表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エリックのはじめてのぼうけん

作者: 入江 涼子

 おれはフォルドおうこくというところにすんでいた。


 なまえはエリック、ねんれいは2さいだ。まだまだ、ちっこいが。おれはうまれてまなしのおとうとであるエレンをかわいいとはおもう。

 けど、まわりはコイツばっかしをかわいがるからおもしろくない。しかたなく、おれはごえいきしのジュリアスやエルとさんにんでにわにでた。ジュリアスにかかえられながらだが……。

 ふくざつだ。なぜ、おれはまだ2さいなんだ?

 ジュリアスは20さいをこしているし。エルもおないどしらしい。

 やはり、いやになってくる。だから、ふたりにいってやった。


「おれ、じぶんであるく!おろちて!」


「……ですが」


「ぜったいにあるく!」


「分かりました、気をつけてください」


「ん!」


 ジュリアスはなにか、むずかしいことをいっているけど。おかまいなしにおれはてくてくとにわをあるきまわった。


 しばらく、そうしていたが。やはり、つかれてしまう。おれ、たいりょくないな。よし!

 ちょっと、やすもう。ちょうどよさそうなきのねもとにいく。

 ぺたんとそこにすわりこんだ。ああ、そよそよとふくかぜがきもちいいな。ぼうとしていたのだった。


 ひとやすみしたら、またあるく。きがついたら、かなりジュリアスやエルからはなれたところにいた。そらはオレンジやきいろにそまっている。な、もうおひさまがしずみかけてるんだが?!

 あわてておれはジュリアスたちをさがすためにまわりをみわたした。けど、ふたりはいない。どうやら、あるいているあいだにはぐれたらしい。いわゆるまいごだ。ばんじきゅうすだな……。

 おれはほっぺたをぺちんとりょうてでたたいた。


「あきらめたらダメだ」 


 つぶやきながら、みみをすまする。ふたりのこえがきこえないかをたしかめる。しばらくはそうしていた。


「……エリック様!こちらにいらっしゃいましたか!」


「あ、ジュリアス!エル!」


「探しましたよ、エリック様。まだ、小さいんですから。無理は禁物です」


「……ごめん」


「いえ、ご無事でようございました。さ、帰りましょう」


 おれはうなずいた。ジュリアスのかわりにエルがおぶさる。かれのひろくおおきなせなかにちょっとだけ、あんしんかんがわく。ちちうえにもあいたいな。

 そうおもったら、うとうとしてきた。


「ああ、エリック様。疲れたんですね」


「うん」


「じゃあ、行きましょう。ジュリアス、エリック様」


 エルがうながすとジュリアスはうなずいた。さんにんでゆっくりとしろにかえった。おれはエルのせなかのぬくもりやあるくリズムのおかげでばくすいしてしまう。きがついたら、うばのリアナにつきそわれながらベッドでねていた。


「あら、目が覚めましたか?」


「うん、すごくねてたみたいだな」


「ええ、今は朝ですよ。よく休んでおられましたし」


 おれはうなずいた。リアナはやさしくわらう。みじたくをてつだわれながら、エルやジュリアスとはぐれたときをおもいだす。

 あのときはかなりふあんになった。それはそうだ。おれ、かなりムチャしたんじゃ?

 いまになってきづく。エルやジュリアスにはすごくめいわくをかけてしまった。また、あやまろうときめたのだった。


 のちに、3さいのはるにこんやくしゃのシェリア・フィーラこうしゃくれいじょうとひきあわされるが。おれがぜんせのきおくをとりもどすのをまだ、しるよしもなかった……。


 ――END――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ