悪役令嬢は破滅回避の為に皇太子との婚約を拒否して、推しの宰相に求愛する
新作を投稿します。
悪役令嬢が破滅を回避する為に推しである宰相を攻略する話です。
ヒロインは攻略対象を避け、悪役令嬢と仲良くしようとします。
(思い出した)
前世の記憶が蘇った。
その記憶によると、此処は乙女ゲームの世界だ。
しかも私は婚約者である皇太子に断罪され、破滅する悪役令嬢レアル・フロイトに転生してしまったらしい。
このまま破滅なんか冗談じゃない。
推しである宰相を攻略しよう。
幸いにも宰相は伯爵で私の父親より年上で未だに独身だった。
侯爵令嬢からの婚約は拒否し辛い筈だ。
色々考えて、推しである宰相を攻略する事に決めた。
今日は皇太子の生誕7周年の祝いが行われる。
そこで皇太子の婚約者に選ばれる可能性が高い。
絶対に拒否してやる。
「ところで皇太子との婚約」
予想通りに皇帝から婚約者の提案がされる。
「私は宰相閣下と婚約します。よって皇太子殿下との婚約は拒否させて頂きます」
此処は皇太子の生誕7周年を祝うパーティー会場。
皇太子との婚約を提案され欠けて、終わる寸前に先手を取った。
私の爆弾宣言に会場内の全ての者が驚愕の為に愕然とした表情で固まってしまった。
「宰相閣下、貴方を愛しています。どうか私と婚約を結んで下さい」
未だに固まっている宰相に求愛した。
「レアル嬢、悪い冗談は止めて下さい」
「冗談ではありません。私は本気です。もし婚約を拒否されたなら、修道院で生涯を終えるつもりです」
「・・・」
宰相は再度固まってしまった。
「レアル嬢、貴女は皇太子である僕より宰相を選ぶのか。納得出来ない。理由を述べろ」
皇太子がヨコヤリを入れてきた。
「分かりました。詳しく御説明致します。私が理想とするのは包容力の有る頼れる男性です。伯爵閣下はその条件を全て兼ね備えております。皇太子殿下は条件を少しも満たしてはおりません。以上です。納得して頂けましたか」
「納得出来るか」
皇太子が遂にキレてしまった。
「止めなさい」
「しかし母上」
「私の言葉に従わないのですか」
「・・・分かりました」
皇太子は渋々引き下がった。
「レアル嬢、宰相はそなたの父親より年上の筈だ。それでも良いのか」
皇帝がツッコミを入れてきた。
「勿論ですよ。陛下」
私は笑顔で返答した。
「「・・・」」
皇帝と皇太子は無言で私を呆れた表情で見つめた。
皇后は獲物を狙う狩人のような視線で私を見つめた。
「宰相閣下、御返事を頂けますか」
「貴女が成人するまで保留とします」
「分かりました。良い御返事を期待します」
返事は私の成人まで保留となった。
取り敢えず皇太子との婚約は阻止出来たから、後は様子見かな。
「レアル、どういうつもりなの」
「私より年上の宰相との婚約なんて、絶対に認めんからな」
馬車の中で母親と父親から叱責された。
しかし私だって人生が掛かっているので、絶対に後には引けない。
私と両親は冷戦状態に突入した。
「やはり納得出来ません」
「落ち着きなさい。レアル嬢が言っていたでしょう。理想とするのは包容力の有る頼れる男性だと。それならば包容力の有る頼れる男性になれば良いのです。そして見返してあげなさい。明日から厳しく教育し直します。覚悟しなさい」
「・・・」
皇太子は無言で頷いた。
「皇太子殿下がザクロ・バンカー伯爵令嬢と婚約するらしいわよ」
「そうなの」
友人のリメル・ロザリオ子爵令嬢から皇太子の婚約の噂を聞いたが、私には関係ないから生返事した。
「私は皇太子殿下の筆頭婚約者候補になりました」
「おめでとうございます」
噂のザクロ嬢がマウントを取りに来たが、軽く受け流した。
どうやら婚約ではなく、筆頭婚約者候補になっただけだった。
とても残念だ。
「・・・ありがとうございます」
私が平然としているのが不満のようだ。
(破滅が待っているとも知らないで、御愁傷様)
心の中で呟いてやった。
3さてと破滅回避失敗に備えて、筋トレで身体を鍛えようかな。
それと魔法の強化も必要よね。
3年の月日が流れ、筋トレで身体を鍛え、レベリングで火、水、風、土、無、闇の属性魔法をカンストして、闇魔法の上位魔法である暗黒魔法を習得した。
更に2年の月日が流れ、いよいよ乙女ゲームが始まる時が来た。
ヒロインの名はセレン・アプリコット。
桃色の髪で小柄なのに胸が大きい少女だ。
ちなみに私は紫色の髪で背が高いが胸は小さい。
(やはりシナリオ通りなのね。最悪な気分よ)
皇太子、セレンと同じクラスになってしまった。
おまけに攻略対象の騎士団長の息子パワード、神官長の息子セイヤ、宮廷魔道士の息子マジック、新悪役令嬢のザクロ、友人のリメルも同じクラスだ。
「レアル嬢、同じクラスだな」
「そうですね。皇太子殿下」
「そう不機嫌な顔をするな」
「別に不機嫌な訳ではありません」
「まぁ、良い。それより貴女に伝えたい事が有る。私は包容力の有る頼れる男性になってみせる。そして私との婚約を拒否した事を後悔させてやる。覚悟しておけ」
「・・・はぁ」
皇太子から意外な事を言われてしまった。
(本当にしつこいわね。まるでストーカーじゃない)
乙女ゲームのヒロインに転生してしまった。
しかし私は皇太子や取り巻き達を攻略なんかしない。
悪役令嬢を断罪しても幸せになる筈が無い。
エンディング後は絶対に不幸になる。
不幸を回避する為にレベリングで火、水、風、土、光、無の属性魔法をカンストして、光魔法の上位魔法である神聖魔法を習得した。
それから筆頭悪役令嬢のレアル・フロイト侯爵令嬢と仲良くなろう。
「レアル様、ごきげんよう」
(げぇ、セレス)
ヒロインから声を掛けられた。
「セレス様、ごきげんよう。私に何か御用かしら」
取り敢えず笑顔で返事をした。
「あの、学内の案内をお願いします」
「学内の案内ですか。私で良ければ、お引き受けします」
「ありがとうございます」
(悪役令嬢に案内を頼むなんて、どういうつもりなの)
悪役令嬢はヒロインを警戒している。
(レアル様は悪役令嬢なんかじゃない。素敵な淑女よ)
ヒロインは悪役令嬢に憧れを抱いた。
「以上か主要な施設です」
セレスと共に学内の主要な施設を回った。
「助かります。ありがとうございました」
「レアル様、今日も昼食を御一緒しましょう」
「・・・良いですよ」
何故か毎日ヒロインから昼食に誘われる様になった。
「私は卒業後は皇宮の文官を目指します。そして宰相閣下の下で働きたいです」
「・・・それは楽しみですね」
宰相の執務室を訪れて、皇宮の文官を目指すと伝えた。
執務室の全員が私と宰相をジト眼で見つめた。
私はセレス・バーネット男爵令嬢。
乙女ゲームの世界に転生したヒロインだ。
家名は違うけど、桃色の髪だから間違いないだろう。
必ずハーレムを築いてみせる。
偽ヒロインは野望に燃えていた。
「皇太子殿下ですね。私はセレス・バーネット男爵令嬢です」
「殿下に近付くな」
「身の程知らずが」
「さっさと立ち去れ」
「ひぃ」
パワード、セイヤ、マジックに叱責され、偽ヒロインは脱兎の如く立ち去った。
(どうして上手くいかないのよ。シナリオ通りにしたのに)
偽ヒロインは困惑した。
レアル・フロイトが皇太子と婚約していない。
ザクロ・バンカーという筆頭婚約者候補が居る。
セレス・アプリコットが皇太子のクラスに在籍している。
聞き込みをして、驚くべき事実が明らかになった。
(もしかして私はヒロインじゃない)
偽ヒロインは真実に気付いた。
6年の月日が流れ、卒業パーティーの日になった。
レアルの断罪は行われず、皇太子はザクロと婚約した。
「レアル嬢、婚約をお受けします」
「ありがとうございます。とても嬉しいです。愛しています。宰相閣下」
「私も貴女を愛しています」
レアルは宰相と婚約を結んだ。
こうして乙女ゲームはエンディングを迎えた。




