旅立ち
「・・・・・・・なるほど〜」
ミリィアが、頷く。
「そんな事があったのに、助けに行けなくてごめん。」
ティーグが、謝る。
「気にしないで。イヴァーの命令を無視した私達が悪いんだから。」
私は、苦笑した。 先程の事件を皆に話し終え、これからどうするかを考える。
「そいつらの目的って、何だったんだろーね〜」
ラゼンが一切考えていない惚けた口調で言う。
「任務とか言ってたな、アイツ。」
レーヴェが、思い出して言う。
「クラウリアをも、従える誰か・・・・・・相当な実力の持ち主と言っても過言ではないわ。」
私は、真剣な口調になる。実際、彼女は自由主義で誰かの言いなりになるのを嫌うのだ。その彼女が忠誠を誓う────────何があったのか、其処に引っ掛かる。親友として、そしてあの事件に関わる者として気になってしまう。
「あのクラウリアってヤツが気になるのか。」
レーヴェが、問うて来る。頷くと、
「じゃあ、行くか。」
と平然と言い放つ。
「行く・・・・?」
「アイツらの居る所に、な。」
「居場所を特定しているようね。」
エマが、口元に弧を描く。
「ああ。男の持ってた機械は、隣国───覇国【ディバーラグ】でしか使われてねぇもんだ。」
「つまり、敵は覇国の奴か。」
イヴァーが、腕組みをする。
「それで、敵陣に乗り込もうっての?」
フィオナが、冷たい声で尋ねる。
「そのつもりだが、何か問題あっか?」
「当然だよ。そんなの無茶としか言えない。」
アルフは、首を横に振る。
「でも、行くっきゃねぇ。セレネ、お前はどうしたいんだ?」
レーヴェの視線がこちらに向き、私は穏やかに笑む。
「そうね。行くべき、よね。」
私は、ふるりと首を振った。
「行くわ。知りたがりな私には、耐えられそうにないから。」
「おし、決まりだな。」
レーヴェは、笑顔になる。
「でも、レーヴェ貴方、ギルドの仕事があるんじゃない?」
「仕事が今決まったのさ。俺の仕事はセレネの護衛と、あの男を一発ぶん殴る事だな。」
「報酬、弾むわ。」
「ちょっと、其処二人で勝手に話進めないで〜!」
ミリィアが、割り込む。
「んな事言っても、イヴァーに了承得られればいいんだろ?」
「そうだけど・・・・イヴァー!」
「その仕事は了承したけど、レーヴェ一人じゃ、心配で行かせられないな。エマ、ティーグ、行ってくれないか。」
「私に拒否権なんて、元からないんでしょ。良いわよ。」
「うん、解ったよ。」
エマとティーグが抜擢され、皆も納得した表情になった。
「じゃ、行ってくっから後頼んだぜ?」
そう言ってレーヴェ、セレネ、エマ、ティーグは旅立った。
街の東、岩山を歩いているとセレネは胸騒ぎを覚え空を仰いだ。
「え・・・!?」
空から人が─────降って来た?!
三人も吊られて空を見て、絶句した。
「どうなってんだ!?」
「人が降って来る岩山なのね。」
「冗談言ってる場合じゃないって! 」
四人は、大急ぎで人が落下した辺りに走る。
其処に倒れていたのは、美しい女性だった。




