第3話 化け狐と化け狸 1
陰陽師はそれぞれ自分専用の式神を呼び出す特殊な方法を持っている。それぞれの方法で霊力を込めると式神が出現する。
式神の種類はそれぞれ異なるが大きく分けて思業式神・擬人式神・悪行罰示神・妖怪型式神の4種類がある。稀に例外もある。
簡単に説明すると思業式神とは自分自身のイメージから創り出される式神。擬人式神とは紙や草木で作った人形に霊力を込めて作り出す式神。意識を持たせると上位式神・意識を持たせないと下位式神とされる。そして悪行罰示神は過去に悪行を行った霊を打ち負かし、服属させた式神。強いが術者の腕によっては飲み込まれる可能性がある危険な式神。最後に妖怪型式神は妖怪や精霊の特徴を持つ式神で特定の文化や地域に由来する妖怪が多い。
1年後、栃木県那須町の人里離れた山中。
「ワン!ワン!」
「しろ〜くすぐったいて!」
この隻眼の少年は狐の式神を使役する一族の稲荷。稲荷は2匹の式神、白狐・黒狐と戯れていた。
「ワン!ワン!」
森の中から稲荷の祖父 狐蔵が帰ってきた。隣には2匹の式神、銀狐と金狐の姿もあった。
「ゴホッゴホッ。今帰ったぞ〜」
咳き込む狐蔵の姿があった。
「ギン、キンもおいで」
4匹の式神が楽しそうにじゃれ合い始めた。
「どうじゃ稲荷、2匹同時に召喚し続けるのは疲れるじゃろ」
「少しは慣れてきたかな、上位妖狐はまだ呼び出せないけど」
「がはははははは!そうかそうか、まだ鍛錬が必要なようじゃの」
狐蔵は稲荷と式神達をみて笑みを浮かべていた。しかしその日の夕暮れ時悲劇は突如訪れた。
「あいつが言うには、妖狐を使役する一族が住んでるのはこの辺りだったか?」
極妖神徒第11徒 狢の姿があった。少し歩いたところで稲荷の家の灯りが見えてきた。
「こんな時間にどちら様じゃ」
狢が家の前で足を止めると狐蔵が玄関から静かに出てきた。
「おっ、爺さん。化け狐の匂いがプンプンするね〜」
「ほー、お前さんからは獣臭い化け狸の匂いがするの〜」
その頃、稲荷は森の中にある小さな神社に居た。神社には九尾の狐・天狐・空狐の石像が祭られている。
「早く僕も上位妖狐を呼び出せるようになって爺ちゃんを喜ばせたいな」
稲荷は上位妖狐の石像を眺めていた。
「ワン!ワン!」
「お前たちも爺ちゃんを喜ばせたいのか」
「ドンッ」
大きな爆発音が稲荷の家の方から聞こえた。
「爺ちゃん!?」
稲荷は家へ走った。
「月影に舞い、狐の姿を宿せ、妖狐よ、我が呼び声に応えよ!金狐・銀狐」
狐蔵は2枚の式札に霊力を流すと式札が破れ式神が姿を現した。
「妖人変異 •狸囃子」
狢はお腹に刻まれた刻印を強く拳で叩いた。すると狢は狸の妖に変異した。
「この場所は一族以外の者は知らんはずなんじゃがな」
「どうしてここが分かったのか知りたいか?爺さん」
「キン、ギン 双狐疾風突撃」
金狐と銀狐は激しく回転し、疾風のごとく狢へと直撃し砂煙が立ち尽くした。
「別によいわ、何にせよ殺らないかんのじゃからな」
砂煙が晴れ無傷の狢が立っていた。
「ん?爺さんこんなもんかい妖狐の力は」
「はぁはぁはぁ儂も衰えたもんじゃ」
狐蔵は高らかに笑っていた。そしてその様子を木の上から見ている八咫烏の姿があった。
「妖狐を使役する陰陽師は〜と思って来てみればみれば」
八咫烏は道満を倒すために戦力になりそうな陰陽師を探す為全国を飛び回っていた。
「笑ってる暇なんてないぞ爺さん」
「狸囃子・音圧乱舞」
狐蔵を四方八方から音の衝撃が襲った。そして足元には沢山の血が飛び散っていた。
「年を取るのは嫌じゃな、仕方ないのぉ」
そう言うと狐蔵は何かの詠唱を唱え始めた。
「神秘の霧を纏い、狐の精霊よ、共にいざなへ!空狐」
狐蔵は最大の霊力を込めて式札を空へ投げると式札の周りを風が覆った。そして上位妖狐の空狐を呼び出した。
「空狐の宿命」
空狐を身に纏い音圧乱舞を弾き返した。
「空狐の前で空気を操ろうとは面白いのう、空狐・風の奔流」
凄まじい程の突風と斬撃が狢を襲い吹き飛ばされた。
「流石は上位妖狐の力だな。なら俺も特別に本来の姿を見せてやろう」
狢から凄まじい程の忌々しいオーラが湧き出てきた。
「真妖回帰・太三郎狸」
お腹の刻印を両拳で強く叩くと刻印が身体中を覆った。すると体が一回り大きくなり凄まじいオーラを放つ。
「久しぶりだぜ、この姿は気分がいいなぁ〜。さっさっと終わらせてもらうぜ爺さん」
地面に手を当てて大地のエネルギーを吸収し一時的に力を増強し始めた。力を増強した狢は狐蔵に向かって突っ込んでいく。
「大狸の一撃」
凄まじい一撃が狐蔵を襲った。




