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第62話 これで決闘を強いられたのか…

『60%第4衛星さーんーおひさー』

『もうしっかりと表面が固まってるなぁ』

「60%さんか…」

「小さくなっちゃいましたねぇ」

第6分隊長マキバ中尉…

モニタ映像だけじゃ大きさわからないからね?


『そして第3衛星も…だいぶ様変わりしてるな…』

『見た目が氷結惑星になってるじゃない…』

「あらまぁ、何でですの?」

「こっちも後にいろいろあったのか」

前は岩石衛星だった筈…


『あぁ…あの時の輪か…』

『殆どが軌道を維持できずに落ちたのか』

「あぁ、なるほど60%さんの…」

そういや吹き飛ばされた元地殻氷片を

第3の衛星軌道に並べてたな…コマイン…


『第5便で質量融合弾であらかたの施設は破壊したとあるな』

『その時までは輪があったと』

「次便で即座に破壊されたのか」

「この星系のコマイン重心でしたわね」


『第6便で撃ち漏らしの処理と復旧程度の確認を行ったと』

『その時には輪は半分ほど薄くなっていたようね』

『輪の軌道維持もできぬほどに宙間作業実行力が落ちたか』

「また念入りな…」

「お掃除ですね…」


『そして第6便が星系内天体上の施設をあらかた破壊して』

『第7便でその撃ち漏らしの処理と復旧程度の確認を行ったと』

『その時にはもう輪はなかったようね』

『そして以降は有意な活動は星系内において見られず…か』

「いやほんと」

「念入りですこと」

それでも3日おきに単独の偵察艦が巡回哨戒はしていると…

細かい秘密基地がアチコチにあるんだろな…


『艦隊さえ排除すれば、強襲独行艦の質量融合弾でも掃除は可能と』

『その時は今の新人達がやるのでしょうね』

「あぁなるほど、そういうことか」

「質量融合弾の運用自体はだいぶハードル低いのか」

「そうだ、素の戦偵巡に弾庫を追加するだけで可能だ、

そうだな…0.4M功績ポイントもあれば充分だ」


『こりゃ、こき使われるなぁ』

『まぁ私たちは既にこき使われているのだけれども』

「そんなに?」

「あぁ、検証公と歴史公の小間使い…と称される程度にはな?」

「それ相当な使われようじゃないですか…」

慄く第4分隊長ナカニワ中尉…教職もブラック業種だったろうからなぁ。


『遺構調査、実入りはいいんだが』

『些か拘束時間の長さがなぁ』

「あ~すっごい地味~な調査だもんなぁ」

「それも敵地において…ですものね」

「わりと過酷な任務だよな」


『ついに正式に遺構調査の頭目に成り遂せた教官に』

『こき使われる羽目にもなっているしなぁ』

「検証公の要求ハードル…」

「容赦なかったもんなぁ」


『さて、残したのは確か?』

『第3衛星微小次元震発生個所の2か所の内の1か所』

『小さく手狭になったためか』

『純水保管管理施設に転用されていた区画』

『その残った4割よ』

『微小次元震発生個所を含めた6割は』

『第6便がカモフラージュの為に反物質投射砲で消し飛ばしたわ』

『単独でも有意な区画ごとか…』

『他数か所のダミーも含めて単独では無意味な区画しか』

『残していない訳か』

『微小次元震…その位置を把握していると』

『そう悟られる訳にはいかないか』

「また…細々とした心象操作を…」

「そこらへんホントに油断ないよなぁ」

ちょっとしたキッカケで気取られかねないもんなぁ、

そらそうするよ…第7分隊長カルイザワ中尉。


『監視小惑星からは?」

『消しとばした6割は平野で上下の監視下だったわ』

『が、残った4割は山間になる、上下とも監視不可能だ』

『下準備は完璧か』

『えぇ、検証公インパクトの一環、教官のシナリオだもの』

「あいかわらず…布石の打ち方が…」

「流石は神に認められし演出家…」

研ぎ澄まされた技能を有効活用してるよなぁ。


『…罠…あると思うか?』

『あるでしょう?』

『ない筈がない』

『じゃぁアレをやるしかないか…』

「不穏」

「あぁこれは不穏だ…」

「またなにかやるんですうぅ?」

アレと表現だよ?第6分隊長マキバ中尉…当然じゃないか…


『えぇ、まだ辻斬りの詳細を』

『送信されるわけにはいかないもの』

「あぁなるほど、威力偵察の結果を…」

「相手にはくれてやらないと」

「そういうことか…」

だからアレ…今回はどんなビックリメカだろう…


『辻斬りに乗っけられればいんだがなぁ…アレ』

『出力不足よ、桁が1つ足りないわ』

『というわけだ、ウタ?アレやるぞ?』

『うへへーひさびさだーうでがなるー』

『ナナキもサポート頼むな、こっちは4人でやる』


「アレって…やっぱり?」

「なんですの?」


「そうだ…検証公の屈辱の鬼軍シリーズのひとつ

 決戦マナ兵器”検証公の隠し玉7号”

 電磁波吸収フィールドオプション術式”真夜中の決闘”

これは電磁波遮断にのみフィールドを特化させたあげく、

その厚みを極端に薄くし表面積を著しく拡大、

そして生まれる巨大な球面、

その膜面で内外の電磁波を遮断する…というものだ」

「これで決闘を強いられたのか…」

ことごとくネタ元が鬼に使われたトラウマ魔法…


「風林火山のジェネレーター出力であれば、

半径330kmの球面を構築できる。

コマインであればゲート通信以外は全て遮断できる。

そして外部光も遮断されるため内部は真っ暗闇に

外部から見れば暗黒の球体に見える」

「だから…真夜中…」


「そして発動体、この場合であれば風林火山の艦体だな?

これが…そのなかで燦然と輝く…

唯一の光源とならん…がごとくな?」

「うわぁ、真夜中の中でか…」

「そりゃ撃ってくれと言ってるようなもんじゃないか」


「だから制式採用はしたくなかった…

したくはなかったが…したくはなかったが…制式採用されている…

戦偵巡も使えるんだ…」

「えっ?採用したの?コレを?」

「なぜですの?4号よりキワモノですわ?」


「通常、マナ転化と電磁波吸収は併用できない」

「ですよね?」

「なのに撃ってくれと自己主張するんですよね?」


「しかしこの7号に限り併用が可能だ、

フィールドがそもそも干渉しなくなるからなんだがな」

「あぁなるほど?方や密着で球状空間、

方や数百キロ先にある球表面のみということか」

「なら、同じように通常も併用可能なのでは?」


「それがな?コレ、

例え50m先でも形状を球表面にしたら、

マナ効率が極度に悪化するんだ、

それを特殊条件で強引に成立させてるんだよ、

内に既に目視した敵対者を内包する、

そういうネガティブ条件が必須の術式なんだ、

その条件が満たされないと維持消費マナが通常の666666倍になる…」

「うわぁ、それじゃ通常は使えないじゃないか…」

「そしてなんて嫌な倍数なんだ…」

「敵対者が一緒に中にいないとダメってどういうことですの…」

「決闘場構築魔法」

「…だから真夜中の決闘…」


「そして、局所的に情報封鎖可能…

帝国はこの魅力に抗えなかった…というわけだ」

「なるほどな…ところで発動体が中心…ということは?」


「そうだな…答えは映像で見てもらうとしよう」

(((((((((ごくり)))))))))

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