第61話 いやまじで迷惑極まりないな…
『やはり5000万年前のモノよ』
『それ以降のモノは?』
『それもやはり一切見当たらないわ』
ほへ~綺麗に残ってるもんだなぁ~
『つまりは』
『5000万年間、何物にも触れられず』
『自然のままに在ったと』
『そうなるわね』
『不可思議極まりないな』
つまりコマインが全く手をつけていないのか?
『フォーミング遂行用の先行植民都市…
…だったのでしょうね』
『…構造的にはどう見てもソレだからな…』
『宇宙港に…倉庫群…ライフライン施設群…
製造施設群に…フォーミング施設群に…そして市街地』
有機生命体文明の廃墟かぁ。
『風化を免れた、しないモノは…全て残っているわ』
『宇宙港をみるに…最大でも500mか』
『程度は根源を得て魔導帝国となった帝国…の頃かしらね』
『星間文明としては…そのあたりということか』
滅亡時の文明レベルはそうでもないんだな…
「これが?」
「そうだ、広大な丘陵に築かれた…
半地下円形状であったのであろう…
直径50km級の先行植民都市の名残…
崩落した天井の透光材に覆われた炭素複合材で構築されている廃墟群…
コマイン起源文明の遺構だ」
「辻斬りは浮遊したまま?」
「うむ、痕跡を最小限にとどめる為、
隠密調査中は重力スラスタで多少の高度を取り、
低速で活動する、使い魔ボットも低速ながら浮遊飛行が可能だ」
『これだけ広いと…』
『なかなか骨が折れそうだな』
都市を丸まる探すのか?
『お手製のモニュメント、石碑、石像…』
『あるとしたらそんなところか』
探すものはそれか~
『落書きでもーいいんだよねー?』
『あぁ、お手製で残っているのなら何でも回収』
『文字が残っているのならそれも回収』
『コンテナにー入らないのはー撮影のみー』
手当たり次第か~
『フォーミング中であったのが幸いしたか』
『大気はあっても水分は極小だものね』
『経年劣化が年数の割には』
『思ったほどではーなーい』
(つぁっつぁぁぁぁん)
ほわっ!?なんだ?警告音?
『なにかしら?』
『なにー?』
『コマインの定期哨戒偵察艦だな』
『あら、もうそんな時間だったかしら』
『忘れてたー』
『あまりよくはないが、そうなっても仕方ないな』
『そうね、常時電磁波吸収を環境迷彩モードで展開してるもの』
『5光秒先を通過するだけの偵察艦には…』
『見破れるー筈もーなーいー』
『しかし、衛星すら置けないとはな』
『3日おきに哨戒するくらいだもの』
『置くべきなのに、置けないのでしょうね』
『コマインの禁足事項…我らが思うより』
『多いと考えるべきなのでしょうね』
禁足事項?どういう意味だ?
「例の遺物調査と回収が依頼なのか」
「なるほど、時が時だからか」
「残りそうなものはそれくらいだと」
「うむ、そういうことだな」
「環境迷彩モード?」
「うむ、電磁波吸収のモードの一つだ、
背景情報がなくてもほぼ問題がない宇宙空間とは違い、
背景情報が豊富にある地表上や惑星軌道上で使用される。
全吸収モードと違い、それなりに希薄マナ消費が重い、
が、全吸収だと暗体として逆に目立ってしまうからな?
フィールド内部のみをトばして全ての電磁波を抜けさせている、
そういうモードだ」
「ふむぅ、なるほど単純に吸収するのではなく、
内部がなかったことにする処理はそれなりに重いと」
「そういうことですのね」
「というわけだ」
「置けない?」
「そうだ、なにもなければ置けない、
憶えておくといい、コマインは何もなければ動けない、
そういう存在のようだ」
「ん?それはいったい?」
「彼らが今から説明してくれる」
『依頼者の歴史公の推察…」
『傍証が積みあがっていくばかりだな…』
『可能性がなくなれば…』
『コマインは活動を休止する…』
『ねちゃうー』
寝る?どういうことだ?
『自己保存のルーチンが暴走した専守防衛AI…』
『侵されなければ動かない…』
『その筈が、一切の可能性を許容しなくなった結果…』
『ソレは殲滅思想に染まったと…』
自身が侵される可能性が僅かにでもあればソレを殲滅するAI…
『でなければ説明がつかないと…』
『5000万歳のー超々大先輩がー』
『科学技術においても我ら帝国の技術に後れをとる…』
『戦列砲艦を見れば充分な技術開発力はあるのに…だからな…』
殲滅し終わり可能性がなくなれば休止状態になると…
『我らにとってコマインは3度目の出会い…』
『コマインにとっては我々は何度目の出会いなのだろうな?』
『起源文明、コマイン向こう側の文明、我ら帝国』
『起源文明と我ら帝国の間に幾つあったのだろうな?』
そうか…いくつもあった可能性が高いのか…
『ここはコマイン領域の外縁も外縁、辺境の地』
『なのにー5000万年前のー遺構がーココに在るー』
確かに手つかずの遺構が辺境にあるのはオカシイのか…
更地にされて資源採集開発されていてしかるべきか…
『遺構文明自体は…僅か60星系が拡張限度だった魔導帝国時代』
『そのころの帝国と同程度の星間文明であったのにな?』
そうオカシイ…コマイン辺境の地に手つかずの遺構が残っている…
『ココから銀河中心方向に向けて広がる…』
『5000光年を見通せる水鏡でも見通せない広大なコマイン領域…』
そう…遺構文明とコマイン領域の中心は合致しない…
『可能性をー許容せずー』
『都度起き上がり殲滅し続けてきた結果…』
銀河中心方向へと広がっていったのか…
『ここがその過程で殲滅された文明ではない事の傍証…』
『ここが起源文明の遺構である傍証…』
なるほど…
『ここがー5000万年ーそのままだったー』
『コマインが何もなくば立ち入れない…のであろう事』
『ここがコマイン始まりの一片であろうこと』
触りたくても触れないルールがある…
それが起源文明時代からの禁足事項…
『それはあの検証公インパクトの伝達を監視していた水鏡が…』
『コマインの情報の最重心が…』
『水鏡の見通せない先にある…』
『それを立証してしまった水鏡班も認めざるをえない推察』
『なんともはや、はた迷惑なネボスケ人造機械神だよ…全く』
『『『『『うん迷惑極まりない』』』』』
「いやまじで迷惑極まりないな…」
「そんな非生産的な存在だったのかよ…」
「殲滅したら寝るんですね…」
「そして寝られなくなったら再度殲滅するんですの?…」
「それもう、寝るために殲滅してるのと同義じゃないか…」
「いや、そう縛られているんだろうけどもさ…」
「結果的に殲滅された方はたまったもんじゃないな…」
「理不尽」
「…迷惑極まりない」
「…ですぅ」
『さて、そのネボスケ神が?いつ我らに気付いて?
その分体たるこの星系の機械群を起こしたのか?
第7惑星第3衛星を調査することで?
判明するであろうとのことだ』
『その為にー最古区画とー燃料たるー純水保管施設区画ー』
『だけは破壊せずに残しておいたそうだ』
『本来は来る本格侵攻後に調査予定だったのでしょ?』
『そうらしい、辻斬りがソレを現状でも可能としたからな』
『とはいえ、遺物の確保が最重要だ、
ここの調査終了後は帰還最優先だ、
そして次の遺構の調査もまた最優先だ』
『つまりは後々再度この星系を訪ねることになるんだな?』
『辻斬り運用班は未だに片手で足りるからなぁ』
『ほんとにー縁があるなーここー』
「というわけだ、次はその第7惑星第3衛星の調査を見てもらうか」
((((((((((こくり)))))))))




