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第86話 いや…それはない…アヤツは心から愉しんでいる…永年留年を…

『水鏡範囲内の監視小惑星は、

初戦侵攻ルート上を除き消えて無くなりましたよ』

『いやぁ50年長かったですなぁ』

『えぇ、長い戦いでしたね?

エンデュア・トライバル強襲独行艦司令部長官?』

「盾ナグールインパクトの時の人か」

「コマイン検知術式の可能性を提議された方ですよね?」

「そうか、以降検証公とも付き合いが長いのか』


『なかなかにしんどかった…しんどかったですなぁ』

『長い事、慣性航行を強いられましたからね』

『しかし、この50年があったからこそ、

この任務を我らは行えるわけですな?』

「そうだ42000隻で?」

「いったい何をする気なんだ?」


『ふふふ、そうです、4200星系に?』

『42000隻、1星系当たり10隻を充てるわけですな?』

「1星系に…10隻?」

「狼群戦術でもするのか?」


『そして各星系近傍6光年位置に?』

『えぇ、自動補給パッケージ付き大型弾薬コンテナを投射済ですな?』

「おい…」

「それは…不穏すぎるだろう…」


『その全てが?』

『質量融合弾ですな?』

「まってください…それはまってください」

「心の準備がいる…その時間がいる…」


『残念ながら空間歪曲中和弾は?』

『0.001光秒以上の高速だと中和しきれず普通に弾かれてしまいますからな?』

「よかった…猶予はあった」

「その時間は…与えられましたわね…」


『えぇ、そうですね、そしてその低速では迎撃されるだけですね?』

『実際に先ほど結構な数、狙われた場合の割合としては?』

「あーたしかに迎撃してたな第4の砲台…」

「そうだったですぅ」


『えぇ、そうです、99.9999%が迎撃されましたね?』

『そして、その威力は単なる融合弾頭の威力依存程度に留まるわけですな?』

「ほとんど墜とされてたのか…」

「その分、第5への攻撃を減じる事が目的だった?」


『えぇ、そうです、0.5光秒質量融合弾の威力には遠く及びません』

『おそらくはあの1万層の装甲にいくらぶつけても?』

「あぁ速度がないのか…」

「質量融合弾とはそこが違うのですね…」


『えぇ、そうです、迎撃されずとも中心温度が足りずに?』

『1層たりとも抜けないということですなぁ』

「単なる融合爆弾なのか…」

「それでも秒速300kmはあるんですけど…」


『えぇ、そうです、その為の装甲板だったようですよ?』

『とはいえ、相対速度差がほとんどなく、

距離も1光秒以下で終始する惑星軌道上以下での戦闘でなら?』

「あーそういう限定下で輝く砲弾なのか…」

「割とニッチな砲弾なんだな…」


『そうです、とても有用です、常識的な装甲なら抜けるのですからね?』

『使い分けが大事ですなー』

「確かに、それなら曲射でも有効射撃が可能になると」

「迎撃さえ抜ければだろうがなぁ」


『そして質量融合弾、いまだコマインは?』

『667番星系第5惑星以外ではろくに迎撃できませんな?』

「そういえばそうだった」

「まだソコにまでは到達していないんですね」


『あの機械神もどき本体が気づくのは?』

『4346番星系の応答が無い事に気付くのは24時間以内ですかな?』

『4347番星系は当然ながら監視小惑星が健在ですからね?』

「なるほど、本体は割と早く気付くのか」

「けど解るのは連絡がつかない事だけですわね?」


『そして通信頻度から考えても通信ハブ星系は4347番星系ですな?』

『4200星系の内?』

『通信ハブ星系は667番星系含め24星系しかありませんな?』

「そういやそんなのもあったな…」

「それも判明しているのか…」


『それらは?』

『失われた事にすぐに気づきますな?』

「ハブ星系内には星系内直通通信ゲートがあるんだったな…」

「それはすぐに気づきますぅ…」


『隣に出るのは?』

『彼らの艦船ゲートは距離に依存せず生成に3日、

ゆえに早くても3日後ですな?』

「そうなのか…コマインは常に3日かかるのか…」

「超重要」

「…記憶した」


『そして生成されるゲート出入り口の位置は?』

『水鏡に生成開始時から映ってしまいますな?』

「これも…」

「超大切」

「…刻んだ」


『通信ハブ星系とその両隣、そして4346番星系の班構成は?』

『15M超級をリーダーに10M超級で構成されてますな?』

「うっわ…ガチ編成だ…」

「そんな編成でアレを?」


『そして残る4176星系が気づくのは?』

『30日後には訝しみ?60日後に疑念を確信に変えるでしょうな?』

「そうか…一般星系は往復60日の通信になるのか」

「監視小惑星からの連絡が途絶えるのが30日後…」

「定期照会に応答が無い事が判明するのが最短でも60日後…」


『その班構成は?』

『5M級以上をリーダーに新人含めた雑多な構成ですな?』

「あっこっちは割と玉石混交な感じ?」

「それだけ数を優先したと」

「あの時の雑木林組が割とリーダーに?」

「混じってそうだな…」


『強襲独行艦の本作戦における任務は?』

『固定軌道目標の破壊と復旧作業の妨害、

ならびに艦隊移動の妨害もしくは偵察ですな?』

「ここはまだ穏当…」

「不穏は感じられないが…」

「だが…コンテナ…」


『つまりは?』

『通信ハブ星系は警戒態勢下にあり、

15M級1隻に10M級が9隻が強襲、

来援が予想される3日以降までに、

固定軌道目標の概ね全破壊を達成し

艦隊移動妨害と偵察に臨まねばなりませんな?』

「なかなかキツイ感じだな…」

「10隻であたるとはいえ…」


『4346番星系は?』

『警戒態勢下にはないが、

来援が予想される3日以降までに、

15M級1隻に10M級が9隻が奇襲し、

固定軌道目標の概ね全破壊を達成し

艦隊移動妨害と偵察に臨まねばなりませんな?』

「こちらも…」

「そりゃ同程度になるか…」


『残る4176星系は?』

『警戒態勢下でもなく、

来援の可能性がでてくる30日以降以内に、

5M超級1隻に功績点不問9隻が奇襲し、

固定軌道目標の概ね全破壊を達成し

艦隊移動妨害と偵察に臨まねばなりませんな?』

「比較するとだいぶハードルが低く感じるな」

「それゆえの編成なのでしょうか」


『その活動を支援するのは?』

『第1第2第3防人統合艦隊ですな?』

「ここでも支えるのは…」

「イーリング・リバーブレイト准将…」


『如何です?どれくらい破壊できると?』

『地殻破砕ドクトリン全面使用を解禁するのですからな?

667番星系以外のインフラは消えて無くなるわけですなぁ

しかし、本当に良かったのですかな?全面使用解禁で?

6000km級以下小規模天体に至っては天体破砕も解禁しましたよ?』

「全…面…解…禁…」

「まさかの…天体破砕まで…限定解禁…」

「そりゃぁ…コンテナ…いるわ…」

「そのあと…その星系…どうするんですぅ…」

「どこかしこも…地殻が…消しとばされた星ばかりに…」


『構いませんよ?

殆どの岩石天体がコア採掘でスカスカですからね?』

『あーむしろそのまま残す方が面倒なことになるわけですかー』

「あ…」

「すでに…」

「それらに価値は…」

「もう殆ど残っていないのか…」

「掘りすぎだろう…いくらなんでも…」


『えぇ、そうです、そういうことです』

『さて時間ですなぁ』

『とはいえ、貴方方にとってはいつものことです』

『そうですなぁ、単に数が多いだけ、むしろ今までより安全ですらある』

「あっさりしたもんだなぁ…」

「今、42000隻が戦場入りしたのですけど…」


『今は42000隻、42000班の健闘を願うとしましょう』

『あの時空神に?』

『ダメですよ?あの神は笑えない冗談が殊の外、お嫌いですよ?』

『おーおっかなおっかない、して未だに親交が?』

『常時会話を継続していますよ?そう今この瞬間も』

『あーそれは知りたくなかったですなぁ…』

『ふふふ、大丈夫ですよ?神に見入られる、

思いのほかハードルは遥か遠く宇宙の果てにまで高さがあるようですからね?』

『老い先短い年寄りを驚かせんでくださいますかなぁ』

「さらっと怖い事言ってませんか…」

「ねぇハム公…嘘だよね…ウソなんだよね?そう言ってくれるよな?」

「すまんな…アヤツはもう存在そのものが神遺物だ…そう認定されている…」

「それもう預言者託宣者の類ですよね?………なのに永年留年………してるんですか?」

「そうだ…吃驚だろ?そんなものに見入られてるのに…気にせず愉しんでるんだ…」

「白兵戦至上主義者どころの程度じゃもうないじゃないですか…」

「心の救いは時空神が見に徹していることだけだ…」

「つまりは…その方が…」

「あぁ…笑えるらしい…」

「そうです…きっとそれも計算なのでは?」

「いや…それはない…アヤツは心から愉しんでいる…永年留年を…

魂魄式AIの感情値が…偽装を施す余地のないその数値が…

ソレを示している…」

「「「「「「「「「………」」」」」」」」」

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