●ブレイク・確認!
「来てくれて嬉しいわ。お茶とお菓子……はもう準備済みね。さすがエダ。ありがとう」
エダさんは無言でぺこりとお辞儀。
当然って顔してるけど、ちょっとにやけてるっすね。
「ところで、みんな急にどうしたのかしら? 今日は何も約束はなかったはずよね?」
「それは! お義姉さましっぽ――」
グローリアさんそんないきなり行くっすか!?
「に、ついてどうお考えですか!?」
いいっすね!
そーっすよ、ちょっとは落ち着いて行動しないと!
「しっぽ? しっぽ、ねぇ」
う……腰のあたりに視線が。
しっぽですか? しっぽ見られてるんすね?
アタシのしっぽは二人に比べたら短い方だし、前から見られても見えないと思うんですけど、それでもなんかくすぐったい気分で……
グローリアさんとラウラのしっぽも、みょーに恥ずかしそうにパタパタしてる。
すっと、レティシアさんが目を閉じ、大きく息を吸いゆっくりと吐き出す。
「ものすごくかわいいと思うわ!」
もんのすごく力強く言ったっすね。
「いいわよね、しっぽ。お耳もかわいいけどしっぽもかわいいわ! グローリアさんはモフモフ具合が最高ね。毛並みもすごくきれいで動くたびにつやつやしてるのがわかるの。きっとすごくお手入れに気を使ってるんでしょうね」
「わ、わかってもらえます!?」
「わかるわよ。ラウラちゃんの長いしっぽはとてもセクシーよね。しっぽの動きにまで気を使ってるんじゃないかしら?」
「ん~……まぁ~、人並みには~?」
そうなんすか!? ラウラそんなこと考えてたんすか
「イルマちゃんは」
「や、アタシは」
二人と違って褒めるとこないし無理しなくていいっすよ?
「ラウラちゃんとは違う意味で動きがかわいいわ。イルマちゃんのしっぽがパタパタしてるのを見ていると、私もなにかうきうきしてしまうのよ」
「そ、そっすかぁ?」
うえー、そんなとこ見られてたっすかぁ。
「いやー、アタシのしっぽ結構勝手に動いちゃうから、あんま好きじゃないんすよね。しっぽバンドとかちょっといいなぁって思ってるぐらいで」
「しっぽばんど?」
「しっぽが動かないように止めとくやつっす。しっぽに全部感情出ちゃうのとかクールじゃなくてかっこ悪くないっすか? 子供みたいで恥ずかしくて」
「そんなことないわ! そのしっぽバンドを検討する姿勢はものすごくかわいいけど、実際の導入は反対よ! せっかくのチャームポイントを隠しちゃうなんてもったいないわ!」
「そ、そっすか?」
もっとしっぽも落ち着けて! なんて親とか家庭教師先生に言われまくって来たんで、これを褒められるのは……なんか、めちゃくちゃくすぐったいっす!
うへぇ、しっぽパタパタしてるっすよ! 恥ずかしい!
「エダのエプロンのリボンもね、フワフワなびいてしっぽみたいでかわいいなーって思ってたの」
「そ、そうですか? しっぽ……かわいいと思ってもらえたならうれしいです」
もじもじするエダさん、さっきの大人っぽさはどこに行ったのか、なんかアタシから見ても守りたくなるかわいさっす!
「お姉さま! 私にはどんなしっぽが似合いますか!?」
エリヴィラさんがレティシアさんに詰め寄る。
「やわらかい素材をつかうか、なめらかに稼働するように関節をたくさん入れたら、ゴーレムでしっぽアクセサリーが作れるはず! すらりと長いのも、モフモフも、ドラゴンみたいに力強いのも思いのままです」
「マリオンも! マリオンだって好きなしっぽ生やせるの!! お耳だってちゃんと観察したら完璧にできるし!」
っと、マリオンさんまで参戦すか。
「あ、でもマリオンはしっぽもお姉ちゃんとおそろいがいいな。せっかく姿もおそろいなんだもん」
「しっぽもおそろい?」
レティシアさんがきょとんとして首をかしげる。
「グローリアお姉ちゃんが、お姉ちゃんにもしっぽがあるかもって」
「そうなの?」
落ち着いた口調だけど、すんごい勢いでグローリアさんの方を振り向いた。
「しっぽが? 私に?」
「ええっと、あのっ。先祖に亜人っ、尾持がいたら先祖返りでしっぽがあることがあるかもっーって。お兄様と婚約するぐらいだしもしかしたらっておもったんですけどっ」
グローリアさんは、ぱたぱたと手を振りまわしながら説明する。
手の動きは何の助けにもなってないっすけど。
「私に、しっぽが?」
レティシアさんは呆然と繰り返す。
「そんな……まさか」
「いや、たぶん……」
ないっすよ?
「すてき! 気が付かなかったわ! 気が付かないほど小さいのかしら? エダ、姿見を持ってきて!!」
「レティシア様!?」
「ああっ。鏡じゃ見えないかしら? 合わせ鏡にしないと? ええっと、そうよ、鏡より確認して、どんなしっぽなの? 気が付かなかったってことは小さいのよね? バンビみたいな? やだ、かわいい! あ、ハムスターみたいなのもかわいいし、豚さんもいいわよね! くるっとしてかわいい!!」
怒涛の如くしゃべりながら、レティシアさんは制服のジャケットをまくり上げ、
「お義姉さま!!」
「ちょっと~、レティシアさ~ん!?」
「お姉さま、待って!!」
スカートの後ろ部分をグイっとずらした。
……真っ白な背中が柔らかく曲線を描き、スカートと一緒に刷り下げられたショーツの上から、つるんとしたお尻の割れ目がちょっとだけ見えた。
もちろんしっぽはない。
「レティシア様!!」
すぐさまエダさんが広げたナプキンで隠したけど……なんかいろいろばっちり見ちゃいましたっすよ。
いや、あの、きれいでしたけど……ね。
なんといっていいのやら、その~。
こまるっすね。
しっぽの確認をする! っていいだしっぺのグローリアさんまでもじもじ赤くなっちゃってますし、どう収拾つくんすか、これー!?
ポヤポヤとなんてことない日々。
ブレイクは次でおわる予定ですー。




