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群青の召喚魔術師  作者: ばる
7/9

六話 イリス・ユグニス

「今日は魔術同士の戦闘の授業をします」

そう言って移動したのは学校のグラウンドだ。

ここで魔術の訓練を行う。


「では、まずはお手本ですね。ガリフ君、お願いします」

「はい!」

お、張り切ってるな。

「それでは相手を指定してください、ガリフ君」

あ、それあかんやつや。

「では、ルター君で」

はぁ、最悪だ。動きたくないでござる。

まあいい、勇者のひ孫がどのくらいの実力なのか試させてもらおう。

「はい」

「大丈夫なの?死なないでね?」

アリス、心配してくれるのか、可愛い奴め。

「これが終わったら結婚しよう」

「え!?」

「冗談だよ」

駄目だ、さっきからテンションがおかしい。

まあ落ち着け、相手は10歳の子供だ。俺も同年齢だけどね。

さすがに使ってくるとしても中級クラスの魔法のはずだ。

そこを素早く対処して、さささっと終わらせてしまおう。


「準備はいいですか?では、始め!」

「ライトニング・ストライク!!」

ほう、無詠唱か。しかもライトニングストライクは上級魔術だ。上から雷が降ってくる。何?殺す気なの?普通の人じゃ死ぬって。

「サモンズウォール」

壁を召喚して落雷を防ぐ。普通の召喚壁だったら壊れてるだろう。だが俺はバイアスアビリティだ。

「サモンズナイフ」

ナイフを召喚して飛ばす。これくらいなら避けられるだろう。それが狙いだ。

「甘いぞ!」

お、いいね、右に避けた。

「リフレクター」

「うわ!?」

相手の足元にリフレクターを敷く。もちろん最高出力でね。

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁ…」

ふう、一丁あがり。きたねえ花火だ。

「…ぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

もちろん死なれてもらっては困るので、最小出力のリフレクターを敷く。

これで怪我も何もしないはずだ。

「ガクガクガク」

「先生?ガリフ君は戦闘不能みたいですよ?」

「そ、そうね。勝負あり!」

ちなみに俺は一歩も動いていない。

平然と元いた場所に戻る。

「…すごいわね。心配したのが馬鹿みたいだわ」

「すごいだろ?」

他の貴族の視線は「調子乗るのなよ?」とでも言いたげだ。





魔術戦闘の授業がおわり、教室に戻る。

アリスは他の女子とすぐに仲良くなった。うん、楽しそうだ。

俺はというと…。まあわかるだろう?俺のクラスは貴族がほとんどだから軽蔑されるんだよ。

話す相手は1人もいない。…ボッチだよ。笑いたければ笑え。仕方のないことなんだ。

「今回の剣術の授業からは、王宮剣術、タグニス流剣術、北洋剣術に分かれて授業を行います」

ほう、なるほど。

まあ剣術の授業は毎年王宮剣術に人口が集中するらしい。

もちろん俺はルイーゼ先生から習った北洋剣術を取る予定なので、俺にとっては好都合だ。

「では、王宮剣術を習いたい人は手をあげてください」

一斉に多くの手が上がる。お、アリスも王宮剣術か。やばいな、ついに話せる人0人になるぞ。と、アリスがこっちを見てきた。

「私やめ…」

「はい、次はタグニス流剣術ですね。習いたい人は手をあげてください」

アリス哀れ。

こちらは数人手をあげた。もちろんガリフも手をあげた。勇者のひ孫ってめっちゃ自慢してたからな。誇りなんだろう。

いや、ちょっとまて、さっきから王女が手をあげてない気がする。てっきり王宮剣術習うと思ったのに。

「じゃあ、北洋剣術を習いたい人は手をあげてください」

2人の手があがった。俺と…、イリス王女だ。はぁ、よりによってこいつかよ。1番最悪だ。しかも2人だけ。史上最悪とでも言っていいだろう。

「それじゃあ、早速分かれましょう。王宮剣術の人はグリフ先生に、タグニス流剣術の人はカタリナ先生に、北洋剣術の人は私についてきてください」

へー、リカスグ先生って北洋剣術できるんだ。



「じゃあ、2人がこの剣術を選んだ理由が知りたいな」

嬉しそうな顔で先生が選んだ動機を聞いてくる。嬉しかったのかな?

「僕はルイーゼ先生が北洋剣術を教えてくれたからです。それなりに使えるつもりでいます」

そう、俺はルイーゼ先生に北洋剣術を習っていたのだ。だから一応それなりには使えるつもりでいる。

「イリスちゃんは?」

「私はゲスい貴族の子供とは一緒に居たくないので」

「なるほどぉー」

なるほどぉー、じゃねえよ。どんな理由だよ。

「あなたは大丈夫よ。私は平民は嫌いだけど、実績を残してる人は別よ」

「いや、俺は何もして居ない気がするんだが」

「キンペラー家のボンボンを倒したでしょう?あれはすごかったわ」

そりゃどうも。

「彼は昔から王宮に招かれて剣術や魔術を披露してたわ。彼は凄かった。だけど何かが足りなかった。それは人間性よ」

ほう、すごいことを言うな。

「それに比べてあなたは強さも、人間性も上だわ。人格者よ」

「それはさすがに言い過ぎだと思うぞ」

「そうね、言い過ぎたわ」

おい、否定しろよ。

「あ、あの…」

先生は困った顔をしている。

「それで、あなたに折り入ってお願いがあるの」

「うん」

「できればなるべく私と一緒に行動して欲しいの」

「その心は?」

「あなたといると色々学べるでしょうし、護衛にもなるわ」

「なるほど。ただずっととなるとちょっと…」

「気が向いたらでもいいわ」

「わかった。それでいこう」

「ありがとう、ルター・グランホルン君。これでも名前を覚えるのはかなり苦手なの。頑張って覚えたのよ」

「それはどうも」

何?ツンデレなの?

「あ、あの…」

「すみません、今終わりました」

そりゃ先生困るわ。

「う、うん。それじゃあこれから北洋剣術の授業を始めます」



簡単に言うと授業の内容はルイーゼ先生となったことの復習だった。

イリスは少し苦戦してたみたいだが、コツを掴むとすぐになんでもできるようになった。


「これで授業を終わります。教室に戻ったらすぐにホームルームなので素早く戻ってくださいね」

「「はい」」



教室に戻り自分の席に着くとアリスから話しかけられた。

「大丈夫だったの?あの王女から何もされなかった?」

「うん。仲良くなった」

「ええー」

アリスが意外そうな顔で俺の顔をのぞく。まあ驚くのも仕方ない。自己紹介の時に「上級貴族以外は話しかけないでください」とか言ってたもんな。

「まあ確かにあいつは性格が一癖二癖あるからな」

「何か言ったかしら?」

「うわ!?、違うんだイリス、今のは」

「イリス!?あなた達呼び捨てし合うの?」

「何か問題があるかしら、ア…、バルクルンさん」

「アリス・バスクルンよ。ちゃんと覚えなさいよね」

「失礼したわ。アルスさん」

「アリスよ!」

なんだこの茶番。俺蚊帳の外なんだけど。

「イリス、アリスは俺の昔からの友達で、一応次席で入学したから頭は悪くないと思う。仲良くしてくれないか?」

「そうだったんですね。すみません、てっきりそこらへんの貴族のボンボンだと思ってました」

「誰が貴族のボンボンよ!」

いや、思ったこと口に出すぎだろ。もう少し調整しろよ。友達できなくなるぞ。



「はあ、なんなのよあいつ。変人ってレベルじゃないわ」

「まあまあ、王女と友達になれるってなかなかないぞ」

「あんな奴と友達になるのは嫌よ」

「そこをなんとか!」

アリスは、一瞬考えるそぶりを見せて

「わかったわ。ルターの頼みだしね」

「ありがとう!」

「ただ」

「ただ?」

「…なんでもない!」

「なんなんだよ、気になるじゃないか」

「いいから!なんでもないの!」

そんなことを口にしながら、僕達は帰路につく。









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