表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/168

第83話 だから始めたと…

「コマイン起源惑星制圧作戦、

帝国0時辺境前進計画、

すべてはその始動によるものだ」


「帝国守護宮完成…」

「0時第二帝国門完成…」

「その二つが号砲になる」


「100個本土艦隊…」

「160個防人統合艦隊…」

「そうだ、稼いだ時間50年で用意できたのは、

新設160個防人統合艦隊だ、

既存艦3に対し新造艦が5だ、

充足と練成は各艦隊が均質になるように、

並行で行われた」


「場所はどこですか?」

「タウ星起点4時6時8時方向の

帝国防衛縦深領域1000~2000光年星系だな、

つまりは帝国辺境領域とホプル戦域の間だ」


「そこでなら見られないということですの?」

「うむ数千年は見られずに済むな」


「抜けた後はどうしたんだ?」

「皇族の揺り籠が埋めた」


「そういえば皇族の揺り籠の戦力は…」

「そうだ植民星系艦隊には及ばずとも

それなりに強大だ、その上、練成中の地上兵力すらいる、

そしてそれらは家族だ」


「そうすると皇族の揺り籠は…?」

「そうだ、帝国の滅亡が避けられぬ場合の繁種船でもある」


「じゃぁ皇族の揺り籠は?」

「そうだ帝国で最も安全な場であり、もっとも生存可能性の高い場所だ」


「なら帝国本土はどうなんだ?」

「戦闘前の自力避難は認められる」


「自力か…戦闘中の避難は?」

「認められない、そこは死地である、勝利によってのみ活路は開かれる」


「…降伏?」

「認められない、その場合は介錯として帝国が引導を渡す」


「ならば帝国は…?」

「そうだ、老若男女含め全てが皆兵だ、

赤子であっても区別はしない、

侵攻を受けた際には遅滞戦闘でもって、

全員が後代への礎となることを帝国は求める、

そしてそれが帝国法に定められている」


「それが…」

「そうだ異星文明間星間殲滅戦争における帝国の基本姿勢だ」


「いつから?」

「西暦2680年、

統一歴564年、

帝国歴30年、

地球人類殲滅計画始動時からだ」


「なるほど…」

「殲滅するのだ、

殲滅されもする、ならば皆兵であるべきなのだよ、

そう帝国は定めた」


「そしてそれを是としたのが帝国国民か…」

「そうなるな」


「本土艦隊は?」

「100個のままだ、帝国門2基建造の最中に、

生産的なことができない本土艦隊を増勢することはできなかった」


「内40個艦隊が…」

「0オクロックセカンドゲート星系第5惑星で行われている、

大深度地下要塞籠城作戦から発展した、

地上戦の支援にあたっている」


「残り60個艦隊が」

「帝国が攻撃的に動かせる戦力だ」


「相手は…」

「145番から4346番星系に監視小惑星が存在し

各星系に平均5個小艦隊つまり21000個小艦隊、

つまりは105個大艦隊相当が存在し、

667番星系に100個大艦隊が存在する」


「その布陣は…」

「そうだ、強襲独行艦、その通商破壊戦に対応したものだ」


「総数205個大艦隊…」

「しかしてコレは水鏡の範囲内にいる分だけだ、

水鏡範囲内だけでも、

同じ50年で1000個大艦隊相当が造船され、

内84個大艦隊相当が防衛にまわされ、

内100個大艦隊相当が、

0オクロックセカンドゲート星系第5惑星への輸送作戦で殲滅され

残りの816個大艦隊相当が向こう側の戦線に送られた、

そう推定されていた」


「帝国が内乱中であり、正面戦力が40個艦隊、

そして通商破壊戦で遅滞戦闘を行っていると…」

「うむ、そう判断しているコマインとしては充分な布陣だろう」


「100個と160個でも厳しい布陣のような?」

「うむ、だいぶ油断してくれているとはいえ、

流石は指し手だ、万一の場合667番星系で持久し、

来援を待てるようにもしてあったというわけだ」


「もし油断してなかったら…」

「向こう側で遅滞し、こちらに主戦力をまわしての

大侵攻を仕掛けてきたかもしれんな」


「千載一遇の機会だと?」

「そうだ、667番星系を奪取するには

ここで仕掛けるしかないと判断された」


「揃うのを待ちはしないと?」

「そうだ、帝国門2基の完成とともに空いた造船力は

当然、建艦にまわすとしても待ちはしない、

相手の方がさらに造るのだからな?」


「不足を感じる分は?」

「工夫することにしたわけだ、

それを行うに足る情報戦優位が充分に得られていると

そう判断したわけだ、そしてその準備も号砲に間に合った」


「だから始めたと…」

「そうだ、そして始めるにあたりティネムがこう宣言したのだ」

(((((((((こくり)))))))))



『諸君!!我らは始める!!

彼の神が宣う人類滅亡に抗う闘いの日々をだ!!

外征に外征!!殲滅に殲滅!!その長きに渡る日々をだ!!

諸君らは既に知っている!!

諸君らが踏み砕くべき目標の強大さを!!

あろうことか1万年以上の長きに渡り造り続けられた狂気の産物を!!

隣を見てほしい、

その隣も、

その隣も、

さらに隣も、

見渡してほしい、

見渡す限りを見渡してほしい、

諸君らの戦友だ、

死への旅路を共にする戦友だ、

目に映る全てが戦友だ、

そして…自身を含めその殆どがココに…

二度と帰ってくることはない…

第四代女帝ティネム・スフームはそれを知っている、

そしてこれがその第1陣に過ぎない事も知っている、

これから幾度も諸君らの後に続く者達を見送るのだ、

諸君らもそれを知っている、

後に続く者もまた殆どがココに二度と帰ってくることはない…

その上で…第四代女帝ティネム・スフームは命ずる!!

諸君らの生き様をレコードに刻み付けるのだ!!

人類の防人はココに在ったと渾身の生き様で刻み付けるのだ!!

あのはた迷惑な機械神もどきのデータベースに刻み付けるのだ!!

貴様を屠るのは我ら人類だと!!

我らの後に続く人類の防人が!!

貴様を必ず屠るのだと!!

全身全霊でもって刻み付けるのだ!!

貴様など!!前座に過ぎないのだと!!

貴様に我らの前進を阻むことなど出来はしないと!!

さぁ征ってくるがいい諸君!!

あの機械神もどきの!!

大事な大事な生誕地を!!

見事に踏み砕いてこい!!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ