エリックのはじめてのぼうけん
おれはフォルドおうこくというところにすんでいた。
なまえはエリック、ねんれいは2さいだ。まだまだ、ちっこいが。おれはうまれてまなしのおとうとであるエレンをかわいいとはおもう。
けど、まわりはコイツばっかしをかわいがるからおもしろくない。しかたなく、おれはごえいきしのジュリアスやエルとさんにんでにわにでた。ジュリアスにかかえられながらだが……。
ふくざつだ。なぜ、おれはまだ2さいなんだ?
ジュリアスは20さいをこしているし。エルもおないどしらしい。
やはり、いやになってくる。だから、ふたりにいってやった。
「おれ、じぶんであるく!おろちて!」
「……ですが」
「ぜったいにあるく!」
「分かりました、気をつけてください」
「ん!」
ジュリアスはなにか、むずかしいことをいっているけど。おかまいなしにおれはてくてくとにわをあるきまわった。
しばらく、そうしていたが。やはり、つかれてしまう。おれ、たいりょくないな。よし!
ちょっと、やすもう。ちょうどよさそうなきのねもとにいく。
ぺたんとそこにすわりこんだ。ああ、そよそよとふくかぜがきもちいいな。ぼうとしていたのだった。
ひとやすみしたら、またあるく。きがついたら、かなりジュリアスやエルからはなれたところにいた。そらはオレンジやきいろにそまっている。な、もうおひさまがしずみかけてるんだが?!
あわてておれはジュリアスたちをさがすためにまわりをみわたした。けど、ふたりはいない。どうやら、あるいているあいだにはぐれたらしい。いわゆるまいごだ。ばんじきゅうすだな……。
おれはほっぺたをぺちんとりょうてでたたいた。
「あきらめたらダメだ」
つぶやきながら、みみをすまする。ふたりのこえがきこえないかをたしかめる。しばらくはそうしていた。
「……エリック様!こちらにいらっしゃいましたか!」
「あ、ジュリアス!エル!」
「探しましたよ、エリック様。まだ、小さいんですから。無理は禁物です」
「……ごめん」
「いえ、ご無事でようございました。さ、帰りましょう」
おれはうなずいた。ジュリアスのかわりにエルがおぶさる。かれのひろくおおきなせなかにちょっとだけ、あんしんかんがわく。ちちうえにもあいたいな。
そうおもったら、うとうとしてきた。
「ああ、エリック様。疲れたんですね」
「うん」
「じゃあ、行きましょう。ジュリアス、エリック様」
エルがうながすとジュリアスはうなずいた。さんにんでゆっくりとしろにかえった。おれはエルのせなかのぬくもりやあるくリズムのおかげでばくすいしてしまう。きがついたら、うばのリアナにつきそわれながらベッドでねていた。
「あら、目が覚めましたか?」
「うん、すごくねてたみたいだな」
「ええ、今は朝ですよ。よく休んでおられましたし」
おれはうなずいた。リアナはやさしくわらう。みじたくをてつだわれながら、エルやジュリアスとはぐれたときをおもいだす。
あのときはかなりふあんになった。それはそうだ。おれ、かなりムチャしたんじゃ?
いまになってきづく。エルやジュリアスにはすごくめいわくをかけてしまった。また、あやまろうときめたのだった。
のちに、3さいのはるにこんやくしゃのシェリア・フィーラこうしゃくれいじょうとひきあわされるが。おれがぜんせのきおくをとりもどすのをまだ、しるよしもなかった……。
――END――