表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋鏡烈狂  作者: 翡翠蝶
7/25

ギルド【星屑ノ梟】

と、 いう事でギルド本部に招かれた私は、残りの三人と対面していた。

銀髪の青年、傘を持つ幼い見た目の少女、魔術書を読む不機嫌そうな少女。

「じゃあ俺から、かな?俺はイヴァー。一応このギルドのリーダーだよ。」

銀髪の青年は、頭を掻きながら恥ずかしげに名乗る。この人がリーダーか。誰がギルドリーダーか、疑問に思っていたが、やっとはっきりした。

次の子は、

「エマよ。」

と素っ気なく名前だけ言う。面喰らってしまう。まあ、こういう子は徐々に慣れていった方が良い。

そう結論付け、不機嫌そうな少女に視線を向けるが、少女は顔を上げようともしない。

レーヴェが軽く溜息を吐いた。

「・・・・この見るからに不機嫌そうなのはフィオナ。気を悪くしないでくれ。コイツはいつもこんな感じなんだ。」

参ったというように頭を軽く振るレーヴェ。そんなに気難しい子なのだろうか。

「青年、結局魔国の情報持って帰って来た?」

ラゼンの疑わしげな声。

「安心しろ。其処にいい情報網が居るじゃねぇか。」

レーヴェは、私を見る。

「そう簡単には、話せないわよ。」

私は、意地悪そうに眼を細めた。実際、何でもペラペラ喋って良い訳じゃないのだ。それなら、都市伝説みたいな噂も流されない。

「にゃ〜」

コウネが毛繕いをしながら、鳴く。

「えー!!じゃあ話してくれないの?」

ミリィアは、落胆したように言う。

「仕方ないでしょ、ミリィア。」

ティーグが宥める。

「ゴメンね。まだ、完全に貴方達を信用出来ないから。」

「当然ね。ホイホイ信用出来る筈ないもの。」

エマは、その返答を予測していたようだ。

「どうしたら、話してくれるんだ?」

イヴァーが、腕組みをして考え込む。

「そうね〜。どうしようかしら・・・・・」

何か交換条件を出そうか、それともお金?考えていると、コンコンとノックの音。

「どなたですか〜?」

ミリィアが扉の外に問い掛けると、

「ギルドに依頼に来たんだ。入っていいかい?」

扉を開けて、入って来たのは白い鎧に身を包んだ騎士。

「何だ、お前かよ。」

騎士の姿を見た途端レーヴェがうんざりしたような表情になる。

「僕じゃない他の誰かなら文句無いって言いたのか?」

騎士は、レーヴェにそう返すと、イヴァーの方を向く。

「少し、込み入った事情なんだ。今、大丈夫かな。」

「ああ。でも・・・・」

と、イヴァーは私に眼で問い掛けて来る。

「私は、大丈夫よ。それより、そちらの騎士さんのご用件の方が重要でしょ?」

微笑めば、イヴァーがほっとしたように笑みを浮かべた。

騎士は訝しげに私を見ている。

「君は・・・・エルフ・・・・なのか?」

「ええ。色々あってね。知りたかったらレーヴェに聞いたら良いと思うけど。」

「おい!俺に話振るなよ!」

レーヴェは、不満げに反論する。

「私を魔国から、連れ出したのは貴方じゃない。」

「自分から付いて来るっ()ったろ!」

「そうだった?私、この頃記憶力悪くて・・・・」

「嘘つけ!それなら、魔術の呪文なんざ、とっくに忘れてんだろ!」

「呪文は、覚えられるのよ。何故か。」

「ったく、お前はさっきから・・・・」

「二人共、いい加減になさい。」

エマが、口を挟む。

渋々、レーヴェは口を噤んだ。

「話を止めてしまってゴメンなさい。どうぞ、続けて。」

騎士は戸惑っていたが、自分の用を思い出し、顔を引き締めた。

「実は、国の東に位置する神殿に何者かが押し入ったらしいんだ。神殿を守る神子や教祖達も困っている。」

「あの神殿は、警備厳重で誰も入れないんじゃ・・・・・」

ティーグが、首を傾げる。

「その筈なんだ。しかし、大扉が開けられていた。神殿内は広いし、敵の数もはっきりしない。騎士団だけでは、対応し切れない。それで、このギルドに協力を頼みたい。もちろん、代金は払うよ。」

「断る訳無いよね?イヴァー!」

「そうだな。」

力強く頷くイヴァー。流石は、ギルドリーダーだと感心する。

「じゃ、一肌脱ぐかね〜。老体には、辛いんだから気遣ってよ、イヴァー青年。」

ラゼンが、腰を叩きながら言う。

「大袈裟。まぁ、面白そうだし行くわよ。」

エマは、ニヤリと笑う。

「折角、依頼してくれたんだもんね。」

ティーグは拳を握る。

「へいへい、行きますよ。やれやれだな。」

と、溜息を吐くレーヴェ。

イヴァーは、一言も発しないフィオナに声を掛けた。

「フィオナ?おーい、フィオナ!」

「ん?何よ、うるさいわね。あたしは今魔術書読んで─────────」

迷惑そうに顔を上げたフィオナの眼が、私を捉えた。

「──────────誰?」

「初めまして。やっと話してくれたわね。」

私はにっこり。

「は?ってか、アンタその耳・・・・・」

フィオナが、眉を寄せ、何か言い掛けたが、

「フィオナ、後で状況説明するから。今は、依頼に集中しよ。」

ミリィアが遮った。

「依頼?解ったわよ。行けばいいんでしょ。」

フィオナは、本を閉じると腰に手を当てた。

「じゃ、私も行こうかな。」

私は、イヴァーを見つめる。

「イヴァー、ダメかな?」

「人手不足みたいだし、同行してくれると嬉しいよ。」

イヴァーは、了承してくれる。

「ありがとう。そのご期待に添えるよう、頑張るわ。」

それから、私は騎士にも微笑む。

「宜しくね、騎士さん。私はセレネよ。」

「僕は、アルフだ。協力感謝するよ。」








《時よ、止まれ》

時は歯車を廻す ぐるぐる くるくる

その歯車に呑まれ 消え行くモノ

大切なモノ かけがえのないモノ 歯車は

無情に呑み込んで行く だからこそ

無くさないように必死に掴む

その手に この手に

ああ 時が止まってしまえば 失わずに済むのに

大切な人を 大切な思い出を

無邪気だった自分自身を

ダレカ トキヲ トメテ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ