誰もしらないよ~?」

「そうなの!?」

「遅れたら遅刻じゃないんすか?」

「そうかも……早かったらマナー違反で、遅かったら遅刻!? じゃあ、どうすればいいのよ!?」


 グローリアちゃんたちだ。

 つか、マナーとかそんな気にすることないのに、やっぱりお嬢様には重要なことなのだろうか?


「時間ジャストにノックすっかね?」

「それよ! ラウラ、時間見てて!」

「わぁ~、それ~、すごくめんどくさ~い」


 うん、気になるから早く入ってください。

 エダの方を見ると、無言で頷いてくれた。

 よし、開けよ。



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