表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋鏡烈狂  作者: 翡翠蝶
13/25

甘い想いは風に攫われて

短いです。

しん、と沈黙が訪れた。私は、自分の手に視線を落とす。

「大好きな人をこの手で殺めてしまったのよ、私は。それから、逃げるように隠れ里を離れて。それから、旅をした。眠ると必ずお兄ちゃんが出て来た。遠くに行ってしまうの。手を伸ばして叫んでも一度も振り向いてくれない。当然よね。だって、私、は・・・・・・・・っ」

声の震えを抑えられず、私は嗚咽を漏らす。

「もう、いい。」

レーヴェの声が優しく響く。けれど、私は黙って首を振ると続けようとした。

「だって・・・・・私・・・・・は・・・」

頬を伝う熱い雫、知らぬうちに溢れた涙だと私は気付く。

「あ・・・れ・・?私、なんで泣いて──────────」

ゆっくりと手が伸びてきて、私は引き寄せられる。そのまま、力強い腕に抱き締められた。

「・・・・・えっ・・・・・?」

自分はレーヴェの腕の中に居るんだ、という事実が認識出来ない。

「いいって、言ってんだろうが。充分だ。」

頭を撫でる温かい手。私は、震える唇を動かす。

「・・・・・お兄ちゃん・・・・・」

紡がれた言葉は、それだけだった。私は眼を瞑り、身体をレーヴェに預けた。

そして、レーヴェの腕の中で静かに泣き続けた。



翌日、一行は無事出発した。

道を歩きながら、私は囁く。

「レーヴェ。昨日はありがとう。」

「・・・・・礼言うなら、まだ話してない事、話してくれるか?」

私は、頷いた。

「何時か、きっと話すわ。」

「待ってるぜ。」

微笑み合う。私は小さく呟いた。

「貴方なら・・・・貴方になら、話せる。」

私は、眼を細めた。この甘く切ない想いは何か、など既に気付いていた。けれど、認めたくはなかった。人に好意を寄せる事はしないと誓ったのだ。好きになってしまえば、必ずその人を殺めるから。大切な人にはずっと笑っていて欲しい。私が居なくても。

「──────────大好きよ、レーヴェ。」

その呟きは誰の耳にも届かず、風が攫って行った。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ