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第89話 なるほど…たしかに理不尽だ

「帝国0時辺境前進計画、

その初動はこのような方針で始められたわけだ?」


「情報戦優位を?」

「そうだ、ソレを生かし初動で圧倒的な状況優位を獲得した」

「たしかに…圧倒的なまでの…」

「優位を得ての…」

「侵攻開始ですわね…」


「そして帝国門投射?」

「そうだ、遅滞戦略の全てが帝国門投射を基礎にしている」

「侵攻に補給…全ての根幹」

「そしてコマインはソレを知らないと…」


「焦土作戦?」

「そうだ、強襲独行艦の調査により、

コマイン領域が長年に渡る資源収集でかなり枯れており、

新規開発投資をするには非効率な星系ばかり、

しかし今しばらくは継続運用できる程度には残っていて放置もできない、

ならば、まとめて無価値にすることにしたわけだ」

「無価値…」

「まとめて…」

「4200星系を…」


「地殻破砕実施後…その星は…」

「岩石惑星は冷えるまで400年以上かかるように、

氷惑星はほぼ岩石惑星になり同じく冷えるまで400年以上かかるように、

衛星は全て母星に堕ちるように計画され実施された」

「400年…その間は…」

「資源収集どころか調査もする意味がないな?」

「徹底的だな…」

「容赦の欠片もない…」

「鬼ですぅ…」



「小惑星帯などの小規模天体群は…」

「荒っぽく適当に恒星落下軌道にのせた」

「ここまでくると…」

「雑い…」

「そりゃ天文学的な数…」

「そうなりますよね…」


「……それに対しコマインは?」

「各星系5個小艦隊は忙殺に忙殺された、

10隻が各個に連携して多重で行われるソレに対し、

懸命に対応しようとしてな?

だが、無意味だ、肝心の質量融合弾を阻止できないのだからな?」

「さすがに…」

「いきなり…」

「ここまで…」

「振り切ったこと…」

「されるとは…」

「思わないですわよね…」


「つまりは…4200星系は…30日間で…」

「うむ、暫くは双方にとって概ね無価値な星系になった、

ちなみに141番から145番もコマイン領域だが作戦対象から除外されている」


「ん?それはまたなぜ?」

「この5星系は、それぞれが情報の末端星系であり、

帝国の領域に近く、かつ667番星系とは離れており、

ここ10万年内で本格的に開発されたコマイン最辺境星系だからだ、

技術情報サンプル取得対象星系として除外された」

「あっそこらへんも…」

「ちゃっかり…」

「してるんですね…」


「寸断された通信ラインの方は?」

「侵攻開始点である4346番星系には本土艦隊2個艦隊を

667番星系以外、23の通信ハブ星系には本土艦隊1個艦隊を

強襲独行艦の警戒下の中、帝国門で直接投射した」

「それは…」

「なんて強引な…」

「味方にも容赦ない…」


「作戦開始65時間頃にはそれらの星系に戦列砲艦の姿はなくなった

投射艦艇が2個分艦隊になった時点で殲滅戦を開始したからな」

「充足も待たずに」

「必要量満たした時点で…」

「即殲滅戦開始…」

「大胆な…電撃戦だな…」


「そして、各星系強襲独行艦の支援下で4346番星系に向けて、

各個撃破しながら遡上したわけだ、

リプレース位置はすぐに殲滅戦ができるように強襲独行艦が誘導した」

「強襲独行艦が…」

「その先導役…」


「最末端側は?」

「遡上開始前に2個分艦隊分派で蹂躙した」

「徹底して…電撃戦…」

「集結する隙を与えない…」


「…その結果は?」

「事故を除くと戦没艦もなく4200星系を蹂躙しきった

常に0.025大艦隊相当である5個小艦隊に、

0.1個本土艦隊である2個分艦隊以上を充てたからな」

「これが…アングリス司令と麾下司令部員の…作戦計画…」

「字義通り1兵たりとも無駄にしない…その在り様…」


「…期間は?」

「概ね180日間だ、1個本土艦隊あたり、

183星系915個小艦隊4.575個大艦隊相当だな」

「日に1戦下手したら2戦がほぼ毎日じゃないか…」

「転移魔法陣チャージング中以外は…」

「ほぼずっと戦闘してるんじゃ…」


「強襲独行艦は?」

「念入りに残敵を捜索、残敵掃討後、

新規割り当て哨戒独行艦に哨戒任務を渡して4346番星系に移動だ」

「そして哨戒独行艦に引き継ぐのか…」

「その状態であれば…」

「哨戒独行艦が妥当であると…」

「そこは衛星一つも無いガス惑星以外には…」

「煮えたぎったマグマが表面の星しかない…」


「残る15個本土艦隊は?」

「14個本土艦隊は0時第2帝国門で待機だ、

4346番星系への反攻は最短でも730日後と想定されていたが、

念のための投入予備として温存していた、

なお残る1個本土艦隊は141番から145番星系を制圧後に合流している」

「ちゃっかりムーブ…」

「してますわね…」


「730日後?」

「水鏡の通信間隔解析で反対側の戦線が最低でも1200光年、

つまりは無理を押して全力で移動しても730日はかかる、

最低でもそういう位置以上に離れていると判断されていた」

「だから…ここまで…」

「大胆な作戦に…」

「踏み切ったんですね…」


「そして反攻は?」

「2個本土艦隊で容易に対応できる数度の威力偵察を除き、

本格的な反攻はなかったというわけだ?」

「少なくとも…必要な180日は…」

「反攻を受けることなく…」

「過ごせたと…」


「つまりは…667番星系は…」

「取り残された、というわけだな?」

「180日で…周辺4200星系が…無価値になったわけか…」

「なるほど…たしかに理不尽だ」

「えぇ…とんでもなく理不尽ですよね…」

「50年間、一切しなかったことを…」

「いきなり…全部されてしまった…」

「それも…見渡す全部に…」


「…最終的には4346番星系に集結?」

「集結するのは強襲独行艦42000隻のみだ、

23個本土艦隊は蹂躙後は4346番星系には入らず、

4346番星系から45光年帝国側に離れた恒星中間点、

そこに在る動く侵攻発起点、

拠点艦400隻、第1第2第3第4防人統合艦隊、

通称イーリングベースに集結だ」


「しれっと増えてるな…」

「年700隻超の建艦ペースだからな?

50日くらいで1個できるぞ?

ここに集結する理由は、4347番星系のコマインに見られない為だな」

「そうか、それを考えての…」

「4346番星系2個本土艦隊…」


「…イーリングベース…」

「正式には侵攻発起点艦隊だ、

まぁ通称で呼ばれることの方が殆どだがな?

司令はイーリング・リバーブレイト、少将になった、

帝国0時辺境前進計画その序盤、遅滞戦略方面軍の主役だ」

「…主役…」

「…そう主役だ、そしてこの投射にあたり、

第1第2第3艦隊は大規模な改編を行っている」

「改編?」

「所属艦の半数150隻の拠点艦を新造艦に入れ替えた、

抜いた150隻は第161以降の新規艦隊の基幹とするためだな」

「なるほど…」

「その中には第161防人統合艦隊3番艦”でっかいどう”の姿もある、

667番星系侵攻軍の主役だ」

「…主役…」


「この二つの視点でもって、

帝国0時辺境前進計画、

その序盤の経緯を見てもらうとしよう」

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