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第1話 ある少年の没落

カクヨムで連載しているものを、こちらにも連載していきたいと思います。

魔に住むものの魂は、核に刻まれる。

昔からそう言われている。

僕の仕事はその魂の記憶を読むことだと教えられてきた。

昔から続く僕の家の仕事、それは核の研究をする学者だ。

魔に住むもの、つまり魔物には種類ごとにそれぞれ違った核がある。


そんな魔物たちの核を研究する僕の一族には【核読み】という力が備わっているという。

数年前に父が死んでから母は家を出て行ってしまったし、家には僕とじいちゃんしかいない。

読み書きや核のこと、なんでも教えてくれたのはじいちゃんだった。

そんなじいちゃんが俺は大好きで、ずっとこの生活が続けばいいと思っていた。

僕の家は、街のはずれの小高い丘の上にある少し大きな屋敷である。

そして僕の日課は街にある冒険者ギルドで、状態のいい核をもらい研究材料とすることだ。

最も楽な魔物の倒し方は核を破壊することであると言われているこの世界で、状態のいい核を手に入れるのはかなり難しい。

それでも取り憑かれたように僕は毎日核を読んでいる。

そんな毎日を繰り返すために今日もギルドに向かう。


◆◆◆


ある小さな街、ミタルの冒険者ギルドは大きく賑わっている。

そこに1人の少年が現れた。

彼は受付に着くと、


「今日は、ありますか?」


そう受付嬢に尋ねる。


「今日は来てませんね〜」


そう受付嬢が答えると、少年はギルドを出て行ってしまった。


「おい、あのガキなんなんだ?」


1人の冒険者が隣に座っていた男に尋ねる。


「ありゃこの街のはずれに住んでる若い学者さんよ。アルター・エルマイトとか言ったか?アルトって名乗ってる」


そう男は答え、話を続けた。


「あいつの屋敷には魔物の核がたくさんあるんだとよ。その研究をしてるとか何とか」


そういうと、聞いた冒険者は納得したように頷く。

そんな2人のところに、ある長い黒髪の怪しげな男が現れた。


「君たち、お金に困ってたりしてないかい?

いい話があるんだけどさ」


そう話しかけられ、


「確かに金にゃあ困っちゃいるが、誰だあんた?」


そう聞き返した。


「世の中には知らない方がいいこともあるもんさ、君たちの安全は保証するから仕事を頼んでもいいかな?」


男はそう続ける。


「まあ雇い主になるかもしれないなら名前くらいは教えておこうか。私はフロイド・エルマイト。さっきの少年、アルトの遠い親戚さ」


それを聞いた冒険者が尋ねる。


「んで、仕事って何だ。内容と報酬によっちゃ引き受けよう」


「内容は、アルトの屋敷の襲撃だ。どうだ?やってみる気はあるかい?」


すると冒険者の隣の男が驚いたように尋ねる。


「お…おい、あんたあいつの親戚なんじゃないのか?何でそんなこと…」


「まあまあそんなことはいいから。ちなみに報酬は彼の屋敷にある核全てだよ」


フロイドはそう言った。


「よし、やろう。金に困ってて信頼できる奴を集めろ」


冒険者の1人が話に乗ろうとした。


「おいおい、本当に平気かよ。危ない橋を渡るんだぞ?」


もう1人が周りを気にしながら小さな声で聞く。


「安全は保証するって言ったはずだよ。さあ、どうするんだい?」


そうフロイドが尋ねると、2人とも覚悟を決めたようだった。


◆◆◆


ギルドから出てきたフロイドは裏路地へ入る。

そこでは彼の従者が2人待っていた。


「とりあえず、種は撒いた。ここからどうなるかだね」


従者はそれに答えるように、


「こちらも準備は整いました」


「そうか、ご苦労だったね。それでは潜伏するとしよう。もうすぐ会えるな、メフィスト」


そう呟いて彼らは去っていった。


◆◆◆


「今日は核はなかったか…」


さて、核がないとなると何をしようか。とりあえず家に戻るとしよう。


「ただいま、じいちゃん」


「おお、おかえりアルト」


家につき、研究室の地下へ降りる。

そして手に取るのは全知の書。

俺が字を読めるようになったときにじいちゃんがくれたものだ。

この家に代々継がれてきた厚い本だが、固く閉ざされていて開けることができない。

それでも中身が気になり手に取ってしまう。

いつかこれを読むことができる日が来るのだろうか。

そんなアルトの考えとは裏腹に、アルトがこの本を読むときはすぐそこまで迫っていた。


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