表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/8

異世界転生・西野:ep.2羅生門編「下人の行方? 俺が決めてやるよ」

死臭漂う平安のどん底、羅生門。

「盗人になるか、飢え死にするか」と青臭い葛藤に耽る下人の前に、最悪のコンサルタント西野が現れる。

善悪の彼岸など興味はない。あるのは「在庫(死体)」と「需要(人毛)」のバランスだけ。

几帳面な計画と荒っぽい裏切りで、彼は悲惨な文学を巨大な人毛加工ビジネスへと変貌させる。

「生きるためなら悪をなす? 甘えんな、稼ぐために悪をなすんだよ」

下人の行方は、もはや文学の謎ではない。西野の帳簿の中にある。

江戸へ向かうはずだった西野が、時空の歪みか飽き性の気まぐれか、辿り着いたのは平安末期の荒れ果てた京都。死臭と餓死者が溢れる、救いようのない「羅生門」の下だった。



1. 職を失った下人へのコンサル


門の下で、一人の下人が「盗っ人になるか、飢え死にするか」と青臭い葛藤に耽っていた。西野は、その下人の横に几帳面な動作で腰を下ろすと、鼻をほじりながら声をかけた。


「おい、迷ってる時間がコストの無駄だって気づけよ。お前みたいな優柔不断な奴が一番早く死ぬんだわ」


「な、何奴だ……!」


「通りすがりの経営コンサルタントだよ。お前に『第三の選択肢』を提示してやる。盗っ人になるにしても、一人でコソコソやるのは効率が悪い。組織化とブランディングだ。まずはあの上(門の二階)に、優良な資材があるから回収しに行くぞ」



2. 老婆への「荒っぽい」買収


門の上で、死体の髪を抜いてカツラを作ろうとしていた老婆。原作では下人に剥ぎ取られる役目だが、西野のやり方はもっと雑で強引だ。


西野は老婆の首根っこを掴み上げると、老婆が抜いていた髪の毛を束にしてチェックした。


「婆さん、手際が悪すぎる。そんな手作業で一本一本抜いてたら、利益が出る前に寿命が来るぞ。おい、下人。そこにある松明を貸せ。髪の毛を根元から効率よく焼いて剥がす『時短術』を教えてやる」


老婆が「生きるためには仕方のないこと」と言い訳を始めると、西野は冷たく遮った。


「あー、その倫理観の講釈、もう飽きた。要は供給(死体)は山ほどあって、需要カツラもあるんだろ? なら、ここで『平安京最大の人毛加工工場』を立ち上げろ。婆さんは工場長だ。下人、お前は営業(強盗)に行ってこい」



3. 平安京・人毛マーケットの独占


西野は数日のうちに、羅生門の二階を几帳面な区画整理によって「生産ライン」へと作り替えた。死体から効率よく髪を回収し、薬品(西野が化学知識を雑に活用して生成)で脱色・加工する。


「ただのカツラじゃねえ。これは『月の都の天女の髪』だ。そう銘打てば、欲深なお貴族様が喜んで金を出す」


西野は、下人に奪わせた着物を老婆に着せ替え、看板娘としてプロモート。


あっという間に羅生門は「死体の山」から「外貨獲得の拠点」へと変貌した。



4. 飽きと裏切り、そして「行方」


事業が軌道に乗り、下人と老婆が「これで食っていける」と手を取り合って喜んでいると、西野は案の定飽きていた。


「平安京の湿気、髪の毛がうねるから嫌なんだよね。あと、この街、飯がマズい」


ある豪雨の夜。西野は工場に溜め込んでいた莫大な純金を全て持ち出した。さらに、几帳面な後始末として、検非違使(警察)に「羅生門で不敬な呪術が行われている」と詳細な通報を済ませておいた。


「西野さん! どこへ行くんですか!」


駆け寄る下人と老婆。西野は、二人が自分を「絶望から救ってくれた神」のように崇めているのが、たまらなく不快だった。


「どこって、次の面白い場所だよ。お前ら、仲良く検非違使に捕まってろ。あ、老婆の言い訳『生きるためなら悪をなしてもよい』ってやつ、供述書に几帳面に書いといてやったから。判事の受けがいいといいな」


西野は、雷鳴と共に羅生門を飛び出した。

下人の行方は誰も知らない。


羅生門を「人毛加工工場」として収益化し、検非違使に通報するという裏切りで畳んだ西野。彼は燃え上がる門を背に、奪った金塊を抱えて闇夜へ消えた。


「平安京、湿気で髪がうねるから嫌いなんだよね。次はもっと、ドライな場所がいい」


西野がそう呟き、羅生門の崩れた瓦礫を跨いだ瞬間、景色が歪んだ。


次に彼が目を開けたのは、埃っぽい地中海の風が吹く、古代ギリシャの都市シラクスであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ