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緋鏡烈狂  作者: 翡翠蝶
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運命か、成り行きか?

《刹那の幸せ》

澄んだ空 ()んだソラ 刹那の時

真っ黒 真っ暗 全部が消え逝く

貴方は 探してる 想いを カケラを

けれども 見つからない 見つけられないんだ

幸せはドコいった? 幸せはどこ消えた?私の全ては

一体 何処に 行ったんだろう







「はぁぁ〜」

出てくるのは重〜い溜息ばかり。同じ部屋に居る青年レーヴェから白い眼で見られているのは言うまでも無い。

「お前、さっきから溜息吐き過ぎだろ。んなに、俺が嫌いか?」

「 別に貴方は、関係無い。単に、気が滅入ってるだけよ。」

私はコウネを撫でながらつっけんどんに言い返した。

図書館でレーヴェに助けられ、地下水路を散々迷いながらも何とか脱出成功。その後、身を隠す場所が必要となり、取り敢えずと、私の部屋へと来ていた。

「にしても、お前、指名手配犯だったなんてな。」

「悪い?生きる為なら手段を選ばないのが私の主義なの。」

それから、私はレーヴェを軽く睨む。

「それより、いい加減話してくれる?どうして、この国に侵入したのか、侵入出来たのか───────」

「・・・・・・・・・話さなきゃいけない事か?」

「ええ。理由次第で貴方を警備隊に突き出すかどうかを決めるつもりよ。」

レーヴェは、苦笑を浮かべ、諦めたように話し出した。

「俺が、この国に侵入したのはそれがギルドの依頼だったからだよ。『魔国に侵入し、国内の現状を探れ』って依頼。俺は断りたかったんだが、俺の住む国の姫さんがこの国に興味津々でね。自分は行けないから代わりに行って欲しいってせがまれた。」

「それで、呑気に探りに来た訳ね。甘いんじゃない?貴方。」

「自分でも自覚くらいしてるっての。納得して貰えたか?」

「貴方が住む国の名は?」

「水の国【ウィティリア】。」

「ああ、あの国か。依頼主は?」

「国王様だよ。」

「王直々?きな臭いわね。どうしようかな。貴方やっぱり警備隊に突き出そうかな。そしたら、私の指名手配無しにしてくれるかもだし。」

「構わねぇよ。牢獄行きだろうが、地獄行きだろうが、俺は。」

「粋が良いわね。でも安心して。私は貴方を牢獄行きにはしないから。さっきのは冗談よ。」

レーヴェが微かに眼を丸くした。

「何でだ?俺を突き出しゃ、罪が軽くなるかもしれねぇんだぞ?」

「助けられた恩があるし、それに人間は嫌いじゃないの。────────似てるし、ね。」

最後は小さく、控えめに呟く。レーヴェは戸惑ったような表情をしていたが、やがて笑顔になる。

「こりゃ、意外だな。エルフは全員人間嫌いかと思ってたよ。」

「確かに、エルフの多くは人間を嫌ってるけど。全員が全員じゃない。エルフの一部には人間を好いている者だって居るのよ。」

「そりゃ良かった。お前に見つかった時はどうしようかと思ったが、エルフにもマトモなのが居たんだなぁ。」

「そういうことね。そんな事より貴方、どうするの、これから?元の国に帰るなら逃して上げるわよ?」

「さて、どうすっかな。手土産の一つでも持って帰らねぇと、うるさいからな、あの連中。」

レーヴェが考え事を始め、部屋に沈黙が訪れる。その空気を感じ取ってか、今まで寝ていたコウネが眼を覚まし、私の膝から飛び降りた。そのまま、壁に寄り掛かるレーヴェの元まで行くと、頭をレーヴェの足に擦り付ける。

「何だ?俺は何も持ってねぇぞ?」

「にゃぁん」

レーヴェは顔を綻ばせた。動物が好きなんだろうか。コウネを慣れた様子で抱き上げ、そっと喉を掻いてやる。コウネは眼を細めると気持ち良さそうに喉を鳴らした。

私は、それを呆然と眺めていた。コウネは、そう簡単に人に懐く猫じゃない。それなのに、あっさりレーヴェには懐いてる。やはり、この人から何かを感じるのか。

コウネの付けている鈴が『りりりん』と唄うように響く。

これも、運命というヤツか。それならば、このまま乗るのも悪くないかもしれない。

「ねえ、レーヴェ?その手土産、エルフじゃ足りない?」

私は、妖艶な笑顔で聞く。レーヴェは意味を一瞬で理解し、不敵に返す。

「いいや、充分過ぎるくらいだ。こんな美人なら、尚更、な。」

「お世辞?」

「真面目に言ったんだがな。伝わらなかったか。」

「貴方の真面目、全然解らないわ。」

「感情をあんまり(おもて)に出さねぇんだ。」

「出した方が良いと思うけど?その方が可愛いわ。」

「お前、上から目線な物言いしかしないな。」

「実際、私の方が歳上だしね。当然、でしょ?」

エルフは人より生きる時間が永い。因みに、私もこれでも六百歳は軽く超えている。

「はいはい、参りました。」

レーヴェは両手を上げて、降参する。

いつの間にか、二人共、軽口を言い合えるぐらい馴染んでいた。

「じゃ、行きましょうか。」

「行くって、どうやってだ?」

「そんなの決まってるでしょ?黒魔術でひとっ飛びよ。簡単で手っ取早い方法よ。」

「エルフは、何でもお出来になりますこと。」

(おど)けた口調でレーヴェは言う。

「エルフって、万能でしょう。」

そう返して、最後に自分の部屋に別れを告げた。それから、意識を集中する。コウネが援護術を発動させたのを感じ、詠唱を開始した。私とレーヴェを中心に魔法陣が展開される。

「【空間を超え、望むべき場所へ我らを誘え、ディシール・ワープ!】」

魔法陣が一際、強く光り、次の瞬間、其処には誰も居なかった。

『───────りん』

鈴の音を最後にその部屋から音が消えた。

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