表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/146

本格的にいじめが始まりました……か?

 いじめなど最低なことである。

 最低なことなんだ。

 最低なんだよなぁ?


 うん、今俺は、いじめを受けている。

 キツネ耳しっぽの金髪赤リボンツインテツンツンの設定盛りすぎ委員長2号こと、グローリアちゃんと、その取り巻きに。


 取り巻きその1は、こげ茶の髪に白と黒のメッシュが入った髪に猫耳猫しっぽのラウラ・ノーゼちゃん。


 猫耳だけに三毛の髪は猫っ毛でさらふわ。

 肩位まで伸ばした髪がぺたんこになってしまうのを気にしている様子で、ちょこちょこと前髪をいじっている。

 金色の瞳は瞳孔が縦になった猫目なんだけど、形はたれ目でちょっとまねき猫を彷彿とさせる。


 取り巻きその2はイルマ・ロレンツィちゃん。


 褐色の肌に映える真っ白な髪をショートヘアにしている彼女は……もふっとした犬耳しっぽ。

 真っ青な瞳に、黒のバサバサまつげなアーモンド形の目。

 ハスキー?

 この子のわんこ成分は絶対ハスキー犬だ!!


 うむ。取り巻き二人ともカワイイ。

 グローリアちゃんも性格はともかく外見はめちゃめちゃカワイイ。


 再度言おう。

 俺は、このモフモフ三連星にいじめを受けている。

 グローリアちゃんは委員長だし家柄的にも上の方なので、周りの子たちは心配そうな視線を向けてはくれるが、助け船を出すことはできないようだ。


 クラスで孤立無援の俺に向かった、いじめの内容とは!



 食事中に無視!

 さらに楽しそうに内緒話!


 ……うん?


 昼食は給食で、パンとスープと自分の好きなメインと小皿ふたつを選ぶって言う、なかなか豪華なもの。

 ちなみに残ったのは、寮にいるメイドさんたちの食事になるそうだ。


 仲のいいものどうし、机をひっつけておしゃべりしながら食べるのは、どこでも見られる光景なのだが……


 グローリアちゃんたち三人は、一人で食べる俺の目の前に机を引っ張ってきて、仲良しっぷりを見せつけるように食べている。


 いやーん。

 一人で食事をするなんて寂しすぎるぅ。

 グローリアちゃんうらやましいっ。

 くやしいっ!


 って、なんないです。


 むしろ狐っ娘、猫っ娘、犬っ娘が仲良くキャッキャッしながらご飯食べている様子を特等席で眺められるこの状況! ごちそうさまです!!


 時々勝ち誇ったの×1と、申し訳なさそう×2な視線がこちらに投げられるの、ごちそうさまです!!


 このみっしりとしたパンが食べづらいかと思ったけど、こりゃあ食が進みますなぁ!!


 こっちの悪口を言うのを演出したいらしく、顔を近づけて内緒話。

 犬っ娘と猫っ娘が内緒話。

 ちらっとこっちを見てクスクス。

 あ、パンおかわりしていいですか?


 なんか悪口を言おうとしているんだろうけど、この二人も悪口の語彙がないらしく、二人でキスできるぐらい顔を近づけては――


「ヒソヒソヒソヒソ」

「ひそひそひそひそ」


 ほんとに「ひそひそ」言ってるぅぅぅ。

 悪口のボキャブラリーないからって、本当に「ひそひそ」って!

 なにこの純粋にちょっとアホな感じ。

 尊いわぁ。

 あ、パンのおかわりは……さすがにお嬢様だしやめとこうか。

 まだ食べられますけどね!!


 ちなみにグローリアちゃんはなんとか悪口を言おうとするらしく、しっかりこちらを見ては、

「年増が」

 と、ぶつぶつ。


 うん、その悪口もう聞いたよ。


「貧乏領主の娘がお兄様となんてっ。貧乏なのにっ」


 うん、グローリアちゃん伯爵家の筋らしいもんね。

 それに比べたらこのクラスの半分貧乏人だから。


「年増」


 だから聞いたって。


「貧乏領主」


 うん?


「年増なのに」


 ……あの、グローリアちゃん、悪口のボキャブラリー、もしかしてそれだけですか?


「貧乏……」


 うわあぁぁぁぁ!!

 この娘、本当に悪口のボキャブラリーこれしか持ってない!!


 いじめられている立場なんですが、もうこの娘かわいいです。

 クラスメイトに花瓶ぶつけてケガさせる可能性があったことについては怒らないといけないのだが。


 やばい。

 怒りが溶けてしまう。

 完全になくなってしまう!!


 うおー!

 敵なのに憎むことができないっ!!

 愛しさしかわいてこない!!


 グローリアちゃん一味……なんて恐ろしい敵なんだ!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ