3.スキルと転生
名前:レガーナ・ベイン
種族:魂魄
職業:なし
年齢:5
Lv:1
ステータス
HP:148
MP:724
SP:148/28
攻撃:128
防御:128
魔法:694
抵抗:754
速度:128
スキル
「HP自動回復Lv1」「捨命闘術Lv1」「MP回復速度Lv4」「MP消費緩和Lv4」「魔力感知Lv1」「魔力操作Lv1」「魔闘術Lv8」「SP回復速度Lv8」「SP消費緩和Lv8」「気闘術Lv8」「片手斧術Lv5」「短剣術Lv3」「短槍術Lv3」「銃術Lv8」「破壊強化Lv8」「貫通強化Lv8」「集中Lv8」「予測Lv8」「演算Lv6」「命中Lv8」「回避Lv8」「隠密Lv5」「消音Lv5」「危険感知Lv8」「気配感知Lv8」「破壊耐性Lv5」「斬撃耐性Lv3」「貫通耐性Lv2」「打撃耐性Lv1」「気絶耐性Lv3」「恐怖耐性Lv8」「苦痛耐性Lv8」「視覚強化Lv8」「聴覚強化Lv8」「生命Lv8」「魔力Lv4」「瞬発Lv8」「持久Lv8」「強力Lv8」「強固Lv8」「攻術Lv4」「抗術Lv4」
「な、何よこれぇ…。」
「こっちもびっくりだよ。これだけのスキルを持っているって事は、それだけ過酷な人生だったって事なんだから。」
「スキルなんてそんなゲーム※じゃあるまいし…。」
※代々暮らし続けたあの施設には、初代のオタク趣味で集められたゲームやラノベがあったのだ。
「そんな世界だから、としか言いようがないね。」
「それにスキルなんていつの間に覚えたのかしら?魔力なんて使った覚えは無いのだけれど。」
「傷ついても治りが早い身体。一騎当千の戦闘力。2、3人纏めて貫通する弾丸。…身に覚えは無いかな?」
「…。」
「沈黙は肯定も同然だよ。…うちの家系は生まれつき魔力を取り扱える。そしてそれを消費する事で短時間なら人間の枠を超えた能力を発揮する。…時代が時代なら捕まってモルモットだっただろうね。」
「ぞっとするわぁ。」
「ま、向こうならそんなに珍しい事じゃない。ある程度安心して暮らせるだろう?」
確かに、それなら。有り得ない力がある私達も、向こうなら問題なく生きていけるんだろう。
「さて、何か質問や要望はあるかな?ある程度までなら叶えられるよ。隅の隅とはいえ、私も神だからね。」
神?…にしては威厳がないけど。本当かしら?
「本当本当。できる事は多くないし、無敵じゃないけどね。ほら、さっきパンチで吹っ飛ばされたろう?」
たかが魂に吹っ飛ばされる神様ってのもアレだけど…。それなら、不死は?
「無理無理かたつむりだよ!…妥協案として、寿命が長い種族に生まれ変わるのはどうかな?」
まあ、それならいいか。
「病気になりたくないのだけど、その辺なんとかならないかしら?」
「なるほど、一族みんな揃って病死だからその気持ちはわかるよ。じゃあ回復魔法をつけよう。」
《スキル「治療魔術Lv1」を獲得しました。》
「今の声って何!?誰!?」
「天の声ってやつだね。ステータスに変化が生じると教えてくれるよ。但し一度しか言ってくれないから、聞き漏らさないようにね。」
教えてくれるのは結構だけど、考えてる時に言われたら気が散るわね。まあいいか。
「じゃあ質問。ここは何?」
「ここは私が作った、言わば転生の間かな。子孫達が死んだら魂を捕まえて、ここに招待している。殴られるまでが1セットだね。」
殴られるまでがって言う辺り、やはり1人一回は殴ってるらしい。ざまあ。
「ぐっ…。いやまあ私が原因だからね…。甘んじて受け入れるさ…。」
「で、次。なんで私は子供なのかしら?」
「ああ、丁度いいから今説明しちゃうか。向こうで学校に通ってもらうんだよ。」
「学校!?何故よ!?」
「向こうの常識や歴史を学ぶってのが大きいかな。…それとも、前準備も無しに暮らしていけるのかな?」
そう言われると、確かにいきなりでは周囲から浮くのは目に見えてる。特に私では…。
「理由はよくわかったわ。でも先立つものが必要じゃない?」
先立つものとは、つまり金。世の中、何をするにも金が必要なのだ。
「入学金はこっちで用意するよ。それが初年度分も兼ねてる。でもそれ以降は自分で稼いでくれ。…私の子孫なんだ、できるだろう?」
「投げっぱなし!?…はぁ、仕方ないわねぇ…。」
「すまないね。私は零細神だからお供えも少なくてね。これでもギリギリなんだ。」
神様というのも中々世知辛いらしい。
「ちなみに、アンタは何の神なのかしら?」
「戦神さ。得意の釣り出しや電撃戦でもって、戦車を多数撃破したのが評価されたらしいよ?」
ん?初代は狙撃が得意だと聞いたような…。
「アンタが狙撃以外に得意な物があるなんて初耳よ?」
「ああ、後世にはそう伝わっているんだね。確かに私個人は狙撃が得意だったけど、それだけじゃ大戦果は上げられない。逆に言えば、戦果を上げて有名になったのは、部隊ごと行う戦術だったって訳さ。」
成程、言われると納得だ。個人が上げられる戦果なんてたかが知れてる物だ。1人のエリートより、100人の一般兵。そんなのは戦争の常識だ。
「さて、こんなものかな?…と、そうだそうだ。目の前にいきなり人が現れたら騒ぎになるだろう?街から結構離れた街道沿いに出現させるからね。」
それも確かにそうだ。しかし、何も言わずにやられていたら怒っていたかもしれない。
「そうね、それならいいわぁ。」
「それじゃあ送るよ。次なる人生に、幸多からん事を。」
そう言った次の瞬間、私の周りから光が溢れ出した。徐々に光に塗りつぶされていく視界と意識。間もなく、私の意識は光に溶けた。
少女が光に包まれて消えた後、その場には男が残っていた。
「あれが私の最後の子孫か。いやあ、才能の塊だったね。生まれる時代が違えば、大天才として歴史に名が残る位だよ。普段なら小さな加護で済ませるんだけど、思わず祝福をあげちゃったよ。それでも私は悪くない。…悪くないっ。」
誰に言い訳しているのかわからない、そんな男の言葉は虚空に消えた。