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第80話 それでも…抜かねばならない…

『教官…ここを踏み砕かねばならない…

その理由を教えてくれないか…』

「迂回…避ける事はできないのか…」

「ここは指し手が1万年以上かけた…」

「空前の惑星天体籠城戦要塞…」


『いいでしょう、しかしそれを教授する前に…

一つ確認をしなければなりませんね、

ウタ?あの水面付近の高度から最寄りの柱へ』

『おけー使い魔5号よーごー』

『教官、いったい…なぜ柱に…?』

『其処にふみ砕かざるを得ない理由があるからですよ?

少し待ちましょうか』

『あぁ…』

「なにを?」「確認するんだ?」

「あの柱になにがあるんだ?」




『教官ーついたー』

『では柱の側面に沿って潜っていきましょう、

大きな開口部がある筈です』

『おけーもぐるー』

「ある程度の予想がついているのか?」

「それが理由であると?」




『あったーそこかしこにあいてるー』

『適当に一つ選んで、その穴を潜ってみましょう』

『なんかすっごい熱水が噴き出してるー』

『上に向かっていますか?』

『上だー』

『暫く登ってみましょう』

『おけー』

「直径10mくらい?」

「そんくらいだな」

「流れ落ちてきてるのか」

「それも熱水か」




『横向きになったー』

『ふむ…やはり9500層あたりまでですか、

その先がどうなっているか?見てみましょう』

『おけーごー』

「滝だったのが」

「雨みたいになってるな」

「ちょこちょこ小さな横穴から噴き出してましたからね」

「その分、上の方は薄くなってるのか」

「最終的にそれが最後には滝のようになっていたと」

「最上部の横向き部分ではもう霧状ですね」



『下向きになったーなんかーみえるー』

『これはタービンか…蒸気タービンなのか…』

『ウタ?この先はとても長い筈です、

飛ばしてよいですよ?』

『らじゃーさいそくだー5号よー』

「ほんとだ…タービンだ…」

「かなりゆっくり回ってますね」

「向こう側が見えるくらい疎らなタービンだな…」

「下側は直径の半分くらいが受けになってんな」

「小さな横穴の熱水はココからか」




『断続的に…タービンがずっとあるな…』

『むっ途絶えたようだな』

『代わりに側壁に放熱板みたいなのがついてるわね』

『ふむ…10000層までですね、

ウタ?そのまま潜り続けてみましょう』

『ほいさー』

「放熱板は熱電発電用か?」

「冷却も兼ねた発電なのか?」




『あちこちから蒸気が噴き出してるわね…』

『内圧どれくらいになってるんだ…』

『その点は周囲の圧力と同程度でしょう』

『そして長い…500kmは潜ってるぞ…』

「ん?地殻をもう…」

「そうですわ…」

「周囲はもうマントルなのでは…」




『本当に長い…2000km超えたぞ…』

『ふむふむ、やはりですか』

『さすがに飽きるー』

『おそらくあと半分ですよ?』

『まじかー』

「マントルだよな…?」

「ソレもだいぶ下部…」

「下手したら外核上部ですね…」

「それで半分…」



『やっと底か…』

『底には水があるけど…』

『すごい勢いで煮立ってるな…』

『…4000km潜ってるぞ?』

『ココ…周囲は第5のコアになるわよね…』

『ウタ?柱と周囲の境目を今度は上昇してみましょう』

『うぬーなかなかハードなー』

『ふふふ、貴方ならできますよ』

『むーがんばるー』

「コア…それも内核…だよな」

「おそらくは…その筈です…」




『あれー?もう2000kmはーあがったのにー?』

『視野が明るくならないな…』

『ずっと暗いままね…』

『…そういうことなのか…』

「えっ…冷えているのですか…」

「だから…暗いと?」




『あー水の中に出たー暗いまま出たー』

『これで確認が取れました、

次は側壁沿いに8999層までゆっくり登ってみましょう』

『いくぞー5号ー』

「水の底まで戻ってきた…」

「暗いままに…」

「つまりは冷えて固まっている…」

「そんなものを…」

「エネルギーとして…」

「取り出しているのか…」




『8999層についたぞー』

『では…そうですね柱のこの層の高さ中央くらいの

空間歪曲フィールドジェネレーターの一つを

コピー品を造れるレベルでもって、

精緻に内部映像を取得しましょう』

『ぬぁーまじかーむーがんばるー』

「ん?通常のモノとは違うのか?」

「詳細に解析する必要があると?」

「まるで帝国が使うかのような?」



『教官…そういうことなのか…』

『えぇそうです、宇宙艦隊ではこの要塞は抜けません』

「えっ」「抜けない?」「そんなモノあったか?」


『……理由は…』

『えぇ、この柱に在ります』

「この柱の…」「どこにそんな理由が…」


『この柱は…』

『コアとマントルの冷却器ですね、

この星のマントルとコアは概ね継続的に冷えています、

地殻変動は起こりようもありませんね』

「これはわかる…」「だが…」「理由ではない筈…」


『その重力内圧エネルギーは…この柱で…』

『えぇそうです、発電機でもありますね』

「これもわかる…」「そして…」「理由ではない筈…」


『その送電も…この柱が…』

『えぇそうです、この柱が主幹送電システムでもありますね』

「これもだ…」「これも…」「理由ではない筈…」


『核融合炉群は…この柱の…』

『えぇそうです、打ち込み時の作業用電源ですね、

それと打ち込み時の支持部として499層が必要だったのでしょう、

いまは歪曲用の電源ですね』

「違う…」「そう…」「直接の理由ではない筈…」


『8999層から上の…柱の側面は…』

『そうです、フィールド展開ではなく、

干渉用です、柱を避けてフィールドを張る為の』

『つまり…8999層の』

『えぇそうです、8999層の空間歪曲フィールドが張れるでしょう』

『それも…各層間に…』

『えぇそうです、同時に張れるでしょうし、局所的に集中も可能でしょう』

「1層1層のフィールドではなかった…」

「多重可変フィールド…」

「それも8999層分まとめて…」


『抜くのに…必要な…火力は…』

『試算によると3000個本土艦隊は下らぬようですよ?』

『だからか…』

『流石に、まだ3000個本土艦隊は用意できませんからね』

「あぁ…」「確かに…」「ソレは抜けない…」

「ソレを認めざるをえない…」


『そして、代替手段は…』

『えぇそうです、使い魔がつぶさにみているモノが手段です』

『小型化コピーして使うのね…』

『当然…相手も…載せていて当然…』

『その為の丸々100層分の地上兵器群ですね』

『相手も含め戦場が歪曲フィールドの中ってことか…』

「抜くには地上戦しかない…」

「それを柱が示している…」

「だから地上兵器を…」

「あれだけ用意していると…」


『うそだろう…8999層全域が…近接白兵戦領域になるのか…』

『えぇそうです、そうなるでしょう、

そこは空間歪曲フィールドの中になるのですから』

『ほーそれはーなんたるーいくさばだーすばらしー』

「白兵戦至上主義者の戦場…」

「それを強いられる戦場…」


『それでも…抜かねばならない…』

『うむ、そういうことだ、ココが健在である限り』

『コマインはこの星系を諦めない…』

『そして我らは第3の遺物を回収できない…』

『それを相手に見られるわけにはいかない…』

『星系内から駆逐せねば回収できない…』

『つまりは我らはこの要塞を避ける事ができない…』

『ここを踏み砕かねばならない、そういうことです』

「そういうことか…」

「それが理由だったのか…」

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