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黄昏と猫  作者: 樹木
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「知らなかったのね…」

 神父義親子が村人を散らし、残骸のみ散らかった大通りでは座り込んだ聖騎士と神父2人が途方に暮れていた。さすがにセルシスがジョゼにかける言葉もやわらかい。

「元気を出して下さい」

「いいんだ、事前に調べてこなかった…、私が、悪い…」

 そういいながら体育座りをしたジョゼの耳と尻尾はしょんぼりと垂れた。

 ここは、ダイモスという国の最北にあるアインスという村だ。隣のカロンに最も近い村で、カロンとの貿易はここが主だ。そして、この村には独特のルールと村人のあらがえない性があった。この村では、公道にあるものはみんなのもの、かつ機械類を見ると解体せずにいられないという謎の性が。元々、何故か機械好きが集まって出来た村だけあって皆機械好きの血を引いているためか機械と見れば皆我先にとばらしにかかる。それこそ老若男女問わず。しかし、どれだけ綺麗にバラバラに出来ても、決して元通りには出来ないのがここの住人であった。

「村で集金して弁償するよ」

「それは、是非とも頼む」

「こんなときに言うのもなんですが、ジョゼさん。バイクはダメになってしまったので、どうしますか? ここはほとんどの家が解体業か貿易商なので移動手段がほとんどないのですが」

「他国から買い付けた商品はどうしてるんだ? それを運ぶ運搬業者はいないのか?」

「中央から来ることになっているんですよ。それに自動車やバイクを見てしまうと皆血がうずいてしまうのでおちおち置けもしないんですよ」

 己の愛車の成れの果てから目をそらすように目前の問題の解消に取り組むことで多少なり元気を(それでもからげんきではあるが)取り戻し始めていたジョゼだったが村人の性に話が及ぶとどうしても気落ちしてしまう。しかし、ライトはそれに気づく様子もなく朗々と話を進めていく。否、気づいているが触れないだけかもしれない。なにしろ今、彼女の目線を残骸に引き戻してしまったのは彼だったため。

「首都への移動手段は、一、馬を借りられる町まで徒歩、ただし都まで乗っていくためには都に店を置いているレンタル業者を探さないといけないため、そこそこ大きな町まで徒歩で行かねばなりません。二、ヒッチハイク、ただし、田舎なため滅多に車は通りません。三、ジョゼさんのバイクの修理を待つ、しかし時間がないためこれは却下。…徒歩しかないと思うのですがどうでしょう」

「そうだな」

「不安なことが一つありますが」

 嫌な予感がする。ジョゼは聞きたくないと思いつつも流れで聞いた。

「何だ?」



「私、身体が弱いです」


「…それ、さっきも聞いた」


「大事なことなので二回言いました」

「つまり問題は無いということだな」

 


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