第56話 さぁ刻み込むのです
『立体球形魔法陣急速展開!!』
『5』
”2”
「検証公は余裕があると…」
『4』
”1”
「こうやってアンテナを使って…」
『3』
「自艦を…自撮りする…」
”0”
『展開終了!魔法陣マナチャージング開始!!』
『2』
「カメラワークにも?」
"29"
『1』
「あぁ拘りがあるようだな…」
"28"
「そしてこれが?」
『0』
『第100射通過しましたよ』
"27"
「瞬雷公の作品だ」
『29』
『副砲は主砲が仕留めきれなかった照明の後処理ですよ?』
"26"
『副砲全基全門反物質投射砲モード!』
「やはり派手派手ですね」
『28』
「瞬雷の由来は?」
"25"
『操舵でおおまかな主砲の指向ですよ?』
『27』
「見ての通りの放電光だな」
"24"
『スライドスラスタ!精密ロール!精密ピッチ!準備よし!』
『26』
"23"
『主砲は照明の艦体中央レーザー発振部を横断して
その艦体を前後に割るんですよ?』
『25』
「その照明は全長1kmあるフネなのだが…」
"22"
『主砲!精密射撃準備良し!』
『24』
"21"
『もちろん主砲は3目標同時並行ですよ?』
『23』
『秒間10射マナクリスタル直結ブースター準備よし!』
"20"
『その為の直結ブースターです』
『22』
「だが燃費は?」
"19"
『ナナキは4号の起動とその時間管理ですよ?』
『21』
『1番4号装填済!残弾42弾!』
"18"
「悲しくなるくらい最悪だ…根源庁長官も泣く…」
『20』
『ココで照明を全て墜とせば?』
"17"
『19』
『コマイン小艦隊にコレを止める術はなくなる』
"16"
「ん?どうゆうこと?」
「あれ?レーザー戦艦いないと?」
『18』
『残る確認事項は?』
"15"
『魔法陣マナチャージング50%!!』
『17』
「このマナドライブの?」
「起動も停止も?」
「止められない?」
"14"
『あと一つだけです』
『16』
「それってコマインの勝ち目なくない?」
"13"
『照明が片付いたら確認するとしましょう』
『15』
"12"
「けど戦列砲艦には強力な歪曲フィールドが?」
『14』
「あるから墜とせない筈だけど?」
"11"
『13』
"10"
「けど照明を全部狙って墜とすのだから?」
『12』
"9"
「なにかあるのか?」
『11』
"8"
『10』
"7"
「う~ん、わからんわからん」
『9』
"6"
『8』
「次はなにするんですぅ?」
"5"
『7』
"4"
『6』
"3"
『5』
"2"
『4』
"1"
『では行きましょう』
『『『『はっ!』』』』
『3』
"0"
『魔法陣マナチャージング100%!!起動!!』
『2』
『マナドライブテイクオフ!!』
「うっわぁかっけぇ」
「まさに瞬雷ですわね」
「検証公渾身のシーンだ」
『第101射通過しましたよ』
「わざわざ抜けるシーンを砲弾側から撮るんだ…」
「たしかにかっこいいですけど…」
「敵中に突撃してるんですよね…」
「それも被弾を狙って…」
”減速開始まで残22秒、半光速まで残29.5秒、タッチダウンまで残37秒”
「さすがの光速」
「展開が早い」
「そりゃ砲弾の2倍ですものね」
『4号起動準備よし』
『主砲!直結ブースター接続!』
『さぁいよいよです、
我が帝国の誇る10M班の駆る、
帝国の科学とマナ両用技術の粋を集めた、
この5M級強襲独行艦を
コマインの脳裏に刻み込んでやるのです』
「検証公ノリノリですね」
「ちょうごきげんですぅ」
検証公大好き第6分隊長マキバ中尉もご機嫌である。
”減速開始まで残5秒、半光速まで残12.5秒、タッチダウンまで残20秒”
『さぁさぁ第102射も通過しました』
「また…自撮りしてる…」
「あおりまで入れて工夫してる…」
”減速開始、半光速まで残7.5秒、タッチダウンまで残15秒”
『さぁさぁさぁ矛半球陣も通過しましたよ?』
「3カメですか?気合入ってますね?」
「アンテナ2基でどうやって…」
「実はこれ全部アンテナ一つでやっとる」
「えっ?どうやれば?」
「ミリ秒単位で出し入れして3カメ分の観測してる…」
「無駄に超高等技術を…」
「あぁ…そこに妥協は一切ないそうだ…」
”半光速、タッチダウンまで残7.5秒”
”6”
”まだか!””お願い!!””当ててくれ!!”
「即死カウントダウン」「なんて嫌なカウントダウン…」
”5”
”まだっ!””当てられんのかっ!!””想定よりっ!!”
「そりゃ」「そうなりますよね」「そうですよね」「ですぅ」
”4”
『マナドライブテイクダウン!!』
『4号起動!!』
”展開!臨界!いま発光!残41!!”
「おっ自艦からの映像?」
「うむ、4号回避の為アンテナしまったからな?」
「前方に眩い光線がいっぱい走ってますぅ」
うんうん綺麗だね?第6分隊長マキバ中尉 。
”テイクダウン位置!タッチダウン位置より0.5光秒前!”
『照明1番から!!艦体照準開始!!』
”照明の2.5光秒前!!大砲の射界外上方!!”
『照明1~42番主砲射界!!主砲射撃開始!!』
『4号起動!!』
”展開!臨界!いま発光!残40!!”
『5番が割れてませんね、割った照明は8です』
「それは電球ではない…全長1kmのレーザー戦艦なんだ…」
『副砲5番照準、順次発砲!』
『5番割れました』
”副砲射撃中止!射撃した3門は充填開始!”
『今度は18番です、割った照明は23ですね』
「もうそんな?」「すごい殲滅速度ですぅ」
『副砲18番照準、順次発砲!』
『18番割れました』
”副砲射撃中止!射撃した1門は充填開始!”
『4号起動!!』
”展開!臨界!いま発光!残39!!”
『今度は29番です、割った照明は38ですね』
「えっ?ずっと光るの?」
「4号を5秒間隔で?」
『副砲18番照準、順次発砲!』
『29番割れました』
”副砲射撃中止!射撃した2門は充填開始!”
『4号起動!!』
”展開!臨界!いま発光!残38!!”
『ふふふ全部割れました、さぁさぁさぁさぁ続けますよ?』
「えっ?レーザー戦艦?なにもできないまま?」
「えっこのまま?いくの?」
『4号起動!!』
”展開!臨界!いま発光!残15!!”
『最後は398番の貴方です、もう割った照明は399ですね』
『副砲398番照準、順次発砲!』
『398番割れました』
”副砲射撃中止!射撃した2門は充填開始!”
『4号はもう不要ですね』
「えっ?まじで?」
「そんなあっさり?」
「うそ?いままであんなに苦労してたのに?」
”上部主砲1番!4号未装填!”
『では副砲は艦姿勢が落ち着き次第、1.25秒ごとに
大砲100番を射撃しておいてください』
”副砲大砲100番照準!”
「えっ?そのまま?4号無しで戦列砲艦なの?」
「フィールドは?歪曲フィールドは?」
『艦は最大減速です、ロールは主砲の為に都度ですよ?』
”最大減速姿勢!!”
『主砲は全門投射砲で大砲の中央を割るのですよ?』
「まって…その大砲は全長30kmある」
「風林火山の主砲同時着弾9000発に耐えるフィールドさんは?」
”主砲右90度旋回!!全門反物質投射砲モード”
『ふふふふふふ、27弾135秒、
システムどころか中継器、
そして全ての素子に至る全て、
全長30kmを超える核融合炉の塊が、
その全てと全てが27回断絶し再起動に失敗した。
つまり貴方方100隻は?』
「あっ」「へっ」「あぁっ」「そういう」「その為っ」
『右舷副砲1番発射!!命中!!
素通し!!歪曲フィールド確認できず!!』
『いまや、炉心もシステムも強制停止した単なる置物です』
「全てはこの瞬間の為か…」
「何もかもがこの瞬間の為…」
「この状況を作るため…」
「だからコマインも必死だったのか…」
「コレを必死に防ごうとしてたのか…」
「そして…抜かれてしまったのか…」
『主砲斉射!!命中!!大砲1番!艦中央断面最大76%喪失!!』
『大砲1番!!慣性で折れます!!』
『3000秒ほどあれば余裕でしょうか?
矛との相対速度を合わせるにはちょうど良い時間です』
「すべてなのか…」
「すべて殲滅すると…」
「ただの1艦で…」
「コマイン小艦隊を…」
「字義通り殲滅すると…」
『大砲1番!!折れました!!蓄電設備群が放電誘爆始めてます!!』
『主砲斉射!!命中!!大砲2番!艦中央断面最大84%喪失!!』
『大砲1番!!誘爆艦尾まで到達!!』
『大砲2番も!!折れました!!同じく蓄電設備群が放電誘爆始めてます!!』
『大砲1番!!艦尾で爆光!!推定約11ZJ!!約2.6Ttの融合反応!!』
『ふむ、さすがに隣接艦まで巻き込まないよう、
安全処置がしてありますね?
弾庫全弾誘爆には二桁は足りません』
『主砲斉射!!命中!!大砲3番!艦中央断面最大81%喪失!!』
『大砲2番!!艦尾で爆光!!推定約12ZJ!!約2.8Ttの融合反応!!』
『ふふふふふふふ、
コレが帝国5M級強襲独行艦です、
さぁ刻み込むのです、
さぁさぁこの敗北を全ての貴方のデータベースに刻み込むのです、
さぁさぁさぁこの対策に苦悩苦心奔走するのです、
さぁさぁさぁさぁソレが用意できるまで?
たっぷりとその忍び寄る影に怯え竦むのですよ?
ふふふふふふふ』
「この日、矛も含めコマイン1個小艦隊が…
巡洋艦級帝国艦1隻に1隻残らず殲滅された…
コマイン監視小惑星の監視下で…な?」




