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異世界転生・西野:ep.3メロス編「友情の賞味期限」

古代ギリシャ・シラクス。そこに「信実」を叫ぶ熱血漢・メロスと、死を待つ身代わり……になるはずだった男、西野がいた。

友情という名の「不確かな債権」を、西野は冷徹なソロバンで弾き飛ばす。

几帳面な脱獄プランを練りながら、荒っぽいデマで街を混乱させ、感動の再会シーンを「ただの強盗事件」へと塗り替える。

「三日間も待たせてごめん? バカか、その三日間で王の金庫は空っぽだよ」

友情に賞味期限があることを、卑怯者の論理が証明する。

西野が辿り着いたのは古代ギリシャ・シラクスの街だった。


そこには、暴君ディオニスによって「人間不信」のどん底に叩き落とされた王と、処刑を待つ「友情の信徒」たちがいた。



1. 役割の強奪


西野が街に着くと、ちょうどメロスが「妹の結婚式のために三日間の猶予をくれ」と王に直訴し、身代わりを立てる場面だった。本来なら親友のセリヌンティウスが名乗り出るはずだが、西野はその前に割り込んだ。


「あー、陛下。そこの石工セリヌンティウスじゃ役不足ですよ。俺が身代わりになってやります。その代わり、俺がここにいる三日間、最高級のワインとメシ、あとふかふかのベッドを用意してください」


メロスは目を輝かせた。「おお、見知らぬ人よ! 君も私の正義を信じてくれるのか!」


「いや、信じてねーよ。お前、絶対戻ってこないだろ。俺なら戻らないし。ま、せいぜい頑張れよ」


西野は鼻をほじりながら、セリヌンティウスを突き飛ばして牢獄へ入った。**「飽き性」**な西野にとって、この「三日間限定のVIP牢獄生活」は、ちょうどいい暇つぶしに見えた。



2. 几帳面な脱出準備


牢獄に入った西野は、贅沢三昧を尽くしながらも、几帳面な性質を発揮した。


彼は支給された食事の銀食器を研ぎ、牢屋の格子の継ぎ目をミリ単位で調査。さらに、看守の交代時間を分単位でメモにとった。


「メロスが戻ってくる確率は、俺の計算だと0.02%。あいつは今頃、妹の結婚式でどんちゃん騒ぎして、走るのが面倒になってるはずだ」


二日目の夜。西野は完璧な脱獄ルートを構築した。

しかし、ただ逃げるのは面白くない。彼は荒っぽいやり方を好む。


彼は看守を丸め込み、「王がメロスを暗殺しようとしている」というデマを流させ、街に混乱を巻き起こした。その隙に王の宝物庫から金を盗み出す算段だ。



3. メロス、到着。そして西野は……


三日目の日没直前。


ボロボロになったメロスが、約束通り刑場に飛び込んできた。


「待て! 私だ! メロスだ! 身代わりの友を放してくれ!」


群衆は感動の嵐に包まれた。王も「信じられぬ、真の友情はあったのだ」と涙を流そうとした。


だが、処刑台にいた西野は、メロスの顔を見るなり**「うわ、マジで来たよ。キモ……」**と露骨に嫌な顔をした。


「おいメロス、お前バカだろ。なんで戻ってきたんだよ。せっかく俺が、お前の名前を使って王の金庫からこれだけ盗み出したのに、お前が来たら台無しじゃねーか」


西野は、服の中に隠し持っていた大量の金貨を見せつけた。


メロスは硬直した。「な……何だと? 私は君との信実を守るために……」


「あー、うるさい。友情とか信実とか、コストパフォーマンス悪すぎ。俺はもうこの茶番に飽きたんだわ。じゃあな、メロス。王様によろしく」



4. 最短ルートの逃亡


西野はメロスが呆然としている隙に、几帳面な計算で配置しておいた煙幕を爆発させた。


視界がゼロになった刑場で、彼は事前に買収しておいた馬に飛び乗り、街の北門へ向かう。


「セリヌンティウス! 助けてくれ、彼を追うんだ!」と叫ぶメロスを背に、西野は笑いながら吐き捨てた。


「友情で腹は膨らまねえんだよ! 幸せになれよ、筋肉バカ!」


西野は、感動に包まれるはずだった物語を「強盗致傷事件」に塗り替え、シラクスの街を脱出した。

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