月の少女
この世界を見据える 孤独の少女
彼女が 見るのは
世界の過去現在そして未来 全てを知る少女
時には神として 時には闇に誘い込む悪魔として 時には世界を照らす天使として
この世界を 守って来た
けれど 世界を知り過ぎた彼女自身が限界を迎え 壊れてしまったあの日
世界が震えた 大地は揺れ 空には無数の亀裂が走り 植物は枯れ 動物は死に絶える
そんな時 “カギ”を探し求め 見つけ 彼女の封印を解いた者が居た
巨大なチカラに苦しむエルフと 永遠の命を持つ残虐な吸血鬼
エルフは 自分の能力を使い 彼女を救う エルフの命は 絶えようとしていた
正気に戻った彼女は 自分が眠る間の世界をエルフに頼み渡した 自分の命をエルフに
貸し与える代わりに エルフは約束した
吸血鬼はその一端を知っていた
少女の命と想いを受け継いだエルフは 眠った彼女を “カギ”で封印し その“カギ”を隠した
少女は 眠る 静かに 安寧の地で
全ては遠い昔
そして 今 彼女の目覚めの時 エルフは 命を還し 旅立つだろう
彼女は 世界を見て 何を想う?
きっと 喜びはしないだろう
今の 世界は セカイは 腐っているのだから
彼女の望んだ世界とは かけ離れ もはや 崩壊寸前のセカイ
彼女は 涙を流すだろう
アヤツキ 少女の名を知るエルフと吸血鬼
二人は 永い時間を経て 変わりつつあった
エルフは 甘い恋を知り
吸血鬼は 忠誠に身を捧げる
二人を見て 彼女は 何を考える?
それは 知りようの無いコト
やがて 解るだろう
目覚めの時まで もう少し─────────
『りりん』
鈴が唄った




