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●ブレイク・証拠

 エダさんが部屋の中をするすると動いていたかと思うと、部屋の真ん中にあるテーブルに人数分+1の椅子が並んでいる。


「皆さん、どうぞ」


 と、ほほ笑む手には、ビスケットとドライフルーツを盛ったお皿が。

 部屋の隅では、やかんが火の符であぶられている。


 ぬーん。

 エダさんすごいすっねぇ。

 いや、グローリアさんのメイドであるリリアーナさんとニコーレさんはもっと……なんてゆーか、パーフェクトな感じすっけどね。


 いつ行っても部屋はピカピカだし、失敗したところとか気を抜いてるところとか見たことないし、姿勢はめちゃくちゃいいし歩くとき足音立てないし……

 あの人らもしかしたら、魔導人形かなんかじゃないっすかね?

 そんなのが存在するか知りませんけど。


「レティシア様、遅いですね。皆さんをお待たせするような方ではないのに……なにかあったんでしょうか?」


 流れるようにお茶の支度をしながら、エダさんが不安そうに言う。


「あ、違います。今日は私たちが勝手に押しかけて来たので。お姉さまは私たちが来ていることを知らないんです」


 エリヴィラさんが慌てて立ち上がる。


「まぁ、そうなんですか?」


「はい。知っていたらお姉さまは私たちを待たせたりしませんから!」

「そう言っていただけると」

「私たちこそ、急に押しかけて。あの、お手伝いすることありますか?」

「あ、マリオンにできることもありますか?」


 エリヴィラさんをならってマリオンさんも手伝いを買って出る。


「そんなの当然でしょ? お義姉さまはいつだってあたしたちを気にかけてくださるもの! まちぼうけをさせるようなことはしないわ」

「かもね~」


 グローリアさんがなぜか胸を張り、ラウラがうんうんと頷く。


 あ、グローリアさんがエダさんのお手伝いをしないのは、当然のことっす。

 身分の高い貴族が、メイドのお手伝いをするなんて言ったら、メイドの方が困るっすからね。


「いえ、これは私の仕事ですから」


 とまぁ、エリヴィラさんとマリオンさんもやんわりと断られてるっすね。

 やっぱ、お嬢様付のメイドさんたちってプロフェッショナルっす!


 アタシやラウラにはメイドさんはついてないので、ちょっとうらやまし……

 んー?

 ずっとメイドさんと一緒にいるのは窮屈な気がするっすね。


 グローリアさんに言わせれば『使用人は空気だと思えばいいのよ』ってことらしいすっけど、アタシには無理っすねー。

(グローリアさんもリリアーナさんとニコーレさんを完全に空気扱いは出来てないと思うっすけどね)


 メイドさんもすごいっすけど、メイドさんを付けて息が詰まらないお嬢様たちもすごっすね。

 グローリアさんやレティシアさんをちょっと見直したっす!


「ところで」


 お茶を淹れ終わって、すっと部屋の隅に行こうとしたエダさんをグローリアさんが呼び止める。


「あたし、エダさんに聞きたいことがあるのだけど」

「私にですか?」

「ええ、私お姉さまにプレゼントをしたいと思って。手作りのささやかなものだけど」

「まぁ、きっと喜ばれます!」

「でね、やっぱり似合うものをプレゼントするには、リサーチが大切なものよね!」

「はい」

「ズバリ聞くけれど、お義姉さまのしっぽはどんなものなのかしら?」

「グローリアさん、なにいってるんすかぁ!?」


 レティシアさんにしっぽがあるかないかじゃなくて、ある前提の話にすり替わってるっすよ!?


「はい? しっぽ、ですか?」


 ほらー、エダさんがめちゃめちゃ怪訝な顔してるっすよ!?


「ええ、アタシテイルリボンをプレゼントしたいんだけど、しっぽによってデザインが変わるじゃない?」


 いや、しっぽのない人に『じゃない?』とか言ってもわかんないっすよ!!


「長毛のふさふさだったら大きくてふわっとしたものがかわいいし、短毛だったらリボンは細くしてチャームにこだわるのがいいし。長さや毛色によっても変わってくるもの。あ、お義姉さまのしっぽだったら髪と同じ銀髪かしら? 銀髪は素敵! 何色でも似合うもの! やっぱり毛色は黒髪か銀髪が色を選ばなくていいわよね。イルマの真っ白も何でも似合ってうらやましい」

「え? そっすか?」

「そ~だよ。うらやまし~。私なんか三毛だから~、ほんと似合うの少ないし」

「そうそう。あたしの髪色には青が似合うからって、ウチではリボンもドレスも全部青だったしっ! 赤が好きなのに!! はー、イルマやエリヴィラさんがうらやましい」


 うへへ。

 そう言われるとなんか照れるっすねぇ。


「そーっすかぁ? 気にしたことなかったっすけどぉ」

「私もよ。髪色で服が変わるなんて考えたことなかったわ」

「ほらっ! 考えたこともないってのがもううらやましい!!」

「い~い~な~」


「あ、あの、髪の色はいいとしまして、レティシア様の……しっぽ、ですか?」


 エダさんが首をかしげるけど、その角度が結構えぐくて困惑度合いが見てれるっす。


「そう! 大事なことなのよ」

「あの、レティシアさまにはしっぽはございませんが?」

「そんなわけないわ!!」


 いや、エダさんが言うなら、やっぱないんすよ!


「見たことがあるって言うの!?」

「はい」

「ないならそんなこと……あるの?」

「はい」

「あるのっ!?」

「はい」

「なんで!?」


 なんかもう悲鳴になってるっすよ……。


「私はレティシア様のメイドですから。お着換えの準備もしますし、湯浴みのお手伝いもしますから」

「お……ふろ……のお手伝い?」

「はい」


 いや、なにショック受けてるっすか。

 グローリアさんもニコーレさんに髪を洗ってもらってるはずなんすけど?


「あ、あたしのお義姉さまなのに!?」

「確かにそうですが、私はレティシア様のメイドですから」

「そ、そうよね。当然よね」


 そうそう。

 当然っすよ。


「エダさんが言うならぁ、やっぱりお姉ちゃんにしっぽはないんですね」

「みんなには悪いけれど、私は初めからないと思ってたわよ」


 エリヴィラさん、アタシもないと思ってたっすっよ!?


「だけど、もうそんな時代じゃないわ」

「はい?」

「先祖に尾持ちがいて、先祖返りでしっぽがあっても差別される時代じゃないもの!!」

「いえ、ないです」

「もう、ダメよ! お義姉さまのかわいいしっぽを隠すなんて犯罪だわ」

「ですから」

「さぁ、オープンにしちゃいましょう!!」


 グローリアさぁんもうやめましょうよぅ。

 エダさん困ってるじゃないっすかー。


「……わかりました。そこまで言うなら証拠をお持ちします」

「へ?」


 証拠とな?


 エダさんはすっと奥の部屋に行き、両手でうやうやしく何かを持ってきた。

 小さな黄色の布で、レースがついている……


「そ、それはお義姉さまの……」

「レティシアさまの――」


 パンツだー!!


「ショーツです」


 あ、そっすね。

 ショーツっすね、ショーツ。

 乙女がパンツはなかったすね。

 ショーツ、ショーツ。


「しっぽのある方はしっぽ用のショーツか、しっぽに干渉しないローライズのショーツをお使いになると聞きます。こちらレティシア様のショーツははき込みが深くお尻をすっぽりと優しく包むタイプになりますから」


 た、確かに……エダさんが広げたパン……ショーツは縦に長くて、けど足のところも広くて……わー、ハイレグだなー。

 レティシアさんこんなのはいてるんすね。


 あ、ちなみにグローリアさんはショーツの後ろにしっぽ穴があるタイプで、ラウラとアタシはしっぽに干渉しないローライズっす。

 しっぽ穴、めんどくさいんすよねー、いろいろ。


「お義姉さまのショーツ……白い肌に鮮やかな黄色とレースがきっと似合うでしょうね」

「さすがお姉さま。下着にも気を抜かないのね。……私ももう少しこだわってみようかしら」

「あ、あのぅ。しっぽがない証拠にはなりそうですけど、勝手にお姉ちゃんのぱんつ見せちゃっていいのかな?」

「あ……こほん。こ、これは新品ですから。ランジェリーショップに並んでいるのを見るのと同じですから」


 とは言いつつ、エダさんは慌ててショーツをしまう。


「とにかく、これでわかっていただけたと思います」

「いいえ!! あたしは実際この目で見るまで信用しないわ!!」


 えー?

 この目でって、グローリアさん何する気ですか?


「ただいまー」


 ドアが開かれ、笑顔のレティシアさんが現れた!!


「あら、みんなどうしたのかしら?」


「お義姉さま!!」


 レティシアさん、にーげーてー!!


感想、お返事できてませんが、読んでます!

ありがとうございます!!

いつのまにか5000点です!

みなさんのおかげです!

ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! 5000点、おめでとうございます〜 やっぱりメイドさんは凄いですね、魅力的な超生物ですw エダさんはレティシアさんと一番親密ですね、レティシアさん裸も見れる…
[一言] レティシアさんなら恥ずかしがりながらも見せてくれそう(゜ω゜)
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